7/31(金)判例87 公的支援を含め総合的なサポート?

判例87 公的支援を含め総合的なサポート?
(高次脳機能障害1級1号 2017年 松山地裁 和解)
 
(1)概要

17歳、男子高校3年生が、自転車に乗ってアルバイト先に向かう途中、信号機の設置されていない変則交差点を直進中、交差道路を直進中の加害自動車と出合い頭衝突したもので、被害者には、高次脳機能障害で1級1号が認定されています。
なお、加害者が優先道路を走行しており、被害者には、一時停止の規制がありました。

(2)損保の反論
1)加害者が優先道路であったのに対して、被害者は一時停止規制に違反し、ショートカットというべき経路で交差点に進入したことから、65%の過失相殺がなされるべきである。

2)逸失利益の基礎収入については、愛媛県内の平均的な給与水準に照らせば、高卒男女平均賃金406万円が採用されるべきである。

3)在宅介護は、現在、被害者の母親1人が担っており、職業介護人費用の請求は過剰である。

(3)弁護士の立証
1)⇒弁護士は、事故現場を検証し、刑事記録を分析した上で、加害者が優先道路ではあったが、時速15km以上の速度超過があったことを指摘し、被害者側の過失は、40~50%にすべきであると主張しています。

2)⇒弁護士は、逸失利益の基礎収入について、各県の賃金格差を考慮することは、近時の判例にもなく、失当であり、加えて、被害者は高校卒業後、県外に就職することが決まっていたことから、男子高卒平均賃金454万円を基礎収入にすべきであると主張しています。

3)⇒弁護士は、治療先のカルテと看護記録、家族の陳述書、後遺障害診断書、頭部外傷後の意識障害の所見、神経系統の障害に関する医学的所見などを証拠として提出し、被害者の症状は、遷延性意識障害に近い高次脳機能障害に、四肢麻痺が混在する極めて重篤なもので、更衣・食事・入浴・排泄・入浴・整容など、すべてのADLに介護が必要なことに加え、常に痰の吸引、口腔のケアを欠かすことができず、その介護負担は極めて重いものであること、また、その負担の重さ故に、職業介護人が担う割合も多く、母が高齢となれば職業介護への依存度は、より一層増えていくことが見込まれるとして、平均余命期間を通じて、日額2万円、1億3150万円の将来介護料を請求しています。

(4)裁判所の判断
1)⇒裁判所は、加害者の速度超過を著しい過失として修正し、被害者過失を50%と認定しました。

2)⇒裁判所は、基礎収入について、各県の賃金格差を考慮することは相当ではないと損保の主張を排斥し、被害者は高校卒業後、県外に就職することが決まっていたことから,男子高卒平均賃金454万円を採用するとしました。

3)⇒裁判所は、弁護士の立証を評価し、総額1億3150万円将来介護料を認めています。

4)調整金3100万円を含み、和解金は1億6000万円ですが、人身傷害保険金1億4700万円を加え、3億0700万円の損害賠償が実現しました。
他に、近親者慰謝料400万円、介護車両の費用135万円、車椅子関連費用235万円、将来の介護雑費1040万円、介護住宅改造費550万円、成年後見費用910万円が認められています。

過失相殺は50%ですが、人身傷害保険から1億4700万円を先行回収しており、判決で求償が求められたのは、440万円ですから、被害者加入の損保が大泣きして決着がついたことになります。

(5)NPOジコイチのコメント
本判例のピンポイントは、弁護士主導による、公的支援も含めた総合的なサポートです。

本件の被害者は、四肢麻痺を伴い、ほぼ遷延性意識障害と言える高次脳機能障害別表Ⅰの1級1号、つまり、最重度の後遺障害を残しています。
しかし、被害者過失が大であるとして、損保は、任意一括を拒否し、内払いはなされていません。
1年後の症状固定⇒後遺障害等級認定⇒そして訴訟の提起⇒最終解決に至る長い道のりで、解決しておかなければならない問題点を整理しておきます。

1)受傷から1、2カ月
①治療費について、
本件は、通勤災害であり、労災保険に申請し、症状固定までの治療費などを確保しました。

②弁護士への委任、
当初、家族は、交通事故の発生に驚愕し、治療先のICUに駆けつけるも、狼狽えるばかりで、なにも考えられない、手がつかない状態です。事故の事実を受け入れ、比較的、落ち着きを取り戻すのは、受傷から1カ月を経過した頃ですが、遅くとも、3、4カ月以内には、弁護士に委任しなければなりません。
そして、弁護士とは、綿密に協議し、以下の介護計画を立案して具体的に進めることになります。
これらに対応できない弁護士であれば、委任してはなりません。

本件では、家族は、被害者の在宅介護を希望していました。
在宅介護では、多額の費用負担が発生することから、損保との攻防も熾烈なものになります。

①被害者に、どのような障害があって、
②そのために、どのような介護が必要となるのか?
③現実に、どのような体制で、介護を実施しているのか?
④これらの、被害者にとって必要な介護に、どれくらいの費用を必要とするのか?

裁判では、弁護士は、これらの4つを詳細に立証しなければなりません。
裁判が始まったとき、すでに、介護住宅に改造され、介護用品も備えられ、家族と職業介護人の併用で、介護が実施されていれば、立証は、より、リアルで説得力のあるものとなり、理想的と言えます。

2)受傷から6カ月
①地元自治体に、身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳の申請を行います。
身体障害者1級が認定されると、症状固定で治療費が打ち切られても、1カ月、500円の負担、もしくは全額を国庫負担で治療を続けることが可能となります。

②地元自治体に、障害者総合支援法の申請を行います。
これにより、居宅介護、重度訪問介護、行動援護、療養援護、生活介護、短期入所などの介護サービスを受けることができるようになります。
費用は、所得により異なりますが、最大でも、月額3万7200円で済ますことができます。

③介護技術の習得
在宅介護では、家族が、被害者のたんの吸引、口腔ケアなどを行うことになります。
リハビリ入院中に、治療先で、これらの技術を学習します。

3)受傷から7、8カ月
被害者の退院が迫ってきました。

①職業介護人の選択
家族介護と職業介護人の併用では、複数の職業介護人の派遣事務所を訪問、介護の内容、料金などを精査し、パンフレットを回収、介護人の性格や力量などが被害者や家族と合うかどうかを検証して、職業介護人を決定します。
訪問入浴介護サービスも、先と同様に、複数を打診して決定することになります。
訪問看護は、現在の入院治療先に相談して、決定します。

②介護住宅への改造
介護住宅の設計に実績のある建築設計事務所に設計と見積書、意見書の作成を手配します。
建築設計事務所を通じて工務店の紹介を受け、介護住宅への改造を着手します。
介護住宅が完成した段階で、介護用ベッドなど、介護用品を購入します。
これらの費用については、被害者が加入の人身傷害保険に対して、住宅改造の費用請求を行うのか、自賠責保険の後遺障害保険金を充当するのか、弁護士が、家族と協議して決定します。

③実際に、在宅介護が開始されました。
家族は、裁判に備えて、毎日の介護内容を詳しく記帳しておかなければなりません。
弁護士は、主治医に対し、介護計画書を提出して、医療体制、住宅の改造、介護体制が整備されたことを報告し、自宅における介護の許可を書面で得ておきます。

④後遺障害等級の再チェックと立証書類のまとめを始めます。
弁護士は、12カ月後の症状固定、後遺障害診断に備えて、意識障害所見、神経心理学的検査、神経系統の障害に関する医学的所見、建築設計事務所の意見書などの再チェックを行い、主治医もしくは専門医の意見書、家族の陳述書などのドラフトの作成を始めます。

⑤成年後見の申立
弁護士は、被害者が成年で、後遺障害等級が別表Ⅰの1級1号のときは、家庭裁判所に対して、成年後見の申立を行います。
およそ2カ月を経過すれば、いつでも、訴訟提起ができるようになります。

4)受傷から12カ月
①治療先で後遺障害診断を受けます。
後遺障害診断書、頭部外傷後の意識障害の所見、神経系統の障害に関する医学的所見、そして、事故直後に撮影されたXP、その後の経過で撮影されたCT、MRI画像を回収し、弁護士は、加害者が加入の自賠責保険に対して、自賠法16条に基づき、被害者請求で申請します。

②後遺障害等級の認定
およそ40日~2カ月で、等級は認定され、通知されると同時に自賠責保険金が振り込まれます。
等級が、別表Ⅰの1級1号では、4000万円が振り込まれます。

③裁判に先立ち、人身傷害保険から回収しておきます。
弁護士は、被害者に事故発生状況から過失が見込まれるときは、加入の人身傷害保険に対して先行請求し、人身傷害保険金の全額を回収しておきます。

④人身傷害保険に未加入のときは、
被害者が、人身傷害保険に加入していないとき、症状固定後は、裁判で損害賠償額が確定するまで、およそ1~3年間は、諸費用の内払いはなく、堪え忍ばなければなりません。

そんなときは、独立行政法人 自動車事故対策機構に介護料を請求します。
職業介護人に支払う介護料、訪問入浴、訪問看護、訪問リハビリ、介護用品の費用などは、自動車事故対策機構に領収書を提出すれば、毎月、6万8440円~13万6800円の範囲内で補助を受けることができます。
そして、これらの支給金は、裁判で損益相殺の対象となりません。
なお、障害者総合支援法の適用を受けており、重複する部分については支給されません。

5)円満解決
長きにわたる戦いも終息し、円満解決を迎えました。
被害者には、大きな障害を残しましたが、被害者や家族の無念さについては、少なくとも、金銭的には晴らすことができました。
上記の13項目の作業について、チーム110は、弁護士の指示によりサポートをしています。
期日にズレがあっても、サポートはできますから、NPOジコイチにご相談ください。

委任後も、これらのサポートが行われていないときは、その弁護士を解任すべきです。
なぜなら、裁判で負けてしまうからです。

 
 
雑学天上天下唯我独尊?

奈良東大寺の誕生釈迦仏

お釈迦様が生まれたとき、7歩歩いて片手で天を指し、片手で地を指して言ったとされる言葉で、天と地の間では自分よりも尊いものはないと唱えました。
毎年、4/8、お釈迦様の誕生日には、花祭と呼び、甘茶を注いで祀られています。

 

7/30(木)判例86 脳梗塞による素因減額が50%?

判例86 脳梗塞による素因減額が50%?
(高次脳機能障害2級1号 既存障害の脳梗塞9級10号 2017年 静岡地裁 和解)
 
(1)概要


57歳、男性会社員が、自転車で走行中、路外から道路に進入してきた自動車に跳ね飛ばされたもので、被害者には、高次脳機能障害で2級1号が認定されています。
なお、被害者には、脳梗塞の既往歴が存在していました。

(2)損保の反論
1)被害者の事故直前の現実収入は、年間200万円程度であり、同額を基礎収入とすべきである。

2)被害者は、本件事故以前にも幾度に渡る脳梗塞に罹患し、身体麻痺による歩行障害などの症状があった。これに対し、本件事故の衝撃は決して大きいものではなく、そうであるにも関わらず被害者に重度、2級1号の後遺障害が残存したのは、既往症である脳梗塞が大きく寄与したとみるべきであり、その割合としては、既往症の素因50%、本件事故50%とするのが相当である。

(3)弁護士の立証
1)⇒弁護士は、被害者が本件事故の1年前まで勤務していた会社における年収が350~400万円程度であったことに加え、これまでの経歴や収入を分析し、事故直前の実収入200万円を上回る300万円の基礎収入を獲得することができる蓋然性を立証して、損保に反論しています。

⇒弁護士は、主治医の意見書、家族の陳述書を証拠として提出し、被害者の現在症状について、細かく立証し、本件事故の衝撃は決して大きいものではないとの損保の反論を封じ込めています。
その上で、事故前、脳梗塞の治療を受けていた治療先の2年分のカルテと主治医の意見書を提出し、 事故以前には、杖を使用することもなく、独歩で仕事をしており、仲間や取引先とのコミュニケーションも良好に取れており、素因減額を否定するものではないが、上記の実態を考慮するのであれば、10~15%を相当とすると主張しています。

(4)裁判所の判断
1)⇒裁判所は、弁護士の立証した蓋然性を認め、逸失利益の基礎収入を300万円と認定しました。

⇒裁判所は、本件事故の衝撃が相当に大きいものであるとして、損保の主張を排斥し、脳梗塞の素因減額については、25%と認定しています。

3)調整金725万円を含み、和解金は5140万円ですが、自賠責保険金2384万円を加え、7520万円の損害賠償が実現しました。
他に、将来介護料4510万円、逸失利益2810万円が認定され、過失相殺は10%でした。

(5)NPOジコイチのコメント
本判例のピンポイントは、既往歴すなわち素因減額の対処法です。

本件では、被害者が、事故以前から軽度の脳梗塞を繰り返していたこと、そのことで、相手損保が、大きな素因減額を仄めかしていたこともなどで、家族は、裁判に踏み切ることに否定的でした。
しかし、弁護士は、脳梗塞の治療先で主治医から詳細を聴き取り、2年分のカルテ、主治医の意見書を回収して、裁判でも素因減額は避けられないが、相手損保が仄めかしている50%減額はあり得ないとして、説得を続けた結果、家族の気持ちも前向きになり、訴訟の提起を決断するに至りました。

裁判では、相手損保から、本来、重度の後遺障害を負うほどの事故ではなく、脳梗塞による元々の脳の脆弱性も相まって、重度の後遺障害を負ったとして、50%の素因減額が主張されたのですが、まずは、刑事記録の分析と、被害者の現在症状を詳細に立証することで、大きな衝撃を伴う事故であったことを立証し、その上で、脳梗塞の治療を担当してきた主治医の意見書とカルテ開示により、事故前の就労状況を明確に立証しています。
結果、弁護士は、15%の素因減額を主張していたのですが、裁判所は25%と認定しています。

素因減額では、損保は、情報不足であり、明確な根拠を示すことができず、いつでも、つかみの数字で50%以上を主張してきます。これに対して、弁護士は、かかりつけの主治医から、具体的な情報を入手して、リアルな実態を立証することができるのです。
これらの努力を惜しみさえしなければ、素因減額で損保に負けることはありません。

もう1つ、交通事故における3津の解決方法を説明しておきます。
交通事故における損害賠償の解決方法には、
①示談交渉による解決
②公益財団法人交通事故紛争処理センターに示談の斡旋を求める、
③そして、裁判による解決の3つがあります。

どの解決方法を選ぶかについては、事故態様や被害の内容によって異なりますが、それぞれに、メリットとデメリットがあります。
①示談交渉による解決、
相手損保と被害者側の相対交渉で解決するもので、メリットは、早期に解決できることですが、デメリットは、損保の賠償基準が適用されるので、賠償額は、裁判所基準の半分以下、本件のような素因減額が持ち出されると、3分の1以下という極めて低い金額での解決になることが予想されます。

②公益財団法人交通事故紛争処理センターに示談の斡旋を求める解決、
NPOジコイチが、紛センと呼ぶ、公益財団法人の斡旋で解決する方法です。
公正・中立な法律の専門家により、無料で、交通事故相談や和解のあっ旋、審査が行われています。 メリットは、弁護士を自費で依頼する必要がなく、誰でも申し立てることが可能で、損保の基準よりも高額な弁護士基準で示談が斡旋されています。デメリットは、①示談交渉よりも時間が掛かること、裁判のように、厳密な立証を必要としないので、難しい事案では、裁判所基準より10~20%低い金額で解決せざるを得ないことがあり、遅延損害金、年5%の単利が取れないので、長期化が予想される事案には、馴染みません。

③裁判による解決
民事裁判を起こして、裁判官の判断を仰ぐ解決方法です。
弁護士を訴訟代理人に立て、法廷では原告と被告、双方から証拠や主張を出し合います。
メリットは、丹念な立証を行うことで、裁判所基準に基づき、高額な賠償を実現することができ、判決を勝ち取ることで、遅延損害金のほか、弁護士費用も認められます。
デメリットは、一審で終わらず、二審に進むこともあり、示談や紛争処理センターでの解決と比べると、解決までの期間が長くなることです。
裁判による解決で、特に意味がある点は、

判決では、
①十分な立証をおこなうことによって、十分な賠償額が認められます。
②弁護士費用、遅延損害金(金利)、訴訟費用(印紙代)が認められることです。

和解では、
①.十分な立証をおこなうことによって、十分な賠償額が認められます。
②弁護士費用、遅延損害金、訴訟費用については、それなりの金額が認められることです。

 
 
ジョーク恋愛と結婚?

恋愛のときは楽しかったはずです。
責任が、ないからです。 結婚と、どこが違うのでしょう。
恋愛は、会いたくなったら、会えばいいのです。
結婚は、会いたくなくても、会わなくちゃいけないのです。
ああ、今日は、声も聞きたくない、もう側にも寄りたくない、もう嫌、もう聞いているのも嫌、 それでも、時間がきたら、食事の支度をしなくちゃいけないのです。 

綾小路 きみまろ

 

7/29(水)判例85 裁判で上位等級を求める?

判例85 裁判で上位等級を求める?
(高次脳機能障害2級1号 2017年 さいたま地裁 和解)
 
(1)概要


73歳の女性会社員が、友人の運転する自動車に同乗中、自損事故により負傷したもので、被害者には高次脳機能障害として2級1号が認定されています。

(2)損保の反論
1)被害者の後遺障害は、自賠責保険の認定通り、高次脳機能障害3級3号である。

2)将来介護料については、介護施設で要していた自己負担分として、月額9万円が相当である。

(3)弁護士の立証
当初、自賠責保険の認定等級は、3級3号でした。
被害者の家族は、この等級に納得することができず、自賠責保険に異議の申立を行ったのですが、上位等級が認定されることはなく、弁護士に相談したものです。

1)⇒弁護士は、被害者ならびに家族と面談、被害者には、食事・更衣・排泄・入浴など、日常のあらゆる動作に介助が必要な状態にあって、地誌的障害が顕著で、1人で外出させることはできないことが判明したので、県内のリハビリテーションセンターの専門医を紹介、神経心理学的検査を追加して、訴訟提起を行いました。専門医の意見書と検査結果、家族の陳述書を証拠として提出し、本県の後遺障害等級は、3級3号ではなく、2級1号に該当することを主張しています。

2)⇒弁護士は、後遺障害等級2級1号に基づき、将来介護料として、月額33万円の施設介護料、4370万円を請求しています。

(4)裁判所の判断
1)⇒裁判所は、専門医の意見書を尊重し、被害者の後遺障害等級は、3級3号ではなく、2級1号とすることが相当であるとしました。

2)⇒裁判所は、将来の施設介護料として、月額33万円、総額4370万円を認めています。

3)調整金1870万円を含み、和解金は9470万円ですが、自賠責保険金2219万円を加えて、総額1億1690万円の損害賠償金が実現しました。
他に、逸失利益1830万円、近親者慰謝料として400万円が認定されています。

(5)NPOジコイチのコメント
本判例のピンポイントは、異議の申立にあります。

自賠責保険に対する異議申立では、必ず、絶対に、新たな医証を添付して、先の認定等級が誤りであることを被害者側で、立証しなければなりません。

なぜなら、調査事務所は、立証せざるもの、後遺障害にあらず、と考えており、自賠法に基づいて審査した結果に、誤りなんか、あろう筈がないと確信しているからです。
それが証拠に、異議申立で上位等級が認定される確率は、15%に過ぎないのです。
したがって、被害者は、認定等級に誤りがあるのではなく、被害者側の立証が不足していたと認識すべきで、この謙虚な姿勢で異議申立を行わないと上位等級が認定されることはありません。

単なるクレームや日常生活の障害を羅列しても、考え方の相違で跳ねられてしまいます。
どうしても、専門医もしくは主治医が、新たな視点で診断した医学的な証明が必要となるのです。
ところが、新たな医証を取りつけることは、誰にでもできることではありません。
したがって、被害者側の異議申立は、単なるクレームが大半となり、望みが叶うことはありません。
さらに、再異議の申立となると、より狭き門をくぐらなくてはならなくなるのです。

本件では、最初の異議申立で失敗しており、再異議の申立となると、4~6カ月間の期間を要します。
そこで、専門医の診察を受け、追加的な神経心理学的テストも受けて、それらの結果を専門医の意見書にまとめて、訴訟で、新たな等級の認定を求めることにしたのです。

裁判官は、後遺障害等級認定の専門家ではなく、上位等級を求める難度は、自賠責保険調査事務所よりは、はるかに高くなります。弁護士に、高次脳機能障害の高度な医学的知見がないと、専門医の意見書をまとめることすらできません。

最近、被害者からのメール相談で、自賠責保険調査事務所に異議の申立を行うことなく、最初から、裁判で上位等級を求めた弁護士に対して、裁判所は、自賠責保険調査事務所に異議申立を行うように指導したとのニュースが飛び込んできました。
勘違いも甚だしいと、笑ってしまいました。

 
 
ジョークズボラ主婦?

朝食にカレーを出したら夫が、「なんだ、朝っぱらから、カレーかよ、」 と文句を言ったのに対して、 幼稚園児だった娘がすかさず、「お父さん、朝からじゃなくて、夕べからだよ!」
あの頃から、娘の言うことは正しい。

 

7/28(火)判例84 施設介護のグループホーム?

判例84 施設介護のグループホーム?
(高次脳機能障害1級1号 2016年 東京地裁 和解)
 

(1)概要
マンション管理人を兼業する主婦75歳が、自転車に乗り、交差点を青信号で直進中、交差道路から赤信号で直進してきた加害自転車と出合い頭衝突したもので、被害者には、高次脳機能障害で1級1号が認定されています。

(2)損保の反論
1)被害者は、事故当時、マンション管理人として稼働し、収入を得ており、逸失利益についてはその具体的な実収入額を基礎として算定すべきである。

2)被害者は、将来の施設介護費用について、現在入居中の、グループホームの料金に基づき、請求しているが、他に安い施設が多数存在することから、請求額は高すぎる。

(3)弁護士の立証
被害者夫婦は、マンションの管理人室に居住しており、管理人業務を継続することができなくなったことで、退職を余儀なくされ、マンションを退去しなければならない状況に追い込まれていました。
夫も病弱で、軽度の認知症があり、新たに住宅を購入し、そこで妻の介護を行うことも金銭的に困難な状況でした。
そこで、家族とも相談の上、夫と被害者の妻をグループホームの施設に入居させることで、被害者の介護を行うことが選択されました。

1)⇒弁護士は、逸失利益について、被害者は、単にマンション管理人として勤務するだけでなく、兼業主婦として家事を担っているところから、家事労働分も考慮した上で、基礎収入は、統計上の女性平均賃金額を用いて逸失利益を算定しなければならないと主張しています。

2)⇒弁護士は、医師の意見書、家族と施設の介護スタッフの陳述書を証拠として提出し、被害者にとって必要な介護の内容を詳細に立証しています。その上で、将来施設介護費用の請求額について、損保側が主張する、「他に安い施設が存在する?」 というだけで、請求額が高すぎると言うのは失当であり、被害者の請求額は、他の一般的な施設と比べても、決して、高すぎることはなく、むしろ、費用がより高額な施設すら存在しており、将来施設介護費用を減額される理由はないとして、被害者分の将来施設介護料として、3150万円を請求しています。

(4)裁判所の判断
1)⇒裁判所は、被害者の休業損害については、管理人業務の収入を基礎として150万円を認定、逸失利益の基礎収入は、被害者の家事労働負担を考慮して、女性平均賃金額を用いて逸失利益を算定し、1710万円の逸失利益を認定しました。

2)⇒裁判所は、損保側が主張する、「他に安い施設が存在する?」について、立証がなされておらず、合理性がないと排斥し、弁護士の主張通り、3150万円の施設介護料を認定しています。

3)調整金550万円を含み、和解金は7800万円が実現しました。
他に、成年後見費用として240万円、近親者慰謝料として150万円が認定されています。
本件は、自転車対自転車の交通事故であり、自賠責保険はありません。
加害者か加入の個人賠償責任保険から支払がなされています。

(5)NPOジコイチのコメント
本判例のピンポイントは、グループホームにおける施設介護です。

損保側は、高次脳機能障害における将来の介護費用について、
①在宅介護では、費用が安くなる施設介護を選択すべき?
②施設介護となると、他の施設に比べて、利用料金が高すぎる?
毎回、難癖とも言うべき主張を展開してきます。

本件は、持ち家がなく、夫が軽度の認知症、妻は高次脳機能障害で1級1号、一人娘は、遠方に嫁ぎ、夫の母親が認知症で、その介護を担っており、施設介護を選択せざるを得なかったのです。
弁護士は、家族と綿密な協議を行った上で、この夫婦をグループホームに入所させることで、問題点を一気に解決する方法を提案したのです。

※グループホーム

グループホームは、介護保険の地域密着型サービスに分類され、認知症の⾼齢者が、住み慣れた土地で、専門スタッフの援助を受けながら共同生活を送る小規模の介護福祉施設です。

入居者は、ユニットと呼ばれる最大9人のグループに分けられ、料理や掃除などを役割分担しながら自立した生活を目指します。
グループホームでは、それぞれの入居者の能力に応じて、料理や掃除といった役割を担いながら暮らしていくのが、他の老人ホーム・介護施設と大きく異なる点です。

1)入居の条件は?
①65歳以上の高齢者で、かつ、介護保険で要支援2から要介護5までの認定を受けている方
②医師に認知症の診断を受けた方
③集団生活を営むことに支障のない方
④施設と同一の市区町村に住民票がある方

2)入居期間は?
原則として終身利用ができます。

3)料金は?
施設によって異なりますが、一時金は、0~数百万円、月額利用料は15~30万円となっています。
なお、生活保護を受給していても、入居が可能な施設があります。

本件の弁護士は、被害者の入居先施設の料金について、
①一般的に見て、高額すぎるものではないこと、
②被害者は、1級1号が認定されている高次脳機能障害者であること、
③その症状の重さから、手厚い介護が求められていること、
④したがって、請求する将来施設介護費用は適正であること
⑤料金の単純比較で安い、高いなどを論じるのは、合理性がなく、失当であること、

上記の5つを主治医の意見書、家族と施設の介護スタッフの陳述書で立証して、損保の主張をはじき飛ばしています。
日本においては、とっくに高齢化社会となっています。
弁護士としても、これらの社会背景を踏まえ、介護に関する知識が必要です。
知識がなければ、クライアントに、提案することもできないからです。

 
 
ジョークメイド イン ジャパン

海外に住む日本人は、死ぬときは、日本に帰って死にたいとよく聞きます。
それが本当の、「冥土 イン ジャパン!」

 

7/27(月)判例83 父親と息子の2人家族?

判例83 父親と息子の2人家族?
(高次脳機能障害2級1号 2017年 仙台地裁 和解)

(1)概要
18歳の男子専門学校生が友人の自動車に同乗中、自損事故により負傷したもので、被害者には、高次脳機能障害で2級1号、一眼の視力が0.02以下となったもので8級1号、併合2級が認定されています。

(2)損保の反論
将来介護料に係る被害者側の請求は過大であり、日額1万円程度を限度に認められるべきである。

(3)弁護士の立証
本件は、父親と息子の2人家族で、父親は就労しており、介護は、職業介護人に頼らざるを得ない状態にありました。

1)⇒弁護士は、治療先のカルテと看護記録、家族の陳述書、後遺障害診断書、頭部外傷後の意識障害の所見、神経系統の障害に関する医学的所見などを証拠として提出し、被害者の運動機能の障害による身の回り動作の能力、高次脳については、注意、記憶、認知、性格の変化に伴う行動障害の内容・程度などを立証し、父親が就労している事実から、週5日は、職業介護人を利用することを前提として、日額1万5000円、総額9840万円の将来介護料を請求しています。

2)⇒弁護士は、加害者が、制限速度を40km以上上回る速度で暴走していた悪質性を指摘し、慰謝料の増額を求め、3000万円を請求しています。

(4)裁判所の判断
1)⇒裁判所は、将来介護料について、被害者の症状に鑑み、日額1万5000円、総額9840万円を認定しています。

2)⇒裁判所は、加害者の悪質な事故態様を認め、基準額2800万円の後遺障害慰謝料を3000万円に増額、近親者慰謝料も200万円を認定しています。

3)調整金4290万円を含み、和解金は2億4900万円ですが、自賠責保険金3000万円を加え、2億7900万円、高次脳2級としては、極めて高額な損害賠償が実現しました。 他に、住宅の改造費として420万円が認められています。

(5)NPOジコイチのコメント
本判例のピンポイントは、特にありません。

在宅介護では、家族の就労の状況などにより、家族のみでの介護が困難なことがあり、このようなときは、職業介護人による介護を利用することが可能であり、その費用も賠償上認められています。

本件は、父1人、子ども1人の家庭で、父親は働き手として就労しており、土日、休日以外は、職業介護人に委ねることになります。
①被害者が18歳と若年であったこと、
②将来の介護料の大部分を職業介護人による介護で、日額1万5000円が認められたこと、 このことが、2級1号であっても、2億7900万円の賠償額が実現した理由となっています。

過去の判例では、損保は、施設介護を主張することで損害額を圧縮しようとするのですが、今回は、諦めてしまったのか、やる気のなさが目立つ判例となっています。

また、慰謝料は、事故態様の悪質性を立証したことで、基準額2800万円から増額され、3000万円が認められています。
①事故の内容が悪質なとき、
②加害者の事故後の対応が不誠実であるとき、
慰謝料の増額請求が可能であり、裁判において、しっかりと主張しなければなりません。

 
 
ジョークしずちゃん?

南海キャンディーズが、絶頂期のとき、
テレビを見てた彼女が、「しずちゃん、かわいいよね!」 っていうから
「お前に似てるしな!」っていったら激怒した
かわいいんちゃうんか!

 

7/22(水)判例82 丹念に立証する?

判例82 丹念に立証する?
 

(高次脳機能障害5級2号 2017年 京都地裁 和解)

(1)概要
18歳男子高校生が、バイクを運転し、信号機の設置されていない交差点を直進中、対向右折の加害自動車と出合い頭衝突をしたもので、被害者には高次脳機能障害で5級2号が認定されています。
なお、被害者は、専門学校に進学することが決定しており、学費も納付済みです。

(2)損保の反論
1)被害者が、専門学校に進学した後、最終的に退学をしたことについては、高次脳機能障害との因果関係が不明であり、専門学校に納付した学費は、損害として認められない。

2)被害者は、事故後、7カ所の勤務先で就労しており、給与を受給している。 以上の事実を踏まえるのであれば、被害者の高次脳機能障害について5級2号と認定した自賠責保険の等級認定は誤りであり、実態は、9級10号に過ぎないものである。

(3)弁護士の立証
1)⇒弁護士は、治療先のカルテと看護記録、家族と専門学校の講師、そして複数の勤務先の上司の陳述書、後遺障害診断書、頭部外傷後の意識障害の所見、神経系統の障害に関する医学的所見などを証拠として提出し、被害者は、高次脳機能障害による性格変化などで、感情をコントロールすることができず、他人とのコミュニケーションを図ることが困難で、協調作業ができない状態を繰り返したことで、専門学校を退学に追い込まれたことを立証し、納付済みの学費は、紛れもなく後遺障害に起因する損害として認められるものであると主張しています。

2)⇒弁護士は、複数の退職した勤務先上司の陳述書で、事故後、被害者が7カ所で就労したということは、それだけ、転職を繰り返すことを余儀なくされた事実を意味するのであって、つまり、1つの職場で継続して働くことが、高次脳機能障害のため、困難な実態を反映していることを立証した上で、被害者の労働能力は、高次脳により著しく低下しており、損保側の主張する9級10号は、その根拠を欠いており、自賠責保険の認定通り、5級2号が正しく、逸失利益の労働能力喪失率は79%で算出されるべきと主張しています。

(4)裁判所の判断
1)⇒裁判所は、学費80万円について、本件事故との因果関係を認め、損害と認定しました。

2)⇒裁判所は、損保の主張する9級10号について、立証が不十分であると排斥し、被害者の後遺障害等級5級2号に基づき、6960万円の逸失利益を認めました。

3)調整金1200万円を含み、和解金は8600万円であるが、人身傷害保険金1340万円を加え、9940万円の損害賠償が実現しました。

(5)NPOジコイチのコメント
本判例のピンポイントは、自賠責保険の認定等級が否定されたとき、どう対処するかにあります。
高次脳機能障害では、自賠責保険が認定した等級について、損保が誤りであるとして下位等級を示して争ってくることが、本判例分析においても、数多く経験しています。

本件では、自賠責保険の5級2号の認定に対し、損保よりは、9級10号との主張をしています。
弁護士は、被害者の母に同行し、退職した元勤務先を訪問し、その原因と理由を聴き取りしています。
これらの聴き取りを陳述書にまとめ、被害者が高次脳機能障害の影響で職を転々とせざるを得ない苦労を強いられている実態を丹念に立証しているのです。
この種の立証に、ウルトラCはありません。

手を抜くことなく、歩き回って丹念に立証する基本を忘れてはなりません。

 
 
ジョーク寝転がると牛に?

幼 「ママの買ったのって、くらーげん?」
母 「そうだよ、」
幼 「ぷるぷるする?」
母 「するする、」
幼 「くらげも、ぷるぷるだもんねー」
母 「えっ?」 幼 「えっ?」
母 「・・・・・くらげと、コラーゲンは、違うよ?」
幼 「くらげから、くらーげんができるんだよ?」
母 「違う違う、それと、くらーげんじゃなくて、コラーゲン。」
幼 「くらーげんじゃないの?」
母 「くらーげんじゃなくてね、コラーゲンなの、」
幼 「こらーげん・・・・・?」
母 「そう、コラーゲン!」
幼 「じゃ・・・・・コラゲは、どこにいるの?」 笑ってしまった。

 

7/21(火)判例81 損保が難癖をつけてくる?

判例81 損保が難癖をつけてくる?
 

(高次脳機能障害5級2号 2017年 横浜地裁 和解)

(1)概要
69歳の主婦が、横断歩道を横断中、対向右折の加害自動車に跳ね飛ばされたもので、被害者には、高次脳機能障害で5級2号が認定されています。

(2)損保の反論
1)被害者は、歩行者用信号が青点滅となったことに焦り、左右の安全を十分に確認することなく、小走りで横断を開始し、軽率にも、加害自動車に巻き込まれたものであって、衝突時の歩行者用信号は既に赤信号であった。
かかる事故態様であり、被害者にも30%の過失が認められる。

2)高齢夫婦2人の家庭において、被害者である妻のみが一切の家事を負担していたとは到底考えられず、夫も負担していたのだから、休業損害および逸失利益ともに家事負担の割合に応じ、女性70歳以上平均賃金の4割程度、年収110万円で基礎収入とすべきである。

3)被害者の身体運動機能に障害はなく、食事などの身の回りの動作の大半が自立しており、介護が必要な状況にあるとは到底認められない。
したがって、付添看護料、将来介護料いずれもこれを認めることはできない。

(3)弁護士の立証
1)⇒弁護士は、刑事記録を証拠として提出し、
①加害者の供述調書には、被害者の歩行者用信号が赤であったなどの記載がなされていないこと、
②民事裁判になり、突如、主張し始めた加害者の供述に信用性がないこと、
③目撃者供述に照らしても、歩行者用信号が青点滅あるいは赤であったとする証拠がないこと、
以上の事実から、青信号で横断していた被害者に、過失は認められないと反論しています。

2)⇒弁護士は、基礎収入について、被害者は、主婦として生活しており、損保側の主張する、女性70歳以上平均賃金の4割程度には、なんらの根拠も見出すことができず、原則通り、女性70歳以上の平均賃金283万円で、逸失利益を算定すべきであると主張しています。

3)⇒弁護士は、治療先のカルテと看護記録、夫の陳述書、後遺障害診断書、頭部外傷後の意識障害の所見、神経系統の障害に関する医学的所見などを証拠として提出し、被疑者は、高次脳のため注意障害、記憶障害、性格変化が著明であることを立証し、日常生活のあらゆる場面で声掛けや看視が必要であるとして、日額2500円、総額1065万円の将来介護料を請求しています。

(4)裁判所の判断
1)⇒裁判所は、加害者の供述には信憑性が低く、採用することはできないとして、損保側の主張を排斥し、被害者に見るべき過失はなく、0:100とするのが相当であるとしました。

2)⇒裁判所は、損保側の主張する、女性70歳以上平均賃金の4割程度には、その根拠が立証されておらず、とても採用することはできないと斥け、逸失利益等の基礎収入については、女性70歳以上平均賃金283万円として算定するとして、1590万円を認定しています。

3)⇒裁判所は、夫を中心に親族による随時声掛けや看視を必要とする状態であり、日額2500円、総額1065万円の介護料を認めています。

4)調整金865万円を含め、和解金は4300万円ですが、自賠責保険金1574万円を加え5874円の損害賠償が実現しています。
他に、近親者慰謝料として、70万円が認定されました。

(5)NPOジコイチのコメント
本判例のピンポイントは、特にありません。

損保側は、過失相殺、逸失利益の基礎収入、将来の介護料など、ほぼ全ての損害費目について争っていますが、争いの中味は、言い掛かり、難癖、関西弁では、いちゃもんの類いで、立証することもなく、言いたい放題で終わっています。
裁判ですから、上場企業である損保としても、品位ある主張を行うべきで、猛省を促しておきます。

 

 
ジョーク寝転がると牛に?

幼い頃、食べた後すぐに寝転がると牛になると言われていた。
そして、私の母の実家には、農耕用の牛が一頭飼育されていた。
母の里帰りについていくたびに、この牛は誰だろうと思い、「おまえは誰だ!」 俺は必死で牛に話しかけていた。

 

7/20(月)判例80 被害者過失が100%を40%に?

判例80 被害者過失が100%を40%に?
(高次脳機能障害5級2号 2017年 横浜地裁 判決)
 
(1)概要

16歳の男子高校1年生が、原付バイクを運転し、信号機の設置された交差点を直進中、交差道路を直進してきた加害自動車と出合い頭衝突したもので、被害者には、高次脳機能障害で5級2号が認定されています。

(2)損保の反論
本件事故は、被害者の一方的な赤信号無視に起因するもので、加害者には、そもそも損害賠償義務がなく、被害者の過失が100%であると主張しています。

(3)弁護士の立証
1)⇒弁護士は、事故現場に立ち、現場検証を行うとともに、刑事記録を丹念に分析し、目撃者の供述調書を検討した結果、双方が赤信号で交差点に進入した可能性が高いことが判明したので、目撃者に面談して聴き取りを行い、証人尋問を依頼しています。
目撃者の証人尋問により、加害者が青信号ではなく、赤信号で交差点に進入したことを立証し、損保側の無責主張に反論、本件の過失割合は、認めるとしても、被害者が40%であると主張しました。

2)⇒弁護士は、被害者の基礎収入について、被害者は、事故当時16歳の若年者であり、男子学歴計全年齢平均賃金529万円を採用すべきとして、逸失利益7600万円を請求しています。

(4)裁判所の判断
1)⇒裁判所は、目撃者証言の信憑性を評価し、損保の青信号で進入を排斥し、双方が赤信号で交差点に進入した可能性が高いとするのが相当であるとして、被害者過失を40%と認定しました。

2)逸失利益について、弁護士の主張通り、男子学歴計全年齢平均賃金529万円を基礎収入として、7,600万円を認めています。

3)遅延損害金1430万円を含め、判決額は6100万円ですが、自賠責保険金1574万円、人身傷害保険金3700万円を加え、総額1億1380万円と、高額な損害賠償が実現しています。

(5)NPOジコイチのコメント
本判例のピンポイントは、過失割合に関する弁護士の執念です。
ともすれば、諦めてしまうことが多い事故発生状況と過失割合ですが、本件の弁護士は、裁判で、数多くの逆転判決をものにしています。

本件では、損保側は、被害者の一方的な赤信号無視によるものであるとして、無責の主張をしていますが、被害者は、高次脳機能障害で5級2号の重傷で、事故当時の記憶を失っており、加害者の青色進入は、加害者の一方的な供述のみが採用された結果に過ぎません。
本件の弁護士は、どの案件でも、受任の時点で事故現場の検証を行い、刑事記録を冷静かつ、丹念に分析して、加害者の供述の矛盾点を掘り起こしています。

受任後、すぐに着手すべきは、事故現場に出向いて検証することです。
これを行おうとしない弁護士は、直ちに解任しなければなりません。 しかし、経験則で申し上げれば、事故現場に足を運ぶ弁護士は少数なのです。

こんな心構えでは、執念は芽生えません。

 

 
ジョーク場所を考えろ?

今朝、自販機でジュース買ったら、「おはようございます、お仕事頑張ってください!」 って言われた。   ハローワークの前に設置されているってこと、忘れたんかい!

 

7/17(金)判例79 5級2号をせいぜい7級、7級すら怪しい?

判例79 5級2号をせいぜい7級、7級すら怪しい?
(高次脳機能障害5級2号 併合3級 2017年 さいたま地裁 和解)
 
(1)概要

16歳、高校1年生の男児が、自転車に乗り、信号機の設置されていない丁字型交差点を右折しようとしたところ、交差道路を直進中の加害被告自動車に跳ね飛ばされたもので、被害男児には、高次脳機能障害として5級2号、顔面の醜状障害で7級12号、併合3級が認定されています。

(2)損保の反論
1)被害者は、事故後も大学に進学し、アルバイトも行っており、運転免許を取得するなど、普通の大学生らしい生活を送ることができており、高次脳機能障害は、せいぜい7級に過ぎず、7級すら怪しい状態である。

2)被害男児は、自転車に乗り、突き当たり路側から右折しており、40%の過失相殺をすべきである。

(3)弁護士の立証
1)⇒弁護士は、治療先のカルテと看護記録、家族とアルバイト先経営者の陳述書、後遺障害診断書、頭部外傷後の意識障害の所見、神経系統の障害に関する医学的所見、大学の成績表などを証拠として提出し、高次脳のため注意障害、記憶障害、遂行機能障害、感情をコントロールする能力の低下、易疲労性による集中力の低下などの症状が顕著であることを立証しています。

また、被害男児は大学に入学しているが、学内推薦で入学しており、いわゆる受験戦争を制して進学したものではないこと、現実にも、大学では、授業の理解や単位取得が独力では困難なために、高等学校教員である母親が、レポートの作成をするなど、全面的なサポートを受けている状態であること、

またアルバイトでは、接客の仕事はトラブルを起こすことが多く、皿洗いなどの単純作業しか、できていないこと、運転免許は、取得したが、注意力障害のため、道路上では危険な運転を行うことがあり、現在は、両親の指示により自動車運転は禁止されていることなど、高次脳機能障害に起因する諸症状が顕在化しており、以上から、被害者の高次脳機能障害は自賠責保険の認定通り5級2号に該当すると主張しています。

⇒弁護士は、現場検証と刑事記録の分析を行い、本件事故の過失割合について、通常の丁字型交差点における衝突事故であり、加えて、加害自動車が減速せずに交差点に進入したという大きな過失が認められるところから、被害者の過失相殺率は30%が相当であると主張しています。

(4)裁判所の判断
1)⇒裁判所は、損保側の7級すら怪しいとの主張に対し、大学に進学し、アルバイトをこなし、また、自動車運転免許を取得しているなどは、現象面を捉えただけのことで、評価に値する立証がなされていないと排斥し、弁護士の主張に基づき、本件の後遺障害等級は、5級2号が相当であるとしました。

2)⇒裁判所は、本件事故の過失割合について、加害自動車が減速せずに交差点に進入したことを重視し、70:30、被害者の過失相殺率を30%と認定しています。

3)調整金1130万円を含み、和解金は4700万円ですが、自賠責保険金2219万円、人身傷害保険金2920万円を加え、9840万円の高額損害賠償が実現しました。
他に、入院中の付添看護料として70万円、逸失利益として6750万円が認められています。

(5)NPOジコイチのコメント
本判例のピンポイントは、前段の判例78と同じで、自賠責保険の認定等級に関する争いです。
本件では、自賠責保険の5級2号の認定に対し、損保側は、被害者の大学生活の様子を根拠として「最高でも7級程度、7級すら怪しい?」 なんとも理不尽な主張がなされています。

そこで弁護士は、被害者、家族と綿密に連絡を取りつつ、無関係の第三者から見れば被害者が一見普通の大学生活を送っているように見えたとしても、実態は、高次脳機能障害の影響で多大な生活上の支障・苦労を強いられている事実を丁寧に立証しています。
結果、裁判所も自賠責保険の認定通り、高次脳機能障害が5級2号に相当することを認めました。

 

 
雑学インド人もびっくり?

昨日、秋葉でPCパーツ買った帰りにインド人がやってるカレー屋に行ったんだけど、 カレー注文したらスプーンがついてこなくて
「あ、本格的な店なんだ」とか思って手で食ってたら、 半分くらい食ったときに、 インド人の店員が奥から すげー申し訳なさそうな顔してスプーン持ってきた

 

7/16(木)判例78 3級なのに、9級で介護料も不要?

判例78 3級なのに、9級で介護料も不要?
(高次脳機能障害3級3号 2017年 東京高裁 和解)
 
(1)概要

9歳、小学校3年生の男児が、県営住宅敷地内道路を徒歩で横断中、加害トラックに跳ね飛ばされたもので、被害者には、高次脳機能障害で3級3号が認定されています。

(2)損保の反論
1)本件事故は住宅街における道路上を歩行横断していた被害男児と、加害トラックの衝突事故であり、被害男児にも20%の過失相殺をすべきである。

2)顧問医の意見書を証拠として提出し、被害男児は、事故後も、日常生活動作はすべて自立している上、小学校から中学校へと進学し、さらに、通信制高校サポート校において学習指導も受けている。
したがって、仮に、被害男児に高次脳機能障害があるとしても、その影響度合いは低く、高次脳機能障害の後遺障害等級は、せいぜい9級10号であるし、将来の付添介護は不要である。

(3)弁護士の立証
1)⇒弁護士は、事故現場の検証と刑事記録の分析を行い、現場付近は住宅が立ち並ぶ場所にあったことを考慮すれば、被害男児の過失は、高くても15%であると主張しています。

2)⇒弁護士は、治療先のカルテと看護記録、家族の陳述書、中学校の教諭や民間サポート校の担当者の陳述書、後遺障害診断書、頭部外傷後の意識障害の所見、神経系統の障害に関する医学的所見などを証拠として提出し、高次脳のため注意障害、記憶障害、遂行機能障害、感情をコントロールする能力の低下、易疲労性による集中力の低下などの症状が顕著であり、本来、成長に伴って身につく能力が追い付かないことで、知能も経時的に低下が見られる現状であることを立証しています。
そして、これらにより、
①事故後は、小・中学校において、数多くのトラブルを起こしたこと、
②中学校レベルの学習についていけない状態となり、特別支援学級への編入を余儀なくされたこと、 ③普通高校に進学できず、家族の送迎で、集団行動を求めない民間サポート校に通学していること、
以上により、辛うじて学業を維持している限度に過ぎないことを立証しています。
結果、被害男児の高次脳機能障害は重く、将来の就労は不可能であることは明白であるとし、後遺障害等級は正しく3級3号に相当するもので、将来にわたり、声掛けや見守り介護が必要であるとして、日額4000円の将来介護費用を請求しています。

(4)裁判所の判断
1)⇒裁判所は、県営住宅敷地内道路であり、加害運転者には、より注意義務が求められるとして、被害男児の過失割合を15%と認定しました。

2)⇒裁判所は、将来の介護費用について、弁護士の立証と主張を認め、日額4000円、総額で2810万円を認定しています。

3)調整金4640万円を含み、和解金は1億2400万円ですが、自賠責保険金2219万円、人身傷害保険金3000万円を加え、1億7620万円の損害賠償が実現しました。
他に、症状固定までの付添看護料として、760万円が認められています。
過失15%の相殺分は、1960万円ですが、人身傷害保険から3000万円を先行回収し、求償に応じたのは、1040万円です。

(5)NPOジコイチのコメント
本判例のピンポイントは、自賠責保険の認定等級に関する争いです。
損保側が、自賠責保険で認定された後遺障害等級を低めに争ってくることは頻繁にあることです。

本件では、自賠責保険が3級3号を認定したことに対し、損保側からは、
①被害男児は、事故後も、学校へ通学していること、
②実際の等級は、もっと軽く、9級10号程度であること、
③したがって、将来の介護費用は不要であるなどの反論がなされています。

弁護士は、被害男児の高次脳機能障害に起因する症状について丁寧に立証、解説することで、損保の、すべての反論に対して、的確な指摘と解説を実施することで、自賠責保険の認定が適正であると結論づけたのですが、目のつけどころは、被害男児が通学していた中学校の教諭、民間サポート校の担当者から詳しい事情を聴取し、それらを陳述書としてまとめたことです。

損保側は、通学している、進学しているなど上っ面の情報だけで争ってくるのですが、その通りではあっても、弁護士は、小・中学校では、数多くのトラブルを起こしたこと、中学校レベルの学習についていけず、特別支援学級へ編入している事実、普通高校に進学できず、家族の送迎で、集団行動を求めない民間サポート校に進学していることなどを立証することで、将来の就労は不可能であり、自賠責保険の3級3号の認定は適正であると結論しています。

「そんなことなら、簡単じゃないの?」
決して、簡単ではありません。

 

 
雑学コールセンター?

最近コールセンターに勤め始めました。
みんな良い人たちばかりで仕事も思ったよりも、ストレス感じないで、できそうです。
新人ということで、職場のお姉さんたちも気さくに話し掛けてくれたりするので、調子に乗って、
「こういうところの女の人って職業欄には、やっぱり、コールガールって書くんですか?」
と聞いたらシカトされ、それ以来、誰も、口をきいてくれなくなりました。
このままでは、ここに居られなくなりそうです。
一体どうしたらいいでしょうか? バカか、おまえは!

 

7/15(水)判例77 飲酒、覚醒剤使用でセンターラインオーバー?

判例77 飲酒、覚醒剤使用でセンターラインオーバー?
(高次脳機能障害2級1号 2017年 東京地裁 和解)
 

(1)概要
女性 主婦(事故時63歳、症状固定時64歳) 63歳、専業主婦が、自転車で走行中、センターラインオーバーの対向自動車に跳ね飛ばされたもので、被害者には、2級1号が認定されています。

(2)損保の反論
1)被害者は、家事労働について、全年齢平均賃金364万円を基礎として、休業損害および逸失利益を請求しているが、被害者は、64歳と高齢であり、60~64歳の年齢別平均賃金310万円を基礎収入として算定すべきである。

2)被害者の将来介護料は、高額に過ぎる。 被害者は、すでに高齢であり、事故後に要した介護料のすべてが、本件事故によって必要になったものとは認められない。

(3)弁護士の立証
1)⇒弁護士は、

①加害者が飲酒運転をしていたこと、
②事故後の検査で覚醒剤の使用も発覚していること、
③センターラインオーバーという事故態様が悪質であること、
④事故後、現場を走り去ろうとしたこと 上記を指摘し、慰謝料は、増額して3000万円、近親者分として500万円を請求しています。

2)⇒弁護士は、治療先のカルテと看護記録、主治医の意見書、家族の陳述書、後遺障害診断書、頭部外傷後の意識障害の所見、神経系統の障害に関する医学的所見などを証拠として提出し、被害者の運動機能の障害による身の回り動作の能力、高次脳については、認知・情緒・行動障害の内容・程度などを立証し、家族が就労している事実から、職業介護人を利用することを前提として、日額1万2000円、総額5870万円の将来介護料を請求しています。

3)⇒弁護士は、なんらの過失も認められない被害者が、飲酒、薬物を使用してセンターラインをオーバーしてきた自動車に衝突されるという悲惨な事故であることから、本人と家族の無念の情は察して余りあるものであると主張し、被害者は、1人で家族6名の家事すべてを切り回しており、高齢者扱いは不当であることを強調し、女子の全年齢平均賃金364万円を基礎として、休業損害および逸失利益を請求しています。

(4)裁判所の判断
1)⇒裁判所は、悪質な事故態様であることから制裁的慰謝料を加味し、慰謝料は本人分として3000万円、近親者分として500万円を認定しています。

2)⇒裁判所は、被害者の後遺障害の内容と程度、運動機能障害による身の回り動作能力、認知・情緒・行動障害の内容・程度などの諸般の事情を考慮し、職業介護人を利用することを前提に日額1万2000円、5870万円の将来介護料を認定しました。

3)休業損害、逸失利益については、弁護士の主張は認められず、60~64歳の女子年齢別平均賃金310万円を基礎に算定することと判示しています。

4)調整金1190万円を含み、和解金は1億1500万円ですが、自賠責保険金3000万円を加えて1億4500万円の損害賠償が実現しました。

(5)NPOジコイチのコメント
本判例のピンポイントは、被害者と家族のやりきれない思いを、弁護士としていかに晴らしたか?
ここにあります。弁護士が、飲酒、覚醒剤、センターラインオーバーを強く訴えたことで、裁判所の心証も被害者側に傾きました。
結果、症状固定時64歳女性の高次脳2級で、総額1億4,500万円の高額な賠償金を実現することができました。後遺障害慰謝料の基準額が2800万円であるのに対して、悪質性を考慮し、本人分3000万円、近親者分として500万円が認められ、高次脳2級の被害者について、職業介護人による介護を前提に日額1万2000円の将来介護料が認定されたことも、今後の参考となります。

 

 
雑学ロッキー?

エロビデオに、「ロッキー」 のラベルを貼ってごまかしていた。
今では、「ロッキー160」 にまで増えてしまった

 

7/14(火)判例76 下位等級に近接している1級1号?

判例76 下位等級に近接している1級1号?
(高次脳機能障害1級1号 2017年 新潟地裁 和解)
 
(1)概要

女性 専業主婦(事故時44歳、症状固定時46歳) 44歳専業主婦が、自動車を運転し、優先道路を走行中、右方からの加害自動車の衝突を受けたもので、被害者は、高次脳機能障害で1級1号、一眼の失明で8級1号が認定されています。

(2)損保の反論
損保側は、顧問医の意見書を証拠として提出し、被害者は、食事など日常生活動作が比較的自立しており、常時の介護が必要な状態にはなく、自賠責保険では、高次脳機能障害1級1号と認定されているが、その実態は2級に相当する事案であって、将来の介護料も日額9000円を上回ることはない。

(3)弁護士の立証
1)本件は、被害者が、まだ入院中に受任したもので、一眼の失明を除いては、身体的な機能障害に乏しく、治療先で被害者と面談した弁護士でさえ、当初は、等級の見通しが立たない状況でした。
そこで、自賠責保険に対する被害者請求からサポートを開始し、単にADLにとどまらず、IADLにまで範囲を拡げ、丹念な立証を行った結果、自賠責保険調査事務所は、1級1号を認定しました。

2)⇒弁護士は、治療先のカルテと看護記録、主治医の意見書、家族の陳述書、後遺障害診断書、頭部外傷後の意識障害の所見、神経系統の障害に関する医学的所見などを証拠として提出し、高次脳機能障害は、多彩な認知障害、行動障害、人格変化が問題となる後遺障害であり、食事や歩行といったADL=日常生活動作が行えても、これと関連した自己管理を含めたIADL=日常生活関連動作では、自立できていないとして、IADLが、生活を自立していく上で大きな支障となっていることを丁寧に説明しています。
さらに、リハビリ治療の記録を証拠提出し、社会生活適応能力が著しく低下していること、常に、見守りや声掛けが必要であることなどから、自賠認定の別表Ⅰの1級1号は正しく、常時介護の必要性があることを主張し、近親者介護として日額8000円、職業介護として日額1万5000円、総額8345万円の将来介護料を請求しています。

(4)裁判所の判断
1)⇒裁判所は、被害者には、一定程度、日常生活動作の改善が見受けられるが、2級1号に相当するとの損保側の主張は、立証が不十分であり、評価することはできないと、斥けました。
そして、生活全般に渡って介護が必要な状態にあるものと認められるとし、弁護士の主張の通り、近親者介護日額8000円、職業介護日額1万5000円として将来介護料を認めました。

2)調整金2710万円を含め、和解金は1億4700万円ですが、自賠責保険金4000万円、過失相殺の10%は人身傷害保険金1785万円で補い、合計2億0485万円の損害賠償が実現しました。

(5)NPOジコイチのコメント
※ADL(Activities of Daily Living)
日常生活動作と訳され、日常生活を送るために必要な動作のことです。
具体的には、食事、排泄、入浴、整容、衣服の着脱、移動、起居動作などです。

※IADL (Instrumental Activities of Daily Living)
手段的日常生活関連動作と訳され、日常生活を送る上で必要な動作のうち、ADLより複雑で高次な動作のことで、具体的には、買い物、洗濯、掃除など、家事全般、金銭管理、服薬管理、交通機関の利用、電話の応対などです。

本判例のピンポイントは、限界値の対応です。
数多くの高次脳機能障害被害者を担当していると、限りなく2級に近い1級、5級に近い3級など、下位等級に近接している上位等級を経験することがあります。
自賠責保険調査事務所は、有識者の集まる高次脳機能障害委員会で審議されており、重箱の隅をつつくような指摘で、下位等級を認定することはなく、総合的に捉えて判断してくれるので、被害者側としては、限界値ほど緻密に、丹念に立証していくことが求められます。
本件でも、自賠に対する被害者請求の段階から、弁護士が介入して立証をサポートしています。
その経験が、訴訟でもいかんなく発揮され、損保が顧問医の意見書による反論を排斥しています。

注意しなければならないのは、「歩けて、自身で食事もできるのであれば、1級1号はないでしょう?」 このような消極的な判断です。
経験則に乏しい弁護士ほど、このような思い込みに振り回される傾向です。
なんども繰り返していますが、弁護士選びは、慎重でなければなりません。

 

 
雑学青は藍より出でて藍より青し?

染めた青色が、原料の藍よりも青いことから、弟子が師匠より優れている様子をいいます。

 

7/13(月)判例75 1カ所の治療先情報だけで、高次脳が否定される?

判例75 1カ所の治療先情報だけで、高次脳が否定される?
 
(1)概要

12歳、小学校6年生の女児が、徒歩で横断歩道上を横断中、交差道路を直進中の加害自動車に跳ね飛ばされたもので、被害者には、高次脳機能障害で7級4号、外貌の醜状で9級16号、併合6級が認定されています。

(2)損保の反論
1)被害者が、事故直後に入通院した治療先の医療記録では、高次脳機能障害と思しき目立った記載がなされていないこと、さらに、被害者は、事故後も中学校~高校と進学しており、7級4号に該当する高次脳機能障害は認められない。

2)被害者は女性であり、逸失利益算出の前提となる基礎収入は、統計上の女子平均賃金を前提とすべきである。

(3)弁護士の立証
1)⇒弁護士は、当初の治療先のカルテと看護記録、頭部外傷後の意識障害の所見ならびに、転院先のリハビリ病院のカルテ、後遺障害診断書、神経系統の障害に関する医学的所見、家族の陳述書、中・高校の学業成績、中・高の担任教諭の陳述書を証拠として提出し、被害女児が、当初、入通院していた治療先は、その期間も短く、救急医療と保存的加療が中心であったこと、高次脳機能障害に着目した特別な治療は実施されていないことから、本件治療先のカルテのみで、高次脳機能障害を判断するのは、内容が不十分であり、損保の主張には問題があると反論しています。

被害女児は、事故後、中学校や高校において、深刻な注意障害と記憶障害などの症状が顕在化し、それらの症状は、リハビリ病院でも指摘されていることを立証し、医療記録全体や学業成績などの証拠を総合的に勘案するのであれば、被害女児には、7級4号に相当する高次脳機能障害が認められることは明らかであるとしました。

2)⇒弁護士は、逸失利益の基礎収入について、統計上の女子平均賃金は、男女不平等であった過去の実績が反映されており、男子平均賃金と比べて不当に低い金額となっていること、 被害者は、事故当時小学生の年少で、男女雇用機会均等が進んだ昨今、性別を理由に基礎収入を低く見積もることは許されないとして、基礎収入は統計上の男女両方の平均賃金を用いるべきであると主張しています。

(4)裁判所の判断
1)⇒裁判所は、当初の病院のみの情報で高次脳機能障害を否定した損保の主張を不合理であると排斥し、被害女児の高次脳機能障害について、7級4号を認定しました。

2)⇒裁判所は、被害女児の逸失利益の基礎収入については、損保の主張を斥け、最新の裁判実務を考慮すれば、義務教育を終了するまでの女児については、男女の平均賃金を用いるべきとしました。

3)調整金720万円を含み、和解金は4500万円ですが、自賠責保険金1296万円を加え、高次脳7級4号、併合6級では高額の、5800万円の損害賠償が実現しました。

(5)NPOジコイチのコメント
本判例のピンポイントは、過去の判例で説明したものばかりで、特に、ありません。

治療先1カ所だけのカルテなどから高次脳機能障害の存在を否定する?
義務教育を終えるまでの女子の基礎収入について、女子平均賃金を主張する?
いずれにしても、損保側の主張の乱雑さが目立っています。
このレベルの反論しかできないのであれば、初回で白旗を掲げて、和解に応じるべきでした。
それなら、結審も早く、調整金720万円も、いくらか節約できたのです。

交通事故における訴訟解決は、全体の20%少しです。
大半は、損保と被害者の相対交渉で、損保の支払基準をベースとして解決されています。
平均すれば、訴訟基準の2分の1以下の支払で終息しており、損保は潤っているのです。

今後は、弁護士特約の普及もあって、訴訟解決が増えていくものと予想していますが、それには、被害者も、被害者に寄り添う弁護士も、賢く立ち回らなければなりません。

 

 
雑学 ついた餅より、心持?

つきたてのお餅を貰うのは嬉しいが、それよりも嬉しいのはお餅をくれようという心持ちで、餅と持ちをかけて説明していますが、品物全般に使用します。

 

7/10(金)判例74 5000万円の提示額が、裁判で1億2290億円に?

寄り道 追突事故と前方固定術?
 

Q 追突事故で受傷し、頚椎ヘルニアの圧迫による頚髄症となり、6月に前方固定術を受けました。
術後からC5麻痺とのことで、左上肢が上がらず、リハビリでは、MMT 2のレベルです。
左下肢にも力が入らず、リハビリを続けています。
術後、2カ月の経過ですが、いまだ腸骨を採取したところが痛みます。
頚椎の固定術では、このような症状が一生続くのでしょうか?
そして、後遺障害診断書には、上記の症状も記載を受けるべきでしょうか?
最後に、本件で認定される後遺障害等級をお教えください?

NPOジコイチの回答
本件の後遺障害で、自賠責保険調査事務所が注目しているのは、

(1)本件事故の衝撃の大きさ?
ヘルニアは、30歳を過ぎれば、誰にでも認められる年齢変性であり、外傷性所見ではありません。
現に、ヘルニアを有する人の全員が、追突事故で、前方固定術を受けているのではありません。
そして、外傷医学では、椎間板が突出するほどの衝撃が加わると、椎間板が飛び出す前に、椎体骨の脱臼もしくは骨折をきたすと想定されています。
しかし、ヘルニアが存在する部位に、大きな衝撃が加えられたことで、末梢神経損傷をきたし、その結果、前方固定術に発展することは、十分に予想することができるのです。

そこで、事故時の衝撃は、どのようなレベルであったのか?
 これが問題とされるのです。
車VS車の追突事故であれば、物理的全損がそれに匹敵します。

大きな衝撃を受け、受傷直後から脊髄症状を訴えて、2、3カ月以内に固定術がなされたものは、固定術がなされたことを含め、後遺障害の対象となります。

※椎間板ヘルニア
椎体関節のクッションの役目を果たしている椎間板は、年齢と共に水分を失い、乾燥し痩せてきます。 それにより、椎間板の中心部分の髄核が左右もしくは真後ろに流れ出てくることがあるのです。

突出した髄核が左右の末梢神経や真後ろの脊髄を圧迫していることを、椎間板ヘルニアと呼びます。
骨棘や椎間板ヘルニアは、30歳以上であれば、誰にでも認められる年齢変性です。
椎間板ヘルニアが、脊髄を圧迫しているときは、左右両上肢に症状が出現することになります。

(2)年齢に相応した変性なのか、もしくは疾患に該当するものであるかの見極め?
先に、衝撃の大きさを取り上げましたが、今回は、年齢変性の度合いです。
ヘルニアや骨棘は、年齢変性ですが、変性の度合いは、被害者によってマチマチです。
それぞれの年代に相応した変性であれば、それが問題視されることはありませんが、年代を飛び越える大きな変性は、疾患として位置づけられることがあります。

誰が考えても、小さな衝撃で、固定術に発展したときは、年齢変性のレベルが議論されます。
それが、疾患と判断されたとき、後遺障害等級は、非該当もあり得る14級9号で、固定術の費用も負担されません。逆に、大きな衝撃で固定術が実施されたときは、後遺障害等級は、通常通り、認定されますが、損保との示談協議では、素因による減額がテーマとして浮かび上がってきます。
代表的な疾患としては、頚椎症性脊髄症があります。

(3)後遺障害のポイント
1)後遺障害を申請する前段階で、本件事故の衝撃の大きさを立証しておくことです。
事故発生状況は、検察庁で刑事記録を回収し、交通事故現場見取図と実況見分記録で、自車の損害は、事故車の写真と修理見積書、そして物損の示談書を添付して立証することになります。
誰が見ても小さな衝撃では、後遺障害を諦めることになります。

2)次ぎに、事故後に撮影された頚部MRIについて、主治医に画像所見の細かい説明を依頼し、年齢に相応した変性であるときは、その内容を記した診断書の作成をお願いし、回収しておきます。

年齢相応を飛び越え、疾患に近いと診断されたときは、他の医大系の脊椎・脊髄外来を受診し、専門医にセカンドオピニオンを求め、ここでも疾患と診断されたときは、衝撃が大きくても、民法722条2項が類推適用され、素因減額の対象となります。
後遺障害等級も、それらにより、薄められることが予想されます。
事前に判明したことは、その通りに説明し、訴訟においても、被害者に、覚悟を促しています。

※最高裁 S63-4-21判決 素因減額
「素因減額とは、被害者に実際に生じた損害が、その事故によって通常発生するであろうと考えられる損害の程度と範囲を逸脱している場合に、その損害拡大が被害者自身の心因的要因や事故前からの基礎疾患に原因があると認められるときは、その拡大損害部分については被害者の自己負担とし、賠償の対象としないものとする。」

NPOジコイチに相談すれば、チーム110のスタッフが、専門医の受診を含めたサポートを行います。

3)衝撃が大きく、年齢に相応した変性であることが立証できていれば、そして、事故前に症状がなく、通常の社会生活をしており、頚椎症で通院歴などがなければ、事故後の症状は、事故受傷を契機として発症したと捉えられるので、怖いものはありません。

医学では、脊椎の年齢変性は、一定の年齢に達すれば誰にでも認められるもので、特徴であって、疾患、つまり病気ではないと断言しており、さらに、東京・名古屋・大阪の3地方裁判所は、年齢相応の変性は、素因減額の対象にしないと合議しているのです。 医師と裁判官が、言い切っているのですから、被害者は、堂々としていればいいのです。

固定術となれば、診断書に記載される傷病名は、変形性頚椎症もしくは頚椎症性脊髄症となり、そうなると、ほとんどの損保は、事故ではなく、年齢変性を原因としたものと主張し、入院による固定術などの費用負担を拒むことがあります。被害者の腸は煮えくりかえるのですが、争っている局面ではありませんから、ここは、ぐっと堪えて、健保の適用で手術を受けることになります。

3)後遺障害等級は、2つの方向から審査され、いずれか上位の等級が認定されます。
①前方固定術に伴う脊柱の変形と捉えるのであれば、11級7号、腸骨の変形が裸体で確認できるときは、12級5号、併合10級が認定されます。

②本件では、C5麻痺があり、左上・下肢に脊髄症状が認められています。
これらの症状が、術後6カ月を経過しても残っているときは、脊髄症状による神経系統の機能の障害として後遺障害の審査を受けることになり、残した症状は、MRI画像、神経学的検査、脊髄症状判定で立証することになりますが、9級10号、7級4号の選択になることを予想しています。

(4)さて、質問に戻ります。
本件の症状固定は、今月末ではなく、術後6カ月の経過で決断することになります。
左上肢の症状は、今後のリハビリで、どこまで改善が得られるか? ここがポイントになります。
リハビリを続けても、遺残した症状は、「脊髄症状判定用」 に記載を受けて立証することになります。

MRIを拝見しておらず、左下肢の脱力感には、踏み込んだ説明ができません。
腸骨から骨採取がなされており、現時点では、骨盤骨の一部に変形が認められる状況です。
整形外科の常識では、骨膜を温存しつつ、骨採取がなされており、変形した腸骨は、5年も経過すれば、新しい骨形成で、ほぼ、元通りとなります。
したがって、骨採取部の痛みは、一過性のもので、その内に改善してきます。
このことを理由として、労災保険では、骨採取に伴う腸骨の変形は、後遺障害の対象ではありません。

後遺障害診断書には、MRI所見の記載を受けます。
特に、C5/6の末梢神経の圧迫、損傷などについては、詳細な記載をお願いする必要があります。
入念な頚部神経学的検査で、自覚症状を裏付けることも必要です。
左右の上腕、前腕の筋萎縮検査、深部腱反射検査の記載は絶対に必要です。

腸骨の変形は、骨採取後のXPフィルムの提出で、変形を立証します。
腸骨部の疼痛は、記載を受けても後遺障害の対象ではありません。
腸骨の変形で12級5号が認定されると、痛みは、それに含まれます。

※骨膜とは?

骨は、骨膜と骨質、そして骨髄の3つで成り立っています。
骨膜は、骨の表面を覆う、白色の膜で、血管や神経が豊富に存在しており、骨の成長や再生などに大きな影響を与えます。このため、骨膜は、豊富な血管とこれらの細胞とともに、骨の形成や骨損傷の際の修復に、重要な役割を果たしており、骨折の形成術では、骨膜の処置が慎重に行われています。

なお、関節面には骨膜はなく、関節軟骨で保護されています。

 

 
ジョークハイは、1回?

母親に怒られているガキが、「ハイ、ハイ」 と答え、「ハイは、1回でしょ!」 と怒鳴られた。
「大事なことなので、2回、言いました!」 くちごたえして、しばかれていた。

 

7/9(木)判例74 5000万円の提示額が、裁判で1億2290億円に?

判例74 5000万円の提示額が、裁判で1億2290億円に?
(高次脳機能障害2級1号 2016年 さいたま地裁 和解)
 

(1)概要
58歳男性会社員が、自転車に乗り、交差点中央付近を通過して右折しようとしたところ、後方から追い抜こうとした加害自動車に跳ね飛ばされたもので、被害者には、高次脳機能障害で2級1号が認定されています。

(2)損保の反論
被害者の高次脳機能障害は改善しつつあり、将来介護費用は、日額5000円が限度である。

(3)弁護士の立証
1)⇒弁護士は、主治医の意見書、家族の陳述書を証拠として提出し、被害者には、社会的行動障害が顕著であり、意欲の低下、易怒性、自傷行為などを起こすこと、また、対人関係を維持することができない、子どもっぽく、羞恥心の欠如が見られ、こだわりも強いなどがあって、家族が、いっときも目を離すことができない状況にあることを立証し、損保の改善しつつあるとの主張について、根拠のないものと強く反論しています。その上で、将来介護費用として、主として介護を担う妻が67歳になるまでは日額8500円、67歳以降は日額1万3000円として、5340万円を請求しています。

2)⇒被害者過失40%については争いがなく、訴訟提起の前に、被害者が加入している人身傷害保険に先行請求し、4990万円を回収しています。
過失相殺分は、4830万円でしたが、人身傷害保険の求償請求に応じたのは、160万円です。
これが、人身傷害保険に対する先行請求のマジックです。

(4)裁判所の判断
1)⇒裁判所は、被害者の高次脳機能障害は、2級1号に該当すること、とりわけ、社会的行動障害、いわゆる人格変化の症状が顕著であり、介護を担う者の肉体的・精神的負担は非常に重いとして、弁護士の請求通り、5340万円の将来介護料を認定しました。

2)調整金1210万円を含み、和解金は7300万円ですが、人身傷害保険金4990万円を加え、1億2290万円の損害賠償が実現できました。その他に、成年後見報酬320万円、近親者慰謝料150万円が認められています。

(5)NPOジコイチのコメント
1)本判例のピンポイントは、社会的行動障害、つまり、性格変化の立証です。
性格変化は、神経心理学的検査で、客観性を立証することができません。
最近、SDS、MMPI、POMS2などが試験的に実施されていますが、まだ、メジャーではありません。
NPOジコイチでは、家族の食後の団らん風景をビデオ撮影することで、立証に成功してきました。
家族全員が集まり、被害者を囲んで、夏のキャンプや冬のスキーなど、楽しい思い出を語らいます。
リラックスしたところで、少しずつ事故後の話しに誘導していくと、被害者には、以下①~⑥に掲げる異常が出てくるのです。
2時間程度を収録し、15~20分に編集してテロップを入れれば完成します。

①意欲の低下、易疲労性
自発的な行動がなくなり、無気力症で、無為な生活を続けます。
②情動、易怒性
いつも、なにかイライラしています。
なんでもないことで、興奮し、キレて、激昂することがあります。

こだわりが強く、情緒が不安定で、自己中心的、突然、暴力的になります。
カッターで手首を切るなどの、自傷行為を起こすこともあります。
③対人関係
相手の気持ちや意図を察することや共感することができません。
人間関係を保つ基本能力が低下し、良好に維持することができません。
状況や言外の意味が分からず、表面的で字句通りに受け取ってしまう。
相手の反応に構わずに話してしまう。
失語症との関わりがありますが、意思の疎通がうまくできない。
会話について行けなくなる。
④依存
子どもっぽくなり、なんでも人に頼る気持ちが強くなります。
羞恥心がなくなり、暑ければ、他人の前でも、平気で裸になってしまう。
⑤固執
手順が決まったことはできるが、1つのことにこだわり、切り替えがきかなくなります。
融通が利かず、臨機応変な行動・対応ができません。
こだわりが強く、周囲は、柔軟性がなくなったと感じます。
過剰な正義感や正論を振りかざし、トラブルに巻き込まれることがあります。
必要のないものを大量に購入します。

注意、記憶、遂行機能では、神経心理学的検査によって、レベルを測定できたのですが、社会的行動障害、つまり性格変化は、神経心理学的検査で測定することができません。
主治医が診断してくれればベストですが、退院後、月に1回、それも5分あるかないかの診察では、被害者は、緊張しつつも、気づきの障害で平静を装っており、社会的行動障害の馬脚を現しません。

2)本件では、長男が、相手損保と示談交渉を行い、5000万円の示談額が提示されていました。
事故以来、母親は、夫の介護につきっきりであり、夫を家に残して買い物にも出掛けられない日々が続いており、これからのことに不安を感じた長男が、セカンドオピニオンを求めて弁護士事務所を訪問し、受任となりました。結果、5000万円の提示額が、裁判で2倍を超える1億2290億円となったのです。

 

 
ジョーク無人島?

ある男が、無人島に漂着した。
男は、浜辺に大きくSOSと書いたが、何日経っても、助けは来なかった。
あるとき男は、SOSの隣に、大きくミッキーマウスの絵を描いた。
1時間ほどすると、ディズニーが著作権料を取りにやって来た。

 

7/8(水)判例73 76歳専業主婦で1億1200万円の損害賠償が実現?

判例73 76歳専業主婦で1億1200万円の損害賠償が実現?
(高次脳機能障害2級1号 2016年 さいたま地裁 和解)
 
(1)概要

76歳の専業主婦が、自転車で横断歩道上を走行中、対向右折の加害自動車に跳ね飛ばされたもので、被害者には、高次脳機能障害2級1号が認定されています。

(2)損保の反論
将来介護料については、日額1万円程度を目安に算定すべきである。

(3)弁護士の立証
1)⇒弁護士は、主治医の意見書、家族の陳述書を証拠として提出し、自力歩行がままならない身体的機能障害に加えて、認知障害、行動障害、易怒性などの人格変化が認められることを立証し、将来の介護料として、日額1万3000円、総額で4670万円、また、建築設計事務所の意見書と見積書を証拠として提出し、介護住宅への改造費として295万円を請求しています。

2)過失割合では、5:95で、損保との争いはありません。

(4)裁判所の判断
1)⇒裁判所は、歩行障害、人格変化などに注目し、弁護士の立証を認め、将来の介護費用については、日額1万3000円、総額4670万円、介護住宅の改造費についても、弁護士の主張通り、295万円を認定しています。

2)調整金1770万円を含み、和解金は8400万円ですが、自賠責保険金の2810万円を加え、1億1250万円、非常に高額な損害賠償が実現できました。

(5)NPOジコイチのコメント
1)本判例のピンポイントは、緻密な立証で将来介護料を獲得したことですが、緻密で丁寧な立証は、いつものことですから、特記すべきものでもありません。

2)本件の被害者では、家族が損保と交渉し、ほぼ自賠責保険範囲内の、2950万円が提示されていたのですが、この示談額に納得できない被害者の家族は、セカンドオピニオンを求めて、本件の弁護士事務所を訪問、受任となったものです。
その結果、提示額の3.5倍以上である1億1250万円の損害賠償を実現することができました。

損保は、支払者側であり、家族との相対交渉では、力のある弁護士が裁判で獲得損害賠償額と比較すると、交渉力のある被害者であっても、50~60%程度しか提示してこないことがほとんどで、お話になりません。

3)ここに登場されているすべての被害者は、高次脳機能障害という重い十字架を背負った、大変お気の毒な被害者ではありますが、優れた弁護士の立証活動により、過失の有無に関係なく、損害賠償面においては、無念を晴らすことができたPrivileged Class、Upper Classの被害者です。

日本では、アメリカほどの訴訟社会ではありませんが、交通事故においては、弁護士特約の普及もあって、訴訟社会に近づきつつあります。
被害者が目指すべきは、間違いのない後遺障害等級の獲得と裁判所における優れた立証です。
それらを実現するために、NPOジコイチは、ネットで情報発信を続けているのです。
皆様も、この流れに、乗り遅れることがあってはなりません。
等級の獲得はチーム110に、裁判での立証は、連携の経験則豊かな弁護士にお任せください。
まずは、フリーダイアル0120-716-110 に相談することから始めてください。

 

 
ジョークねずみ取り?
ああ・・・今日は、なんだかバタバタして 鉢植えのジャスミンに霧吹きで湿り気をやっていたつもりが、 気がつくと持っていたのはファブリーズのボトルだった?

心なしか、香らなくなったような気がする?

 

7/7(火)判例72 幼児の不憫さ、両親や祖母の無念をどう晴らすか?

判例72 幼児の不憫さ、両親や祖母の無念をどう晴らすか?
(高次脳機能障害・脊髄損傷1級1号 2016年 千葉地裁 和解)
 
(1)概要 受傷時1歳 固定時8歳・男性

1歳の幼児(男の子)が、道路を横断歩行中、直進加害自動車が跳ね飛ばしたもので、男の子には、高次脳機能障害と横断型頚髄損傷で1級1号が認定されています。

(2)損保の反論
1)事故態様について、被害者の飛び出しは、1mの高さの垣根があることから予測できなかったとして無過失を主張、仮に、加害者に過失があるとしても、被害者は、道路を渡り、祖母の元へ駆け寄ったのであり、祖母を含めた家族の監督責任違反が、大きいとして相当な過失相殺がなされるべきである。

2)将来の介護費について、実際に、公的給付を利用しているのであり、その部分は将来分についても損害賠償額から控除すべきである。

(3)弁護士の立証
1)⇒弁護士は、本件事故の過失割合について、事故現場を検証し、刑事記録を分析した上で、
①損保が主張する、視界を遮る垣根などは、存在していないこと、
②そもそも、当時、1歳の男の子が過失を理解し、それを問うことができるのか?
③祖母の監督責任については、祖母は当時、男の子の面倒を見ていたのではないこと、
④祖母は、親族ではあっても、同居して生計を同一にしていないこと、
以上により、損保の無過失の主張は、理論的に破綻していることを、細かく立証しています。

2)⇒弁護士は、脳神経外科と整形外科主治医の意見書、家族の陳述書を証拠として提出し、被害者の男の子は、高次脳機能障害だけではなく、重度の頚髄損傷に伴う四肢体間麻痺を併発しており、これによって被害者のために必要となる介護体制がどのようなものになるかを緻密に立証し、症状固定までの付添看護料を2000万円、職業介護人併用による将来の介護料として、1億2400万円、介護雑費を含む関係費用として1000万円、建築設計事務所の改造住宅の意見書を証拠として提出し、住宅の改造費1050万円を請求しています。

⇒弁護士は、損保の公的給付分を控除すべきとの主張に対しては、
①公的給付は、被害者の福祉の充実を図る目的で支出されており、損益相殺の対象にならないこと、
②国の財政事情もあり、将来の長きにわたって、現在と同一の公的給付がなされる保証がないこと、
③それらの事情から、これまでの多くの裁判例でも、公的給付の控除が、否定されていること、
以上の事実から、加害者は、全額賠償義務を負わなければならないと強く指摘しています。

(4)裁判所の判断
1)⇒裁判所は、損保の免責主張を排斥し、被害者の過失を0%と認めました。

2)⇒裁判所は、弁護士の請求の通り、症状固定までの付添看護料としては、日額7500円で、2000万円を、将来の介護料については日額2万7000円、総額1億2400万円を、住宅改造費として1050万円を認定しました。

3)症状固定までの付添看護料2000万円、将来の看護料1億2400万円、住宅の改造費1050万円、 介護関係費用1000万円、慰謝料3300万円、近親者慰謝料700万円、事故受傷から7年を経過しての症状固定であり、調整金は、1億4950万円、これを含む和解金は3億7000万円ですが、自賠責保険金4000万円を加え、4億1000万円の高額損害賠償が実現できました。

(5)NPOジコイチのコメント
1)本判例のピンポイントは、弁護士として、いたいけない1歳の幼児の不憫さ、両親や祖母の無念について、どのように緻密に立証して晴らすか! ここにあります。

その意気込みは、過失割合の立証においても、際立っています。
視界を遮っていた垣根が、実際は、存在していなかった?
このことは、裁判所で虚偽の説明をしたことになり、損保側の大失態です。
なぜなら、損保側弁護士が、事故現場に足を運ぶことはなく、すべての案件で、損保から提供された刑事記録を参考に、保険調査員のレポートを鵜呑みにして推測しているに過ぎないからです。

本件では、1歳の幼児ですから、家族には、監督責任が問われますが、同居しておらず、たまたま訪問した祖母に、どのような監督責任を求めるのか? この点も、弁護士は、厳しく追及しています。

2)被害者である1歳の幼児は、高次脳機能障害と頚髄損傷で、ほとんど寝たきり状態です。
傷病名と認定等級が1級1号ですから、これだけでも、重症度が判断できます。

しかし、弁護士は脳神経外科と整形外科の主治医に意見書を求め、カルテ、看護記録、後遺障害診断書、頭部外傷後の意識障害所見、神経系統の障害に関する医学的所見、脊髄症状判定などを総動員し、さらに、家族の陳述書を証拠として提出し、具体的な被害者の後遺障害の内容と程度、そのために必要となる介護と、実際に、家族が行っている介護の内容を詳細かつ、適切に、立証しているのです。
文章で説明すると簡単に見えますが、やはり、経験則を積み上げた弁護士のノウハウが詰まっており、弁護士なら、誰にでもできることではありません。

 

 
ジョークねずみ取り?
新米警官が、スピード違反の車を捕まえた。
「50kmオーバーですな、免許証を拝見します。」
「そんなの持ってないよ、昔っからな、」
「なんだと、無免許運転・・・これはあんたの車なのかね? 車検証を見せてもらおう。」
「いいや、盗んだ、車検証なら、ダッシュボードの中にあったな、さっき、拳銃をしまったときに見た。」
「なに、拳銃だって、あんた、拳銃を持っているのか?」
「ああ、車の持ち主の女を殺すのに使った!」
「な・・・なんだとぉ!」
「死体は、トランクに入れといたよ。」
若い警官は真っ青になって、無線で応援を呼び寄せた。

30分後、駆けつけたベテランの警官に、男は尋問されていた。
「まず、無免許運転だそうだが?」
「免許証は、ここにちゃんとあります。」
「・・・車を盗んで、拳銃がダッシュボードにあるそうだが?」
「とんでもない!ダッシュボードの中は車検証しかないし、名義も私の免許証と同じでしょう?」
「うーむ、トランクに死体があると聞いたんだが?」
「そんなバカな、今、トランクを開けますから見てください、ほら、空っぽじゃありませんか、」
「おかしいなぁ、新米のやつは、君が無免許運転で、車の窃盗、拳銃がダッシュボードにあって、死体がトランクにあると言っていたんだが・・・?」
「とんでもない嘘つきですね。もしかして、私がスピード違反だとも言っていませんでしたか?」

 

7/6(月)判例70 現実収入は僅かな減収であり、労働能力喪失率は30%とすべき?

判例71 内縁関係が争われる?
(高次脳機能障害1級1号 2016年 横浜地裁 和解)
 

(1)概要
39歳の兼業主婦が、道路を横断歩行中に自動車に跳ね飛ばされたもので、被害者には、高次脳機能障害で1級1号が認定されています。

(2)損保の反論
1)事故現場は道幅の広い幹線道路であり、被害者には、突然に飛び出した事実が認められるから、被害者の過失は40%を下回らないというべきである。

2)被害者は、事故以前に、内縁の夫のために家事労働に従事していたと主張しているが、同人が内縁の夫であるとは認めることができない。
また、仮に、事故当時は内縁の夫であったとしても、その関係は流動的であって、事故がなければ、将来継続的に内縁関係を継続し、家事に従事していたとは認められないので、兼業主婦ではなく、事故前年の収入240万円を基礎に休業損害、逸失利益を算定すべきである。

3)重篤な被害者の介護としては、施設に入所させる方が、充実した介護を期待できるが、あえて、費用の高い在宅介護を選択することは、被害者の自由であるとしても、その在宅介護の費用を加害者が負担しなければならない謂われはない。

(3)弁護士の立証
1)⇒弁護士は、本件事故の過失割合について、事故現場を検証し、刑事記録を分析した上で、被害者の飛びだしを認めるも、加害者にも、前方不注視により、被害者の発見が遅れた過失が認められるところから、被害者の過失は30%が相当であると反論しています。

2)⇒弁護士は、町内会長の陳述書を証拠として提出し、婚姻届は提出されていないが、夫婦として生活しており、家計も同一にしていること、町内の誰もが、2人を夫婦と認めていることなどから、被害者は、実質的にも内縁の妻であり、兼業主婦であるので、逸失利益の基礎収入は、女性の平均賃金350万円を基礎収入として積算されるべきであると主張しています。

3)⇒弁護士は、主治医の意見書、家族の陳述書を証拠として提出し、被害者の現況を立証した上で、被害者の在宅介護を担っているのは、65歳の母親であって、介護の内容は、常時2名以上の者で行う必要があるほどその負担は重く、また、近い将来、主たる介護者である被害者の母が高齢となり、すべてを職業介護人に頼らざるを得なくなると、現在よりも介護費用が高額になることが見込まれるとして、母親が67歳までは、日額1万7000円、67歳以降は、日額2万円の介護料を請求しています。

(4)裁判所の判断
1)⇒裁判所は、過失割合について、加害者にも著しい前方不注視のあったことを指摘し、被害者の過失は30%が相当であるとしました。

2)⇒裁判所は、被害者が内縁ながらも、就労しながら家事を行っていた兼業主婦であることを認め、逸失利益の積算では、女性の平均賃金350万円を基礎収入とすることを認めています。

3)⇒裁判所は、在宅介護の必要性を認めましたが、将来的には、被害者が介護施設に入所する可能性も否定できず、それらの事情を考慮するのであれば、将来介護料については、日額1万7000円が相当であるとし、総額で1億0970万円を認定しています。

4)調整金4070万円を含み、和解額は1億5000万円ですが、自賠責保険金4000万円、人身傷害保険金6000万円を加えると、総額で2億5000万円の損害賠償が実現できました。

(5)NPOジコイチのコメント
1)本判例のピンポイントは、内縁関係です。

※内縁とは?
事実上は同居して婚姻関係にありながら、婚姻届を出していないために法律上の夫婦とは認められない男女の関係をいいます。
 (出典:デジタル大辞泉/小学館) 婚姻届は提出していないが、夫婦として生活している男女のことです。

※内縁関係の証明に必要な条件は?
①2人が、婚姻の意思を持って夫婦共同生活を営んでいること
②婚姻の届出はしておらず、法律上は夫婦として認められない
③社会的に、2人が夫婦と認められていること

例えば、同居期間が3年であっても、他人に彼女と紹介し、互いの財布も別にしていれば、それは恋人であって、内縁の妻とはいえません。
また、同居期間は、僅か1カ月ですが、結婚式を挙げており、他人に妻であると紹介し、家計も同一にしているのであれば、それは内縁の妻といえるのです。

※重婚的内縁とは?
重婚的内縁とは、すでに法律婚をしている相手がいながら、別の人と事実婚状態にある状況です。
現行法では、重婚を禁止しており、
重婚的内縁の妻は、内縁の妻としての権利を有しません。

NPOジコイチでも、重婚的内縁の妻を経験したことがあります。
17年間も同居し、2人の間には、高校生になる娘も生まれているのですが、妻には、戸籍上の夫が存在しており、内縁関係を立証することができません。

女性は、現在、同居している男性の中古車販売業を手伝っており、事故前の年収が220万円でした。高次脳機能障害で7級4号が認定されたのですが、主婦としての逸失利益の請求は断念することになり、逸失利益の基礎収入は、年収220万円で請求しています。

2)本件では、主として、被害者の介護を行うのが、65歳の高齢の母のみの状況であり、そのため、入院していた病院関係者からも、在宅介護が難しいのではないかとの指摘を受け、そのことを察知した損保側からも、より費用が安くて済む、施設介護とすべきであると主張されています。
残念なことに、それらの事情が、裁判所でも考慮され、「将来的には、被害者が介護施設に入所する可能性を否定できない?」 との判決につながりました。

しかし、在宅介護において、家族が常に寄り添うことが、最善の介護であって、施設介護と比較したとき、感染症の防御や意識の回復を含め、その後の被害者の回復経過が全く別物となります。
さらに、在宅介護では、職業介護人を利用することが可能で、その費用を賠償金として請求することができるとともに、介護保険などの公的支援もあり、充実した介護体制を整えることが可能となります。

 

 
ジョーク中高年の副作用?
景気は不安定、生活不安定、おまけに、天気まで不安定、
安定しているのは、奥様の体重だけ、
妻はエステに通い、旦那はゴミ捨てに通う、風呂から上がれば、妻は脱毛、旦那は育毛、

昔、燃えてた夫婦も、今じゃ、不燃物です。
(綾小路 きみまろ)

 

7/3(金)判例70 現実収入は僅かな減収であり、労働能力喪失率は30%とすべき?

判例70 現実収入は僅かな減収であり、労働能力喪失率は30%とすべき?
(高次脳機能障害9級10号 併合8級 2015年 福岡地裁 和解)
 

(1)概要

34歳男性会社員が、バイクで走行車線を直進中、追い抜き車線を走行中の先行加害自動車が、被害バイクを見落とした状態で、急激に進路を変更したことにより、被害者が衝突したもので、被害者には、高次脳機能障害9級10号、両目半盲症9級3号、併合8級が認定されています。

(2)損保の反論
事故前後の給与を比較して6%程度の減収に留まっており、労働能力喪失率は30%を超えないと主張しています。

(3)弁護士の立証
1)⇒弁護士は、カルテ、看護記録、後遺障害診断書、頭部外傷後の意識障害についての所見、神経系統の障害に関する医学的所見、家族および職場の上司の陳述書などを証拠として提出、被害者には、高次脳機能障害による注意障害、記憶力の低下や、易疲労性による集中力の低下が見られ、両眼の半盲によって自動車の運転ができないなどの支障が生じていることを立証しています。

2)⇒弁護士は、勤務先の配慮や同僚の援助により、被害者の収入が、ある程度維持されているが、勤務先は、中小企業であり、将来にわたって、これらの配慮が継続される可能性が低いこと、 また多くの裁判例において、現実に減収が生じていなくても、失われた労働能力に対しては基礎収入をベースに等級基準どおりの喪失率が認められていることを主張しています。

(4)裁判所の判断
⇒裁判所は、弁護士の主張を認め、労働能力喪失率を8級の基準通り、45%と認定しています。

2)調整金890万円を含め、和解額は3600万円ですが、自賠責保険金820万円、人身傷害保険金990万円を加えると5410万円の損害賠償が実現しました。

(5)NPOジコイチのコメント
本判例のピンポイントは、逸失利益における労働能力喪失率です。

自賠法では、後遺障害等級ごとに、労働能力喪失率が決められており、例えば、高次脳で9級10号であれば、喪失率は35%とされています。
本来、逸失利益は、単なる収入の差額を保証するだけでなく、その被害者が喪失した労働能力に対する賠償を行うべきものですが、現実の裁判では、交通事故がなければ、被害者が得られたであろう収入と、事故後に現実に得られる収入との差額を損害とする、差額説を前提としつつ、現実に収入の減少がなくても、交通事故により労働能力が低下したこと自体が損害だとする、喪失説を加味した考え方を採用しているのです。

※最高裁判例 S56-12-22 民集35巻9号 1350ページ 仮に、交通事故の被害者が事故に起因する後遺症のために身体的機能の一部を喪失したこと自体を損害と観念することができるとしても、その後遺症の程度が比較的軽微であって、しかも被害者が従事する職業の性質からみて現在または、将来における収入の減少も認められないという場合においては、特段の事情のない限り、労働能力の一部喪失を理由とする財産上の損害を認める余地はないというべきである。

後遺症に起因する労働能力低下に基づく財産上の損害があるというためには、例えば、事故の前後を通じて収入に変更がないことが本人において労働能力低下による収入の減少を回復すべく特別の努力をしているなど事故以外の要因に基づくものであつて、かかる要因がなければ収入の減少を来たしているものと認められる場合とか、労働能力喪失の程度が軽微であっても、本人が現に従事し、または将来従事すべき職業の性質に照らし、特に昇給、昇任、転職等に際して不利益な取扱を受けるおそれがあるものと認められる場合など、後遺症が被害者にもたらす経済的不利益を肯認するに足りる特段の事情の存在を必要とするというべきである。

上記の判例によれば、弁護士は、後遺障害が認められていても、現実の減収がなく、事故前の収入を維持しているとき、後遺障害を理由とする将来にわたる逸失利益を請求するには、被害者に不利益が生じる可能性がある以下①~⑦の、特別の事情があることを具体的に立証しなければなりません。

①日常生活上、どのような支障が生じているか?
②実際の仕事において、どのような支障が生じているか?
③被害者が、仕事上、早出・残業、仕事の持ち帰りなど、どのような努力をしているか?
④勤務先が、被害者に対して、どのような配慮をしているのか?
⑤勤務先の規模、事業が将来にわたって存続する可能性は?
⑥被害者が、現在の仕事を将来の長きにわたって、継続することができるのか?
⑦将来の昇進・昇任・昇給などにおいて、具体的にどのような不利益を受けるおそれがあるか?

 

 
ジョーク信心過ぎて、極楽を通り越す?

信心も、度を越すと、害をもたらすといいます。
私は、人間、死ねば土になると、真剣に思っています。
クリスマスはキリスト教、盆と葬式は大体仏教、正月は神道で、そう考えれば、高校は平安で西本願寺、大学は同志社でプロテスタントとバラバラでした。
「信心を通り過ぎて、地獄・極楽関係なし。」 これが私の心境です。

 

7/2(木)判例69 若年者の高次脳機能障害は、症状固定をいつにすべきか?

判例69 若年者の高次脳機能障害は、症状固定をいつにすべきか?
(高次脳機能障害5級2号 2015年 名古屋高裁 判決)
 

(1)概要

小学校4年生の女児が、横断歩道を歩行中、右方から直進中の加害自動車がこれを見落とし、跳ね飛ばしたもので、被害者には、5級2号が認定されています。

(2)損保の反論
1)自賠責保険調査事務所の5級2号の認定に対し、後遺障害診断は時期尚早であり、これから回復していくことを考えれば、等級は、一般就労が可能な9級10号、あるいは7級4号と評価すべきである。

2)横断歩道上の事故ではあるが、被害者に、左右の不注視と飛び出しがあったとして15%の過失相殺を行うべきである。

(3)弁護士の立証
1)⇒弁護士は、主治医の意見書、家族と中学校の担任教諭の陳述書、小・中学校の成績表を証拠として提出し、主治医が高次脳機能障害と診断した具体的な理由を明らかにすると共に、中学生に進級した現在においても、両親や教員から、学習面・生活面のフォローを受けてきたにも関わらず、小学校4年生から学力や精神年齢などの発達が僅かにしか見られない状況であることを立証し、「回復途上にある?」 との損保側の主張を合理的に否定した上で、自賠責保険調査事務所が認定した5級2号が相当な等級であると主張しています。

2)⇒弁護士は、事故現場を検証、刑事記録を分析し、横断歩道上の歩行者は、絶対的な保護を受けるものであって、被害者の存在を見落としている重度の前方不注視がある加害者について、過失相殺は認めるべきではないと主張しています。

(4)裁判所の判断
1)⇒裁判所は、第一審では和解案の時点から全面的に弁護士の主張を採用し、第一審判決・控訴審判決ともに、被害者の高次脳機能障害を5級2号と認定しました。

⇒裁判所は、第一審・控訴審ともに、被害者の過失は0%であると判示しています。

3)遅延損害金1670万円を含め、判決額は8445万円ですが、自賠責保険金1574万円を加えると1億0019万円の損害賠償が実現しました。

(5)NPOジコイチのコメント
1)本判例のピンポイントは、「若年者の高次脳機能障害は、症状固定をいつにすべきか?」 です。

確かに、若年者では、年長者と比べても高次脳機能障害について回復する傾向にあることから症状固定の判断は、2年近くの経過をみて判断することが相当であると考えられています。

ところが、子どもの高次脳機能障害などの専門医である橋本 圭司先生は、発達途上の子どもは、ちょっとした風邪でも、髄膜炎を併発するなど、よく病気をすること、高次脳機能障害を改善させる積極的なリハビリ治療は完成しておらず、経過観察がなされているに過ぎないことから、症状固定は早いほうが望ましいとの意見を述べられています。

※橋本 圭司 医師
前 国立成育医療研究センター医療安全管理室長
現 はしもとクリニック経堂 院長

一般的には、わが子の交通事故では、多くの親は、さらなる回復を強く期待して、症状固定を遅らせ、後遺障害の適正な診断を受ける機会を逸する傾向が認められます。
確かに、わが子の障害を認めてしまうのは、苦渋の決断ではありますが、早い段階から専門医による適切な診断を受け、立証作業に入り、医療上の援助を受けることは、子どもにとっても良い結果を得ることができるのです。
以上から、NPOジコイチは、子どもの高次脳機能障害の症状固定時期については、専門医の診断に委ねるべきと考えています、

2)本件においても、損保側は、被害者が、ソフトボール部に所属していることなどを指摘、相当程度回復しているのであり、高次脳機能障害の程度は5級2号を下回ると主張しています。
これに対して、弁護士は、現在の担任教諭、部活の顧問教諭から、現状を聴き取り、証人出廷をお願いしています。
結果、裁判所においても損保側の主張は排斥されました。

 

 
ジョーク鯉の一跳ね?

まな板に乗った鯉は、一度だけ跳ねるのですが、その後は全く跳ねません。
最後の段階の諦めのよさと、潔さのことを意味しています。

 

7/1(水)判例68 7級4号で将来の介護料が認められる?

判例68 7級4号で将来の介護料が認められる?
(高次脳機能障害7級4号 併合6級 2015年 大津地裁 和解)
 

(1)概要

19歳、女性派遣社員が、原付バイクで直進中、道路前方を走行中の加害自動車が、路外のガソリンスタンドへ入ろうと急に左折したため、これを避けることができず、衝突したもので、高次脳機能障害7級4号、嗅覚の脱失で12級相当、併合6級が認定されています。

(2)損保の反論
1)被害者が事故直後に搬送、入院した病院では、高次脳機能障害の診断がされておらず、被害者に本件事故による脳障害は認められない。

2)被害者は、退院後、一時期アルバイトではあるが就労しており、また結婚・出産を経験して、周囲とコミュニケーションをとり、自ら育児に努めたりしているのであり、やはり、被害者には、高次脳機能障害は存在していない。

(3)弁護士の立証
1)⇒弁護士は、診断書および画像所見、頭部外傷後の意識識障害の所見などを提出し、被害者が、救急搬送され入院治療を受けた病院でも、脳挫傷と診断されており、CT画像でも、所見が認められること、さらに、受傷から4日間については意識障害も確認されており、高次脳機能障害を認定すべき要件を満たしていることを立証しています。
さらに、高次脳機能障害と診断した治療先主治医の意見書、家族の陳述書を証拠として提出、被害者の現在症状を明らかにした上で、当初の治療先が、高次脳機能障害と診断しなかったのは、高次脳機能障害は、医師であっても、医学的知見を有していなければ見落としがちな症状であり、格別に珍しいことではないと主張しています。

2)⇒弁護士は、アルバイト先の店長の陳述書を提出し、被害者は、事故後のアルバイトで無断遅刻や無断欠席を頻発し、易疲労性による集中力の欠如などで、仕事にならないことが多くあったなど、むしろ、アルバイトでの状況からも、高次脳機能障害の影響が出現していたことを立証しています。

さらに、「高次脳があると結婚・出産ができるはずもなく、最低限の意思疎通もできないはずである?」 という損保の主張は、具体的な高次脳、7級4号の認定基準に基づかない偏見に過ぎない。
損保の主張は、被害者の7級4号の認定事実を覆す根拠になっておらず、失当であると厳しく反論しています。

(4)裁判所の判断
1)⇒裁判所は、最初の治療先の見落としを認め、自賠責保険調査事務所が認定の通り、被害者の後遺障害等級が、高次脳機能障害で7級4号であることを認めました。

2)⇒裁判所は、アルバイト先における就労状況からも、高次脳の存在が裏付けられているとし、損保の主張については、偏見であり、根拠が示されていないと排斥し、弁護士が立証した日常生活上の支障を十分に斟酌した結果、高次脳7級4号では異例となる将来看護料について、付添看護料に含める形てはありますが、550万円を認定しています。

3)調整金1890万円を含み、過失10%を控除した和解額は6200万円ですが、自賠責保険金1275万円を加え、7480万円の高額な損害賠償が実現できました。

(5)NPOジコイチのコメント
1)本判例のピンポイントは、初診の治療先が、高次脳機能障害を見落とす? 
この点に、あります。 特に、珍しいことではなく、日常的に発生しています。
これに対抗するには、その地域の、高次脳機能障害の専門医情報を承知していなければなりません。

このことに反論できず、頭部外傷後の神経症状として12級13号で判決が下された被害者も、過去に経験しています。このときは、第二審から弁護士が交代し、高裁で、高次脳機能障害が5級2号であることを立証し、逆転V字判決を獲得しました。

2)本件では、7級4号に対して将来の介護料が認められています。
これは、弁護士が、被害者の結婚・出産においては、両家の両親および夫の献身的なサポートがあって、初めて実現したものであるなど、日常生活上の支障について、丁寧に立証したことが、裁判所で評価されたものであり、一方で、損保側の、耳を塞ぎたくなるほどの暴論、「高次脳があると結婚・出産ができるはずもなく、最低限の意思疎通もできないはずである?」 に対する戒めであると考えられます。

 

 
ジョーク物忘れ?

みんな、きれいだった。
10代 鏡の前で大はしゃぎ、
20代 鏡とにらめっこ、
30代 鏡の前で、貴方は美しく微笑んだ、
40代 遠目の姿に、納得した?
50代 鏡を拭いた?
60代 鏡の前を通り過ぎた?
70代 鏡を捨てた?

(綾小路 きみまろ)