4/30(木)判例30 正面衝突で、被害者の過失が50%?

判例30 正面衝突で、被害者の過失が50%?
 
高次脳機能障害 7級4号 2012年 京都地方裁判所 和解

(1)概要
中学3年生の女子が自転車を運転し、脇道、中央線のない道路を走行中、対向のバイクと正面衝突したもので、高次脳機能障害で7級4号が認定されています。
自賠責保険金1051万円,人身傷害保険金1150万円を加えて、総額約6,200万円を獲得しています。

(2)損保の反論
1)本件事故は、道路のほぼ中央付近での正面衝突事故であり、お互いの視認状況や前方に対する注意義務は同等と言えるところから、被害者にも50%の過失が認められる。

2)被害者は、当初、自賠責調査事務所から9級10号の認定を受けていた。 その後、自賠責保険に対する異議申立てにより、7級4号が認定されているが、以下の理由により、当該認定は誤りである。

①脳損傷の画像所見が確認できていないこと、
②被害者が事故後、京都府の英語スピーチコンテストで優勝していること、
③事故後も普通に高校生活を送り大学に進学したこと、 日常生活が自立しており、判断能力、記憶能力、遂行能力に大きな低下が見られないことなどから、高次脳機能障害はどんなに悪くとも9級10号が相当であると主張しています。

(3)弁護士の立証
1)⇒弁護士は、本件事故の過失割合について、自転車の被害者と、バイクの加害者では、その速度に差があり、加害者の前方不注視の過失による部分が、明らかに大きい。
しかしながら、左側通行を怠り右側を走行していた被害者にも一定の過失があったことは否定できないので、その過失は20%とするのが相当であると反論しています。

2)後遺障害等級については、弁護士は、自宅におけるビデオ撮影、家族と担任教諭の陳述書から、 ①普通は、誰でも判断できる幼稚な内容について、その都度、母に尋ねないと行動できないなどの判断能力、遂行能力の低下が明らかであること、
②その他学校での様子、
③各種神経心理学的検査の結果 などを丁寧に立証し、被害者の高次脳機能障害は、自賠責認定の通り、7級4号に相当するというべきであると主張しています。

3)年少女子の逸失利益の基礎収入では、弁護士は、被害者は、本件事故当時、大学に進学することが予定されており、男女計・大学・大学院卒の平均賃金を基礎に逸失利益を算定、請求しています。

(4)裁判所の判断
1)⇒裁判所は、和解案で、被害者の過失を20%と認定しました。

2)被害者の後遺障害等級について、7級4号が相当であると認定しました。

3)男女計・大学・大学院卒の平均賃金を基礎収入と認め、上記を認め、4530万円の逸失利益を認定しています。

4)和解案の損害賠償額は、4000万円でしたが、自賠責保険の後遺障害保険金1051万円、人身傷害保険金から1150万円を先行取得しており、総額6200万円が実現しました。

(5)NPOジコイチのコメント
1)被害者は、7級4号の高次脳機能障害を残しながらも、高校生活を送り、同系列の女子大学に進学し、卒業後は、外国資本の航空会社に就職し、CAとして現在も活躍しています。

高校時代には、京都府の英語スピーチコンテントで優勝する成績も残しました。
しかし、これらは、母親とクラブの英語教師の献身的かつ、手厚いサポートがあって実現したものです。
もちろん、本人の素直な性格と、めげない努力があったことも、付け加えておきます。

しかし、裁判では、相手損保が、これらの努力を揚げ足にとり、後遺障害等級は認めるにしても9級10号が相当と主張してきたのです。
そこで、弁護士は、被害者宅のダイニングと居間にビデオカメラを設置、被害者には内緒で、日常のやりとりを録画、ポイントとなるところを20分に編集しました。
さらに、母親を中心とした家族から日常生活状況を聴き取り、担任教諭、英語クラブの指導教諭にも学校生活やクラブ活動の様子を聴き取って、陳述書にまとめました。
高次脳の専門医には、神経心理学的検査の分析を依頼し、意見書を取りつけました。
これらの完璧な立証により、裁判所も9級10号であるとの損保の主張を排斥し、自賠責保険調査事務所の認定通り、7級4号を認定しています。

2)ご両親から相談を受けたときの治療先は、残念なことに、高次脳の専門医がおらず、十分な検査や、それに基づく診断を受けることができていない状況でした。
そこで、チーム110のスタッフは、治療先から紹介状を取りつけて、高次脳に理解のある専門医と治療先に同行して受診し、転院させたのです。 必要な神経心理学的検査が行われ、被害者の障害の実態が明らかになりました。
新しいリハビリ先の専門医が後遺障害診断書を作成したのですが、念のため、検査結果などを持ち帰り、当初の治療先にも後遺障害診断をお願いしました。

高次脳は、極めて専門的な分野です。 事故後のリハビリ通院⇒神経心理学的検査⇒後遺障害診断⇒日常生活状況の作成⇒そして加害者に対する損害賠償など、一連の流れでは、高次脳に精通した医師と弁護士、それらをつなぐメディカルコーディネータのサポートを欠かすことはできません。

2)年少女子で、男女計・大学・大学院卒の平均賃金を基礎収入とした逸失利益が認められたことは極めて画期的なことで、今後の損害賠償に大きな参考となるものでした。

 
 
雑学  be動詞?

英語が苦手な山田はmyを使って文を書けという問いに対しこう解答した
Mypenisbig.
数日後、答案が帰ってきた。
山田のこの文章の隣には赤ペンで、
①.単語間は一文字分のスペースをあけること
②.be動詞がありません
と美人の英語教師らしく綺麗な文字で書いてあった。
しかし、山田は、My pen is big (私のペンは大きい)と書いたのに、
美人のセンコーがpenis(チンコ)と読み込んだ?
penと読んでくれれば、isのbe動詞も含まれているのに?

 

4/29(水)判例29 被害者の飛び出し?

判例29 被害者の飛び出し?
 
高次脳機能障害 7級4号 2012年 さいたま地方裁判所 和解
(1)概要

10歳の女児が、道路を横断中、前方不注視の加害車両が跳ね飛ばしたもので、女児には、高次脳機能障害で7級4号が認定されています。

(2)損保の反論
1)被害女児が道路に突如飛び出してきたことで本件事故が発生しており、加害者は回避困難であり、相当な過失相殺がなされて然るべきである。

2)治療期間中の両親の付添費は不要であり、争うと主張しています。

(3)弁護士の立証
1)⇒弁護士は、同時刻に事故現場に立ち、具体的な事故現場の道路状況などを計測して、事故発生現場見取図を作成した上で、相当の距離を被害者が横断した後に跳ね飛ばされており、急な飛び出しとは考えられないこと、加害者の説明のみによる刑事記録については、全面的に信用することはできないと指摘しています。

2)入院中の付添費用については、被害者が10歳の女児であったこと、入院中に身体に装着された器具などを夜間に外してしまうことがあり、両親のいずれかが泊まり込みで看護する必要があったこと、通院についても10歳であり、1人では難しく付添いが必要であったこと、自宅にあっても、てんかん発作などに備えるため、女児を1人にはできない状況であったことなどを主治医の診断書と家族の陳述書を基礎として詳細に主張しています。

(4)裁判所の判断
1)⇒裁判所は、和解案で、女児の飛び出しの事実を否定し、女児の過失割合を10%と認定しました。

2)裁判所は、和解案で、入通院の付添看護料を認定しています。

3)当初和解案では、確定遅延損害金が計算されておらず、3600万円の提示となっていました。
弁護士は、判決となったときは、相当な確定遅延損害金を考慮されることになると、裁判所を説得し、調整金の名目で1210万円の増額を実現しています。

※確定遅延損害金
自賠責保険金の受領日までに生じている遅延損害金のことです。
その充当方法について、最高裁は、2004-12-20、被害者に支払われた金額について、遅延損害金にまず充当し、残額を元本に充当する法定充当を行うべきであると判示しています。

4)自賠責保険の後遺障害保険金1051万円は訴訟前に獲得しています。
訴訟後の異例ではありましたが、人身傷害保険から、被害者の過失相殺分の500万円を回収し、和解金額の4400万円と併せ、5950万円を実現しました。

(5)NPOジコイチのコメント
1)高次脳機能障害などの重度障害や若年者では、被害者は事故状況を記憶しておらず、説明できないなどの事情から、警察が作成する実況見分記録においては、もっぱら加害者側の説明のみにより記載されてしまうことがほとんどです。
そんなときでも、同時刻に事故現場に立ち、実際に衝突した地点から事故発生状況図面を引き直し、得られる客観的な証拠と対比することで、刑事記録の加害者の供述の矛盾点を炙り出すことができることがあります。
損保側の主張である女児の飛び出しは、この手法で排斥されています。

2)入院では、損保側は、ほとんどの治療先は完全看護であり、両親による看護は必要ないと反論してくるのですが、本件の被害者は10歳の女児であり、自賠責保険も認定しているように、12歳以下の児童では、精神的ショックや1人にされる不安も大きく、両親など、近親者の付添看護が認められるべきで、弁護士は、声を大にして反論しなければなりません。

3)裁判所における和解においては、遅延損害金、弁護士費用が盛り込まれないことが一般的です。
しかし、裁判であれば、これらは普通に認定されています。
そこで、弁護士は、和解に応じる姿勢を見せつつも、遅延損害金や弁護士費用などを調整金の名目で認定するように、裁判所と十分に協議することが重要となります。
和解案の鵜呑みは、感心できません。

 
 
雑学  ロリコンとリモコンの違いってなに?

幼いと反応するのがロリコン!
押さないと、反応しないのがリモコン!

 

4/28(火)判例28 下り阪なら、即、高速運転となるのか?

判例28 下り阪なら、即、高速運転となるのか?
 
高次脳機能障害7級4号 2012年 横浜地裁 和解
(1)概要


9歳の女児が、自転車で交差点を直進中、交差道路を直進してきた加害自動車に跳ね飛ばされたもので、自賠責保険調査事務所は高次脳機能障害として7級4号を認定しています。

(2)損保の反論
1)被害女児は事故当時、下り坂を自転車で高速運転しており、著しい過失があることも考慮すれば、50%の過失相殺をすべきと主張しています。

2)被害者は、女児であるから、逸失利益算出の前提となる基礎収入は、統計上の女子平均賃金を用いるべきと主張しています。

(3)弁護士の立証
1)⇒弁護士は、被害自転車の進路が下り坂だからとしても、直ちに、高速であったと決めつけることはできず、損保側の主張は根拠不十分であることや、刑事記録によれば、加害者は、脇見運転の事実を明らかにしていることも認められ、女児の過失は高くても30%を超えることはないと反論しました。

2)統計上の女子平均賃金は、男女不平等であった過去の実績は反映されており、男子平均賃金と比べて不当に低い金額となっていること、被害女児は、事故当時、小学生と年少であり、男女雇用機会均等が進んだ昨今、性別を理由に基礎収入を低く見積もることは許されていないとして、基礎収入は、最新の判例に基づき、統計上の男女平均の平均賃金を用いるべきであると反論しています。

(4)裁判所の判断
1)⇒裁判所は、損保の主張を排斥し、被害者側の弁護士の立証に沿った和解案を提示しました。

2)30%の過失相殺分、1590万円は、人身傷害保険から1920万円を先行回収しています。 和解金額は3100万円ですが、自賠責保険から1051万円、人身傷害保険から1920万円を加えて、6070万円の損害賠償額が実現されました。

(4)NPOジコイチのコメント
本件のポイントは2つ、
1つは、被害女児は事故当時、下り坂を自転車で高速運転しており、著しい過失があるとの損保側の主張ですが、加害者の刑事記録を丁寧に分析し、損保側の主張に根拠がないことを看破して、適切な過失割合、30%が認定されています。
刑事記録は、加害者のみの供述で作成されており、信憑性に欠けることがほとんどですが、それを見越しての分析力は評価に値するものです。

2つ目は、逸失利益の基礎収入について、統計上の女子平均賃金を基礎として算定すべきとの損保側の主張に対しては、最新の裁判判例を持ち出して、的確な反論を展開したことです。

弁護士の優秀さは当然のこと、損保側弁護士のテイタラク、加害者の正直な供述にも助けられました。

 
 
雑学 躾?

娘が3歳の頃、ミルクをこぼしてしまった。
いつもは、すぐに怒る女房が、娘に、「ごめんなさい!」 を自分で言わせようとして、
「こんなときは、何て言うの?」 と質問したら、
娘は、「コラー!」 といつもの女房の科白をはいた。

 

4/27(月)判例27 神経心理学的検査が良好であり、等級は、5級2号ではなく、7級4号が相当である?

判例27 神経心理学的検査が良好であり、等級は、5級2号ではなく、7級4号が相当である?
 
高次脳機能障害5級2号 併合4級 2012年 東京地裁 和解

TMT-A検査のテストチャート ト
レイルメーキングテストでは、視覚的な情報処理能力、注意配分能力を測定します。

(1)概要
34歳の男性、防災設備会社勤務の会社員が、自転車に乗り交差点を直進しようとする際、加害自動車が、後方から被害自転車を追い越し、その直後に減速することもなく左折したもので、被害自転車は、加害自動車を避けることができず、衝突し、被害者が負傷したものです。
自賠責保険調査事務所は、高次脳機能障害で5級

(2)損保の反論
1)被害者は、加害自動車に追い越された直後、加害自動車の左折の合図を確認することができるので、これを見落とした被害者にも過失があり、一定の過失相殺をすべきである。

2)被害者の高次脳機能障害のレベルについて、被害者の神経心理学的検査の成績が比較的良好であることを考慮すると、後遺障害等級は、5級2号ではなく、7級4号が相当である。

3)嗅覚障害は仕事に影響を与えておらず、逸失利益の算定では、考慮すべきでない。

(3)弁護士の立証
1)⇒弁護士は、刑事記録を基礎として、加害自動車の左折態様は、極めて無謀なもので、被害自転車にとって回避は、到底、不可能であり、被害者の過失は0%であると主張しています。

2)弁護士は、主治医の診断書、専門医の意見書を提出し、被害者には、高次脳機能障害のため、認知障害と人格変化の症状が出現しており、このことが、自賠責保険調査事務所が5級2号を認定した根拠とされていること、神経心理学的検査の結果はあくまで高次脳機能障害の症状の一部を表すものに過ぎず、その結果だけを根拠として、被害者の高次脳機能障害等級5級2号の認定結果を否定できるものではないと反論しています。

3)被害者は、防災関連の仕事に就労しており、嗅覚障害は、業務に重大な影響を与えるものであり、逸失利益の算定では、嗅覚障害の影響も考慮しなければならないと反論しています。

(4)裁判所の判断
⇒裁判所は、和解案で、損保の主張のすべてを排斥しました。

(4)NPOジコイチのコメント
1)医師の意見書について、
「医師は、自ら診察しないで治療をし、もしくは診断書もしくは処方せんを交付してはならない。」
上記は、医師法20条の規定です。

損保の顧問医は、自ら診察しないで、多くは、損保に有利となる意見を述べています。
これを診断書としないで意見書とするのは、医師法20条違反を回避する苦肉の策なのです。

被害者には、治療先があり、主治医もいますから、なにも意見書の名称にこだわりを示すことはなく、診断書に記載を受け、裁判所に提出すればいいのです。
当然、裁判所も、被害者を診察することなく作成された意見書よりも、この間の治療を行い、経過を詳しく承知している主治医の診断書に注目しています。
診断書を基礎として、的確な反論ができれば、損保の意見書など、恐れるほどのこともありません。

しかし、意見書の矛盾を読み解き、ドラフトを作成して、主治医の診断書で対抗するには、弁護士には、医学的な幅広い知見が、どうしても必要となります。
この資質を有する弁護士が極端に少ないことが、被害者を不利な状況に置いているのです。

2)高次脳では、自賠責保険調査事務所が認定した等級を、損保が争ってくることが頻繁です。
本件でも、神経心理学的検査結果が良好であるとして、7級4号主張しています。
弁護士は、主治医の診断書と専門医の意見書で、高次脳に関する正しい知見を主張し、損保の主張は、高次脳の症状全体の一面しか理解していないことを立証し、厳しく反論しています。
過失相殺や嗅覚障害についても、的確な主張、立証を行い、損保の反論を排斥しています。

しかし、これらは、弁護士なら誰でもできることではないのです。
主治医の診断書、専門医の意見書であっても、ドラフトの作成は、弁護士の業務なのです。
ドラフトとは、原案、試案、下書きを意味しています。
経験則に乏しく、医学的な知見を有していない弁護士に、ドラフトの作成ができるのでしょうか?

 
 
雑学安次郎 50歳?

初めてのお産は丸2日かかりました。
子宮口9cmから全開まで3時間、陣痛は、ずっと2分間隔で続いています。
私の枕元で、母と先生が帝王切開の相談をしています。
だんだん意識が遠のいて、朦朧としていたら、
助産婦さんがヤバイと思ったのか、
私の頬を叩きながら、「大丈夫、名前は? あなたの年齢は?」 と聞いてきたのです。
なぜか、「安次郎・・・50歳です・・・」 と、父の名前と年齢を言いました。
その後、同じ産院で2人を出産したのですが、
「あら、安次郎さん♪」 と、にこやかに言われたときは、ちょっと凹みました。
きっと、語り草になっていたんだろうな・・・・・

 

4/24(金)判例26 アルコール依存症や精神疾患、脳梗塞の既往歴?

判例26 アルコール依存症や精神疾患、脳梗塞の既往歴?
 
高次脳機能障害2級 2012年 東京地裁 和解

(1)概要
T字型交差点において、直進中の加害トラックが、交差点付近を横断する77歳の無職男性を跳ね飛ばしたもので、高次脳機能障害として、別表Ⅰの2級1号が認定されています。

(2)損保の反論
1)事故前のカルテなどから、被害者には、アルコール依存症や、精神疾患などがあったことを指摘し事故以前から、就労可能な状態ではなかったと主張しています。

2)医師の意見書に基づき、事故以前の脳梗塞により脳萎縮が生じていたことを指摘、このことが、認定された後遺障害に寄与しているとして素因減額を主張しています。

3)カルテの記載から、被害者は、事故当時、泥酔状態であったとして、過失割合を加算すべきであると主張しています。

(3)弁護士の立証
1)⇒弁護士は、家族の陳述書を提出、損保の指摘する既往症は認めるも、被害者は、庭の手入れ、完成度の高い印鑑の作成などを行っていたことなどを具体的に立証し、既往症により、就労できる状態になかったとの損保の主張に反論しています。

2)損保が提出の医師の意見書については、主治医に診断書を求め、事故前にはなかった重度な症状が事故後に出現していることなどを立証し、損保が提出の意見書は、医師が推論を並べているだけのものであり、その推論も成立しておらず、採用されるべきでないと主張しています。

3)泥酔状態であったとの損保の主張に対しては、カルテには、「泥酔し、トラックに跳ねられる。」旨の記載があるものの、刑事記録上は、アルコール検査が実施された形跡もなく、被害者が意識混濁の中で、事実と違う状況を説明したこともあり得ると主張しています。

(4)裁判所の判断
1)⇒裁判所は、和解案で就労の可能性を認定、過失相殺後300万円の逸失利益を認定しています。

2)裁判所は、脳梗塞などの影響は、損保側で立証されていないとして、素因減額を否定し、主張を斥けています。

3)裁判所は、和解案で泥酔の事実は立証されておらず、被害者の過失を20%と認定しています。

4)本件は、訴訟前に人身傷害保険に先行請求を行い、3000万円を受領しています。
訴訟では、人身傷害保険金は、自己過失分1260万円から充当され、残りの1740万円が過失相殺後の損害から差し引かれることとなります。
和解金額は3400万円でしたが、人身傷害保険金3000万円を併せると、総額6400万円の賠償額が実現しました。

(4)NPOジコイチのコメント
1)定年退職後、就労しておらず、家事従事者でもない70歳以上の高齢男性では、損保は、逸失利益を全否定してくる傾向です。
これに対し、本件の弁護士は、就労を継続していく意思のあったこと、現実にも、就労の可能性を肯定できる事情があることを具体的に説明、立証し、損保の反論を封じ込めています。

2)重度後遺障害では、損保側から顧問医の意見書などが提出されることがあります。
本件の既往症の脳梗塞については、弁護士は、主治医の診断書に基づき、反証を行い、先の意見書は、顧問医の推論に過ぎず、その推論も成立していないと喝破しています。
裁判所は、顧問医の意見書よりも主治医の診断書を重視する傾向です。
したがって、弁護士には、主治医を説得できる医学的な知見が必要です。

3)カルテの記載から、被害者にとって不利となる事故状況などを指摘されたときでも、これらの記載が、誰の、どんな状況での発言に基づいているのかを精査し、信用性を争っていくことが必要です。
いつの場合でも、記載されていることがすべてではありません。

 
 
雑学美しいバスト?

カップ

トップとアンダーの差

重さ

フルーツでは

A

10cm

142g

ミカン2個

B

12.5cm

280g

柿2個

C

15cm

480g

リンゴ2個

D

17.5cm

760g

グレープフルーツ2個

日本人女性では、Bカップが33.2%、次にCカップが24.1%、全体の57.3%を構成しています。
大きいことは、いいことだ? では、ありません。

 

4/23(木)判例25 IADLの概念と立証で勝訴したもの?

判例25 IADLの概念と立証で勝訴したもの?
 
高次脳機能障害2級1号 2012年 東京地裁 和解

(1)概要
9歳の男児が道路を横断中、右方から直進してきた加害車両に跳ね飛ばされ、自賠責調査事務所は、高次脳機能障害で別表Ⅰの2級1号を認定しています。

(2)損保の反論
1)1人でバス通学ができていること、サッカーもできていることなどから、日常生活動作は自立しており、別表Ⅰの2級1号ではなく、3級3号に該当する後遺障害しか残しておらず、将来の介護料は、認定するにしても、日額2000円が妥当である。

2)幹線道路における男児の飛び出しが、事故の原因であり、加害者には、予見可能性や過失がなく、本来であれば、免責されるべきであるが、仮に過失があるとしても、35%以上の過失相殺がなされるべきであると主張しています。

(3)弁護士の立証
1)⇒弁護士は、高次脳機能障害は、多彩な認知障害、行動障害、人格変化が問題となる後遺障害であり、食事や歩行といったADL=日常生活動作が行えても、これと関連した自己管理を含めたIADL=日常生活関連動作では、自立できていないとして、主治医の意見書と家族と担任の教諭の陳述書などで立証し、IADLが、生活を自立していく上で大きな支障となっていることを丁寧に説明しています。

さらに、高次脳の専門医の所見や、リハビリ治療の記録を証拠提出し、社会生活適応能力が著しく低下していること、見守りや声掛けが必要であること、身体が無意識に震える振戦などの障害を残していることから、自賠認定の別表Ⅰの2級1号は正しく、随時介護の必要性があることを主張しています。

2)⇒弁護士は、男児が飛び出してきたとの反論に対して、実況見分記録などから、衝突地点が第2車線の中央付近であること、加害者の供述する速度から、突然飛び出した状況ではなく、逆に、男児の横断開始を加害者が見落としていたと指摘しています。

※ADL(Activities of Daily Living)
日常生活動作と訳され、日常生活を送るために必要な動作のことです。
具体的には、食事、排泄、入浴、整容、衣服の着脱、移動、起居動作などです。

※IADL (Instrumental Activities of Daily Living)
手段的日常生活関連動作と訳され、日常生活を送る上で必要な動作のうち、ADLより複雑で高次な動作のことで、具体的には、買い物、洗濯、掃除など、家事全般、金銭管理、服薬管理、交通機関の利用、電話の応対などです。

(4)裁判所の判断
1)⇒裁判所は、和解案において、後遺障害が別表Ⅰの2級1号であることを認めました。
将来介護費については、近親者が67歳になるまでは、日額8000円、以降は職業介護人に委ねる必要もあるとして日額1万2000円を認定し、損保の反論を退けました。

2)裁判所は、基本的な道路横断事案の過失相殺率15%を採用、被害者の飛び出しを否定しました。

3)訴訟に先行して獲得した人身傷害保険金6800万円、自賠責保険金3000万円を合わせると、獲得総額は裁判所が認定した損害額を上回る1億7900万円が実現しました。

(4)NPOジコイチのコメント
1)男児が1人でバス通学をしていること、小学校では、サッカーに興じていることなどは、損保にとって、障害の程度を低く抑え、損害総額を圧縮する格好の材料となっています。
裁判では、尾行によるビデオ画像が提出されることも、複数例で経験しています。
そもそも損保側は、現象をクローズアップして主張するだけで事が足ります。
ところが、被害者側の弁護士は、それぞれを具体的に立証して反論しなければならないのです。
本件の弁護士は、ADLは一部自立しているとしても、IADL=手段的日常生活関連動作では、大きな問題を残しており、全体として見守りや声掛けの随時介護が必要であることを、主治医の意見書、家族や担任教諭の陳述書を提出して、丁寧に、立証しています。

加えて、将来の介護費用では、リハビリ記録などから、男児の日常を明らかにし、随時介護についても専門医の意見書を提出し、適正な介護料の請求を行っています。 また、通学やスポーツについても、ビデオ撮影などの証拠で、健常者との違いを具体的に指摘し、損保の反論を封じ込めました。

2)男児の飛び出しについては、弁護士は、実況見分記録を鵜呑みにするのではなく、事故発生時刻に、現場に立ち、男児と加害者の具体的な位置関係などから、加害者にも、男児の発見が遅れた重大な見落としがあると主張しています。

高次脳機能障害、遷延性意識障害など、重度障害事案では、刑事記録は、加害者の供述のみでまとめられており、被害者の意見は、まったく反映されていません。 したがって、刑事記録の記載のみを重視するのではなく、事故現場に立つなど、らさらに一歩踏み込んだ検証が必要となってきます。

 
 
雑学 氷が溶けると、水はこぼれるか?

①コップに氷を入れて、水をこぼれる寸前まで注ぐ。
②氷が水面から少し出ている状態にする。
さて、水はこぼれるか?

水は、氷になると体積が増えます。
逆に、氷が溶けて水になると、体積は減ります。
つまり、氷になる前の水の体積に戻っただけで、水があふれることは、ありません。

 

4/22(水)(2)職業介護と家族介護、そしてレスパイトの導入?

(2)職業介護と家族介護、そしてレスパイトの導入?
 

1)家族介護と職業介護?
介護する家族が仕事に就いているときは、職業介護人に介護をお願いしなければなりませんが、土日、祝日は家族介護であり、職業介護240日と家族介護125日は、常に2本立てとなっていました。
事故当時、専業主婦であっても、近い将来に就労を計画しているときは、その蓋然性が立証できれば、職業介護人の導入が認められています。

2)介護料?
職業介護人の介護は、地域によってサービスの内容や料金に差があります。
地元の介護サービスを調査し、被害者の支障の状態から、介護サービスの内容を精査して、業者を選定することになります。
裁判では、損保側は、症状はいずれ改善するとか、公的介護制度を適用すれば、月額4万円の介護料で足りるなどの乱暴な主張をしてきます。
当然に、どうして、その業者を選んだのかも議論されることになるのです。
「被害者には、対人関係を良好に維持できない、意思の疎通がうまくできない、羞恥心がなくなり、暑ければ、他人の前でも、平気で裸になること、突然キレて怒り出す易怒性、こだわりが強く、情緒が不安定で、突然、暴力的で他害行為におよぶ人格障害が見られ、それらを理解して、温厚で包容力のある、いつも決まった職業介護人に介護をお願いする必要があったので、ここを選びました。」
など、キッパリと選択した理由を説明しなければなりません。
料金が高いので、良いサービスが受けられると思いました?
 これでは、笑いものになります。
きめ細かく、配慮しなければなりません。

3)介護者にレスパイトを?
2010年以降、介護する側にも人生があり、例え、母親、専業主婦であっても、1人の人間として休息や充電期間は不可欠であるとして、裁判においても、介護人の休息を求める事例が増えてきました。
レスパイトとは、小休止を意味する言葉です。
介護人にも、レスパイトが必要であるとの議論が始まったのです。
その結果、裁判所は将来介護料として、家族介護100%であっても、1週間の内5日は、母親の介護、残りの2日は、職業介護人の導入を認めたのです。

もう1つのパターンは、職業介護と家族介護の組み合わせですが、年間270日間は、職業介護料、土日、祝日の年間95日間は、家族介護料を認めています。
従来は、職業介護240日と家族介護125日に切り分けることが基本でしたが、家族介護者にも休息が必要であるとして、レスパイトを主張、裁判所は、土日プラス祝日をベースに30日間を介護者の休息日として、この間の職業介護を認めました。
今後、弁護士は、高次脳における将来介護料では、家族介護にレスパイトの概念を取り入れて請求しなければなりません。

※中枢性尿崩症(ちゅうすうせいにょうほうしょう)
脳の下垂体の後葉からは、抗利尿ホルモン、バソプレシンが分泌され、腎臓に働きかけて水分の再吸収を行い、排泄する尿量を減らしつつ、体内の水分を調節しています。
ところが、頭部外傷、頭蓋底骨折やびまん性軸索損傷により、脳内の下垂体に伝わる神経系にダメージを受けると、抗利尿ホルモンの分泌が減少し、水分再吸収が行われず、ダダ漏れで、尿を排出し続ける状態となります。
多尿により、喉が乾き、水分を多量に欲する尿崩症が起こるのです。
抗利尿ホルモンの分泌の低下を原因とする尿崩症は、中枢性尿崩症と呼ばれています。

検査による立証
泌尿器科で、1日の尿量の測定、尿の濃度を調べる尿浸透圧、血中浸透圧の検査を行ないます。
続いて、水制限試験、水分をまったく摂取しないで尿量、尿浸透圧を調べる試験を行ないます。
また、抗利尿ホルモンを注射して尿量が増加するかどうかも調べます。
1日の尿量が5ℓ以上あり、尿浸透圧が低く、血中浸透圧が高いと尿崩症と確定診断されます。
水分をまったく摂取しない状態で尿量が減少すれば、それは精神的な疾患で多飲多尿になったものであり、心因性尿崩症と診断されます。
水分をまったく摂取しない状態でも尿量が減少せず、抗利尿ホルモンを注射すれば尿量が減るときは、中枢性尿崩症であり、尿量が減少しなければ腎性尿崩症と診断されます。


デスモプレシン点鼻液

治療法
抗利尿ホルモン作用のあるデスモプレシンを付属のチューブで鼻腔内に投与します。
効果は30分内に現われ、6時間以上続くので、朝起きたときと夜寝る前に用います。
中枢性尿崩症では、脱水症を防止するためにデスモプレシンの点鼻を一生続けることになります。
腎性尿崩症では、水分を十分に摂取することが大切で、逆に、心因性尿崩症では、水分を摂取し過ぎないよう注意しなければなりません。

尿崩症における後遺障害のポイント
泌尿器科で、1日の尿量の測定、尿の濃度を調べる尿浸透圧、血中浸透圧の検査を行ないます。
1日の尿量が5ℓ以上あり、尿浸透圧が低く、血中浸透圧が高いと尿崩症と確定診断されます。
確定診断がなされたときは、11級相当が認定されます。

 
 
雑学 私、失敗しないので?

野獣と呼ばれた、女子柔道の松本薫さんが、ロンドンオリンピックで、金メダルを取ったとき、松岡修造さんのインタビューで、「私、ミスしないので!」 と発言しています。
この一言が、ヒントになり、ドクターX、大門未知子の決め台詞、「私、失敗しないので!」 が誕生したのです。

 

4/21(火)高次脳機能障害 将来の介護料のまとめ?

高次脳機能障害 将来の介護料のまとめ?
 
将来の介護料のまとめ?
(1)介護料は、等級で決まるものではなく、被害者の支障の実態で決まります?
介助・介護メータ

日常の生活

3
介助・介護

2
看視・声掛け

1
見守り

0
自立

着替え

3

2

1

0

歯磨き・洗顔

3

2

1

0

食事

3

2

1

0

トイレ

3

2

1

0

入浴

3

2

1

0

服薬

3

2

1

0

1)注意障害

3

2

1

0

2)記憶障害

3

2

1

0

3)遂行機能障害

3

2

1

0

4)社会的行動障害

3

2

1

0

5)失語症

3

2

1

0

6)地誌的障害・失行・失認

3

2

1

0

7)てんかん発作

3

2

1

0

8)尿崩症※

3

2

1

0

合計

 

 

 

 


介助・介護メータによる介護レベルの判定

スコア

介護レベル

①18点以上

認定等級に関係なく、常時介護の必要な状態です。

②10~17点

看視・声掛け、見守りが必要となる重度な介護が必要な状態です。

③5~9点

中程度の介護となります。

④1~4点

見守りを中心とした軽度な介護となります。

⑤0点

介助・介護を必要としないのは、すべてが自立しているときに限られます。

介助・介護のレベルを数値化して、客観的に評価できるように介助・介護メータを作成しました。
例えば、着替えでは、整理タンスから必要な下着を自分でピックアップして着替え、着替えた下着を風呂場の洗濯籠に入れることができれば、自立していることになります。
言わなければ、着替えようとしないのであれば2、手伝わなければ、着替えもできないは3となります。
上・下肢に麻痺を残し、着替え、歯磨き・洗顔、食事、トイレ、入浴のすべてに介助が必要なときは、18点となり、常時介護が必要となります。
服薬も、食卓テーブル近くの薬箱から自分で薬を出して内服していれば自立ですが、指摘しない限り内服をしないとなると、看視・声掛けの2となります。
外傷性てんかん、尿崩症では、内服を遵守しなければならず、見守りも神経質でなければなりません。

1)~6)の高次脳特有の症状は、社会的行動障害をの除き、神経心理学的テストで、そのレベルを測定し、それから、支障やエピソードを細かくチェックし、医師の意見書や家族の陳述書で立証することで、具体的な介護料の請求につなげていくのですが、4)社会的行動障害の内、人格障害、5)失語症は、ビデオによる立証が便利、かつ、有用となります。
高次脳の認定等級が、2級1号、3級3号であっても、スコアが18点以上であれば、その詳細を立証することによって、常時介護料を請求しなければなりません。
5級2号であっても、日常生活における支障を立証することで、裁判所は、日額1000円、2000円、3000円、5000円の介護料を認定しています。
上記の介助・介護スコアを利用して、個々の被害者の具体的な支障を立証してください。

1)注意障害 
レベルによって2、1に該当します。
①集中力が維持できない。
②切り替えが利かない。
③見落としなど、単純なミスが多い。
④話しを聞いていないことがある。
などの障害ですが、TMT-B検査で評価不能と判断されたときは、自動車の運転が禁止されます。
半側空間無視の方向性注意障害があるときは2もしくは1に該当します。
半側空間無視とは、自分が意識して見ている空間の片側、多くの例で、左側を見落とす障害です。
①食事の際に、決まって右や左側の食べ物を食べ残してしまう。
②ドアを開いて、通過するときに、右や左側にぶつかってしまう。
③車椅子や歩いて廊下を移動していて、だんだん右や左側に寄っていく。
これらの出来事で、家族は異常に気づきます。

2)記憶障害
レベルによって、3、2、1に該当します。
①5分前に話した内容を忘れるなど、短期記憶力に著しい障害がある。
②買い物を頼んでも、必要なものを買い忘れてしまう。
③物忘れを防ぐためにメモをしていても、メモの存在自体を忘れてしまう。
④約束した日時を記憶できない。
⑤あちこちに物を置き忘れ、いつも捜し回っている。
⑥日付・曜日・時間が理解できない。

3)遂行機能障害
レベルにより、3、2、1に該当します。
生活をする上で必要な情報を整理、計画して処理していく一連の作業が困難になります。
遂行機能障害では、PLAN=計画、DO=実行、SEE=確認が、困難な状態となります。
①指示されたことは、取り掛かるが、自分から、積極的には、なにもしない。
例えば、食器を洗って! と指示すると、食器は洗いますが、洗った食器を水切り籠に入れ、布巾で拭いて食器棚に戻すことはできない、つまり、2つ以上のことを同時におこなうことができません。
例えば、窓を拭くように指示すると、隣の窓に移ることなく、一貫して同じガラス窓を拭き続けます。

②看視・見守り・必要な声掛けがないと、作業ミスや勘違いが連続します。

4)社会的行動障害
レベルによって、3もしくは2に該当します。
①対人関係がうまくいかない、良好に維持することができない。
②失語症との関わりがありますが、意思の疎通がうまくできない。
③羞恥心がなくなり、暑ければ、他人の前でも、平気で裸になってしまう。
④易怒性 突然キレて怒り出す。
⑤人格障害ですが、こだわりが強く、情緒が不安定で、突然、暴力的で他害行為におよぶ。
⑥お米や醤油、トイレットペーパーなど、自宅に十分ストックされているのに、毎回、大量に購入する。 ⑦カッターで手首を切るなどの、自傷行為、自殺願望。
⑧理解力の低下が深刻で、意味不明の言葉を口走る。
⑨手や足を無意味にパタパタ動かし、止めることができない、常動運動に陥る。
⑩嗅覚の脱失、やかんの空だき、初期の火災に気がつかない。
⑪排尿・排便障害、

5)失語
レベルによって、3もしくは2に該当します。
①うまく話すことができない。
②同じ言葉を何度も繰返す。
③簡単な単語が出てこない、本が読めない。
④相手の話やテレビで放映している内容は理解できているようでも、自分の意思表示はできない。
⑤話していることが相手に思うように伝わらず、なん回も繰り返さなければならない。
⑥こちらの話しは正しく理解しているようであるが、返事が言葉、文章にならず、会話が成立しない。
⑦鈴や時計の音を聞かせても、なんの音か?理解できない。
聴覚失認とは、聴力は保たれているものの、語音の区別ができない障害です。

6)地誌的障害・失行・失認
3に該当します。
①自宅近くの商店街に出かけても、道が分からなくなり、一人で自宅に戻れない。
②近所の見取り図を描くように指示してもできない。
③いつも出かける近所のスーパーにたどり着けず、また自宅に帰ってくることもできない。
④地図を描いて渡しても、これを見ながら探すことができない。
⑤右折もしくは左折した途端、自分がいる場所が分からなくなる。

失行症
3もしくは2に該当します。
今までできていた行動ができなくなることを失行症といいます。
①手足は普通に動かすことができるのに、意図した動作や指示された動作がどうしてもできない状態、靴の紐が結べない、ブラシで髪を梳かす、箸を使って食事ができなくなります。
②リハビリで作業療法を指示されても、動作が緩慢で、なにをやらせるにも大変な時間がかかります。

失認
3もしくは2に該当します。
失認とは、認知識別能力の障害のことで、具体的には、触覚失認、聴覚失認、視覚失認、身体失認、病態失認の5つに分類することができます。
失認症とは、今まで認識できていたことが、認識できなくなることです。

7)てんかん発作
3に該当します。
1日に2ないし3回の抗痙攣剤の内服を遵守する必要があり、さらに、抗痙攣剤を内服していても、1カ月に不定期に1、2回の痙攣発作を繰り返しているときは、1人の外出はできません。

8)尿崩症
3もしくは2に該当します。
頭部外傷を原因とする中枢性尿崩症では、1日、朝晩の2回、抗利尿ホルモン作用のあるデスモプレシンを点鼻しなければなりません。
これを怠ると、脱水症状により、死に至ることがあります。

 
 
ジョーク  出会い?

一昨年の夏、一人でツーリングしていた北海道の駅で、20代中頃の女性が話しかけてきた。
俺のバイクと彼女のバイクが同じ車種で聞きたい事があったみたいで、なぜか、俺に聞いてきた? 話は弾み、メールとか聞いた。
なんやかんやで、その彼女は、俺の嫁になった。
あのとき、無視してれば良かった。

 

4/20(月)部位別後遺障害 脊柱の障害3

部位別後遺障害 脊柱の障害3
 
脊柱の荷重障害?

脊柱の圧迫骨折、固定術、筋肉や靱帯の軟部組織の器質的変化などにより、脊柱で頭部や体幹を支えることができない障害を残したときは、運動障害の等級が準用され、
①頚部と腰部の両方では6級相当が、
②頚部、腰部のいずれかでは、8級相当が認定されています。
脊椎を支える筋肉は、お腹側では、腹直筋=腹筋、腹斜筋、背中側では、脊柱起立筋、広背筋、大腰 筋などがありますが、これらの筋肉が麻痺する外傷性の傷病名を知らず、そして、未経験です。

靱帯は、線維性の結合組織で、脊椎を相互に連結しており、椎体相互の運動を一定程度許容しつつ、異常な動きや脱臼を予防しており、外傷などで靱帯が断裂すると、脊柱がぐらつき、体幹の支持、運動機能に支障が出てきます。
そのことは理解できるのですが、脊柱を支える靱帯の断裂を経験していません。

靱帯にカルシウム=石灰が沈着し、靱帯が肥厚すると、神経を圧迫して痺れや運動障害などの神経症状が出現するのですが、後縦靱帯骨化症や黄色靱帯の肥厚による腰部脊柱管狭窄症は経験していますが、これらは外傷性ではなく、疾患です。
圧迫骨折や破裂骨折に伴う異所性骨化も想定されるのですが、今のところ、未経験です。
したがって、NPOジコイチにとって、脊柱の荷重障害は謎なのです。

1)頚部、胸腰部の両方の保持が困難で、常に硬性補装具を要するもの 6級相当

2)頚部または胸・腰部のいずれかの保持が困難で、常に硬性補装具を要とするもの 8級相当

※硬性補装具
硬性補装具とは、補装部分が金属やプラスチックで構成されているもので、硬性か軟性かは、製品ごとに表記されており、容易に判断することができます。

補装具には、補装部分がゴム、布、革など、曲げることや伸縮できる素材で構成された軟性補装具、サポーターがありますが、軟性補装具で頭部や体幹を支えることができるときは、荷重障害として、認定されません。

3)荷重障害 後遺障害等級のまとめ

等級

脊柱の荷重障害の内容

6

脊柱に著しい荷重障害を残すもの

頚部と胸・腰部の両方の保持が困難で、常に硬性補装具を必要とするもの

頚椎、胸・腰椎それぞれに圧迫骨折などがあることが画像上確認できるもの

脊柱を支える筋肉が麻痺し、画像などで確認できるもの

頚・背・腰部の軟部組織に明らかな器質的変化が認められ、画像などで確認できるもの

8

脊柱に荷重障害を残すもの

頚部または胸・腰部のいずれかの保持が困難で、常に硬性補装具を必要とするもの

頚椎または胸・腰椎に圧迫骨折などがあることが画像上確認できるもの

脊柱を支える筋肉が麻痺し、画像などで確認できるもの

頚・背・腰部の軟部組織に明らかな器質的変化が認められ、画像などで確認できるもの

(4)等級認定のルール 脊柱に複数の障害があるとき

1)脊柱に変形と運動障害が認められるとき
①脊柱に変形や運動障害で6級5号が認定されているときは、他に脊柱の障害が認められても、併合による上位等級の認定はありません。

②脊柱の頚部または胸腰部のいずれかに、変形と運動障害を残すときは、いずれか上位の等級で認定Ⅷされています。

③しかし、頚部と胸腰部の両方に、例えば、頚部に8級2号の運動障害と胸腰部に11級7号の変形が認められるときは、等級は併合され7級が認定されます。

④頚部と胸腰部の両方に8級2号の運動障害が認められるときは、準用7級が認定されます。
併合のルールでは、2等級上がり、6級となりますが、頚部と胸・腰部のいずれもが強直したときの6級5号にはおよばないので、準用7級となるのです。

2)脊柱の変形が複数認められとき
①脊柱の変形による6級5号であれば、他に脊柱の変形が認められても等級は変更されません。

②頚部と胸腰部のいずれかに11級7号の変形が複数あるとき、
荷重障害の8級相当と11級7号の変形障害が認められるときは、
いずれか上位の等級で認定されます。

③頚部と胸腰部のそれぞれに11級7号の変形が認められるときは、併合10級が、
荷重障害の8級相当と11級7号の変形のときは、併合7級が認定されます。

3)後遺障害診断を受けるときの注意点と着眼点
①後遺障害が、脊柱の変形や運動障害にとどまるとき、
これまでの経験則では、脊柱の圧迫骨折、破裂骨折による変形、運動、荷重障害で6級5号が認定されることは少数例です。破裂骨折や多発圧迫骨折で、8級2号が、そして、多数は、11級7号の認定となっています。症状固定時期の選択は、受傷後6カ月を経過した時点です。
変形は、XP・CT・MRIで立証できます。

②神経系統の機能の障害が認められるとき、
椎体の骨端が折れて多数の骨折を生じた 破裂・粉砕骨折では、椎体の後部を走行する脊髄や椎間板の脇から出ている末梢神経の神経根を圧迫する不安定型損傷が認められます。
脊髄の圧迫では、両上肢の痺れ、下肢の痺れと歩行障害、筋萎縮、膀胱・直腸障害が出現し、 神経根の圧迫では、左右の上下肢に限局してしびれや歩行障害、筋萎縮の症状が出現します。

腰椎、L4/5、L5/S1 の不安定型損傷では、馬尾神経圧迫による排尿障害が出現します。
馬尾神経は膀胱や肛門の筋肉を支配、神経損傷は排尿や排便の障害を引き起こすのです。
これらの症状が認められるときは、脊柱の運動・変形・荷重障害とは別に、神経系統の機能の障害で後遺障害をまとめなければなりません。
 
 
ジョーク ハングル?
韓国語で、サンドウィッチのことなんて言うか知ってる?

「パンニハムハサムニダ」 なんだって?

 

4/17(金)部位別後遺障害 脊柱の障害

部位別後遺障害 脊柱の障害
 
脊柱の運動障害

脊柱には、屈曲/伸展、回旋、側屈の3種類の運動がありますが、これらの運動機能が、脊柱の骨折などにより制限されたときは、脊柱の運動障害として、後遺障害等級が設定されています。
脊柱の内、頚椎は、頭部を支えており、胸・腰椎部よりも自在な回旋運動が可能であるなど、独自の機能を有していることから、頚部においては、単独の運動障害が認定の対象になります。
ところが、胸・腰椎においては、屈曲/伸展や側屈を分離して測定することは困難です。
そこで、脊柱の運動障害は、頚椎のみが独立し、胸椎と腰椎は、まとめて評価されています。

脊柱に圧迫骨折や破裂骨折が認められること、もしくは、脊椎の固定術が実施されていることが、後遺障害等級が認定される前提条件となります。
XP・CT・MRIで、脊椎圧迫骨折や脊椎の脱臼、または脊椎固定術が認められず、また、項背腰部軟部組織の器質的変化も認められず、単に、疼痛のために運動障害を残すものは、局部の神経症状としての扱いとなり、後遺障害等級の認定はありません。

1)脊柱に著しい運動障害を残すもの
6級5号 以下の、いずれかの原因により、頚部および胸腰部のいずれもが、強直したものをいいます。
①脊椎の圧迫骨折、破裂骨折などが、XPなどにより確認できるもの、
②脊椎の固定術が行われたもの、
③項背腰部軟部組織に明らかな器質的変化が認められるもの、

強直とは、関節がまったく動かない完全強直または、これに近い状態をいいます。
これに近い状態とは、主要運動のいずれもが、参考可動域角度の10%以下に制限されたもの、
①頚部の前屈と後屈の合計が15°以下のもの、
②頚部の左右回旋の合計が15°以下のもの
③胸・腰部の前屈と後屈の合計が10°以下のもの、

実際の計測では、10%に相当する角度を5°単位で切り上げて表記することになっています。
日本整形外科学会の公表している正常値によれば、頚椎の前屈は60°後屈は50°となっています。
合計は、110°となり、この10%は、正確には11°ですが、計測値は5°単位で切り上げるので、15°となります。

①頚椎の運動機能の評価および測定

等級

主要運動

参考運動

前屈

後屈

左・右回旋

合計

左・右側屈

正常値

60

50

各60

230

50

6級5号

10

5

各10

25

5

8級2号

30

25

各30

115

25

参考運動 左右の側屈

※主要運動と参考運動の関係について?
では、参考運動はなんの評価の対象にもならないのか? そうではありません。
例えば頚椎の主要運動の合計値が100°の場合、2分の1+10°ですから、8級2号になりません。
しかし、参考運動の左右の側屈がいずれも25°以下で2分の1以下の制限を受けていれば、8級2号が認定されています。

②胸腰椎の運動機能の評価および測定

等級

主要運動

参考運動

前屈

後屈

合計

左右回旋

左右側屈

正常値

45

30

75

各40

各50

6級5号

5

5

10

5

5

8級2号

25

15

40

20

25

参考運動 左右の回旋と側屈

※関節可動域の比較の方法
脊柱では、健側と患側の比較ができないので、日本整形外科学会および日本リハビリテーション医学界により決定された、関節可動域表示と比較することにより評価されています。

※主要運動と参考運動の関係について?
胸腰部については、主要運動の合計が45°では、2分の1+5°ですから、8級2号になりません。
しかし、参考運動の左右の回旋が20°以下もしくは側屈が25°以下で、いずれかが2分の1以下の制限を受けていれば、8級2号が認定されます。
僅かに上回るとは、頚椎で10°胸腰椎は5°と記憶してください。
参考運動が複数ある関節では、1つの参考運動が制限されていれば、それで認定されます。

2)脊柱に運動障害を残すもの
8級2号 以下のいずれかの原因により、頚部または胸・腰部のいずれかが、正常値の2分の1以下に制限されたものをいいます。

①脊椎の圧迫骨折、破裂骨折などが、XPなどにより確認できるもの、
②脊椎の固定術が行われたもの、
③項背腰部軟部組織に明らかな器質的変化が認められるもの、 正常値の2分の1以下に制限されているかは、主要運動の計測値で判断されます。
6級5号では、主要運動のすべてが強直またはこれに近い状態であることが認定要件でしたが、8級2号では、頚部については、前屈+後屈、もしくは左右回旋のいずれかが、2分の1以下を満たせばいいとされていることに注目しなければなりません。

頚部
①前屈+後屈が55°以下のもの、
②左右の回旋が60°以下のもの、
③前屈+後屈が65°であっても、左右の側屈が50°以下のもの、
④頚部の左右回旋が70°であっても、左右の側屈が50°以下のもの、

胸・腰部
⑤胸・腰部の前屈+後屈が37.5°以下のもの、
⑥胸・腰部の前屈+後屈が42.5°であっても、左右の回旋が40°以下のもの、
⑦胸・腰部の前屈+後屈が42.5°であっても、左右の側屈が50°以下のもの、

3)運動障害 後遺障害等級のまとめ

等級

脊柱の運動障害に伴う後遺障害

6

5:脊柱に著しい運動障害を残すもの

頚部および胸腰部が強直したもの

①頚椎と胸腰椎の両方に圧迫骨折などがあり、それがXPなどにより確認できるもの

②頚椎と胸腰椎の両方に脊椎固定術が行われたもの

③項背腰部軟部組織に明らかな器質的変化が認められるもの

8

2:脊柱に運動障害を残すもの

頚部または胸腰部の可動域が参考可動域角度の2分の1以下に制限されたもの

①頚椎または胸腰椎に脊椎圧迫骨折などを残し、それがXPなどにより確認できるもの

②頚椎または胸腰椎に脊椎固定術が行われたもの

③項背腰部軟部組織に明らかな器質的変化が認められるもの

④頭蓋・上位頚椎間に著しい異常可動性が生じたもの

 
 
ジョーク 休みはいつ?

うちの姉ちゃんがスーパーでバイトしていたときの話し
果物を積み上げている姉ちゃんに、イケメンの兄ちゃんが近寄ってきて、 囁くように、
「ねえ、次の休みいつ?」
姉ちゃんは、シドロモドロになって、「バッ・・バイトしているのは土日だけですっ!」
すると兄ちゃんは、3秒ほど考え込み、口調を正して申し訳なさそうに、
「すいません、お店の定休日なんですが?」

 

4/16(木)部位別後遺障害 脊柱の障害を更新しました。

部位別後遺障害 脊柱の障害を更新しました。 2020-1-31
 
背骨の仕組みと働き

背骨・Backboneは、1本の骨ではなく、7つの頚椎、12の胸椎、5つの腰椎、合計24の椎骨がブロック状に積み重なっており、その下に位置する仙骨と尾骨を含めると、脊椎骨は26の骨の集合体です。
この全体が、背骨であり、医学的には、脊椎骨、脊柱と呼ばれているものです。

脊柱は、正面からは真っ直ぐに見えますが、横断面では、緩やかなS字状のカーブとなっています。
頚椎は前弯し、胸椎は後弯、腰椎は前弯、仙椎は後弯しているのです。
このカーブを、医学では、アライメントと呼んでいます。 脊柱は3つの役割があり、

①身体を支える柱、バックボーンとしての役割、 背骨が体幹を支える支持機能により、ヒトは、立つこと、座ることができるのです。

②体幹を前後左右に曲げる、捻ることができる運動機能の役割です。
リンボーダンスやイナバウワーは、背骨の運動機能がなせる技なのです。

③中枢神経の脊髄を脊柱管で保護する役割です。 ヒトの身体活動のほとんどの部分は、脳によりコントロールされています。
しかし、脳そのものは、首の最上部までしか到達しておらず、顔は、脳幹と直接につながっていますが、それ以下では、脊髄が脳に代わって、脳からの指令を手や足などの末梢に伝達し、反対に末梢からの信号を脳へ伝達する役割を果たしています。
背骨は、脊髄を脊柱管の中を走行させることで、保護しているのです。

脊柱を構成している椎体骨は、前方部の椎体、後方部の椎弓、棘突起の3つの部位で構成されており、中央部に脊髄、馬尾神経が通る赤○印の脊柱管というトンネルが形成されています。
椎体と椎体の間には椎間板が挟まり、互いに連なって柱状になっています。

椎間板は椎体と椎体の間に挟まっている板状の軟骨組織で、弾力性の高い構造であり、体を動かしたときの衝撃を吸収するクッションの役目を果たしています。
椎間板の働きにより、身体を前後左右に曲げたり、ねじったりすることができるのです。

椎間板の中央には髄核と呼ばれる水分を多く含むゼリー状の柔らかい物質があります。
その周囲を囲むように、線維輪と呼ばれる組織が何層にも重なって髄核を守っています。
椎間板はストレスにさらされており、年齢とともに、水分を蒸散し、衝撃を吸収しにくくなります。
70歳ともなると、椎間板は、グミから草加せんべいに変節してきます。
しかし、上下の骨も骨密度が落ちてスカスカですから、なんとか持ちこたえているのです。
これは、私のことです。

ネットでは、お饅頭に例え、周りの皮が椎間板の線維輪で、中のあんこが髄核、あんこが外に飛び出した状態を椎間板ヘルニアと解説されている医師がおられ、理解しやすい例示で感心しています。

本編では、椎体の圧迫骨折、破裂骨折や脊椎骨の固定術に伴う脊柱の運動障害、変形障害、荷重障害ならびに、その他の体幹骨である鎖骨、胸骨、肋骨、肩甲骨、骨盤骨の骨折に伴う変形の後遺障害を取り上げます。

 
※雑学 ほ乳類の首の骨は7つ?
ヒト、モグラ、カバ、キリンであっても、ほ乳類の頚椎は、2つの例外を除いて7つの椎骨です。
2つの例外は、ミツユビナマケモノは9つ、マナティーは6つです。

さて、脊柱の圧迫骨折、破裂骨折などに伴う後遺障害は、
変形障害 運動障害 加重障害の3つに区分されています。

(1)脊柱の変形障害
脊柱の圧迫骨折は、自動車の横転、崖下への転落、バイク、自転車の転倒で、ドスンと尻もちをついたときに発症しています。
脊椎を構成する椎体に縦方向の重力がかかると、上下に押し潰されて圧迫骨折となるのです。
頚椎では、C3~C5、 胸腰椎では T11~L2が好発部位です。
XPの側面像では、脊椎の椎体前方、腹側が、楔状変形しているのが確認できます。

脊柱の後遺障害の中でも、変形障害が圧倒的多数を占めています。
脊柱を構成する椎体が圧壊し、その部分を起点に脊柱が傾くことから、痛みや、易疲労性、姿勢不良、背骨の隆起などの障害が生じます。
脊柱が、前後方向に傾くものを後彎、左右に傾くものを側彎と呼んでいます。

1)脊柱に著しい変形を残すもの、 6級5号
脊柱に著しい変形を残すものとは、XP、CT、MRIにより、脊椎圧迫骨折などを確認することができるときであって、次のいずれかに該当するものをいいます。

A 脊柱圧迫骨折などにより2つ以上の椎体の前方椎体高が著しく減少し、後弯が生じているもの、
前方椎体高が著しく減少したとは、減少した全ての椎体の後方椎体高の合計と減少後の前方椎体高の合計との差が、減少した椎体の後方椎体高の1個当たりの高さ以上のものをいいます。

B 3つの椎体の圧迫骨折で、前方椎体高が減少したもの、
3つの椎体の後方椎体高が120mmで、前方椎体高が圧迫骨折により70mmのとき、
その差は、120mm-70mm=50mmとなります。
1椎体の後方椎体高は、120mm÷3=40mmであり、
50mmは、1椎体を上回っており、6級5号が認定されるのです。

C 脊柱圧迫骨折などにより1つ以上の椎体の前方椎体高が減少し、後弯が生ずるとともに、コブ法による側弯度が50°以上となっているもの、

※コブ法
コブ法とは、XPにより、脊柱のカーブの頭側および尾側においてそれぞれ水平面からもっとも傾いている脊椎を求め、頭側でもっとも傾いている脊椎の椎体上縁の延長線と尾側でもっとも傾いている脊椎の椎体の下縁の延長線が交わる角度、側弯度を測定する方法のことです。

①脊柱のカーブを頭側・尾側のそれぞれにおいて、水平面から最も傾いている脊椎を求め、
②頭側で最も傾いている脊椎の椎体上縁の延長線と、尾側で最も傾いている脊柱の椎体下縁の延長線とを交差させます。
③延長線が交わった角度が、側彎度となります。

前方椎体高が減少したとは、減少した全ての椎体の後方椎体高の合計と減少後の前方椎体高の合計との差が、減少した椎体の後方椎体高の1個当たりの高さの50%以上であるものをいいます。

D 2つの椎体の圧迫骨折などで前方椎体高が減少したもの、
2つの椎体の後方椎体高の合計が80mm、 前方椎体高が圧迫骨折により、55mmのとき、
80mm-55mm=25mm、その差は25mmとなります。
1椎体の後方椎体高は、80mm÷2=40mmの50%は、20mmですが、
コブ法による側弯度が50°以上であれば、6級5号が認定されます。

2)脊柱に中程度の変形を残すもの 
8級2号 新規に追加された、脊柱に中程度の変形を残すものとは、XP、CT、MRIにより脊椎圧迫骨折などを確認することができるときであって、次のいずれかに該当するものです。

A 脊柱圧迫骨折等により1つ以上の椎体の前方椎体高が減少し、後弯が生じているもの、

B コブ法による側弯度が50°以上であるもの、

C 環椎または軸椎の変形・固定により、次のいずれかに該当するもの、
①60°以上の回旋位となっているもの、
②50°以上の屈曲位または60°以上の伸展位となっているもの、
③側屈位となっており、XPなどにより、矯正位の頭蓋底部両端を結んだ線と軸椎下面との平行線が交わる角度が30°以上の斜位となっていることが確認できるもの、

この内、①および②については、軸椎以下の脊柱を可動させず、当該被害者にとっての自然な肢位で、回旋位または屈曲・伸展位の角度を測定します。

第1頚椎、C1は環椎、Atlas、C2は軸椎、Axisと呼ばれています。
環椎と軸椎は脊柱の中、先頭を切る位置を占めています。
後頭骨/環椎、環椎/軸椎の2カ所の骨間だけは椎間板が存在しません。

椎体と椎体をつなぐ繊維輪による連結と運動の制約がないので、自由で大きな関節運動ができます。
頚椎の回旋運動可動域の2分の1を後頭/環椎、環椎/軸椎の上位頸椎が演じています。
可動域が大きいということは、逆に障害を受けやすい不安定な部位ともいえるのです。

軸椎の歯突起部の骨折で、突起上部のみに骨折線が生じたAnderson type1については、脊柱の支持機能に影響がないため、脊柱の変形とは評価しません。
突起上部の根本部分にまで骨折線が及んでいるときは、脊柱変形の評価の対象となります。
横突起や棘突起の骨折・変形では、各椎体の高さや角度には変化が生じないため、脊柱の変形とは評価されません。

※環椎と軸椎は、頚椎全体による可動範囲の相当の割合を担っています。
そのため、環椎または軸椎が脊椎圧迫骨折などにより変形して固定となる、または環椎と軸椎の固定術が行われたために、環椎または軸椎の可動性がほとんど失われると、頚椎全体の可動範囲も大きく制限され、上記に該当する変形・固定となると、脊柱の運動障害8級2号にも該当するケースがほとんどとなります。
なお、環椎または軸椎が変形・固定していることについては、最大矯正位のXPでもっともよく確認することができます。

脊柱に著しい変形を残すもの、および、脊柱に中程度の変形を残すものは、脊柱の後弯または側弯の程度により等級が認定されており、骨折部の変形だけが注目されているのではありません。

3)脊柱に変形を残すもの 11級7号

A 脊椎圧迫骨折などを残しており、そのことがXP・CT・MRIにより確認できるもの、
B 脊椎固定術が行われたもの、
C 3椎以上の脊椎について、椎弓切除術などの椎弓形成術を受けたもの、

※注意点 圧迫骨折のレベル?
圧迫骨折では、椎体の 25 %以上の圧壊が認められることが等級認定の要件です。
日本骨形態計測学会・日本骨代謝学会・日本骨粗鬆症学会・日本医学放射線学会・日本整形外科学会・日本脊椎脊髄病学会・日本骨折治療学会による椎体骨折評価委員会は、「椎体骨折評価基準」を定めています。2012年度の改訂版によれば、C/A、C/Pのいずれかが0.8未満、またはA/Pが0.75未満の場合を椎体骨折と判定しています。

椎体の高さが全体的に減少する、扁平椎では、上位または下位のA、C、Pより各々が20%以上減少しているときを椎体骨折とするとしています。

椎体骨折の形状には、椎体の前縁の高さが減少する楔状椎、椎体の中央がへこむ魚椎、椎体の全体にわたって高さが減少する扁平椎の3つがあります。
外傷性の圧迫骨折は、圧倒的に楔状椎変形ですから、A/P比で25%以上と解説しています。

ネットでは、どこにもそのような記載がなく、NPOジコイチの創作と叩かれているようです。
確かに、労災保険の障害認定必携や自賠責保険の規定集にも25%の説明はなされていません。
25%以上は、先の評価基準と私の35年以上の経験則から判断しています。
椎体が、ホンの少し凹変形したものも、医学的には圧迫骨折ですが、等級の認定はありません。

※注意点 新鮮骨折か、陳旧性か?


T1強調画像        T2強調画像

骨粗鬆症の高齢者では、尻もちをついただけでも脆弱性の圧迫骨折を発症することがあります。
そこで、自賠責保険調査事務所は、新鮮な骨折か、それとも陳旧性のものかに注目しています。
元からあったもの、いつの間にか骨折、陳旧性と判断されたときは、等級は非該当になります。
新鮮な圧迫骨折のMRIでは、椎体は出血により他の椎体と違う濃度で描出されます。
元からあった陳旧性骨折か、新鮮骨折かの判断は、受傷直後のMRIで判断ができるのです。

上記は、62歳女性の第11胸椎圧迫骨折のMRI画像、新鮮骨折ですが、左のT1強調画像では、黒く描出されており、右のT2強調画像では、一部が白く描出されています。
このことを専門的には、T1強調において低輝度、T2強調において高輝度がみられるといいます。
圧迫骨折では、受傷直後のMRIにより、新鮮骨折であることを証明しておかなければなりません。

4)変形障害 後遺障害等級のまとめ

等級

脊柱の変形障害に伴う後遺障害

6

5:脊柱に著しい変形を残すもの

XP・CT・MRIで圧迫骨折などを確認できて、次のいずれかに該当するもの

①圧迫骨折等により2つ以上の椎体前方椎体高が著しく減少し、後弯が生じているもの

②3つの椎体の圧迫骨折で、前方椎体高が減少したもの

③圧迫骨折等により1つ以上の椎体の前方椎体高が減少し、後弯が生ずるとともに、コブ法による側弯度が50°以上となっているもの

④2つの椎体の圧迫骨折等で前方椎体高が減少したもの

8

2:脊柱に中程度の変形を残すもの

①圧迫骨折等により1つ以上の椎体の前方椎体高が減少し、後弯が生じているもの

②コブ法による側弯度が50°以上であるもの

③頚部の環椎または軸椎の変形・固定により、次のいずれかに該当するもの

a 60°以上の回旋位となっているもの

b 50°以上の屈曲位または60°以上の伸展位となっているもの

c 側屈位となっており、XP等により、矯正位の頭蓋底部両端を結んだ線と軸椎下面との平行線が交わる角度が30°以上の斜位となっていることが確認できるもの

11

7:脊柱に変形を残すもの

①脊椎圧迫骨折などを残しており、そのことがXPなどにより確認できるもの

②脊椎固定術が行われたもの

③3椎以上の脊椎について、椎弓切除術等の椎弓形成術を受けたもの

 
 
ジョーク 高校時代?

これは高校2年、国語の時間の俺の思い出だ、
先生 「今日の授業は、昨日の続きで、141ページ、前から3行目からですね、今日は9/10だから出席
番号10の山田君、教科書読んで!」

「はい、最近家の姉が色づいてきました?」
先生「?・・・・・その字は姉じゃない、柿だ!」

 

4/15(水)判例24 過失が80%もあるのに裁判?

判例24 過失が80%もあるのに裁判?
 
高次脳5級2号 併合4級 2009年 前橋地裁 和解

概要
会社員男性19歳が、普通乗用車を運転中、信号機のない交差点で普通貨物車と出合い頭衝突し、 高次脳で7級4号、右眼の調節障害で12級、併合6級が認定されていました。

損保の反論
被害者過失が大であり、任意一括の対応も行っておらず、本件は無責である。

弁護士の立証
⇒実際の症状はもっと重度なもので、専門医を紹介して受診、異議申立を行い、高次脳で5級2号、併合4級が認定されています。

本件事故では、被害者側に一時停止の標示があり、基本過失割合は80:20となり、自賠責保険も減額される重過失事案でした。

弁護士は、すでに事故から8年が経過しており、実際の症状を積み上げて立証し、遅延損害金を考慮すれば、なんとか1000万円に届くとの見通しを立てたのです。

損保は、訴訟を提起した途端、従来の主張を否定し、相手車は運転者の所有車ではなく、第三者の所有する自動車であって、許諾性がないので任意保険は使えないとする無責の主張を展開したのです。
これでは、裁判官の心証は悪くなります。
弁護士は、法廷外で損保に強く抗議、損保もその非を認めることになりました。
立証は被害者側にあるとしても、なんでも主張すれば良いのではありません。

裁判所の判断
⇒裁判所は高次脳5級2号に対して、将来介護料、日額1500円を認定しました。
過失相殺前の総損害額は1億4600万円となり、併合4級では評価できるものでした。
最終的には、過失相殺が行われ、1000万円で和解が成立しています。

NPOジコイチのコメント
被害者過失大、ましてや自賠責保険の重過失減額となると、多くの弁護士の腰は引けます。
したがって、被害者としても、請求を諦めてしまうことがほとんどです。

本件の弁護士は、重過失事案であることを知った上で、それでも将来介護料の請求と和解調整金で1000万円に届くと判断し、受任しています。

本来の損害額は、1億4600万円ですから、0:100では、弁護士費用も1400万円にはなります。
立証作業は、過失の大小に関係なく、手間の掛かるものです。
それでも、果敢に挑戦された弁護士の熱意に驚きを感じ、高次脳の締めくくりとして紹介しました。

 
 
ジョーク 喫茶店で、東南アジア系の店員との会話?

俺 「ランチ、食事の後でホットコーヒー!」
店員、メニューを開き、「アトデホットコーヒー? ドレ?」
俺 「いやいや、食事の後に、レギュラーコーヒーだよ!」
店員 「アトニレギュラー? ドレ?」
俺は、焦りながら、「食事スルネ、そのアフターね、ふつーのコーヒークダサーイ!」
やっと、通じた。
コントかい!

 

4/14(火)判例23 ひき逃げと無保険?

判例23 ひき逃げと無保険?
 
(1)高次脳1級1号 2008年 東京地裁 和解 030 

概要
主婦兼パートの65歳女性の運転する乗用車が交差点を直進中、赤信号無視の自動車が衝突、頚椎骨折による四肢麻痺、外傷性くも膜下出血などの高次脳で1級1号が認定されました。 お気の毒に、寝たきりの要介護状態となっています。

弁護士の立証
本件事故は、ひき逃げ犯がまだ逮捕されておらず、加害者の自賠責保険と任意保険に損害賠償を請求することができない状態でした。
政府の保障事業から4000万円が支払われたのですが、将来介護費用などを積算すると、十分な賠償額ではなく、そこで、被害者自身の乗用車に自動担保されている無保険車傷害特約に対して、保険金請求訴訟を提起したのです。
弁護士は、裁判において、なんら過失もない被害者が、ひき逃げ事故に遭った無念さを強調し、障害の重さ、そして夫や子供たちによる家族介護の苦労を緻密に立証しています。

裁判所の判断
⇒その結果、裁判所は、弁護士の請求に応じ、将来介護料は日額2万円、後遺症慰謝料3000万円、住宅改造940万円、合計1億3600万円を認定、和解が成立しています。

 
(2)高次脳3級3号 2010年 横浜地裁 和解

概要
37歳、男性会社員が原付バイクで優先道路を進行中、一時停止の標識がある右方の道路から出てきた自動車の衝突を受け、高次脳で3級3号、聴力障害、嗅覚脱失、咀嚼障害を残しました。

問題点
加害者は任意保険未加入の無保険であり、資力にも乏しかったので、被害者側の自動車保険の無保険車傷害特約に請求することになりました。

損保の反論
①被害者側にも速度違反で25%の過失割合が認められる。

②逸失利益・基礎収入は、被害者の事故直前の収入が低いので、平均賃金を使うべきではない。

弁護士の立証
過失割合について、弁護士は、実況見分記録を詳細に検討して工学的な視点から矛盾を指摘、加えて、事故の直前直後の状況を把握していた目撃者からの情報を入手、その上、事故現場の状況を動画で撮影して証拠提出するなど、加害者の供述の不合理性を検証し、この事故は被害者にとって回避することができなかったことを立証しています。

裁判所の判断
⇒裁判所は、弁護士の主張を認め、被害者の過失を0と判断しました。
被害者は高次脳3級3号の認定でしたが、事故後、人格が大きく変わり、両親に対して暴言や暴力を振るうことがしばしば見られたので、家族の日常の苦労を、詳しい陳述書にまとめ、実際に壊された物や暴力を振るわれた痣などの写真を提出することで明確に立証した結果、
⇒裁判所は、将来介護料として日額6000円を認定しました。
本件では被害者の事故直前の収入が低く、将来賃金の算出についても議論となりましたが、結果的に男子平均賃金の80%が基礎収入として認められました。

 

NPOジコイチのコメント
事故直後、被害者の父は、複数の弁護士事務所に電話相談をしたのですが、いずれも、「ひき逃げではねえ?」 の反応で、政府の保障事業に対する被害者請求のアドバイスもなく、無保険車傷害特約に至っては、触れられることもなかったのです。
ひき逃げや無保険車との事故では、政府保障事業に請求すれば、自賠責保険と同額の補償を受けることができますが、それは、あくまでも最低限の賠償がなされたに過ぎず、決定的に不足しています。
無保険車傷害特約は、1976年1月から、すべての保険屋さんの対人賠償保険に特約として自動担保されています。

①加害者がひき逃げで不明、もしくは任意の自動車保険に未加入であること、
②自動車保険に加入している被害者が死亡または後遺障害を残したとき、
③無保険自動車との交通事故であれば、自動車保険に加入のあなた、配偶者、同居の親族、大学進学などで自宅を離れている別居の未婚の子に適用されます。
④歩行中、自転車やバイクで走行中の交通事故受傷であっても、適用されます。
⑤独り暮らしでも、未婚であれば、実家の車の無保険車傷害特約の適用を受けることができます。
⑥保険金は2億円で、被害者の過失は、過失相殺されます。
損保ジャパン・日本興亜、セゾン、セコム、ソニー損保の4社は、保険金が無制限となっています。

ところが、事故後に損保に相談しても、ハッキリ適用しますから安心してくださいとは言わないのです。
40年以上も前から、使えるとも、使えないとも、口を濁して、逃げに掛かるのです。
そこが、無保険車傷害保険の問題点で、やっと使えることが判明しても、損保の基準で精算されたのでは、損害賠償額が低過ぎて、お話にならないのです。
損保は教えてくれないのですが、加害者に対する損害賠償請求訴訟を提起し、確定した判決額もしくは和解額は、無保険車傷害特約から、全額が支払われることを承知しておかなければなりません。

 
 
ジョーク ゴルゴ貯金?

おれ、娘が産まれたときからゴルゴ貯金始めたよ!
年頃になって、娘に彼氏ができたらゴルゴ雇うんだ?

 

4/13(月)判例22 非接触事故でびまん性脳損傷?

判例22 非接触事故でびまん性脳損傷?
 
高次脳1級1号 2010年 名古屋地裁 和解

概要
黄色信号で交差点に進入した自動車が、対向右折バイクと衝突、そのはずみで飛ばされたバイクをとっさに避けようとして、横断歩道上に立っていた歩行者、73歳女性が転倒し、びまん性脳損傷等による高次脳機能障害1級1号、右半身麻痺の障害を残しました。

損保の反論
非接触事

弁護士の立証
弁護士は、非接触といえども、被害者が転倒した原因は明らかに第一事故を起こした加害者にあると実況見分記録、交通事故現場見取図を検証して主張しています。

裁判所の判断
⇒裁判所は、因果関係ありと判断し、加害者に賠償義務があると判示しました。
被害者は、後遺障害のため、独り暮らしが続けられなくなり、遠方に住む長女が引き取って介護をすることになったのですが、弁護士は、それらの事情もしっかりと把握し、緻密な立証を行った結果、職業介護として日額1万8000円、家族介護として日額3000円、総額5700万円の将来介護料が認められ、後遺障害慰謝料2800万円、近親者慰謝料300万円、損害総額1億0900万円の高額賠償を実現することができました。

NPOジコイチのコメント
非接触という特殊な事案であり、相手の損保から因果関係がないとして支払いを拒まれると、被害者側としてはお手上げ状態となります。
本件でも、家族は複数の弁護士に相談をしていたのですが、消極的な回答に悩んでいました。
最後にたどり着いたのが、本件の弁護士であり、結果、過失を逆転させ、和解が実現しました。
担当弁護士の、問題を正確に理解するための幅広い知識と経験則、勝訴に導く創造力と構成力には、頭が下がります。

 
 
ジョーク パチンコ?

バスの中で、サラリーマン2人が話していた。
A 「昨日、子どもに、パチンコの玉って、なにでできてるの?」 って聞かれたんだよ
B 「へぇ、なんて答えたんだ?」
A 「金を失うと書いて、鉄だ!」

そこでバスを降りた俺は、妙に納得した。

 

4/10(金)寄り道 外傷性神経因性膀胱

寄り道 外傷性神経因性膀胱 (がいしょうせいしんけいいんせいぼうこう)
 

仕組み
腎臓でつくられた尿は、尿管を通過して膀胱に流れ込んでいます。
膀胱は、筋肉組織の袋ですが、尿を漏らすことなく貯めておく蓄尿と、貯まった尿を体外に排泄する排尿の2つの機能を有しています。
蓄尿は、長時間にわたって無意識に働き、排尿は、短時間の周期で意識的に行われています。
このことは、膀胱の働きを中心とした排尿の仕組みですが、相反する2つの働きは、膀胱の筋肉、排尿筋や尿道括約筋に対する複雑な神経系統のコントロールによって調節されているのです。

病態
さて、外傷性神経因性膀胱は、脳・脊髄の中枢神経、あるいは脊髄から膀胱に至るまでの末梢神経の損傷により、膀胱・尿道の働きが障害され、排尿障害をきたす病態の総称です。
神経因性膀胱を起こす可能性のある外傷は、大脳では頭部外傷、脊髄では脊髄損傷、頚髄症、末梢神経では、腰椎椎間板ヘルニア、脊椎管狭窄症、腰椎分離症が代表的です。

膀胱と尿道の働きは、脳・脊髄・末梢神経の働きによってコントロールされています。
膀胱に尿が溜まりつつあるとき、その情報は、仙髄⇒脊髄⇒脳に伝えられ、脳は、「まだ尿を出すタイミングではありません。」 と排尿中枢に指示し、排尿スイッチをオフにします。
この指示は、脳⇒脊髄⇒仙髄・第2排尿中枢に伝わり、排尿の反射を抑制します。
仙髄神経は、膀胱の筋肉=排尿筋や尿道括約筋をコントロールしているのです。

※排尿反射
尿道を緩めて、膀胱を収縮させること、

膀胱の尿が350ml以上になると、その情報は、仙髄⇒脊髄⇒脳に伝わり、脳が、「尿を出すタイミングとなりました。」 という指示を脳の排尿中枢に伝え、排尿中枢は、排尿スイッチをオンとし、その情報は、脳⇒脊髄⇒仙髄・第2の排尿中枢に伝わり、排尿の反射が起こり、尿は膀胱から尿道を通って排出されます。
では、この神経系統のコントロールが障害されると蓄尿や排尿はどうなるのでしょうか?

症状
頭部外傷や上位脊髄損傷では、排尿反射の抑制がコントロールできず、過活動膀胱となり、頻尿、切迫性尿失禁などの症状が、下位の腰部椎間板ヘルニア、腰部脊椎管狭窄症では、排尿困難、排尿の勢いがない、力まないと排尿できない、尿線が細い、残尿が残るなどの症状が出現しています。
排尿困難による残尿や尿閉の結果、尿路感染や尿路結石、尿が膀胱から尿管、腎臓へと逆流する膀胱尿管逆流症などが起こり、それらの症状が長引くと腎機能の低下を招くリスクが高くなります。

診断と治療
泌尿器科では、以下の検査が行われ、神経因性膀胱が診断されています。
1)尿流量検査(ウロフロメトリー)
専用トイレで排尿します。
尿の勢いを測定する検査で、排尿だけですから痛みはありません。
2)残尿測定
排尿後に膀胱の中に尿が残っているかどうかを測定します。
膀胱部分に超音波をあてるだけの検査ですから、痛みはありません。
3)排尿時膀胱造影
膀胱の中にカテーテルを挿入、造影剤を注入してレントゲンで膀胱の形を検査します。
カテーテルを入れるときに、多少の痛みを感じます。
4)ウロダイナミクス検査(尿流動態検査)

①蓄尿・排尿時における排尿筋の働きを調べる膀胱内圧測定、
②排尿障害の原因が、排尿筋機能の低下か、尿道の通過障害かを診断するプレッシャーフロー検査 ③尿失禁では必須の尿道閉鎖圧を調べる尿道内圧測定検査、
④尿道括約筋の機能を調べる括約筋筋電図測定で、排尿障害のタイプを診断することができます。

蓄尿障害の治療には、膀胱の収縮を抑制する薬を投与され、膀胱訓練、骨盤底筋訓練、干渉低周波治療、仙骨神経刺激治療などが行われています。
また、尿道括約筋の機能障害により、腹圧性尿失禁のあるときは、外科的治療として、人工尿道括約筋埋め込み術も実施されています。
膀胱が小さくなってしまったときは、腸管を使った膀胱拡大術という手術が行われています。
排尿障害の治療には、膀胱の収縮を強める薬が投与されますが、有効性は低く、清潔間歇導尿による尿排出が標準的治療となります。
清潔間歇導尿とは、自分あるいは家族の方が、必要時に尿道からカテーテルを挿入して膀胱内の尿を排出し、尿を出したらカテーテルを抜くという排尿管理方法です。

その他にも、様々な治療法がありますが、専門医に相談することが重要です。
当科では、様々な原因による神経因性膀胱に対して、すべてのオプションの検査・治療を行っています。

仙骨神経付近に電極を埋め込んで、皮下にはペースメーカを埋め込んで、膀胱に関連する神経を刺激することにより膀胱の過敏な収縮を抑制する治療)

※仙骨神経刺激療法 (SNM)

体内植込み型の刺激装置を臀部に植込み、排泄に関係する神経に持続的に電気刺激を与え、過活動膀胱や便失禁の症状の改善を図るための治療法です。
2017-9から健康保険が適用されています。

※人工尿道括約筋埋め込み術
人工尿道括約筋、AMS800は、体内に埋め込むため、外からはまったく見えません。
尿意を感じたときに外から、コントロールポンプを押すという操作だけで、それまで生理食塩水が満たされることで尿道を締め付けていたカフが緩み、尿が排出されます。
カフの中の水は、圧力調整バルーンに移りますが、ほどなくカフに戻り、尿道を締め付け、失禁を防止します。
2012-4から健康保険が適用されています。

後遺障害のポイント
1)症状固定は、受傷から6カ月を経過した段階、高次脳機能障害では、受傷から1年を経過した段階で決断します。

2)泌尿器科で、ウロダイナミクス検査(尿流動態検査)を中心とした検査を受け、排尿障害の原因を突き止めます。頭部外傷、脊髄損傷などは、MRI画像で立証します。
本件事故との因果関係が立証できたときは、以下の等級が認定されています。

等級

排尿障害を残すもの

9

11:残尿が100ml 以上のもの

11

10:残尿が50~100ml 未満であり、尿道狭窄のため、糸状プジーを必要とするもの

14

9:尿道狭窄のため、糸状プジー20番がかろうじて通り、時々拡張術を行う必要のあるもの

頻尿を残すもの

11

10:頻尿を残すもの

 

等級

尿失禁を残すもの

7

5:持続性尿失禁を残すもの、

切迫性または腹圧性尿失禁で、終日パッドを装着し、かつ、パッドをしばしば交換するもの

9

11:切迫性または腹圧性尿失禁のため、常時パッド等を装着しているが、パッドの交換を要しないもの、

11

10:切迫性尿失禁または腹圧性尿失禁のため、パッドの装着は要しないが下着が少し濡れるもの

3)仙骨神経刺激療法、人工尿道括約筋埋め込み術の先進医療は、すべての被害者に適用できるのではなく、治療効果も、実施しないと判然としません。
人工尿道括約筋埋め込み術では、北海道大学病院、東北大学病院、北里大学病院、国立がんセンター中央病院、福岡の原三信病院の5病院が先進医療として取り組んできたもので、全国的に普及したとは言えない状況です。
したがって、現症状で症状固定とし、等級獲得後に、先進医療を検討することになります。

4)傷病名が頚腰部捻挫であるのに、排尿障害と尿失禁の2例で11級10号が認定されています。

①排尿障害では、32歳男性ですが、自転車を運転中に、軽トラックの追突を受けたものです。
事故直後から、排尿が困難となり、カテーテルを使用して自己導尿を行っていました。
相談の当初、頚椎のMRI画像から中心性頚髄損傷を疑ったのですが、専門医の診察で、それは否定され、頚部捻挫と確定診断されました。
泌尿器科におけるウロダイナミクス検査により、排尿筋機能の低下を立証し、被害者請求しました。
審査に6カ月を要しましたが、自賠責保険調査事務所は、11級10号を認定しました。

②尿失禁は、40歳女性ですが、軽四輪を運転、交差点で信号待ち停止中に、2トントラックの追突を受けたもので、主たる傷病名は、頚・腰部捻挫です。
事故翌日から、下着が少し濡れる程度の失禁があったのですが、女性で、恥ずかしさもあり、主治医に対する申告は、受傷から2カ月を経過した時点となりました。
やはり、泌尿器科でウロダイナミクス検査を受け、尿道内圧測定検査、括約筋筋電図測定で障害を立証し、被害者請求しました。失禁の申告が遅れたことが心配でしたが、4カ月後、自賠責保険調査事務所は11級10号を認定してくれました。

2例は、いずれも、追突事故による頚・腰部捻挫ですが、排尿障害の男性は、自転車を運転中の追突事故で、道路に跳ね飛ばされています。
失禁の女性は、自車が全損となっています。 自賠責保険調査事務所は、相当に大きな衝撃を受けていることを確認して、事故との因果関係を認めてくれたものと評価しています。

 
 
ジョーク プチトマト?

うちの玄関の前に、丸い実のなる唐辛子を植えていました。
見た目がかわいいので、食べるのではなく、観賞用で、
ある日、ギャーギャー泣きわめく子どもと、母親と思われる人が鬼の形相でやってきました。
「なんで、あんなに辛いのよ!」

母 「・・・は、なにがですか?」 母がその人と話しています。
「だから、あんたの家の前のトマトよ、なんであんなに辛いのよ、この子が死んだらどうするのよ?」
言われてみれば、唐辛子の前は、プチトマトを植えていたのだけれど、
母は、失笑しつつ、「あれは唐辛子ですから!」

「なんで、そんなもの植えるのよ、前はトマトだったじゃない!」
勝手に、ひとんちの食べといて、その言い草はなんなんだ!!

 

4/9(木)判例21 高次脳裁判の原点?

判例21 高次脳裁判の原点?
 
高次脳2級1号 2001年 青森地裁 判決

概要
農業に従事し、主婦でもある60歳の女性が、原付バイクを運転し、交差点手前を車線変更中のところ、これを追い越そうとした軽トラックが衝突し、高次脳で2級1号、視野障害で2級相当、併合1級が認定されました。

被害者は青森県で農業に従事しながら、主婦業もこなし、姑と夫を介護していました。

損保の反論
①青森県の平均賃金は、全国平均に比して20~30%低く、逸失利益もそれに合わせるべきである。

②事故の過失は、被害者の方に80%と認められること。

③将来介護料は、2級の随時介護であり、家族介護日額5000円もあれば十分である。

弁護士の立証
⇒弁護士は、事故前の被害者の就労実態を家族の陳述書で詳しく立証して、逸失利益については、全国平均を採用すべきと主張しました。

被害者の過失割合については、加害者が主張の事故態様を検証し直し、被害者の進路変更が主たる事故原因ではなく、加害者の強引な追い越しが本件事故を誘発したと主張しています。

裁判所の判断
⇒これに対して裁判所は、被害者は、家業に主体となって取り組んでいる他、障害を有する夫と姑の介護も一人で担当し、さらに、家事一切を自ら切り盛りしていることが認められるところから、全国平均賃金を採用すべきであると認定しています。

⇒裁判所は、過失割合について弁護士の主張を認め、被害者過失は5%が相当であるとしました。

慰謝料は、加害者供述の事故発生状況が虚偽であったことが問題とされ、懲罰的慰謝料の意味で、4000万円が認定され、住宅改造費は、バリアフリー化と床暖房設備で700万円が認められました。

介護者は被害者の娘と息子でしたが、2人とも就労しており、弁護士は、職業介護人の必要性を主張し、裁判所は、弁護士の主張を認め、平日の240日は、職業介護日額1万5000円、休・祝日の125日は、家族介護日額6000円、合計で3900万円の将来介護料が認定されました。
損保側の提示額は2600万円、判決では5倍の1億2600万円の損害賠償額が実現しました。

NPOジコイチのコメント
この裁判が進行中に、私は、本件を担当された弁護士と知り合いました。
「宮尾さん、これからは、高次脳の後遺障害慰謝料は、家1軒分だよ!」 凄い鼻息でした。
この弁護士が、高次脳機能障害など重傷事案に特化して行かれたのは、この事件が切っ掛けとなったのではないかと、今でも、感慨深いものがあり、ます。
日本における高次脳機能障害裁判のメルクマールとなる判決です。

都道府県別平均年収(万円)

ランキング

都道府県

平均年収

ランキング

都道府県

平均年収

1

東京

580

25

富山

424

2

神奈川

525

26

山口

420

3

愛知

518

27

福井

416

4

大阪

498

28

石川

415

5

滋賀

484

29

福島

407

6

京都

474

30

徳島

405

7

兵庫

474

31

北海道

400

8

静岡

468

32

愛媛

398

9

埼玉

468

33

新潟

397

10

千葉

465

34

熊本

386

11

茨城

461

35

大分

380

12

三重

460

36

鳥取

379

13

栃木

454

37

長崎

378

14

奈良

446

38

島根

377

15

広島

446

39

鹿児島

370

16

福岡

443

40

高知

366

17

群馬

441

41

山形

366

18

岡山

440

42

佐賀

362

19

山梨

436

43

青森

352

20

香川

434

44

岩手

350

21

岐阜

432

45

秋田

348

22

和歌山

430

46

宮崎

347

23

長野

429

47

沖縄

333

24

宮城

429

 

全国平均

469

 
 
ジョーク 家計簿ソフト?

3カ月ぐらい収入を入力しなかったら、「仕事辞めたんですか?」 ってメッセージが出た
バカにしやがって!

 

4/8(水)判例20 独り暮らしでも、家事従事者?

判例20 独り暮らしでも、家事従事者?
 
高次脳3級3号 2003年 最高裁 判決

概要
78歳、高齢の女性が、日没後、交通量の少ない片側二車線道路を横断歩行中、貨物トラックに跳ね飛ばされ、高次脳3級3号、歩行困難などで併合2級が認定されています。

損保の反論
①信号無視をした被害者側に60%の過失あり。

②高次脳は3級3号であり、将来の介護料は必要がない。

③独り暮らしの家事従事者に、休業損害は必要ない。

弁護士の立証
⇒一審の宇都宮地裁では、加害者の一方的な供述や、調書の目撃証言が採用され、被害者が赤信号で横断したと認定され、被害者の過失は60%と判断されていました。
本件では、信号が何色? これが、過失割合の認定において大きな争点となっていました。

二審の東京高裁では、一審で採用された曖昧な目撃証言を徹底検証するとともに、目撃者の証人尋問を実施し、事故時、加害者が少なくとも黄色の信号で侵入したことを立証することができました。
さらに、加害者が10カ月近くも無保険の貨物車を乗り回していたことを察知し、悪質な運転者の証言には信用性がないことを指摘したところ、東京高裁は、歩行者の過失を15%と認定しました。
⇒将来の介護費用は、週5日、8万円の職業介護と日額6000円の家族介護が、平均余命の10年分として3700万円が認定されました。
被害者は独り暮らしでしたが、別居中の娘の家に通って家事の手伝いをしていました。
これらの日常生活もしっかりと把握した上で、細かい立証を行ったことで、

最高裁の判断
⇒最高裁では、娘の家事を手伝っている家事従事者として、休業損害が、逸失利益は、平均余命の半分の5年間について、65歳以上平均賃金100%が認められ、後遺障害慰謝料は2級に相当する2400万円、総損害額8200万円が実現しました。

NPOジコイチのコメント
自賠責保険は、他人のために家事をしている事実があれば、家事従事者として、通院実日数×5700円の休業損害を認めています。
家事従事者としての規定であり、男女の区別はなされていません。
俗に、主婦の休業損害と呼ばれていますが、主夫だって、問題はないのです。

地方裁判所支払基準となれば、年収372万7100円で評価され、日額では、1万0200円となります。
余談ですが、東京地裁民事27部は、シングルマザーについては、内助の功が認められないとして、主婦の休業損害を認定しない傾向です。
いまどき、内助の功なんて死語と思っていたのですが、ちょっと、困っています。

独り暮らしで78歳の高齢者ですが、娘の家に通って家事手伝いをしていました。
ここに目をつけて、休業損害や逸失利益を認めさせたのですから、問題を正確に理解するための幅広い知識と経験則、依頼人から問題点を引き出す対話力、勝訴に導く創造力と構成力など、弁護士としての資質のすべてを完璧に兼ね備えています。
この弁護士の剛腕には、頭が下がります。

 
 
ジョーク 過去形?

英語の授業で、
先生 「アイ リブ イン トウキョウを過去形にしなさい?」
するとクラス1のオバカな吉田君は、真面目な顔で答えました。
「アイ リブ イン エド?」

 

4/7(火)判例19 被害者に病識がない?

判例19 被害者に病識がない?
 
高次脳2級1号 2010年 横浜地裁 和解
概要
21歳アルバイトの男性が、友人の運転する自動車の助手席に同乗中、友人がハンドル操作を誤って路外の電柱に激突、頭部にダメージを負ったもので、高次脳で2級1号が認定されています。

問題点
被害者は、事故後、人格変化の影響で暴力を振るうなど生活能力をなくしており、仕事を辞めて介護に当たっていた母親や家族の見守りや介護に大きな負担が生じていましたが、被害者に病識はなく、なんでも自分でできると思い込み、治療先の医師にも、そのように話し、明るく振る舞っていました。

損保の反論
①事故時にシートベルトを着用していなかった被害者に10%の過失がある?

②被害者には、それなりの生活能力を有しており、高額な将来介護料の必要性はない?

弁護士の立証
⇒裁判所は、事故時の写真などからシートベルトをしていなかったことだけで、2級1号の後遺障害に結びつかないとして、過失相殺は5%が相当と判示しました。
もっとも、過失相殺分は、人身傷害保険から先行回収ができています。

肝心の将来介護料について、弁護士は、主治医に面談、日常の介護の大変さを具体的に説明するとともに、高次脳機能障害では、本人に病識のないことが多く、実際には、まったくできないことも、できたように話してしまうことが十分ありうることを説明し、後日、主治医に文書照会を行っています。
裁判所には、主治医に対する文書照会を提出すると共に、母親の証人尋問により、被害者の事故後の実態を丁寧に立証しています。
被害者の母親には、就労せざるを得ない経済的事情があり、復職の道を開ける必要からも、家族の状況や事情を具体的に立証しています。

裁判所の判断
⇒結果、裁判所は、事故前にはフルタイムで就労していた母親の復職を前提とし、年間240日は職業介護人日額1万4000円、年間125日は家族介護日額8000円、さらに、母親67歳以降では、365日の職業介護日額1万4000円を認定しました。
損保側の提示額の2倍を上回る2億5700万円の損害賠償が実現できました。

NPOジコイチのコメント
これまでの経験則でも、
①初めてでは迷うことの多い私の事務所を時間通りに訪問した被害者が、私に、今の民主党政権はなっていないなどの政治論争を仕掛けるありさまで、どんな質問にも淀みなく回答し、それで、あんたのどこが高次脳なの? 私も悩んだのですが、その後の立証で2級1号が認定されたことがあります。

②両親と同居する温厚で無口な被害者でしたが、自宅では、ワニに噛まれたと救急車を要請するなど、たびたび、家族を困らせており、その後の立証で3級3号が認定されたこともあります。
ムチウチでは、今にも死にそうな訴えが目立つこともありますが、高次脳の被害者は、第三者である私や主治医、言語聴覚士のスタッフには、つとめて冷静に対応し、決して、弱味を見せないのです。
これを見過ごしておくと、完成した後遺障害診断書で正しい等級を獲得することは不可能となります。

裁判となっても、周囲の補強証拠を固めておかないと、本人尋問で心証形成に大失敗することが予想されるのです。

 
 
ジョーク 妻への言葉?

金曜日、仕事を終えた僕は、仲間と飲み歩き、仲間の家に泊まり、2日間帰宅しなかった。
日曜の夜になって、家に帰ると、妻が仁王立ち、たっぷり2時間の説教をしてから、妻は言った。
「ねえ、もし、なんにちも、私の姿が見えなかったら、あなた、どう思うの?」
「そりゃ嬉しいさ!」
そんなことを言ったため、月曜日は妻の姿が見えなかった。
火曜も水曜も、やっぱり姿が見えなかった。
木曜日になってようやく、妻の姿が見えるようになった。
まぶたのはれがひきはじめたので。

 

4/6(月)寄り道 ムチウチ、頚部捻挫のまとめ?

寄り道 ムチウチ、頚部捻挫のまとめ?
 
症例1

京都祇園で、割烹店を経営している52歳男性が、中央卸売市場からの帰り、信号待ち停止中に4トントラックに追突され、運転していた軽四輪ワゴンは、全損となりました。

被害者は、事故現場から救急搬送され、右頚部神経根障害と診断されています。
症状は、事故直後から、右上肢の重さ感と痛み、右手指の強い痺れを訴えています。

翌日から、自宅近くの整形外科に転院し、1週間後からは、リハビリ治療が開始されました。
やや深刻な頚部神経症状が認められるところから、主治医は、頚部について、MRIの撮影を指示し、連携の病院で撮影の結果、頚椎、C5/6右側に椎間板ヘルニアの突出所見が認められ、外傷性所見ではないものの、症状を裏付ける画像所見が得られています。

包丁さばきに支障があったので、お店は、3日間休業しました。
かねてより、お店の改装予定があり、それを前倒しすることで、引き続き、10日間、休業しました。
その後は、週3回のペースでリハビリ通院を続けていましたが、3カ月を経過した頃、相手の損保から、治療打ちきりの打診がなされています。

店主は、
①事故直後は、包丁も握れなかったが、それに比較すれば、大幅な改善が得られていること、

②しかしながら、今も、右上肢と手指にだるさ感や痺れの症状が継続しており、握力も低下し、毎日の仕込みにも、予想以上の時間を要する状態であること、

③右手は、料理人としての生命線であること、
以上から、後3カ月のリハビリ治療を続けたいと申告し、相手損保の譲歩を引き出しています。

受傷6カ月で、症状固定を決断し、治療先で後遺障害診断を受けました。
弁護士特約を適用し、弁護士に損害賠償交渉を委任、加害者の自賠責保険に対しては、委任請求による被害者請求を行い、結果、12級13号が認定されました。

 
症例2

夫婦と娘の3人で美容室を経営している家族が、お盆の墓参りの帰り、渋滞中の高速道路で、居眠り運転の2トントラックの追突を受け、玉突き追突事故受傷しました。
夫が運転していたスズキのワゴンRは、修理費用が60万円で、経済的全損となっています。

事故現場から救急搬送され、3人とも、頚・腰部捻挫と診断されています。
症状は、夫が一番強く、右上肢の痛みと重さ感、右手指のしびれ感を訴えています。
妻も、同様の症状ですが、夫ほど、訴えは強くありません。
後部座席に同乗中の娘は、頚部の症状よりも、腰部痛や左下肢のだるさ感など、腰部捻挫主体の症状を訴えています。
翌日から、自宅近くの整形外科に転院し、それぞれが、時間調整をしながらリハビリ通院しています。

訴えの神経症状から、主治医はMRIの撮影を指示し、提携先の病院でMRI撮影を受けています。
夫には、頚椎、C5/6、6/7に椎間板ヘルニア、奥様にもC6/7にヘルニアが認められ、娘さんは、24歳ですが、頚部に異常所見はないが、腰椎、L4/5に軽度な椎間板の膨隆が認められています。
美容室は、夫がメインで、妻は、和装の着付けに特化し、娘は、まだ見習いで、シャンプーなどの下働きですが、事故後、夫は、3日間休みましたが、美容室は、奥様と娘で、営業を続けています。
そのことに安心したのか、損保からの打ち切り打診は行われていません。

受傷から6カ月を経過した段階で、医師の勧めもあり、症状固定として後遺障害診断を受けました。
この3名には、頚・腰部捻挫で14級9号が認定、損害賠償額は、3名で1000万円を超えました。

 

NPOジコイチのコメント
本件で、後遺障害等級が認定されたのは、以下の5つを理由としています。
1)自車が全損となるような、大きな衝撃を頚・腰部に受けていること、
2)事故直後からの症状の訴えに、終始、一貫性が認められること、
3)年齢変性ではあるものの、症状を裏付けるMRI所見が得られていること、
4)週3回、1カ月で10回前後の真面目な通院が継続されていること、
5)治療経過の説明や治療を6カ月で打ち切るなど、常識的な対応がなされていること、

自賠責保険調査事務所が公表しているムチウチの認定要件は、以下の通り明文化されています。
外傷性頚部症候群に起因する症状が、神経学的検査所見や画像所見から証明することはできないが、
(1)受傷時の状態や
(2)治療の経過などから
(3)連続性、一貫性が認められ、説明可能な症状であり、
(4)単なる故意の誇張ではないと医学的に推定されるもの、

(1)受傷時の状態とは?
軽微な物損事故であれば、後遺障害の認定には至りません。
受傷時の状態とは、受傷機転、事故発生状況のことで、それなりの衝撃がないと後遺障害は認めないと断言しているのです。
症状は被害者の申告であり、物損の大小で衝撃力の大きさを類推、客観的な証拠としているのです。私は、車VS車では、物損で30万円以上を想定しています。
もちろん、歩行者や自転車、バイクVS車の衝突では、この限りではありません。

(2)治療の経過
治療の経過とは、事故直後から、左右いずれかの頚部、肩、上肢~手指にかけて、重さ感、だるさ感、軽いしびれ感の神経症状を訴えていることです。
無料相談会では、事故直後からの症状をシッカリと確認しています。
外傷医学では、すべての症状は、受傷から3カ月以内に出現するとされています。
4カ月目に、当方のHPに到達し、そこから症状を訴えても、もう、相手にはされません。

(3)連続性、一貫性と説明可能な症状
連続性とは、継続的で真面目な通院のことで、1カ月で10回以上を想定しています。
どんな症状を訴えても、6カ月間で30回程度の通院では、後遺障害の残存は否定されます。
一貫性とは、自覚症状の一貫した訴えのことで、詐病を排除しているのです。

すでに6カ月以上が経過し、この間、整骨院で施術を受けたものは、後遺障害の認定はありません。
施術は、医療類似行為、施術であって、医師の行う治療ではないと判断されるからです。
後遺障害とは、6カ月間の治療を続けるも、治り切らないで残った症状のことであり、
治療とは、診断権を有する医師が行うものに限られています。

説明可能な症状とは、MRIで、症状と画像所見に整合性があることです。
整形外科医が末梢神経障害を疑うときは、一般的には、MRIの水平画像でそれらを確認します。
つまり、MRIの撮影がなされていることで、末梢神経障害の可能性は高まるのです。
年齢変性であっても、自覚症状に一致するMRI所見が得られているかは、検証されています。

(4)故意の誇張
賠償志向が強く、発言が過激で症状の訴えが大袈裟など、損保が非常識と判断した被害者では、後遺障害は非該当とされています。
多くは、損保から早期弁護士対応とされています。

単なる故意の誇張ではないとは、被害者の常識性と信憑性です。
あまりに大袈裟なもの、通院にタクシーを利用するなどの非常識は、排除されています。

後遺障害のまとめ
1)後遺障害における他覚的所見とは、画像所見もしくは、それに匹敵する検査所見のことです。
ところが、捻挫や打撲で、外傷性の画像所見が得られることは、絶対にありません。

2)しかし、交通事故などで、頚・腰部に大きな衝撃を受けたとき、椎間板ヘルニアや骨棘形成などの年齢変性が認められる被害者では、神経症状が出現することは、医学的にも肯定されています。

3)そこで、自賠責保険調査事務所は、以下の5つの条件を設定し、
①一定の衝撃を受け、
②一貫した神経症状の訴えがなされ、
③MRIで年齢相応の変性が認められ、
④整形外科におけるリハビリ通院が継続され、
⑤全体として、被害者に常識性と信憑性が感じられるときは、

これらの5つがクリアーできる被害者に限って、後遺障害等級を認定しているのです。

全損で、加害者に新車賠償を求める?
接骨院で施術を受け、ときどき、整形外科にも通院する?
大袈裟な症状を訴え、執拗に休業損害の請求を繰り返す?
タクシーを利用して通院している?
これらの非常識な被害者は、後遺障害からは排除されています。

「貴方は、これまでに、打撲や捻挫で6カ月以上の治療を続けたことがあるの?」

「ムチウチで、生涯を棒にふった人など、一人もいませんよ?」

よ~く、噛みしめておくことです。
 
 
ジョーク とんち?

息子が好物のどら焼きを食べているとき、パパとママどっちが好き? と聞いたら、少し考えてから、どら焼きを2つに割って、「どっちが美味しい?」 と、俺に聞いた。

一休さんの生まれ変わりかも知れないと感心した。

 

4/3(金)判例18 個人事業主の年収?

判例18 個人事業主の年収?
 
高次脳7級4号 併合6級 2009年 横浜地裁 判決

概要
44歳、デザイナーの女性が大型バイクで直進中、路外に右折した対向自動車の衝突を受け、高次脳で7級4号、味覚・嗅覚の脱失が12級相当、視野障害で13級、併合6級が認定されました。

反論
被害者は、公益財団法人交通事故紛争処理センターに示談の斡旋を求め、協議したのですが、7000万円の損害賠償額の斡旋に納得することができず、弁護士に相談したものです。

損保の反論
①逸失利益の基礎収入について、事故発生年に870万円の年収であったが、事故の前年は700万円、前々年が690万円であり、870万円を採用すべきではない。

②労働能力喪失率は、6級では67%であるが、仕事的には、高次脳だけを反映すべきであり、7級の56%を採用すべきであること。

弁護士の立証
⇒弁護士は、基礎収入について、被害者の仕事にかける熱意や能力と、この間、増収となった具体的な内容を具体的に立証して反論しています。

裁判所の判断
⇒裁判所は、その主張を認め、逸失利益、休業損害いずれも、年収870万円を基礎とすべきとし、労働能力喪失率についても視野障害を評価して67%とすべきと認定しました。
損保側の主張は、ことごとく却下され、損害賠償額は1億3600万円となり、財団法人交通事故紛争処理センターの提示額7000万円のほぼ倍額が実現できました。

NPOジコイチのコメント
個人事業主では、景気などの影響を受けやすく、所得に上下が認められる傾向です。

事故前3年間の平均を求めるのは、一見すると公平な評定とも思われますが、弁護士は、これに納得することはなく、どうして増収しているかについて、掘り下げています。
被害者の事故前の仕事の内容から、能力と企画が評価されて増収となっているときは、その傾向が翌年も続くと予想されるからで、ここが、並みの弁護士と違うところです。

つぎに、財団法人交通事故紛争処理センターです。
紛争処理センターでは、嘱託弁護士が無料で対応し、赤本基準で示談の斡旋を行っており、正に、被害者にとっては駆け込み寺の存在です。
しかし、紛争処理センターであっても、被害者には、交渉力が求められているのです。
嘱託弁護士は、あなたが依頼の、あなたの利益を代表する弁護士ではありません。
さらに、嘱託弁護士の当たり外れもあります。
被害者自身が出向いて、紛争処理センターで協議、解決することは、決して、万能ではないのです。

 
 
ジョーク 命名?

俺は末っ子で、成行(なりゆき)って名前なんだけど、親には、命名の由来を聞かないことにしている? 聞いても、結論がミエミエだから!

 

4/2(木)判例17 職場復帰と労働能力喪失率?

判例17 職場復帰と労働能力喪失率?
 
1)高次脳7級4号 2010年 横浜地裁 和解

概要
35歳男性会社員が、ジョギングをしながら通勤中、信号のない交差点を一時停止側から横断しようとしたところ、右方からの普通貨物車が衝突したもので、高次脳機能障害7級4号が認定されています。
被害者は事故後、なんとか職場復帰を果たしていたのですが、

損保の反論
①職場復帰を果たし、仕事を継続しているので、7級4号ではなく9級10号相当が妥当である。
②したがって、労働能力喪失率は、もっと低く見積もるべきである。

「よくも、こんな非道で根拠に乏しい滅茶苦茶な主張がまかり通るものだ!」 
これが通常の常識ですが、裁判となると、立証責任は、被害者の弁護士側にあるのです。
損保側には、立証責任がないので、上記のように、言いたい放題がまかり通っているのです。
ですから、被害者側の弁護士選びは、慎重でなければならないのです。

弁護士の立証
⇒弁護士は、被害者とその家族、さらに職場の同僚や上司から詳しく聴き取りを行いました。
①本人は職場復帰したものの、自宅に仕事を持ち帰るなど、従来の30~40%増し労働をし、雇用を維持するために相当の努力をしていること、

②それでも、仕事の評価はかなり低下していること、

③職場は、事故の事情をくんで、寛大な理解を示してくれていること、 以上の厳しい現実を本人と家族、職場の同僚と上司の陳述書で詳細に立証しています。

裁判所の判断
⇒裁判所は、それらの主張を全面的に認定し、和解案には、「労働能力喪失率を低く認定することには慎重であるべきであろうと思われる。」つまり、被害者の高次脳が就労に影響していることの具体的な文言が明記され、7級4号での逸失利益が認められ、5000万円の高額な逸失利益を含む、計6800万円の損害賠償額が実現しました。

 
2)高次脳7級4号 2011年 名古屋地裁 和解 075

概要
24歳、引っ越し会社の運転手をしている男性が、自動車を運転し、青矢印信号にしたがって右折中に、信号無視の対向車の出合い頭衝突を受けたもので、高次脳として7級4号が認定されています。

損保の反論
事故後も仕事に復帰しており、労働能力喪失率は7級4号の56%ではなく、40%程度でよい。

弁護士の立証
⇒弁護士は、就労復帰の状態を調査し、
①被害者は引っ越し会社の運転者であったが、事故後は、同僚の配慮や協力を得ながら、助手として、なんとか仕事を続けているものであること、

②無欠勤など、本人の努力によって、収入は30%程度の減収にとどまっていたこと、

③高次脳の影響から、ドライバーに復職できないこと、 被害者、勤務先の上司、同僚の陳述書をまとめ、上記の3点を主張しました。

裁判所の判断
⇒裁判所は、7級に見合う労働能力喪失率56%を認定しました。

NPOジコイチのコメント
自賠責保険の7級4号には、「神経系統の機能または精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの、つまり、一般就労を維持できるが、作業の手順が悪い、約束を忘れる、ミスが多いなどのことから一般人と同等の作業を行うことができないもの、」 と規定しています。
「タバコ屋の店番程度しかできないものが、7級4号です。」 

私が保険調査員の頃は、そのように教えられていたのです。
常識的に考えても、労働能力が、一般人の2分の1以下に低下していれば、高次脳を負った多くの被害者は、職場復帰を果たしたとしても、大変な苦労を強いられており、周囲も迷惑しています。
ところが、損保側は、「もっと仕事ができるはずだ?」 と主張し、減額を迫ってくることが多いのです。

キーポイントは、本人の努力と勤務先の理解、そして同僚の援助・協力を陳述書などで、具体的に説明し、現実の過酷さを立証することです。
もちろん、復職している点に付け込んだ損保側の一方的な主張に、屈してはなりません。

被害者側の立証では、本人、家族に加え、職場の上司・同僚の陳述書が必要となります。
手抜きでは、立証に成功しません。

 
 
ジョーク 発音?
ある日本人男性が、アメリカのボストンで、ニューヨーク行きの切符を買おうとした。
「チケット トゥ ニューヨーク」 そうしたら切符が2枚出てきた。

男は言いなおし、「チケット フォー ニューヨーク」 今度は4枚出てきた。
男は焦って、日本語で、「えーと、えーと」 を繰り返した。
8枚切符が出てきた。

 

4/1(水)判例16 修行期間中の年収と逸失利益?

判例16 修行期間中の年収と逸失利益?
 
高次脳3級3号 2010年 東京地裁 和解

概要
30歳、会社員の男性が、バイクを運転して優先道路を走行中、左方の狭路から飛び出した相手車に跳ね飛ばされ、高次脳3級3号、左下肢短縮障害を併合して1級が認定されています。

問題点
被害者は大学卒業後、一般企業に就職し、大卒平均賃金程度を得ていたものの、事故の約5年前に会社勤めを辞め、有名な蕎麦店で、将来の独立を前提に修行を積んでいました。
しかし、本件事故による高次脳の影響で人格が変わり、周囲の人に激しい暴力を振るう、また自殺未遂を起こすなど、介護している両親は大変な思いを強いられていました。

損保の反論
①高次脳でも3級3号であれば、高額な将来介護料を必要としない。
②逸失利益は、平均賃金ではなく、事故当時の実収入を基礎収入にすべきである。

弁護士の立証
⇒弁護士は、事故後に被害者の人格が変貌したことについて、家族による詳細な陳述書によって、日々の介護の大変さを立証しました。

逸失利益の基礎収入についても、確かに、事故当時の年収は修行中でもあり、平均賃金を下回った水準ですが、修行中であった蕎麦店の協力を得て、修行を終えて独立した後の収入状況なども丁寧に立証して反論しています。

裁判所の判断
⇒そうした努力が結実し、裁判所は、日額7000円の高額な将来介護料を認定しました。 事故当時の収入水準を上回る、男子平均賃金を基礎収入として認定しました。
3級でありながら、自賠責の保険金を含んで2億円という高額な損害賠償が実現しました。

NPOジコイチのコメント
高次脳機能障害は、外からは見えにくい後遺障害です。
したがって、家族から、実情をシッカリと聴き取り、それを陳述書にまとめることで、裁判所に本人の症状と介護の苦労を認識してもらうことが不可欠なのです。
残念なことに、この努力を怠っている? 
どう立証していいかが分からない? 
そんな頼りない弁護士が、大変多いのです。
逸失利益の基礎収入でも、雇い主の協力を得て立証したことで、男子平均賃金を実現しています。
高次脳の被害者と家族は、残りの人生をすべて弁護士に付託して戦いに挑んでいるのです。
それを裏切るようなことでは、弁護士の職責を果たしたとは言えません。
弁護士の能力次第で、被害者の人生が左右されるのです。

 
 
ジョーク 偉人伝

父親 「勉強しろ、遊んでばかり、いるんじゃない、リンカーンがお前位の頃は、薄明かりの下で、本を読んでいたんだぞ!」
息子 「リンカーンが親父位の頃は、大統領になっていたけどな?」