8/31(月)判例11 復職していれば、逸失利益は0円なのか? 

判例11 復職していれば、逸失利益は0円なのか? 

(脊髄損傷 併合1級 2010年 さいたま地裁 和解)

 

(1)概要
26歳男性会社員が、大型バイクで直進中、左方の駐車場から右折した加害自動車を避けるため、急ブレーキ操作を行うもスリップ転倒し、加害自動車に衝突したもので、C6頚髄の横断型損傷で対麻痺、排尿・排便障害を残し、併合1級が認定されています。

(2)損保の反論
1)被害者のバイクが転倒・滑走して、バンパーに衝突したもので、被害者にも50%の過失がある。

2)本件事故により車椅子生活となったが、元の職場に復帰しており、満額の逸失利益は必要ない。

(3)弁護士の立証
1)⇒弁護士は、事故現場を見分、刑事記録を分析して、事故車の痕跡などを根拠として、加害者の証人尋問を行い、本件の事故原因は加害者の無謀な飛び出しにあることを立証、基本過失割合にしたがえば、被害者の過失が15%を超えることはないと主張しています。

2)⇒弁護士は、治療先のカルテと看護記録、後遺障害診断書、脊髄症状判定用、主治医の意見書、本人と家族の陳述書を証拠として提出し、自律神経障害による発熱や腸の蠕動運動停止により、下剤に頼るとしても、週に1、2回は摘便が必要であることなど、排尿・排便における日常生活上の問題を詳細に立証した上で、将来介護料として、平日の職業介護1万5000円、土日・祝日の家族介護8000円、母親が67歳以降は、全面的に職業介護の1万8000円で、総額9400万円を請求しています。

3)⇒弁護士は、損保が指摘している就労復帰について、勤務先経営者の陳述書を証拠として提出、被害者はパソコンの操作に習熟しており、これまでの実績、勤務先の温情もあって、復職をしているが、事故後は、体調不良による欠勤も続き、とても戦力とは評価できず、未来永劫にわたって就労を保証しているものではなく、将来的には職を失う可能性も十分あると主張しています。

4)⇒弁護士は、介護住宅に実績のある建築設計事務所の意見書と見積書を証拠として提出、住宅改造費の内、被害者利用分として2600万円を、車椅子、介護ベッド、介護車両の購入費と再調達費用として900万円、在宅介護の実績を基礎として介護雑費600万円を請求しています。

(4)裁判所の判断
1)⇒裁判所は過失50%という損保の主張を排斥し、基本過失割合の通り、15:85と認定しました。

2)⇒裁判所は、将来介護料について、平日の職業介護1万5000円、土日・祝日の家族介護8000円、母親が67歳以降は、全面的に職業介護の1万8000円、9400万円を認定しています。
住宅改造費2600万円、車椅子、介護ベッド、介護車両と介護雑費で1500万円も認定されました。

3)⇒裁判所は、逸失利益について、弁護士の主張を認め、復職して最初の5年間は年収の50%、5年後からは、職を失う可能性を否定できないとして、満額を認める内容で9300万円を認定しています。

4)和解金は1億6900万円ですが、自賠責保険金4000万円を加え、2億0900万円の損害賠償が実現しています。

(5)NPOジコイチのコメント
本判例のピンポイントは、復職の評価にあります。

横断型脊髄損傷であっても、本件のように両手に麻痺がなく、デスクワークができるときは、復職が可能であり、そうなると損保側は、決まって逸失利益を争点としてきます。
しかし、復帰を果たしていても、定年まで雇用が継続する見通しはありません。
そして、本件のように、自律神経障害による発熱などで、欠勤を繰り返していること、腸の蠕動運動停止により、週に1、2回は、摘便が必要であることなど、排尿・排便における日常生活上の問題を指摘することで、就労の困難さを立証しています。

弁護士としては、損保側の主張に屈することなく、いつでも、最悪の事態を想定して立証を続けなければなりません。

 
 
ジョーク繰り返される、日本の風物死?

1月=お爺ちゃん、のどに餅を詰まらせる、
2月=雪下ろしの最中に、屋根から転落、
3月=免許取り立て、18歳の無謀運転、
4月=歓迎コンパで、急性アル中、
5月=帰省ラッシュの渋滞で、玉突き衝突、
6月=田んぼの様子を見に行って、用水路に流される、
7月=パチンコで、車内の子供が、蒸し焼き、
8月=酔っ払って、川に飛び込み、流される、
9月=バーベキューでカセットコンロ爆発、
10月=毒キノコを知らずに、食べる、
11月=山菜取りで、クマに遭遇、
12月=軽装で雪山に登って、遭難、

 

8/28(金)判例12 介護保険を適用すれば、実費は1000円で済む?

判例12 介護保険を適用すれば、実費は1000円で済む? 

(脊髄損傷1級1号 2010年 東京地裁 和解)

 

(1)概要
交差点で交通指導をしていた70歳男性の指導員に、出合い頭衝突の弾みで歩道に乗り上げた車が衝突したもので、被害者には、C5頚髄の横断型損傷で、胸から下が麻痺し、1級1号が認定され、車椅子生活を余儀なくされました。

(2)損保の反論
介護費用として、日額1万円のデイサービスを受けているが、介護保険や自動車事故対策機構の介護料などを適用すれば、1000円の実費負担で済むので、介護日額は1000円しか認められない。

(3)弁護士の立証
1)⇒弁護士は、治療先のカルテと看護記録、後遺障害診断書、脊髄判定用、家族の陳述書を証拠として提出し、被害者が、C5頚髄損傷により、胸から下が麻痺し、体幹の保持もままならない状態で、車椅子生活を余儀なくされている現状を立証しています。
その上で、被害者は、介護保険の適用を受け、デイサービスの本人負担分は1000円であるものの、国の財政事情が不安定であり、将来にわたって現在水準の公的給付が受けられるかどうか不確定であるので、この先19年間の平均余命期間については、職業介護人の導入も視野に入れ、将来介護費用は、日額1万円、総額3700万円を認めるべきと主張しています。

2)⇒弁護士は、介護住宅の実績の豊富な建築設計事務所の意見書と見積書を証拠として提出、車椅子用の介護住宅改造費の被害者利用分として600万円、車椅子などの介護機器の購入費と再調達費として500万円を請求しています。

(4)裁判所の判断
1)⇒裁判所は、弁護士の反論を認め、将来介護料として日額1万円、総額3700万円を認定しました。

2)被害者は症状固定時71歳の高齢者でしたが、車椅子用の住宅改造費600万円、介護器具・雑費として500万円、近親者慰謝料を600万円が認められています。

3)和解調整金の900万円を含み、和解金は1億0100万円ですが、自賠責保険金4204万円(共同不法行為が成立)を加え、総額1億4304万円の高額賠償が実現しています。

(5)NPOジコイチのコメント
本判例のピンポイントは、自動車事故対策機構、NASVAの介護料にあります。

自動車事故対策機構法に基づき支給される介護料は、被害者の負担軽減を目的とするものであり、損益相殺の対象とされていません。

住宅改造費については、車椅子移動のために床の補強、バリアフリー化、トイレの拡充など、医師の意見書、家族の陳述書で現実の必要性を細かく立証し、無駄のない請求をしています。

排尿・排便障害については、自力でコントロールができないこと、特に排便障害では、腸の蠕動運動が失われており、下剤に頼るとしても、週に1、2回は摘便が必要であることなどを医師の意見書で立証し、高額な介護料認定につなげました。
「ここまで詰めなければならないか?」 裁判所は、弁護士に丁寧な立証を求めています。
当然ながら、被害者や家族も、弁護士の立証活動を熱心にサポートしなければなりません。

※NASVAの支援する介護料
1)介護料の支給

1カ月の介護費用として自己負担した額に応じ、受給資格の種別ごとに、次の範囲内で支給されます。
介護費用として自己負担した額が下限額に満たないときは、下限額が支給されます。

種別

月額介護料

最重度

特Ⅰ種

6万8440円~13万6880円

常時要介護

Ⅰ種

5万8570円~10万8000円

随時要介護

Ⅱ種

2万9290円~5万4000円

支払い月は、毎年3、6、9、12月の年4回、各支給月前の3カ月分がまとめて支給されます。
自宅にて介護を受けている方が、
①ホームヘルプサービス、②訪問入浴、③訪問看護、④訪問リハビリ、⑤デイサービス
①~⑤のサービスを受けたときは、サービスを行った事業者ごとの領収書の提出により、介護料の上限額までの範囲内で支給されます。
ただし、親族によるサービス提供は介護料の支給対象とはなりません。

2)介護用品の購入
自宅で介護を受けている方が、次の介護用品を購入、レンタルまたは修理(交換)したときは、事業者ごと領収書の提出により、介護料の上限額までの範囲内で支給されます。

介護用品

品目

規格

介護ベッド

本体、サイドレールorサイドサポート、マットレス、介助バーおよび付属テーブル

車椅子

自走式車椅子、電動車椅子および浴用医師などの介助用車椅子および固定ベルト、バックサポート、サイドガード等の補助具

褥瘡予防

水、エア、ゲル、シリコン、ウレタンなどからなるマット類およびクッション並びにカバー・シーツであって、体圧を分散することにより、圧迫部位への圧力を減ずることを目的とするもの、

吸引器

痰吸引器を含む吸引器、吸入器(ネブライザー)

特殊尿器

尿が自動的に吸引されるもので、要介護者または介護者が容易に使用し得るもの

移動用リフト

本体および吊り具、床走行式、固定式または据置式で、身体を吊り上げまたは、体重を支える構造により、自力での移動が困難な者のベッドと車椅子間などの移動を補助する機能を有するもので、取付けに工事を伴うものを除く、

スロープ

段差解消のためのもので、取付けに工事を伴うものを除く、

購入の消耗品

紙おむつ、尿取りパッド、導尿カテーテル、バルーンカテーテル、痰吸引用カテーテル、滅菌ガーゼ、使い捨ての手袋

障害者総合支援法第6条に基づき、市町村の地域生活支援事業として給付を受け、その際に自己負担した金額を請求することはできません。

3)支給要件
①最重度、特Ⅰ種の要件

種別

特Ⅰ種の要件

脳損傷

①自力移動が不可能である。
②自力摂食が不可能である。
③屎尿失禁状態にある。
④眼球はかろうじて物を追うこともあるが、認識はできない。
⑤声を出しても、意味のある発言はまったく不可能である。
⑥目を開け、手を握れという簡単な命令にはかろうじて応ずることもあるが、それ以上の意思の疎通は不可能である。

脊髄損傷

①自力移動が不可能である。
②自力摂食が不可能である。
③屎尿失禁状態にある。
④人工介添呼吸が必要な状態である。

脳損傷では、遷延性意識障害と確定診断されていること、脊髄損傷では、C/1、2、3、上位頚髄損傷により、自力呼吸ができず、人工呼吸器を使用しているレベルとなります。

②常時要介護と随時要介護の要件

種別

後遺障害等級

常時要介護

Ⅰ種

自賠法施行令別表第1 第1級1号、または第1級2号

随時要介護

Ⅱ種

自賠法施行令別表第1 第2級1号、または第2級2号

 

別表第1 介護を要する後遺障害

第1級

1.神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
2.胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常に介護を要するもの

第2級

1.神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
2.胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、随時介護を要するもの

自損事故であっても、3)の①②に掲げた支給要件を満たすときは、適用されます。

4)支給制限
支給対象となる方が、次のいずれかに該当するときは、支給されません。

①自動車事故対策機構が設置した療護施設に入院したとき、
②法令に基づき重度の障害を持つ者を収容することを目的とした施設に入所したとき、
(特別養護老人ホーム、身体障害者療護施設、重度身体障害者更生援護施設など)
③病院または診療所に入院したとき、 ただし、家族による介護の事実があるときは支給されます。
④労働者災害補償保険法など他法令の規定による介護補償給付または介護給付を受けたとき、 (国家公務員災害補償法、船員保険法など)
⑤介護保険法の規定による介護給付を受けたとき、
⑥支給対象となる方の主たる生計維持者にかかる前年の合計所得金額が1000万円を超えるときは、その年の9月から翌年8月までの間は支給されません。

 
 
ジョーク 教習所

バイク教習で、コース説明を受けるので、教官の後ろに乗る事になりました。
バイクの後ろに乗るのが初めてで緊張してしまい、手をどこに置いて良いのか分かりません。
躊躇していると、「早く掴まって!」 と言われ、とっさに教官の襟首を掴みました。
教官に、「俺は猫か?」 と言われ緊張が頂点に、腕を回せと言われ、軽くパニックになった私は腕を教官の首に回してしまい、端から見ればおんぶされている状態に・・・・・
教官は苛ついたのか、腕が首に絡みついたまんま発進してしまいました。
卒業まで、私は他の教習生達から、背後霊と呼ばれ続けたのです。

 

8/27(木)例13 3カ月を経過すると、治療先を追い出される? 

判例13 3カ月を経過すると、治療先を追い出される? 

(脊髄損傷1級1号 2011年 さいたま地裁 和解)

 

(1)概要
33歳、男性会社員が原付で交差点を直進中、対向右折トラックの衝突を受けたもので、頚髄損傷による四肢体幹麻痺で1級1号が認定されています。

(2)損保の反論
被害者は自賠責保険に被害者請求を行い、4000万円の保険金を取得し、自宅を新築したのですが、自宅における介護の設備を整えるまでには至っていません。
さらに、治療先の病院からは転院を迫られており、受け入れ先の病院が発見できない状況でした。
そこで弁護士は、療養型のリハビリテーション病院を紹介、幸い、空きがあり入所できました。


社会福祉法人中伊豆リハビリテーションセンター
〒410-2507 静岡県伊豆市冷川1523-108
.0558-83-2111

その上で、自宅介護を前提とした訴訟の提起を行いました。
裁判では、過失割合、住宅改造費と将来介護料が争点となりました。

(3)弁護士の立証
1)⇒弁護士は、過失について、直進バイクと右折車による典型的な右直事故で、基本過失割合は15:85でしたが、事故現場を見分、刑事記録の分析を行ったところ、実況見分記録から、加害者に早回り右折の過失が認められたので、証人尋問でそれらを立証し、被害者側の過失は10%を超えることがないと主張しています。

2)⇒弁護士は、治療先のカルテと看護記録、後遺障害診断書、脊髄判定用、主治医の意見書と妻の陳述書を証拠として提出し、被害者の症状実態を明らかにした上で、妻が稼動する300日は、2万円、妻の休日65日は、1万円、総額1億1200万円の将来介護料を請求しています。

将来の介護雑費については、リハビリテーション病院での実績を基礎に、900万円を請求しています。

3)⇒弁護士は、新築住宅の改造費については、介護住宅の実績がある建築設計事務所の意見書と見積書を証拠として提出し、被害者の利用分として1300万円を、介護設備、車椅子、車両改造費と再調達費については、被害者の症状から、必要となる設備などを細かく抜き出し、1500万円を請求しています。

(4)裁判所の判断
1)⇒裁判所は、本件事故の過失割合について、加害者の供述により10:90と認定しています。

2)⇒裁判所は、被害者が、四肢体幹麻痺で、ほぼ寝たきり状態であることを認め、妻が稼動する300日は、2万円、妻の休日65日は、1万円、総額1億1200万円の将来介護料を認定しています。

3)⇒裁判所は、建築設計事務所の意見書を評価し、新築住宅の改造費として1300万円、介護設備備品として700万円、車椅子、車両改造費として800万円、合計2800万円を認定しました。

4)調整金の1800万円を含み、和解額は2億0500万円ですが、自賠責保険金4000万円を加え、2億5500万円の損害賠償が実現しています。
その他に、被害者の後遺障害慰謝料3000万円、近親者の慰謝料300万円が認められています。

(5)NPOジコイチのコメント
本判例のピンポイントは、療養型のリハビリテーション病院の確保にあります。

横断型脊髄損傷は、リハビリで明らかな改善が期待できない不可逆的な損傷です。
それでも、等級を審査する調査事務所は、症状固定時期について、受傷から1年を経過した段階を想定しており、それまでは、治療先に入院し、リハビリ治療を続けなければなりません。
しかし、救急搬送された急性期の治療先は、3カ月しか入院を認めません。

そこで、療養型リハビリテーション病院を探し出し、残りの9~13カ月を過ごさなければなりません。
1年を経過した時点で症状固定としても、等級の認定、自賠責保険金の振り込みには、平均的に3カ月間が必要であり、症状固定段階で自宅の介護体制を整えるには、相当の資力が求められます。
遷延性意識障害、高次脳機能障害、脊髄損傷では、療養型リハビリテーション病院を確保しておくことは必須となります。

 
 
ジョーク 女子アナ?

ある局の女子アナウンサーが、船が難破して沈没したニュースを読んだとき、「行方不明者」 と言うべきところを「亡くなった方」 と言ってしまった。

まだ死亡が確定していない段階で、死亡と断定した報道をすることなど、報道に携わる人間として、もってのほかであり、すぐさま、隣の先輩キャスターが、
「亡くなった方とお伝えしましたが、行方不明者の間違いでした。お詫びして訂正いたします!」 と謝罪、その女子アナウンサーも、すぐに自分の間違いに気づき、
「遺族の方、大変申し訳ありませんでした?」 と頭を下げた?

 

8/26(水)判例14 被害者の原状回復とは?

判例14 被害者の原状回復とは? 

(脊髄損傷 1級1号 2011年 水戸地裁 和解)

 
(1)概要
運転者の操作ミスにより、自動車が民家の塀に激突する自損事故が発生しました。
この自動車に同乗中の18歳女子高校生は、第5頚椎の脱臼骨折、頚髄損傷で四肢体幹麻痺となり、首から下の四肢体幹麻痺で1級1号が認定されています。

(2)損保の反論
1)自宅介護の必要性を認めない。

2)介護日額はせいぜい8000円~1万円で十分である。

3)介護にかかる雑費は、逸失利益でまかなうか、生活費控除をすべきである。

4)介護備品の買い替え期間が短すぎる。

(3)弁護士の立証
弁護士は、複数回の被害者および家族との面談で、頚髄損傷により四肢体幹麻痺となった18歳の女子高校生の無念さに対して、どのように向き合って原状回復を実現すべきかを検証しています。

1)⇒弁護士は、カルテと看護記録、後遺障害診断書、脊髄症状判定用、在宅介護を許可する医師の意見書、家族の陳述書を提出し、被害者の日常生活の実態を明らかにするとともに、自宅介護にかける家族の強い信念を説明しています。

2)在宅介護のための住宅改造では、介護住宅の実績が豊富な建築設計事務所の意見書と見積書などを証拠として提出し、介護室、バリアフリー、水回りを中心とした改造の事実証明を行い、被害者の利用分として1400万円を請求しています。

3)主治医の意見書で、自宅介護の許可を獲得し、そのために必要な介護機器として1900万円を請求しています。

4)将来の介護料については、現在、被害者を介護する母親が、いずれ就労する予定があり、職業介護人の導入の必要性、休日である土日には、母親にも介護から離れて休息するための、レスパイト=安息、休暇の必要性があること、将来の介護雑費などについて、1つ1つ、緻密な立証を行い、職業介護人と家族介護の併用で、1億2600万円を、将来の介護雑費として1000万円を請求しています。

(4)裁判所の判断
1)⇒裁判所は、主治医の意見書を評価し、在宅介護を認め、住宅改造費の内、被害者利用分として1400万円を、介護機器の購入費用、再調達費として1900万円を認定しています。
損保の、介護備品の買い替え期間が短すぎるとの反論には、それぞれの耐用年数に基づいて積算されているとして排斥しています。

2)⇒裁判所は、将来介護料については、母親の陳述書により、子どもが大学に進学した後は、キャリアを生かした職場に就労復帰する予定であることを認め、職業介護人の導入、休日の家族介護とレスパイトを導入する内容で、1億2600万円を認定しています。

将来の介護雑費について、損保の逸失利益でまかなうか、生活費控除をすべきであるとの反論に対して、入院治療先での実績に基づいて請求されているとし、1000万円を認定しています。

3)調整金2500万円を含み、和解金は2億5700万円ですが、自賠責保険金4000万円を加え、2億9700万円の非常に高額な損害賠償が実現しています。

(5)NPOジコイチのコメント
本判例のピンポイントは、在宅介護の実績がなく、母親も専業主婦であったところにあります。

自宅介護を前提に、介護環境は医師の意見書の通りに完璧に整備されており、損保が主張する自宅介護の否定は簡単に、排除することができました。
問題は、事故受傷から2年を経過していましたが、訴訟時点では、自宅介護の実績はありません。
母親も、この時点では専業主婦であって、就労しておらず、将来の就労を見込んでの職業介護人の導入では、損保も大きく抵抗しています。
これについては、母親の結婚前、結婚後、子どもを出産するまでの職歴とキャリアなどを具体的に立証し、子どもが大学に進学した後は、キャリアを生かした職場に就労復帰する予定であったことを丁寧に立証しており、裁判所は、職業介護人の導入、家族介護のレスパイト、和解調整金として2500万円を認めています。

もう1つ、注意すべきは、自損事故で同乗者が負傷したとき、大半の損保が人身傷害保険対応を押しつけてくることです。
昨年の無料相談会では、12例すべてで人身傷害保険対応がなされていました。

同乗者が家族では、対人保険の適用ができないので、やむを得ませんが、友人や知人であれば、対人保険対応が常識的です。
損保の支払基準で安く上げる意図がミエミエで、実に不愉快です。

被害者がある弁護士に相談したところ、「人身傷害保険であれば、手も足も出せませんね?」 対人保険に請求できることをご存知ない珍回答です。
有能な弁護士に委任され、対人保険金請求訴訟で勝利することを忘れてはなりません。

 
 
雑学 4/1生まれは、なぜ、前の学年?

学年は4/1に始まり、翌年3/31に終わるが、民法では、歳をとるのは、前日の午後12:00ということになっているため、4/1生まれの人は、前年度の3/31に歳をとることになり、「子女が満6歳に達した翌日以降における最初の学年の初めから、小学校に行く。」という学校教育法の元では、4/1生まれは、前年度に割り振られることになります。

 

8/25(火)判例15 施設介護であっても、家族介護が前提の施設がある?

判例15 施設介護であっても、家族介護が前提の施設がある? 

(脊髄損傷1級1号 2011年 香川県 示談)

(1)概要
43歳、アルバイトの男性が、原付を運転し路外から左折したところ、交差点における一時停止を無視し、センターラインオーバーで左折してきた相手自動車の衝突を受けたもので、被害者には、C4頚髄損傷により、四肢体幹麻痺となり1級1号が認定されています。

(2)損保の反論
1)本件事故の過失割合は95:5であり、被害者にも5%の過失が認められる。

2)事故当時、年収120万円のアルバイトの逸失利益に、賃金センサスは不適切である。

3)将来介護料は、施設介護であり、日額5000円も認めれば、十分である。

(3)弁護士の立証
1)⇒弁護士は、事故現場を見分、刑事記録の分析を行って、加害者のセンターラインオーバーを立証し、本件の過失割合を0:100と主張しています。

2)⇒弁護士は、アルバイト先の上司の陳述書を証拠として提出し、
①被害者のアルバイト年収は120万円程度であったものの、
②兄と一緒に新たな事業を始めるための研修を兼ねたアルバイトであったこと、
上記の事実を立証し、0:100の交通事故受傷で、将来を棒に振ったことを強調しています。

⇒結果、損保は実収入より明らかに高額な44歳の平均賃金を基礎に、逸失利益、4260万円を算出することで譲歩しました。

3)施設介護でしたが、家族による全面的な介護が受け入れの前提となっていることを立証したところ、 損保は、主張する倍額の日額1万円、総額6030万円の将来介護料を認めました。

4)損保との示談協議で、調整金の170万円を含み、示談額は1億円ですが、自賠責保険金4000万円を加え、1億4000万円の損害賠償が実現しています。

(4)NPOジコイチのコメント
本判例のピンポイントは、弁護士の剛腕ぶりを除いて、特にありません。

本件の弁護士は、重度後遺障害の訴訟解決で高額判例の実績を有しており、損保業界ではその剛腕ぶりが知れ渡っています。
本件では、被害者の兄が損保との話し合いを重ねており、症状固定として後遺障害を被害者請求し、4000万円の自賠責保険金が振り込まれるまでは、弁護士の登場はありません。
安心しきった損保が、示談金額4450万円を提示した直後に颯爽と登場し、「それはないでしょう?」
すべて地裁基準に置きかえて押し切ったものです。
損保との示談解決であるのに、和解調整金の170万円もシッカリ請求し支払われています。

損保にすれば、施設介護における介護料の日額1万円が、訴訟となれば増額される可能性があると不安に感じ、「ともかく、早く終わらせろ!」 で白旗を掲げて敵前逃亡したものと思われます。
実は、JA共済なら、よくあることなのです。
弁護士の真の実力が発揮された示談解決でした。

施設介護であっても、遷延性意識障害や重度脊髄損傷では、施設側が、家族の介護サポートを求めるのが常識となっています。施設に入所したときでも、実態を調査して家族介護料や通院交通費の請求を忘れてはなりません。

 
 
ジョークオタク?

アキバを歩いていた女の子が、突然、2人組の男に、路地裏に引きずり込まれそうになった。
女の子は、「助けて! 誰か助けて!」と叫んだが、 道行くオタク達は、2人の男を恐れ、見てみぬふり。そこで女の子は、こう叫んだ。
「お兄ちゃん!」 たちまち、オタというオタが、女の子のもとに集まった?

 

8/24(月)判例16 助手席同乗中の横転事故?

判例16 助手席同乗中の横転事故? 

(脊髄損傷 1級1号 2011年 名古屋地裁 和解)

(1)概要
18歳、男子高校3年生が、知人の運転する自動車の助手席に同乗中、自損事故により自動車が横転し、被害者には、頚髄損傷で1級1号が認定されています。

(2)損保の反論
将来介護料について、母親が67歳に達するまでの期間は、母の介護が可能であり、家族介護を前提に、日額8000円、その後については、職業介護を前提に日額1万2000円とすべきである。
(損保の反論にしては、過激さが、なりをひそめています。)

(3)弁護士の立証
1)⇒弁護士は、カルテと看護記録、後遺障害診断書、脊髄判定用、主治医の意見書、家族の陳述書を証拠として提出、被害者には、右C5、左C6の損傷により、対麻痺で、下肢の運動機能を失っており、上肢も、肘や指の曲げ伸ばしができないなどの障害を残していました。
弁護士は、食事、入浴、着替え、トイレと洗面など、生活のあらゆる場面における介護の内容と、その必要性を主治医の意見書と家族の陳述書によって立証しています。

被害者には、身体的障害こそ認められますが、精神的な障害はなく、通常人と変わりない生活、趣味や外出、読書などを楽しむ権利があるとして、QOLの概念を持ちだし、これらを実現し、長期間、維持するためにも、高額な介護料が必要であることを主張しています。

その上で、家族介護について日額8000円、職業介護について日額1万8000円相当であるとし、母親の介護については、週2日は休みが必要であること、残り5日についても、外出時など、一時的に職業介護人が必要となる時間があることを考慮し、母が67歳となるまでの期間は、家族介護と職業介護の割合を1:1とし、日額1万3000円、67歳以降は、100%を職業介護人に委ねるとして、8900万円の将来介護料を請求しています。

2)本件では、訴訟提起の時点で、すでに在宅介護体制が開始されていました。
⇒弁護士は、それらの実績に基づき、介護福祉器具の購入費と再調達費、介護雑費で1600万円、介護住宅の実績が豊富な建築設計事務所の意見書と見積書を提出し、住宅改造費の被害者利用分として1400万円を請求しています。

(4)裁判所の判断
1)⇒裁判所は、被害者の実情を評価し、弁護士の請求通り、8900万円の将来介護料を認定しました。

2)⇒裁判所は、在宅介護の実績に基づく請求であることを評価し、住宅改造費1400万円、将来福祉器具の再調達費と介護雑費で1600万円など、弁護士の請求通りを認定しています。

3)調整金1800万円を含み、和解額は2億3850万円ですが、自賠責保険金の4000万円を加え、
2億 7850万円の損害賠償が実現しています。

(5)NPOジコイチのコメント
1)本判例のピンポイントは、被害者のQOLの向上の概念を持ち出したことにあります。

朝、6:30に起床、夜間用の尿パッドを取り外して、下腹部のマッサージを行い、排便を促し、できるだけトイレで排便ができるようにするなどは、介護の各論です。
各論を詳細に陳述することで、介護の大変さを立証することも大事ですが、被害者は、受傷時、18歳の高校3年生で、平均余命期間は663.30年もあるのです。
今後の長期間にわたって、十分な介護体制を確立するために、弁護士は、各論に留まらず、QOLの概念を持ちだして、主張しています。
これらの意見展開により、各論における、介護料が高すぎるなどの反論は、吹き飛ばされ、高額な介護料の認定につながっています。

※QOL、Quality Of Lifeとは
人生の質、生活の質などと訳されていますが、私たちが生きる上での満足度を表す指標の1つです。

※QOLとADLの関係性
ADL、Activity of Daily Lifeとは、日常生活をおくるために必要な基本的な動作である、食事、更衣、排泄、入浴、整容、移動などのことで、障害者リハビリテーションの目的は、1980年以前では、ADLの自立に重点が置かれていましたが、1980年以降は、QOLを求める方向へとシフトしています。
長時間を要して衣服を着替え、自分の足で歩くことで、目的地での活動の時間が減少するよりも、人や機械の手を借りてADLに費やす時間を短縮し、目的地での自分の活動時間をしっかりと確保できる人のほうが、人間の自立度としては高くなるという考え方です。

※QOLを向上させる介護、看護とは?
介護では、排泄に紙おむつが使用されていますが、羞恥心や自尊心に関わるケースもあり、できる限り、トイレで用を足すということが、QOL向上に繋がるとされています。
実際に、排尿ケアで、おむつがはずれた被害者には、自信が生まれ、自主性の向上にも繋がり、たとえ車椅子であっても自立した生活が送れるようになるという事例も報告されています。
また、レクリエーション活動は、健康で、いかにより良く生きるかというQOL向上に大きく役立ちます。
基本的な生活時間に加え、他者との交流を図ることで孤独感を解消し、人と関わる楽しさや喜びを見出すこともできる上に、その活動の場に行くということ自体が、役割や仕事となり、個人を尊重することに繋がるのです。

2)脊髄損傷では、損傷部位に応じて、症状を説明することができます。
①損傷レベルが、C5のときは、全体症状は、三角筋と肘屈筋が利き、肩の運動と肘屈曲ができます。

ADL

ほとんどの動作で要介護、ただし手を動かすことができ、上肢装具付きの自助具を使えば食事、筆記などが可能、

運動機能

肩、肘、前腕の一部を動かすことが可能、

移乗・移動方法

平らな場所ではハンドリム※を工夫した車いすの操作が可能、

自助具・福祉用具

電動車椅子を利用、上肢装具付きの自助具(食事、筆記用のものなど)・環境制御装置・特殊寝台・リフトの設置が必要、

②損傷レベルが、C6のときは、全体症状は、手関節背屈筋と前腕の回内筋が利く、寝返り、起き上がりなどができます。

ADL

中等度~一部介助、自助具を用いて食事、筆記などが可能、上半身の着替えが可能、

運動機能

肩に力が入るが、不完全な状態、肘を曲げられるが伸ばすことはできない、手首を上げることは少しだけ可能、腕立て伏せの力も少しだけ入る、起き上がることや寝返りを打つことができる、

移乗・移動方法

平坦なところでは、ハンドリムを工夫した車椅子の操作ができる、腕立て伏せの力でベッドと車椅子の移乗が可能なこともある、専用の自動車を運転することが可能なこともある、

自助具・福祉用具

ハンドリムを工夫した車椅子を利用、自助具(食事、筆記・着替・入浴用など)バスボード※・特殊寝台・リフトの設置が必要となる、

脊髄の損傷部位と障害の大雑把な分類を示したもので、必ず、上記の通りではありませんが、承知しておくべき情報です。
詳細は、本文の4.、損傷レベルと麻痺の現れ方で解説しています。
 
 
雑学新製品のテスト販売が行われる県?
大阪で流行っても、東京では、まったく売れないこともある新製品、そのため、企業はあらかじめテスト販売を静岡県で行っています。この理由は、静岡には川と山と海があり、気候の四季がはっきりしていて全国平均に近く、あまり新製品に積極的ではないといわれる県民性のため、静岡で売れたものは全国で売れるという法則があるからです。

最近では、福岡スタートも増えています。
専売公社の電子たばこ ブルーム・テック、コカ・コーラが発売した缶酎ハイの檸檬堂は、福岡で先行発売されています。

 

8/21(金)判例17 右直衝突で、被害者過失が75%?

判例17 右直衝突で、被害者過失が75%? 

(脊髄損傷1級1号 2011年 東京地裁 和解)

(1)概要
64歳、男性会社員が、自動車を運転、信号機の設置された交差点を右折する際、直進中の対向自動車と衝突したもので、被害者には、頚髄損傷による四肢麻痺で、1級1号が認定されています。

(2)損保の反論
1)病院での施設介護が将来に渡って続くかどうか疑問があり、将来施設介護料は控え目に算定すべきであると、同趣旨の最高裁判例を指摘して主張しています。

2)双方青信号で、被害者が右折した事案であり、80%の過失相殺をすべきである。

(3)弁護士の立証
1)⇒弁護士は、カルテと看護記録、後遺障害診断書、脊髄判定用、主治医の意見書と家族の陳述書を証拠として提出し、被害者の症状と施設介護の実態、家族の就労状態などを立証した上で、被害者は事故後、既に3年以上もの長期にわたって同一の病院に入院を続けており、将来も、同病院において、介護を受けていくことは明らかであることを指摘し、また、損保の指摘する最高裁判例については、あくまでも現在の水準での介護料の支出が継続する蓋然性に疑いがあるときには、控え目に算定するべきことを判示しているのみであって、本件では、これまでと同水準の介護料が発生する蓋然性に、なんらの疑いもなく、控え目に算定するのは間違いであると主張し、将来介護費として月額80万円、総額8750万円を、3年間介護実績に基づき、将来介護雑費として640万円を請求しています。

2)⇒弁護士は、本件の過失割合について、事故現場を見分、刑事記録を分析して、刑事事件では、双方が青色で、交差点進入したことが前提となっているものの、信号サイクルや進入時の速度などに照らして、必ずしも、双方が青色であったとは言えないことを指摘し、加害者の過失相殺の主張は立証できておらず、最も被害者に有利な過失割合、75%を適用すべきであると主張しています。

(4)裁判所の判断
1)⇒裁判所は、事故後3年間について、入院が継続されていることを評価し、損保の主張を排斥し、3年間の実績に基づき、月額80万円の施設介護料、8750万円を認定しています。

2)⇒裁判所は、加害者側の供述が信用できるとは言えないとして排斥し、被害者の過失割合は、75%に留まるとしています。

3)裁判所が認定した損害の総額は、1億5020万円ですが、75%が相殺され、調整金の250万円を含め、和解金は4000万円ですが、重過失減額20%の自賠責保険金3200万円を含め、7200万円の損害賠償が実現しています。

(5)NPOジコイチのコメント
本判例のピンポイントは、訴訟前に、介護体制を確立しておくことにあります。

本件は、在宅介護ではなく、病院施設における介護でしたが、介護料が月額80万円と高額であったため、施設介護を前提に介護料を切り詰める損保としても、容認できないと噛みついてきたのです。
ところが、被害者には、訴訟提起前の3年間の実績があります。
弁護士は、被害者に必要とされる介護の実態、そして、家族の就労状況などを説得材料として、本件の病院施設介護の蓋然性を立証し、月額80万円の介護料を実現しています。

また、過失割合においても、刑事事件における判定を、そのままを鵜呑みせずに、多角的に検討し、少しでも、被害者の有利な認定に繋がる事実や可能性を指摘していくことが肝要です。
本件では、損保の80%主張が75%となり、その差は、僅か5%ですが、自賠責保険の重過失減額は、30%の2800万円から、20%で3200万円となり、400万円が増えたのです。

 
 
ジョーク小学三年生?

小3のクラスが、応急手当ついて勉強している。
先生が尋ねた。
「弟か妹が、家の鍵を呑み込んだら、どうしますか?」
皆が考え込んでいると、小さな男の子が答えた。
「ぼく、窓から入ります!」

 

8/20(木)判例18 キックボードは自転車と評価すべきか?

判例18 キックボードは自転車と評価すべきか? 

(脊髄損傷1級1号 2014年 東京地裁 判決)

(1)概要
7歳、小学2年生の男児が キックボードに乗って交差点を横断歩行中、右方からの自動車に跳ね飛ばされたもので、被害男児には、脊髄損傷で別表Ⅰの1級1号が認定されています。

(2)損保の反論
1)キックボードに乗っていた男児は、歩行者というよりも、むしろ自転車と評価すべきであり、また、加害自動車の目前、約9.8mで飛び出した事実から、30%の過失が認められるべきである。

2)交通事故訴訟実務では、将来介護料は日額8000円に定額化されており、それを超える損害については、本件事故と因果関係を認めることはできない。

3)住宅改造費について、風呂場の改造など必要ない改造が含まれていることに加え、家族も利益を享受することから、その利益分は控除されるべきである。

(3)弁護士の立証
1)⇒弁護士は、事故現場を見分、実況見分記録、目撃者証言などを分析し、加害者の証人尋問を行って、加害者が制限速度を大幅に超過して走行し、徐行することなく、また、左右の安全確認を怠った状態で、見通しの悪い交差点に進入した加害者の重大な過失を立証しています。

男児については、キックボードに乗って交差点に進入した過失が認められるが、7歳の男児であり、周辺が住宅街であったことなどに照らすと、その過失は、被告の過失の程度に比して極めて小さく、5%以下に評価すべきものであると主張しています。

2)⇒弁護士は、カルテと看護記録、後遺障害診断書、脊髄判定用、主治医の意見書と家族の陳述書を証拠として提出し、被害者の日常生活実態を明らかにするとともに、症状固定時8歳の児童は、近い将来、その体重が増えて60kgを超える蓋然性が高く、その被害者を着替え、排便、オムツ交換、ベッドと車椅子の移乗などを行うことは、相当大きな負担がかかることは明らかであり、被害者の母が1人で、介護を行うことは非現実的であるとともに、レスパイトの観点からも、職業介護人による介護が必要と認められるとして、
①母親が67歳に到達するまでの年間300日については、
日中の職業介護として日額2万円、夜間の近親者介護は、日額5000円、
残りの年間65日については、全日の近親者介護として、日額1万円

②母親が67歳以降は、年間365日について、全日職業介護は日額2万5000円を請求しています。

3)⇒弁護士は、建築設計事務所の意見書と見積書を証拠として提出し、住宅の改造費の内、被害者の利用分として2230万円、入院中の母親の付添看護料として日額8000円、車椅子や装具などの介護機器代および今後の更新費用として1160万円、これまでの介護実績を基礎として1050万円の介護雑費、後遺障害慰謝料として基準額2800万円を3600万円に増額して請求しています。

(4)裁判所の判断
1)⇒裁判所は、加害者の証人尋問を評価し、被害男児の過失割合を5%としました。

2)⇒裁判所は、主治医の意見書と家族に陳述書により、被害者の介護の実態を評価し、将来介護料として、職業介護人の導入を含み、1億6390万円を認定しています。

3)⇒裁判所は、弁護士の請求通りを認定しています。

4)判決額は、3億5240万円ですが、自賠責保険金4000万円を加え、3億9240万円の損害賠償が実現しています。

(5)NPOジコイチのコメント
本判例のピンポイントは、キックボードは、自転車に該当するのかにあります。

裁判では、5%の過失が認められており、自転車と同一視はされていませんが、歩行者としては扱われていません。キックボードを持つ子どもの両親は、交差点では、キックボードに乗らないように注意を促す必要があります。

これまでの判例では、将来介護料の日額は2万円程度、住宅改造費では1000万円程度が標準的な相場となっていたのですが、本件では、介護料の日額が2万5000円、住宅の改造費2230万円が認められています。
やはり、弁護士が、証拠に基づく損害費目の緻密な立証を積み重ねた結果であり、評価されるところです。 本件では、自賠責保険金4000万円を加えると3億9240万円が認定されています。
なお、過失相殺分は、1600万円です。

 
 
ジョークナンパ?

街角で一人の若者が娘に声をかけた。
男 「お嬢さん、よかったら僕と一緒にコーヒーでもいかがですか?」
女 「ありがとう、でも、遠慮しとくわ!」
男 「誤解しないで、僕は、誰でも構わず、声をかけているわけじゃないんだよ、」
女 「誤解しないで、私も、誰でも構わず、断っているわけじゃないの!」

 

8/19(水)6弁護士の立証

6弁護士の立証
 

さて、悲惨かつ深刻な後遺障害の脊髄損傷の検証を開始します。
とりわけ、上位頚髄損傷で四肢体幹麻痺では、脳は、シッカリと機能しているのに、横断型脊髄損傷により、被害者は身体の自由が利かず、全介護を受けなければ、なにもできません。
かろうじて、首を動かすことはできますが、呼吸麻痺では、人工呼吸器に頼ることになります。
被害者にとっては、生きながらも、地獄の日々が続くのです。

第6頚椎、C6の脱臼骨折に伴う横断型脊髄損傷では、手と手指の機能を残していることもあります。
第11腰椎、T11の脱臼骨折に伴う横断型脊髄損傷では、下肢に対麻痺を残し、歩行はできませんが、上肢の機能は正常で、事故後、就労に復帰している被害者も存在しています。
しかし、ここで忘れてはならないのが、自律神経障害と排尿・排便障害です。
パラリンピックでは、車椅子バスケット、チェアスキーによるアルペン競技など、障害を克服して頑張っている映像が流れていますが、大半の選手は、見えないところで、これらの症状に苦しめられています。
特に、等級に影響を与えないものの、介護では、重視される自律神経障害をどう立証していくのか、この点に注目しながら、検証を続けていきます。

弁護士としては、これらの被害者に向き合い、ご家族と話し合って、どんな方法で原状回復を成し遂げ、被害者救済を行うべきか、真剣に検証しなければなりません。
被害者は、原状回復の請求で、なにも我慢する必要はありません。
そして、これらを合理的に立証して、高額賠償につなげることこそが弁護士の仕事なのです。
それでは、実際の裁判例から、あるべき原状回復と弁護士の立証活動を検証していきます。

判例19 飲酒ひき逃げの慰謝料は? 
(脊髄損傷1級1号 2016年 東京地裁 和解)

(1)概要
飲酒運転の加害者が、路外にはみ出し、歩行中の被害者、53歳男性公務員を後方から跳ね飛ばしたもので、加害者は、被害者を救護することなく事故現場から逃走し、被害者には、脊髄損傷と高次脳機能障害で別表Ⅰの1級1号が認定されています。

(2)損保の反論
1)被害者は、事故後、医師の許可を得て、週3日ほど職場復帰し、事故前の20%程度ではあるが、給与が支給されていることから、労働能力喪失率は1級の100%ではなく80%として逸失利益を算定すべきである。

2)被害者に、介護の必要性は軽く、将来介護費用としては、現に、職業介護を利用している月額6万円程度を基礎として1070万円は認めるが、それ以上は認められない。

3)加害者による悪質な事故であることを踏まえ、後遺障害慰謝料を増額するにしても、近親者分を併せて3000万円が限度である。

(3)弁護士の立証
1)⇒弁護士は、職場の上司と同僚の陳述書、公務員給与条例などを証拠として提出し、
①被害者は、一時期、無給の復職プログラムに参加していたものであること、
②その結果、後遺障害のため、復職できないとの結論が出ていること、
③給付金は勤務の対価ではなく、公務員給与条例に基づく療養中・休職中の支給金であること、
などを立証し、損保は、医療記録などの資料を自己に有利に解釈し、被害者は復職をしているなどと主張しているが、いずれも、事実に反するものであるとして、厳しく糾弾しています。

2)⇒弁護士は、カルテと看護記録、後遺障害診断書、頭部外傷後の意識障害についての所見、神経系統の障害に関する医学的所見、脊髄症状判定用、主治医の意見書、家族と職業介護人の陳述書を証拠として提出し、損保は、被害者が寝たきりでないことを根拠として、介護負担は軽度なものと主張しているが、被害者の症状は重度の脊髄損傷と高次脳機能障害が合併したものであること、被害者のあらゆる生活動作について、必要な介護の内容とその負担の大きさについて、緻密に立証し、被害者には、常時の介護が必要な状態であるとして、現在、主として介護を担う妻の負担は極めて重く、既に職業介護も利用しているが、将来的には、さらなる職業介護の利用が不可欠と判断されることから、将来の介護費用は、妻が67歳までは日額8000円、妻が67歳以降は日額1万5000円として、総額5280万円を請求しています。

3)介護住宅への改造費用については、介護住宅の実績を有する建築設計事務所の意見書と見積書を証拠として提出、改造費の内、被害者の利用分として730万円を、介護機器の購入費、再調達費、介護雑費については、訴訟提起前の実績から、740万円を請求しています。

4)本件事故は、加害者の飲酒轢き逃げという稀に見る悪質なものであることを踏まえ、弁護士は、制裁的な慰謝料を加味し、後遺障害慰謝料として3640万円、家族の慰謝料として800万円を請求しています。

(4)裁判所の判断
1)⇒裁判所は、職場の上司と同僚の陳述書を評価して、被害者の労働能力喪失率が100%であることを認め、6620万円の逸失利益をを認定しています。

2)⇒裁判所は、主治医の意見書と家族、職業介護人の陳述書を評価し、被害者の症状は重度の脊髄損傷と高次脳機能障害が合併したもので、身体機能の多くが失われていて、日常生活上の行為について介助が必要であることを認め、将来の介護費用について、弁護士の請求通り、妻が67歳までは日額8000円、妻が67歳以降は日額1万5000円として、計5280万円を認定しています。
その他として、将来の介護機器の費用として740万円、住宅の改修費用として730万円も請求額通り認定しています。

3)⇒裁判所は、飲酒轢き逃げというきわめて悪質な事故であることを考慮し、本人の後遺障害慰謝料として3640万円、近親者の慰謝料として800万円、計4440万円を認定しました。

4)調整金3780万円を含み、和解金は1億6100万円ですが、自賠責保険金4000万円を加え、2億0100万円の損害賠償が実現しました。

(5)NPOジコイチのコメント
本判例のピンポイントは、訴訟の提起前に、住宅を改造し、職業介護人も含めた在宅介護が実施されていたことにあります。

損保は、カルテ記載の一部を自己に都合のいいように解釈して、逸失利益と将来の介護料を低く抑えようとしたのですが、誤った解釈は、弁護士に、ものの見事に喝破され、シュン太郎となりました。

脊髄損傷で四肢体幹麻痺をきたし、別表Ⅰの1級1号が認定された被害者では、当然ながら、常時の介護が必要な状態となります。ところが、損保は、遷延性意識障害のように寝たきりではないとして、介護料の減額を主張してくるのです。
ところが、遷延性意識障害となると、自宅介護ではなく施設介護を主張し、寝たきり被害者の余命は短いと断定してくるのです。
裁判所で排斥されても、揚げ足取りは繰り返されており、非常識さには、いつもイライラさせられます。

 
 
ジョークバッティングセンター?

この前バッティングセンターで、マスクかぶってキャッチャーの練習してた奴がいた。
それだけでも面白いのに、取ったボール返しながら、「ナイスボー!」とか言っているから、 もう泣いた!

 

8/18(火)脊髄損傷の後遺障害等級

脊髄損傷の後遺障害等級
 

(4)自賠責保険5級2号

等級

内容

自賠
5級2号

①神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの

②自用を弁ずることができるが、労働能力に著しい障害が生じ、終身極めて軽易な労働にしか服することができないもの

③麻痺その他の著しい脊髄症状のため、独力では一般平均人の4分の1程度の労働能力しか残されていないもの

労災
5級の1

脊髄症状のため、極めて軽易な労務のほかに服することができないもの

①.軽度の対麻痺が認められるもの

②.1下肢の高度の単麻痺が認められるもの

(6)自賠責保険9級10号

等級

内容

自賠
9級10号

①神経系統の機能または精神に障害を残し、服する労務が相当程度に制限されるもの

②通常の労働行うことができるが、就労可能な職種が相当程度に制限されるもの

③一般的労働能力はあるが、明らかな脊髄症状が残存し、就労の可能な職種の範囲が相当な程度に制限されるもの

労災
9級の7

脊髄

通常の労務に服することはできるが、脊髄症状のため、就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限されるもの

1下肢の中程度の単麻痺が認められるものであって、L2以上で脊髄の半側のみ損傷を受け、1下肢の軽度の単麻痺が生じたために日常生活は独歩であるが、不安定で転倒しやすく、速度も遅いとともに、脊髄の損傷部位以下の感覚障害が認められるもの

(7)自賠責保険12級13号

等級

内容

自賠
12級13号

①局部に頑固な神経症状を残すもの

②他覚的検査により神経系統の障害が証明されるもの

③労働には通常差し支えないが、医学的に証明しうる神経系統の機能、精神に障害を残すもの

労災
12級の12

通常の労務に服することはできるが、脊髄症状のため、多少の障害を残すもの

運動性、支持性、巧緻性および速度についての支障がほとんど認められない程度の軽微な麻痺を残すもの、また、運動障害は認められないものの、広範囲にわたる感覚障害が認められるものであって、
①軽微な筋緊張の亢進が認められるもの
②運動障害を伴わないものの、感覚障害が概ね一下肢にわたって認められるもの

(8)自賠責保険14級9号

等級

内容

 

自賠
14級9号

①局部に神経症状を残すもの

②神経系統の障害が、医学的に推定されるもの

③労働には通常差し支えないが、医学的に可能な神経系統または精神の障害に係わる所見があると認められるもの

④)医学的に証明しうる精神神経学的症状は明らかでないが、頭痛、めまい、疲労感などの自覚症状が単なる故意の誇張ではないと医学的に推定されるもの

※脊髄損傷は、他覚的な所見を含むものであり、14級9号はあり得ません。
他覚的所見の立証に失敗したものの一部が、14級9号でお茶を濁されているのです。
 
 
ジョークガソリンスタンドにて?

今日、ガソリンスタンドにいったんだけど、バイトの店員が、店の奥でペチャクチャおしゃべりしてて、全然出てこないので、こういってやった!
「おまえら、油売ってんじゃねえ?」

 

8/17(月)脊髄損傷の後遺障害等級

脊髄損傷の後遺障害等級
 

5脊髄損傷における後遺障害等級
脊髄損傷の程度により、四肢の運動障害、感覚障害、腸管機能障害、尿路機能障害または生殖器機能障害などの多彩な症状が出現するのですが、これらの諸症状を総合評価して、その労働能力におよぼす影響の程度により、以下の7段階に区分され、等級が認定されています。

(1)自賠責保険 別表Ⅰの1級1号

等級

内容

自賠
1級1号

①神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの

②自用を弁ずることができないもの

③生命維持に必要な身のまわり処理の動作について、常に他人の介護を要するもの

労災
1級の3

脊髄症状のため、生命維持に必要な身のまわり処理の動作で、常に他人の介護を要するもの

①高度の四肢麻痺※が認められるもの

②高度の対麻痺が認められるもの

③中程度の四肢麻痺※であって、食事・入浴・用便・更衣などで常時介護を要するもの

④中程度の対麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣などで常時介護を要するもの

①.上位頚髄、C1/2/3/4の脱臼骨折による横断型脊髄損傷で、四肢体幹麻痺をきたしたもの、肋間筋および横隔膜の支配神経が破断し、呼吸麻痺で人工呼吸器に頼るものも含まれています。

②.胸髄、T2/3/4の脱臼骨折、横断型脊髄損傷で、体幹と両下肢に高度な対麻痺をきたしたもの

③.腰髄、L2以上の脱臼もしくは粉砕骨折で、横断型脊髄損傷により、両下肢の高度の対麻痺、神経因性膀胱障害および脊髄の損傷部位以下の感覚障害が生じた他、脊柱の変形などが認められるもの、

※高度な麻痺とは?
障害のある上肢または下肢の運動性・支持性がほとんど失われ、障害のある上肢または下肢の基本動作、下肢においては歩行や立位、上肢においてはモノを持ち上げて移動させることができないもの

①完全強直またはこれに近い状態にあるもの、
②上肢の3大関節および5つの手指のいずれの関節も自分では動かすことができないもの、またはこれに近い状態にあるもの、
③下肢の3大関節のいずれも自動運動によっては可動させることができないもの、またはこれに近い状態にあるもの、
④障害を残した1上肢ではモノを持ち上げて移動させることができないもの、
⑤障害を残した1下肢の支持性および随意的な運動性をほとんど失ったもの、

※中等度の麻痺とは?
障害のある上肢または下肢の運動性・支持性が相当程度失われ、障害のある上肢または下肢の基本動作にかなりの制限があるもの、

①.障害を残した1上肢では仕事に必要な軽量のモノ、概ね500gを持ち上げることができないもの、または、文字を書くことができないもの、
②障害を残した1下肢を有するため、杖もしくは硬性装具なしには階段を上ることができないもの、または、杖もしくは硬性装具なしには歩行が困難であるもの、

(2)自賠責保険 別表Ⅰの2級1号

等級

内容

自賠
2級1号

①神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの

②多少、自用を弁ずることができる程度のもの

③生命維持に必要な身のまわり処理の動作について、随時介護を要するもの

労災
2級の2

脊髄症状のため、生命維持に必要な身のまわり処理の動作について、随時介護を要するもの

中程度の四肢麻痺が認められるもの、

軽度の四肢麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣などで随時介護を要するもの

③中程度の四肢麻痺で、食事・入浴・用便・更衣などについて随時介護を要するもの、

①.C5/6/7の脊髄損傷で中程度の四肢麻痺を残したもの

②.腰髄、L2以上の脊髄損傷で、両下肢に中程度の対麻痺が生じたために、立位の保持に杖または硬性装具を要するとともに、軽度の神経因性膀胱障害および脊髄の損傷部以下の感覚障害が生じた他、脊柱の変形が認められるもの

※軽度の麻痺とは?
障害のある上肢または下肢の運動性・支持性が多少失われており、障害のある上肢または下肢の基本動作を行う際の巧緻性および速度が相当程度失われているもの、

①障害を残した1上肢では、文字を書くことに困難を伴うもの、
②日常生活は概ね独歩であるが、障害を残した1下肢を有するため、不安定で転倒しやすく、速度も遅いもの、または障害を残した両下肢を有するため、杖もしくは硬性装具なしには階段を上ることができないもの、

(3)自賠責保険3級3号

等級

内容

自賠
3級3号

①神経系統の機能・精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの

②自用を弁ずることはできるが、終身にわたり労務に服することができないもの

③生命維持に必要な身のまわり処理の動作は可能であるが、終身にわたり、およそ労働に服することはできないもの、

労災
3級の3

生命維持に必要な身のまわり処理の動作は可能であるが、労務に服することができないもの

ⅰ.随時介護を要するものを除き、軽度の四肢麻痺が認められるもの、

ⅱ.随時介護を要するものを除き、中程度の対麻痺が認められるもの、

 
 
ジョークハセガワさん?

私の住むマンションに、イギリスから引っ越してきたご夫婦の、特に奥様がすごい日本贔屓!
最近、”ハセガワさんがカッコいい”って言うから、一体どこのハセガワさんと思ったら、火付盗賊改方の長谷川 平蔵さんだった。

 

8/7(金)脊髄損傷の小分類

脊髄損傷の小分類
 
3.脊髄損傷の小分類
脊髄損傷は、大きくは、完全損傷と不完全損傷の2つに分類されるのですが、麻痺症状の部位により、以下の四肢麻痺、対麻痺、片麻痺、単麻痺の4つに分類されます。

四肢麻痺      片麻痺      対麻痺       単麻痺

(1)四肢麻痺(ししまひ)
頚髄の横断型損傷により、両上・下肢および骨盤臓器に麻痺や機能障害を残すもので、四肢麻痺はバイク事故やプールの飛び込みなど、頚髄が損傷されたときに発症する麻痺です。

(2)片麻痺(かたまひ)
脊髄損傷で、片側の上・下肢に麻痺や機能障害を残すもので、右半身麻痺などと呼ばれています。 片麻痺は、上位運動ニューロンが障害されると発症する麻痺で、右脳に脳梗塞や脳出血などの脳血管障害が起こると左半身に麻痺が見られます。

(3)対麻痺(ついまひ)
胸髄、腰髄、仙髄、馬尾の損傷により、両下肢および骨盤臓器に麻痺や機能障害を残すもので、自転車やバイク事故などで胸髄よりも下の脊髄が損傷を受けることで両側性に障害されたときに起こる麻痺です。

(4)単麻痺(たんまひ)
脊髄損傷により、1つの上・下肢に麻痺や機能障害を残すもの、単麻痺は、普通は、末梢神経障害で起こりやすい麻痺で、交通事故で右上腕神経叢の引き抜き損傷では、右上肢みの麻痺が起こります。

4.損傷レベルと麻痺の現れ方
(1)損傷のレベルが、C1~3であるとき
全体症状は、四肢・体幹のすべてが麻痺、自発呼吸が困難で人口呼吸器が必要となります。

ADL

全介護、呼気、唇や顎の動きを利用したハンズフリースイッチの操作が可能、

運動機能

首を動かすことができるが、呼吸に障害があり、上・下肢・体幹が麻痺、

移乗・移動方法

専用の電動車椅子を操作して移動する、

自助具・福祉用具

人工呼吸器、専用の電動車椅子を利用、
環境制御装置・特殊寝台の設置が必要となる、

(2)損傷のレベルが、C4であるとき、
全体症状は、四肢は麻痺するも、横隔膜の機能が残存するので、自発呼吸はできます。

ADL

全介護、頭に取り付けた棒や口でくわえた棒を使用して本の頁をめくるなどの動作は可能、

運動機能

自力での呼吸が可能、肩甲骨を上に上げることができる、

移乗・移動方法

専用の電動車椅子を操作して移動、

自助具・福祉用具

専用の電動車椅子、ベッドポインターを利用、
環境制御装置・特殊寝台の設置が必要である、

(3)損傷のレベルが、C5であるとき
全体症状は、三角筋と肘屈筋が利き、肩の運動と肘屈曲ができます。

ADL

全介護、ただし手を動かすことができ、上肢装具付きの自助具を使えば食事、筆記などが可能、

運動機能

肩、肘、前腕の一部を動かすことが可能、

移乗・移動方法

平らな場所ではハンドリム※を工夫した車いすの操作が可能、

自助具・福祉用具

電動車椅子を利用、上肢装具付きの自助具(食事、筆記用のものなど)・環境制御装置・特殊寝台・リフトの設置が必要、

(4)損傷のレベルが、C6であるとき
全体症状は、手関節背屈筋と前腕の回内筋が利く、寝返り、起き上がりなどができます。

ADL

全介護、自助具を用いて食事、筆記などが可能、上半身の着替えが可能、

運動機能

肩に力が入るが、不完全な状態、肘を曲げられるが伸ばすことはできない、手首を上げることは少しだけ可能、腕立て伏せの力も少しだけ入る、起き上がることや寝返りを打つことができる、

移乗・移動方法

平坦なところでは、ハンドリムを工夫した車椅子の操作ができる、腕立て伏せの力でベッドと車椅子の移乗が可能なこともある、専用の自動車を運転することが可能なこともある、

自助具・福祉用具

ハンドリムを工夫した車椅子を利用、自助具(食事、筆記・着替・入浴用など)バスボード※・特殊寝台・リフトの設置が必要となる、

(5)損傷のレベルが、C7であるとき
全体症状は、肘伸展と手関節の屈曲ができます。

ADL

一部介助あるいは、ほぼ自立、自助具なしでの食事、着替えができ、起き上がること、寝返りが可能である、

運動機能

手関節の動きはほぼ完全にでき、腕立て伏せもできる、

移乗・移動方法

標準タイプの車椅子で移動ができ、腕立て伏せの力でベッドと車椅子の移乗ができる、トイレの便器と車椅子の移乗、専用の自動車の運転ができる、

自助具・福祉用具

標準タイプの車椅子、バスボード・入浴用自助具が必要となる、

(7)損傷のレベルが、T2~6であるとき
全体症状は、体幹の回旋ができません。

ADL

簡単な家事動作が可能、

運動機能

体幹のバランスが少しだけ安定する、

移乗・移動方法

車椅子移動、

自助具・福祉用具

車椅子が必要である、

(8)損傷のレベルが、T7~L2であるとき
全体症状は、体幹の回旋はできますが、前屈位からの起き上がりは困難です。

ADL

住環境が整えば、家事、仕事、スポーツもできる、

運動機能

体幹のバランスがほとんど安定する、

移乗・移動方法

車椅子移動、練習程度の歩行であれば、装具と松葉杖の利用によりできる、

自助具・福祉用具

車椅子が必要である、

(9)損傷のレベルが、L3~4のとき
全体症状は、腸腰筋が利く、L2では長下肢装具と松葉杖、L4では短下肢装具と杖で歩行ができます。

ADL

すべて自立している、

運動機能

体幹が安定し、下肢の一部を動かすことができる、

移乗・移動方法

短下肢装具と松葉杖の利用で歩行ができる、

自助具・福祉用具

短下肢装具、松葉杖が必要となる、

(10)損傷のレベルが、L5~S3のとき
全体症状は、股関節の外転ができ、膝関節の屈曲もリハビリにより可能性が高まります。

ADL

すべて自立している、

運動機能

足関節の動きは不十分であるが、下肢を動かすことができる、

移乗・移動方法

自立した歩行が可能。

上記は、脊髄の損傷部位と障害の大雑把な分類を示したもので、必ず、上記の通りではありません。
 
※ハンドリムとは、駆動輪の外側に固定された小型の輪のことです。
※バスボードとは、入浴補助具です。
 
 
ジョーク部屋の片付け?

結婚することになりました。
彼の住む町へ行くのですが、彼のアパートは狭いので、私の荷物はほとんど入らない。
ダンボール10箱が目標、いかに荷物を減らすか、が課題、でも、彼がいれば、なにもいらないので、無駄なものはどんどん捨てます!・・・という設定で朝から片付けています。
こんな部屋じゃ、彼氏できても呼べないしね・・・ははは・・・ふふふ・・・

 

8/6(木)脊髄損傷の分類?

後遺障害慰謝料と将来介護料
 
(3)後遺障害慰謝料比較(単位 万円)

障害等級

地方裁判所

任意保険

自賠責保険

1

2800

1800※

1100

2

2370

1500※

958

3

1990

1300※

829

5

1400

700

599

7

1000

500

409

9

690

300

245

12

290

100

93

※被害者に、父母、配偶者または子のいずれかがいるときの慰謝料です。
そうでないときは、1級1600万円、2級1200万円、3級1000万円となります。
 
(4)将来介護料の比較

障害等級

地方裁判所

任意保険

1

弁護士が、現実の介護状況を立証することで、職業介護人と家族介護の併用や家族介護人のレスパイトも含めて、介護料が決定されています。

15万円※

2

7万5000円

3

7万5000円

5

×

 
※損保の介護料
保険期間の開始日がH30-1-1以降の損保ジャパン日本興亜の約款では、自賠責保険の後遺障害等級表に基づき、Ⅰの1級は、月額15万円、Ⅰの2級、Ⅱの1、2級、3級3号と4号については、真に介護を要すると認められるときに限り、月額7万5000円を支払うと規定しています。
SBI損保では、全介護で13万円、随時介護で6万5000円とされており、障害の態様、部位・程度などにより割増すことが妥当なときは、全介護で20万円、随時介護で10万円を支払うとしていますが、割増の基準が明示されておらず、信用することができません。
このような曖昧な規定が、払い渋りの温床となっているのです。
 

損保別 将来の介護費用(万円)

損保

将来の介護料

損保

将来の介護料

全介護

随時介護

全介護

随時介護

損保J日興

15

7.5

全労済

20

10

セゾン

15

7.5

あいニッセイ

20

10

そんぽ24

15

7.5

大同火災

16

8

朝日火災

13

6.5

三井住友

14

7

セコム

15

7.5

三井ダイレクト

13

6.5

ソニー

16

8

AIG

20

10

東京海上日動

16

8

アクサ

15

7

eデザイン

16

8

SBI

13※

6.5※

日新火災

20

10

チューリッヒ

13

6.5

共栄火災

20

10

JA共済

20

10

 

全介護とは、介護の実態に関係なく、等級で決められており、別表Ⅰの1、第1級が該当します。
随時介護とは、別表Ⅰの1、第2級、別表Ⅰの2、第1級もしくは第2級または別表Ⅰの2の第3級3号もしくは第3級4号に該当することを前提に、随時介護が必要なものです。
自動車保険を販売する損保・共済・ダイレクト系は全部で20社あります。
将来の介護料では、全介護で1カ月14万円~20万円、随時介護で1カ月6万5000円~10万円の開きが発生しています。

将来の介護料は、次の算式で求めます。
(介護料・諸雑費)×(12カ月)×(平均余命期間に対応するライプニッツ係数)

 

損保

算式

将来の介護費用

損J日興

15万円×12カ月×17.7741=3199万3380円

3199万3380円

東京海上

16万円×12カ月×17.7741=3412万6272円

3412万6272円

三井住友

14万円×12カ月×17.7741=2986万0488円

2986万0488円

あいニッセイ

20万円×12カ月×17.7741=4265万7840円

4265万7840円

裁判例

60万円×12カ月×17.7741=1億2795万4080円

1億2795万4080円

計算例
別表Ⅰの1級が認定された37歳男性では、
年齢別平均給与額44万4500円
平均余命年数 44.69年 対応するライプニッツ係数 17.7741

裁判例では、1カ月当たりのおむつなどの消耗品の平均値を算出、1年間の家族介護と職業介護の日数を分けて計算し、家族が67歳を超えれば、全面的に職業介護に頼るなど、細かく積み上げて、将来の介護費用を算出していきます。
個別で違いがありますが、平均的には、月額54万円~75万円に積み上がります。

※地方裁判所の介護料
ところが、裁判所は自賠法の常時介護や随時介護の規定には、こだわりを持ちません。
あくまでも、現実はどうなのか? このことを重視しているのです。
したがって、遷延性意識障害、高次脳機能障害、脊髄損傷においては、介護の緻密な立証が必要とされ、それらの作業は弁護士の力量と評価されているのです。
被害者側の弁護士が、介護の実態を具体的に立証することで、2級1号であっても常時介護を認め、3級3号や5級2号でも、現実に、介護料は認定されているのです。

将来の介護料は、弁護士が立証して、裁判所で認容されています。
したがって、損保の介護料の格差など、あまり気にすることもありません。

 
 
ジョーク危険な食べ物?

アメリカ人に、日本人がとても好む食べ物だが、日本で一番危険な食べ物で、これを食べて毎年、何人かが死んでるって、餅を勧めたら、びびってた!

 

8/5(火)脊髄損傷の分類?

脊髄損傷の分類?
 

2脊髄損傷における大分類
脊髄損傷は、大きくは、完全型と不完全型の2つに分類されます。
完全型は、椎体骨の脱臼や骨折を原因として、脊髄が横断的に離断し、神経伝達機能が完全に絶たれたもので、不完全型は、多くが非骨傷性のものですが、脊髄は部分的な損傷を受けてはいるものの、一部の機能が残存している状態です。

(1)完全型
損傷部位以下は、上位中枢からの支配を失い、脳からの運動命令は届かず、運動機能が失われ、上位中枢へ感覚情報を送ることもできなくなるため、感覚知覚機能も失われます。
つまり、麻痺とは、動かない、感じないという状態に陥ることです。
例えば、C4の脱臼骨折で横断型頚髄損傷をきたしたときは、四肢と体幹の完全麻痺となります。
胸髄、T1の脱臼骨折で横断的に胸髄を損傷したときは、上肢の機能は残っていますが、下肢は対麻痺の状態で、日常は、車椅子に頼ることになります。
いずれも、排尿・排便障害を伴い、深刻な障害で、日常生活で、他人の介助が必要となります。

さらに、感覚、運動だけではなく自律神経系も同時に損なわれます。
麻痺している領域では、代謝が不活発となるため、外傷などは治りにくく、汗をかく、鳥肌を立てる、血管を収縮、拡張させるといった自律神経系の調節も機能しなくなり、自律神経過反射や起立性低血圧、そして、体温調節障害などを発症します。

後遺障害では、完全型=横断型損傷では、XP、CT、MRIなどで、損傷を確認することができるので、等級の立証は容易です。
等級の獲得が容易でも、損害賠償交渉となると、
1)自宅の改造と将来介護料の請求?は
その他にも、
2)被害者が、アルバイトやフリーターであったときの逸失利益は?
3)上肢の機能を残しており、復職ができたときの逸失利益は?
4)将来介護料と公的給付や介護保険、自動車対策機構の介護料との整合性は?
5)加害者が無保険であったときは?
6)主治医の診断力に疑問があり、信頼関係が築けないときは?
7)交通事故と医療過誤が競合したときは?
8)近親書の慰謝料請求は?

などなど、素人である被害者や家族では、解決が困難なことばかりです。
結論から申し上げれば、これは専門性の高い弁護士が裁判所で立証して解決する領域となります。
先の自律神経損傷や、後段、解説している痙性などは、等級に反映される症状ではなく、これらは将来介護料の請求で、介護を困難にさせている要因として、弁護士が裁判所で立証し、高額な将来介護料を実現しなければなりません。損保との相対交渉では、解決できない問題なのです。

かつて、完全型脊髄損傷患者の寿命は、健常者に比較すれば、大幅に短いと考えられていたのですが、現在では、医療技術の進歩や療養環境の改善に伴って、平均寿命は、健常者に比較して、およそ5%程度短いだけと報告されています。
それらを、弁護士が裁判所で立証して、脊髄損傷患者の生活を改善する必要性が増しています。
交通事故では、遷延性意識障害、高次脳機能障害と並び、弁護士の力量次第で、月とスッポンの差が生じているのです。

(2)不完全型
不完全型損傷は、椎体の脱臼や骨折を伴わない非骨傷性が大半であり、中心性頚髄損傷が代表的な傷病名ですが、その他には、前角障害や後角障害、ブラウン・セガール症候群、前脊髄動脈症候群、頚椎症性脊髄症などがあります。
中心性頚髄損傷では、両上肢に痛みや痺れ、麻痺の症状が出現し、排尿・排便障害やED障害を伴うこともありますが、下肢に目立った症状はなく、通常歩行が可能です。
症例数が少ないこと、上肢に大きな麻痺がないときは軽傷に見えることなどから、医師の理解や協力を得ることが困難で、特に、画像所見に乏しいときなどは、単なるムチウチと診断され、損保も医師所見に追随して、短期間で治療を打ち切るなどで、後遺障害の立証において、大変、苦労しています。
完全型では、等級の立証は容易ですが、不完全型は、等級の立証が難しいのです。

交通事故では、こうした特殊な症例もあることを前提に、専門医を受診し、必要な検査を受け、立証の努力をしなければなりません。
医師との信頼関係が築けない治療先で、漫然治療を続けると、後遺障害では命取りとなります。
ここは、交通事故110番が活躍する場面となります。
事故受傷からできるだけ早期に、NPO交通事故110番の無料電話相談077-571-0600してください。概要がつかめたら、全国で展開している交通事故無料相談会に参加してください。
不完全型でも、介護や介助、自宅の改造が必要なときは、弁護士の出番です。
弁護士が裁判所で立証しない限り、高額賠償にはつながりません。

 
 
雑学清濁あわせ飲む?

清流も濁流も受け入れる海の如く、度量が大きく心が広いことをいいます。

 

8/4(火)横断型脊髄損傷とは?

横断型脊髄損傷とは?
 
1/6~7/31まで、判例を中心とした高次脳機能障害の解説を続けてきましたが、今月からは、視点を変えて、横断型脊髄損傷を取り上げます。 脊髄損傷も、大変深刻な後遺障害です。
とりわけ、上位頚髄損傷の四肢体幹麻痺では、脳は、シッカリと機能しているのに、横断型脊髄損傷で被害者は身体の自由が利かず、日常生活のすべてで介護が必要な状態となります。
首を動かすことはできても、人工呼吸器に頼っており、話しをすることもできません。
被害者にとっては、生きながらも、地獄の日々が続くのです。
それであっても、損保は、寝たきりの余命は短い? 
施設介護で十分である? 
介護保険や自動車事故対策機構の公的給付の適用で、被害者は1000円の実費負担で済む? 
介護にかかる雑費は、逸失利益でまかなうべき?
寝たきりであるので、生活費控除をすべき? 
など、裁判の場でも、非人道的な主張を繰り返しています。
被害者、ご家族は、損害賠償請求訴訟で勝訴して、これらの損保の非常識に鉄槌を下さなければなりません。

1概要
ヒトの身体活動のほとんどの部分は、脳によりコントロールされています。
しかし、脳そのものは、首の最上部までしか到達していません。
顔は、脳幹と直接につながっていますが、それ以下では脊髄が脳に代わって、脳からの指令を手や足などの末梢に伝達し、反対に末梢からの信号を脳へ伝達する重要な役割を果たしています。

脊髄は、脳の底部から背中の下方まで伸びている、直径1cm、小指程度の太さの非常に細長いロープ状の器官であり、脊髄そのものは、軟らかく、損傷されやすいもので、専門医からは、おからを連想させる脆いもので、脊椎によって囲まれた脊柱管というトンネルで保護されているのです。

脊椎は26 個の小さな椎体骨で構成されており、これらの骨が上下に積み重なった構造です。
脊椎は身体の活動にあわせて激しく動き、曲がるため、椎骨と椎骨の間にはクッション、衝撃吸収装置の役割をする椎間板が存在しています。
椎骨同士は靭帯によって連結・保持され、首や背中を捻ったり曲げたりすることを可能にしています。
脊髄は、それぞれ左右へ末梢への枝を出しており、その枝の出ている位置から髄節という単位に分類され、頚髄は8、胸髄は12、腰髄は5、仙髄も5の髄節に分類されています。

脊髄が横断的に切断されると、その障害された部位より下方向には、脳からの指令が伝達されなくなり、下からの信号も脳に伝達できなくなります。
そのため、運動麻痺、感覚・自律神経、排尿・排便障害などの深刻な障害が生じます。
椎体骨が骨折して不安定なときは、緊急的に固定術が実施されていますが、脊髄自体を手術でつなぎ合わせることはできません。
脊髄は脳と同様に中枢神経細胞で構成されており、現状では、損傷すると再生することはありません。 今後の再生医療の成果が期待される分野です。
日本脊髄障害医学会の調査によれば、脊髄損傷の発生件数は毎年、5000人前後、交通事故で2400件、労災事故で1500件と報告されています。
交通事故と労災事故で全体の73%を構成しています。

 
 
雑学破天荒?

天荒とは未開の荒地のことで、これを破るとは、誰もやらなかったことをやって見せることをいいます。

 

8/3(月)判例88 被害者の全体像から介護を論じる?

判例88 被害者の全体像から介護を論じる?
(高次脳機能障害2級1号 2017年 東京高裁 和解)
 

(1)概要
17歳、女子高校2年生が、自転車に乗り、青信号で交差点の自転車横断帯上を横断中、信号無視の加害トラックに跳ね飛ばされたもので、被害者には、高次脳機能障害で2級1号、両眼の半盲症で9級3号、聴力障害で9級7号、併合2級が認定されています。

(2)損保の反論
1)被害者の高次脳機能障害は2級1号であり、常時介護ではなく、随時介護に過ぎないので、介護負担は重いとは言えず、また、今後は、介護機器の発展や公的サービスの拡充により、介護費用は、低額になる可能性があることから、高額な将来介護費用の負担には、応じられない。

2)被害者は、女性であり、逸失利益の基礎収入は、統計上の女子平均賃金を前提とすべきである。
また、被害者は事故当時、高校生で、企業の就職面接にも出掛けており、高卒で就職する予定だったと思われるので、統計上の高卒平均賃金を前提とすべきである。

(3)弁護士の立証
1)⇒弁護士は、治療先のカルテと看護記録、家族の陳述書、後遺障害診断書、意識障害の所見、神経系統の障害に関する医学的所見などを証拠として提出し、現状の介護実態を立証しています。
そして、自賠責保険の規定では、2級1号は、随時介護とされているが、被害者には、高次脳機能障害に加え、目や耳にも障害を残しており、その介護の負担はきわめて重く、平日、母親だけの介護には限界が生じており、やむを得ず、職業介護人を併用していることを説明しています。

2)⇒弁護士は、将来の介護費用の推移について、損保側は、将来の介護費用は、低額になると主張しているが、昨今の、介護業界の人手不足などに鑑みれば、介護費用は将来、高額になっていくと見込まれると反論しています。
以上から、被害者の将来の在宅介護費用は、家族介護料日額8000円、職業介護人を依頼する日については日額2万円、総額9320万円を請求しています。

3)⇒弁護士は、女子平均賃金は、男女不平等であった過去の実績が反映されており、男子平均賃金と比較すると不当に低い金額となっていること、被害者は、事故当時、高校生であり、男女雇用機会均等が進んだ昨今、性別を理由に基礎収入を低く見積もることは許されないと反論しています。
そして、事故当時は、高校を卒業後、大学に進学していた可能性も残していたのであり、女子高卒平均賃金を前提とすべきではなく、基礎収入は統計上の男女平均の全学歴計の平均賃金を用いるべきであると主張しています。

(4)裁判所の判断
1)⇒裁判所は、被害者の介護負担の重さを評価し、損保側の主張を排斥し、弁護士の主張に沿って、9320万円の将来介護料を認定しました。

2)⇒裁判所は、従来は、義務教育を終了するまでの女子児童に適用されていた、男女平均の全学歴計の平均賃金を、拡大して、症状固定時18歳の女性に適用することを認めました。
これにより、逸失利益は8430万円が実現しています。

3)調整金7320万円を含み、和解金は2億6200万円ですが、自賠責保険金3000万円を加え、2億9200万円の損害賠償が実現しました。
他に、近親者慰謝料500万円、介護住宅改造費360万円が認められています。

(5)NPOジコイチのコメント
本判例のピンポイントは、被害者の全体像を明らかにして、立証することです。

本件の被害者は、高次脳機能障害2級1号に加えて、目や耳の障害も残しているのですが、損保側は、2級1号の高次脳機能障害にしては金額が高すぎること、介護費用は将来、安価に提供される可能性が高いなどの主張を行っています。
これに対して、弁護士は、障害の全体像を把握するのであれば、介護の負担は極めて重く、高額な将来介護費用が必要であること、また、介護業界の人手不足などを考慮するのであれば、介護費用は、将来、高額になるものと見込まれるなど、適切に反論しています。
やはり、長らく被害者に寄り添ってきた弁護士ならではの主張であり、高い心証形成を勝ち取っています。
その結果、裁判所は、他の障害も残存しているとはいえ、高次脳機能障害2級1号の事例としては、異例の高額な基準で将来介護費用を認定しています。

また、逸失利益の基礎収入については、従来、義務教育を終了するまでの女子に対して認められていた男女平均・全学歴計の平均賃金を女子高校生拡張して、適用させたことも特筆すべきです。

さらに本件では、控訴され、高裁で和解するまでに5年以上が経過したことで、7000万円を超える遅延損害金が、調整金の名目で認定されました。

 
 
雑学八面六臂?

臂とは肘を意味しています。
顔が八つあって、肘が六つあるということは、たった一人で、多方面にわたり、数人分の活躍をしている様をいいます。