10/29(木)判例18 自宅介護は不可能との損保主張には、どう対抗していくのか?

判例18 自宅介護は不可能との損保主張には、どう対抗していくのか?
(遷延性意識障害1級1号 2011-2-18 名古屋地裁 判決)
 

今後の遷延性意識障害の模範となる優れた判例であり、すべての損害項目について、損保の反論、弁護士の立証、裁判所の判断を、じっくり検証していきます。

交通事故概要について
20歳、男子大学生が、悪ふざけですが、大学構内の駐車場で、同級生の乗用車のボンネットに伏臥して乗ったところ、同級生が発進、127.5mを進行した地点で、左折したときに転落し、急性硬膜下血腫、頭部外傷後遷延性意識障害と四肢体幹運動障害などで別表Ⅰの1級1号が認定されています。

過失割合について

過失割合

損保

弁護士

裁判所

80:20

20:80

20:80

 

⇒損保は、被害者が自発的にボンネットに伏臥したこと、また、加害車に同乗していた友人が被害者に、「やめときなよ!」 などと制止したにもかかわらず、
伏臥をやめなかったこと、被害者は、20歳の大学生であり、判断能力に全く問題はなく、ボンネットに伏臥して自動車を発進させれば転落する危険があることは極めて容易に予見できたにもかかわらず、あえてボンネットに乗車したことで、被害にあったもので、被害者には重大な過失が認められる。
他方、被害者がボンネットに伏臥した状態で発進すれば、同人が転落する危険があることを認識しながら、加害車を発進させた点において、加害者にも過失が認められるが、加害者は、クリープ現象を利用して走行し、
駐車場内の障害物を避けるなど、被害者が転落しないよう細心の注意を払いながら走行したことからすれば、被害者が転落したのは、加害者の運転方法に問題があったからではなく、ボンネットに伏臥していた被害者の乗り方に問題があったものであり、本件事故における過失割合は、被害者80%、加害者20%と評価するのが相当であると主張しています。
(赤字は、一方的な主張で、立証できていません。)

⇒弁護士は、加害者は、被害者がボンネットに乗ることを黙示に許可したばかりか、被害者がボンネットに伏臥した危険な状態であることを確実に認識しつつ、エンジンをかけ、車を発進させたのであって、自動車運転者として常軌を逸した行為は、極めて重大な過失と言わなければならない。
また、加害者は、発進後も一切、停止や被害者に対する注意などもすることなく、127.5mの距離を走行し、急ハンドルという極めて危険な行為におよぶなど、運転態様自体も極めて重大な過失が認められ、他方、被害者にも、悪ふざけとはいえ、加害者のボンネットに伏臥した過失があることは否定できないが、加害者が、それを許可している本件では、そのことのみを過大視することは間違いである。
さらに、被害者に問われるべき過失は、エンジンもかかっていない駐車車両のボンネットに伏臥した時点で終了しており、その後、発進するか否か、発進した後も、停止するか否か、どのような運転をするかなどは、すべて加害者のみの選択に委ねられており、本件において過失相殺はすべきでなく、加害者の過失の程度は被害者のそれと比較して、圧倒的に大きいものである。
したがって、このような場合にまで過失相殺しなければ公平を失するとまでは言い難く、仮に、百歩譲って、過失相殺がなされるとしても、極めて限定的な割合に留めるべきであるとして、20:80を主張しています。

⇒裁判所は、同級生の加害者が、被害者側の過失が大きいと強調すればするほど、全く同様に、加害者の過失が大きいと強調しなければならないという関係にあり、他に被害者の過失を重く評価すべき事情がないので、被害者の過失割合が加害者のそれを上回ることは考えられないとして、被害者20%、加害者80%と評価するのが相当であると判示しています。

(5)NPOジコイチのコメント

過失割合では、損保も弁護士も、激論を展開したのですが、シンプルな弁護士の主張が採用されました。
裁判所は、誰もが納得できる、常識的で優れたな判断を下しています。

 
 
ジョーク  三途の川?

スイミングスクールに、九十にも近くなるおばあちゃんが入会してきた。
おどろいたコーチ、「今から水泳を習うとは、すごいですね!」
すると、おばあちゃん、「三途の川を渡るのに、おぼれないようにと思って?」

 

10/28(水)判例19 刑事裁判で無罪なら、民事も総崩れなのか?

判例19 刑事裁判で無罪なら、民事も総崩れなのか?
(遷延性意識障害1級1号 2011年 横浜地裁 和解)

 

(1)概要
61歳男性会社員が、原付バイクで信号機のある交差点を右折中、対向直進貨物車と出合い頭衝突したもので、被害者には、遷延性意識障害で別表Ⅰの1級1号が認定されています。

(2)問題点
1)被害者の原付が乱暴な早回りをしたことが事故の原因であり、加害者は、刑事裁判では、無罪であることから、事故の責任はない。
仮に責任があるとしても自賠責保険の4000万円で充当されているので、それ以上の支払いはない。

2)在宅介護は認められない。

(3)損保の反論
1)⇒弁護士は、事故現場を見分、刑事記録を分析して、弁護士の意見書を添付して自賠責保険に対して被害者請求を行っています。
自賠責保険は、重過失減額なしで4000万円を振り込んできました。 裁判では、加害者と目撃証人の尋問を行い、加害者の15kmの速度違反を立証し、加算修正により被害者の過失は認めても60%以下であると主張しています。

2)⇒弁護士は、在宅介護について、認めるも認めないも、被害者家族はすでに、在宅介護を実施していたので、主治医の意見書、家族と職業介護人の陳述書を証拠として提出し、裁判で、遷延性意識障害者の在宅介護が認定される5つの要件について、立証しています。
①家族が、被害者の在宅介護を強く希望していたこと、
②介護保険などの福祉サービスを利用し、適切な介護体制が確立されていること、
③住宅改修により、バリアフリーなどの住環境が整備されていること、
④医師の往診など、医療環境が整備されていること、、
⑤現実に在宅介護が実施されており、被害者の症状も安定していること、

そして、在宅介護の実績に基づき、家族介護と職業介護の併用で、将来介護料として7300万円、介護機器費用700万円、介護雑費600万円、住宅改造費として2100万円を請求しています。

(4)弁護士の立証
1)⇒裁判所は、加害者と目撃者の証人尋問から、本件過失割合を60:40と認定しています。

2)⇒裁判所は、損保の主張について、立証が不十分であると排斥し、在宅介護と職業介護人の導入を認め、弁護士の請求通り、将来介護費7300万円、介護機器費用700万円、介護雑費600万円、住宅改造費2100万円を認定しています。、

3)裁判所が認定した総損害額は、1億9100万円ですが、60%が相殺され、7640万円に目減りしました。調整金1500万円を含み、和解金は3900万円ですが、自賠責保険金4100万円を加え、8000万円の損害賠償が実現しています。
人身傷害保険に加入していなかったことが悔やまれますが、労災保険・通勤災害の適用を受けており、被害者には、将来にわたり、障害年金が支給されています。

(5)NPOジコイチのコメント
本判例のピンポイントは、刑事裁判で加害者が無罪であっても、怯まなかったところにあります。

刑事裁判で、加害者が無罪、自賠責保険の重過失減額も予想される?
このような相談を受けると、多くの弁護士は腰が引け、損害賠償の意欲がトーンダウンするのです。
本件の弁護士は、たじろぐことなく、冷静に刑事記録を分析し、弁護士自身の意見書を添付して、加害者の自賠責保険に、委任による被害者請求を行っています。
弁護士の意見書ですから、自賠責保険調査事務所も、緊張感を持って対応することになります。
結果、このことが、本件の勝因となりました。

刑事裁判で無罪となっても、それが、そのまま民事に適用されることはありません。
自賠責保険の重過失減額は、被害者過失が70%以上でないと適用されません。

 
 
ジョーク プルサーマル計画?

プルサーマル計画を知っていますか?
核燃料には、ウラン238という物質が95%、ウラン235という物質が5%含まれています。
このうち燃料として使えるのは、5%のウラン235で、 ウラン235に中性子を当てると核分裂を起こしてエネルギーを発生します。
このまま使い続けると、ウラン235はどんどん無くなり、やがて核燃料の中から無くなってしまいます。
これが使用済み核燃料です。
ところが、使用済み核燃料の中には、まだ核燃料として使える物質、プルトニウム239があります。
これはウラン238に中性子を当てると、できる物質です。
プルサーマル計画とはそのプルトニウム239を集めて核燃料を作ろうという計画です。
ちょっと難しいので、分かりやすく解説します。
核燃料をエロ本に例えます。
エロ本の写真って95%がハズレですが、これがウラン238で、役にたちません。 当たりの5%、ウラン235も、繰り返し眺めていると、いずれは、飽きてしまう。 これが使用済み核燃料です。
飽きたはずの写真でも、久しぶりに見ると、意外にアリじゃない、それがプルトニウム239です。
プルサーマル計画とは、どんどん新しいのを買うには、お金もかかる、古本の置き場もない。
見飽きた多くのエロ本から、意外にアリな写真を切り抜き、1冊の新たなエロ本を作ることなのです?

 

10/27(火)判例20 被害者請求であっても、弁護士・医師の意見書を添付する?

判例20 被害者請求であっても、弁護士・医師の意見書を添付する?
(遷延性意識障害1級1号 2011年 名古屋 損保との示談交渉)

 

(1)概要
脳性小児麻痺の既往歴がある50歳男性が、横断歩道を歩行中に乗用車に跳ね飛ばされ、脳外傷および心肺停止後の蘇生の遅れにより低酸素脳症となり、遷延性意識障害1級1号が認定されました。

(2)問題点
本件被害者は、独身で、脳性小児麻痺の既往歴がありました。
しかし、兄夫婦の自営業を手伝っており、200万円の年収を得ていました。
家業が忙しく、介護の時間を十分に確保できないので、家族は、施設介護を希望しています。

(3)損保の反論
1)被害者は横断歩道上で立ち止まった事実があるため、重過失がある。

2)先天性の障害を持つ被害者の逸失利益では、既往症による減額を行うべきである。

(4)弁護士の立証
1)⇒弁護士は、事故現場を見分、実況見分記録、交通事故現場見取図を分析して、横断歩道上で立ち止まったとしても、それが重過失と評価されるべきものなのか、強く主張しています。
損保は、お粗末なことですが、シュン太郎で、重過失減額を取り下げ、被害者過失が0%であることを認めています。

2)⇒弁護士は、まず、自賠責保険に対する被害者請求を行うのですが、申請すれば、自賠責保険調査事務所は、被害者の脳性小児麻痺を加重障害ととらえ、減額を検討することになります。
であれば、被害者請求の段階で、先回りをして被害者の脳性小児麻痺の実態を明らかにしておかなければなりません。
弁護士は、兄夫婦に確認、陳述書を作成し、加えて、事故前からの、かかりつけ医師と面談、なにができて、なにができなかったのか、健常人に比較してどれ位の減額が妥当か、などについて、意見書を取りつけ、加害者の自賠責保険に対して弁護士委任による被害者請求を行いました。
⇒自賠責保険調査事務所は、既往症による減額を10%と審査し、3700万円を振り込みました。
これで既往症による減額は、10%の流れが確定したのです。

3)将来介護料は、施設介護料として月額36万円、総額6380万円、介護用品費として750万円、傷害部分の慰謝料440万円、後遺症慰謝料3100万円、近親者慰謝料300万円、逸失利益6380万円など、損保との示談交渉で決着がついたのですが、なんと、調整金1500万円も請求し、自賠責保険金3700万円を加え、1億4700万円の損害賠償が実現しています。

(5)NPOジコイチのコメント
本判例のピンポイントは、加重障害のあつかいにあります。

損害賠償では、被害者に既存障害が認められるときは、その分は、減額の対象となります。
既存障害は、本件の脳性小児麻痺なども含まれており、交通事故外傷に限ったものではありません。
自賠責保険調査事務所は、これを加重障害と呼び、申請された後遺障害の等級と既存障害等級の2つを決定し、認定等級から既存障害等級分を差し引いて、振り込んでいます。
したがって、弁護士は、本件事故による遷延性意識障害の後遺障害だけでなく、既存の脳性小児麻痺の等級にも目配りをしなければならないのです。
これを怠ると、損保側の根拠に乏しい大幅減額を受け入れることになるからです。
本件では、同居の兄夫婦の陳述書、かかりつけ医の意見書で立証がなされており、10%の減額はパーフェクトなもので、裁判所であっても、問題にすることなく認容したと思われます。

私の経験則では、顔面の醜状痕で7級を想定した女性で、右頬部分の青痣が指摘され、加重により非該当とされたことがあります。
このときは、右頬の青痣について、レーザ治療を続け、これを消し去ってから異議申立を行って7級を取得しました。

これを実現するのに、2年を要したのですが、これは、私にとって、執念の異議申立でした。
 
 
ジョーク 運転中の携帯電話?

以前、コンビニで買った、ハンディサイズの羊羹を耳に当てて走っていたら、停められた。
「携帯はダメですよー!」
「携帯じゃない、羊羹だよ!」 すっげぇ、怒られた。
「なんで、羊羹なんか持ってたんだ?」って言うから、「頬ずりするほど、甘党なんだ!」って言ったら、 ブチギレされた。

 

10/26(月)判例21 無保険車傷害保険金請求訴訟で2億3000万円を実現?

判例21 無保険車傷害保険金請求訴訟で2億3000万円を実現?
(遷延性意識障害1級1号 2011年 東京地裁 和解)

 

(1)概要
46歳、地方公務員の男性が、道路を横断中、直進中の加害自動車に跳ね飛ばされたもので、被害者には、遷延性意識障害で別表Ⅰの1級1号が認定されています。

(2)損保の反論
加害者は無保険であり、被害者の加入する任意保険に対して、無保険車傷害保険金請求訴訟を提起したのですが、損保は、早々に、1億8300万円での和解案を提案してきました。

(3)裁判所での協議
1)⇒弁護士は、すでに、被害者は、在宅介護を受けており、これまでの実績に基づいて、介護関係費で1億3860万円、(家族介護日額1万円、職業介護人日額2万円の内容で、将来介護料として1億0220円、症状固定までの付添看護料として80万円、介護用設備費用は1850万円、介護車両改造費310万円、住宅改修費1400万円)逸失利益と慰謝料などで、1億3570万円(逸失利益1億0090万円、傷害慰謝料300万円、後遺障害慰謝料2800万円、その他380万円)合計2億8300万円の損害賠償額を積み上げていました。

2)⇒弁護士は、本件事故現場を見分、刑事記録を分析し、幹線道路で横断禁止の規制がなされていることを確認、加害者にも15kmの速度違反が認められたことから、被害者の過失相殺を25%とすることで、損保の同意を得ています。

3)25%の過失を相殺し、思春期の子どもを抱え、子育て中の被害者と家族の多大な精神的苦痛を訴え、家族慰謝料を900万円とすることで、協議を重ね、損保が、弁護士主張の大半を認める形で合意が成立しました。

4)調整金1160万円を含め、和解金は1億9000万円ですが、自賠責保険4000万円を加え、2億3000万円の損害賠償が実現しています。

(5)NPOジコイチのコメント
本判例のピンポイントは、損保からの和解提案にあります。

不毛な争いを回避して、損保が白旗を掲げ、早期和解を提案してきました。
見上げたことに、1億8300万円の和解案ですから、地方裁判所支払基準をベースとした大人の解決が提案されています。
過失割合についても、協議の結果、25%を相殺することで合意が成立、過失相殺後、既払い金を差し引いた損害額は、1億9000万円となり、ここまで来れば、損保も握手せざるを得ません。
弁護士にとっても、主張の大半が認められる爽やかな早期和解解決となりました。

 
 
ジョーク 昭和の理不尽?

教師 「理由を言ってみろ」
生徒 「実は、こういう訳で・・・・・」
教師 「言い訳するな!」
教師 「怒らないから言ってみろ!」
生徒 「僕がやりました、ごめんなさい」
教師 「テメーこの野郎!」
教師 「なぜ、やった?」
生徒 「○○ちゃんが、やれって言ったから、」
教師 「じゃぁ、○○が死ねって言ったら、お前は死ぬのか?」
教師 「やる気がないなら帰れ!」
生徒 「じゃあ、帰ります。」
教師 「なに帰ろうとしてんだコラ!」
昭和というのは、かくも理不尽な時代でした。

 

10/23(金)判例22 永続的に、病院での介護を受けられるのか?

判例22 永続的に、病院での介護を受けられるのか?
(遷延性意識障害1級1号 2012年 名古屋地裁 和解)
 

 

(1)概要
36歳、男性会社員が、バイクを運転し、交差点を直進中、対向右折トラックと出合い頭衝突をしたもので、被害者には、遷延性意識障害で別表Ⅰの1級1号が認定されています。

(2)損保の反論
1)被害者は、前方不注視でバイクを運転していたと思われ、35%の過失相殺をすべきである。

2)被害者は、遷延性意識障害のため意思疎通が不可能で、かつ、定期的な痰の吸引などの措置が必要な身体状態であるから、自宅介護は困難であり、医療機関での介護を前提に将来介護費を算定すべきである。

(3)弁護士の立証
1)⇒弁護士は、事故現場を見分、刑事記録を分析して、事故当時、被害者が、前方不注視のまま運転していた事実を裏付ける証拠はなく、過失相殺は、基本過失割合通りに、15%とするのが相当であると主張しています。

2)⇒弁護士は、主治医の意見書、家族の陳述書を証拠として提出し、
①家族が、被害者の在宅介護を強く希望していたこと、
②障害者総合支援法などの福祉サービスを利用し、適切な介護体制が確立されていること、
③住宅改修により、バリアフリーなどの住環境が整備されていること、
④医師の往診など、医療環境が整備されていること、、
⑤現実に在宅介護が実施されており、被害者の症状も安定していること、
さらに、施設介護では、永続的に入所し続けることが可能とは言い切れないものがあり、今後、転院による負担を、被害者の家族に負わせることも懸念されるので、本件は、すでに実施されている在宅介護がベストな選択であると主張し、家族介護日額8000円、職業介護人日額2万円、総額1億5710万円の将来介護費用、介護用設備費用として1770万円、介護雑費として700万円、症状固定までの付添看護料として420万円、住宅改修費として2000万円を請求しています。

(4)裁判所の判断
1)⇒裁判所は、損保の主張する被害者の前方不注視は立証されていないと排斥し、被害者の過失割合を15%と認定しています。

2)⇒裁判所は、主治医の意見書、家族と職業介護人の陳述書を評価し、被害者の症状などから在宅介護がベストの選択であるとして、弁護士の請求通り、家族介護日額8000円、職業介護人日額2万円の内容で、総額1億5710万円の将来介護費用、症状固定までの付添看護料として420万円、介護用設備費用として1770万円、介護雑費として700万円、住宅改修費は2000万円を認定しています。

3)調整金2960万円を含め、和解金は2億1460万円ですが、自賠責保険金4000万円、人身傷害保険金6000万円を加え、3億1460万円の損害賠償が実現しています。
その他に、逸失利益が4440万円、後遺障害慰謝料として2800万円、家族の慰謝料として600万円が認定されています。

(5)NPOジコイチのコメント
本判例のピンポイントは、遷延性意識障害の被害者を自宅で介護することができるのか? です。

損保からは、「被害者の容態が変化したときに、速やかに対応できる医療機関での継続入院が望ましい。」 そのような主張がなされていますが、弁護士は、まず、在宅介護が認められる5つの要件を主治医の意見書と、家族、職業介護人の陳述書で立証し、加えて、病院介護であっても、同じ病院に、永続的に入院することが約束されておらず、そうであれば、今後の転院の負担を家族に負わせ続けることになるなど、新たな問題点を提起して議論しています。
ここまで締め上げれば、さすがの損保もキャンで、裁判所は、損保の主張のすべてを排斥しました。

 
 
ジョーク 冬の散歩道?

私は、女子中学生とすれ違うと、「うわー短いスカート、しかも、生足!」 と驚き、
おそらく、あちらは、「うわーハゲ!」 と思っている。
そして、お互いに、「寒くないのかなぁ?」 って感想だけが、一致する。

 

10/22(木)判例23 高額な介護関係費用が認められる?

判例23 高額な介護関係費用が認められる?
(遷延性意識障害1級1号 2012年 岐阜地裁 和解)
 

 

(1)概要
20歳・女性パート社員が横断歩道を歩行中、加害自動車に跳ね飛ばされたもので、被害者には、遷延性意識障害で、別表Ⅰの1級1号が認定されています。

(2)損保の反論
被害者の介護については、公的給付による支援がなされており、将来介護費用は、なるべく少なめに算定すべきである。

(3)弁護士の立証
1)⇒弁護士は、主治医の意見書、家族と職業介護人の陳述書を証拠として提出し、すでに在宅介護を実施している実績を基礎として、介護負担の大きさと介護に必要な自宅改修費や設備・器具などの費用について詳細な立証を行っています。
本件では、呼吸を除く自律神経機能の障害があり、体温の調節が難しく、頻繁に発熱するなどの問題がありました。
感染症のリスクを抑える必要から、1日3回の口腔ケア、1日3回の、蒸しタオルによる身体の清拭と、身体全体をさするマッサージと着替え行わなければならず、また、被害者の介護を担当する両親が、共働きのため介護負担がきわめて大きく、慢性的な寝不足に悩まされていたこともあり、長時間にわたり職業介護人の導入が必要となる事案でした。
これらの状況から、母親が67歳までは、職業介護人の併用を前提として日額2万円、67歳以降は日額3万円、総額1億5710万円の将来介護料を請求しています。、

2)⇒弁護士は、公的給付について、
①公的給付は、被害者に対する福祉を目的とするもので損益相殺の対象ではないこと、
②国の財政状況により、予算や保障内容も大きく変動、あるいは制度そのものが、なくなることが十分に予想されることなどから、訴訟において単純に控除を認めてしまうと、将来的に、介護費用に充当される賠償金が底を尽く深刻な事態が予想され、直近の裁判例でも、控除されないことが常識となっていること、などを主張しています。

(4)裁判所の判断
1)⇒裁判所は、主治医の意見書と家族、職業介護人の陳述書を評価し、被害者の症状が重篤であることを認め、母親が67歳になるまでは、職業介護人の併用で日額2万円、67歳以降は、日額3万円、総額1億5710万円の将来介護料と症状固定までの付添看護料として420万円、介護用設備費用として1770万円、介護雑費として700万円、住宅改修費で2000万円を認定しています。

2)調整金2960万円を含み、和解金は2億1460万円ですが、自賠責保険金4000万円、人身傷害保険金6000万円を加え、3億1460万円の非常に高額な損害賠償が実現しています。
その他に、後遺障害慰謝料2800万円、家族慰謝料600万円が認められています。

(5)NPOジコイチのコメント
本判例のピンポイントは、症状の細かな立証にあります。

判例26、24でも解説していますが、
1)自力移動が不可能であること、
2)たとえ声を出しても、意味のある発語は不可能であること、
3)眼を開け、手を握れなどの簡単な命令にはかろうじて応じることはあるが、それ以上の意思疎通は全く不可能であること、
4)眼でかろうじて物を追うことがあっても、それを認識することは不可能であること、
5)自力摂食が不可能であること、
6)糞尿失禁状態であること、

以上の6項目が、治療にもかかわらず3カ月続いたときは、遷延性意識障害と診断されます。
遷延性意識障害の定義は上記の通りですが、具体的な障害の内容と程度は異なり、さらに生活環境の要素を加えると、被害者にとって必要な介護の内容や、家族の負担の重さは、千差万別です。
本件では、体温調節の障害で、頻繁に発熱していました。
風邪や肺炎の感染症を防止するため、両親は、1日3回の口腔ケア、そして、1日3回の蒸しタオルによる身体の清拭と、着替えなどの介護を強いられていたのです。
それらを細かく立証したことで、高額判決につながりました。

 
 
ジョーク 首を切られても、しばらく意識があるって本当?

そんなことはない、しかし、一時的に、意識は飛ぶ?
リストラされた父ちゃんが、どうやって家まで帰ってきたか覚えてないって言っていたし?

 

10/21(水)判例24 赤点滅、シートベルト不装着で90%過失?

判例24 赤点滅、シートベルト不装着で90%過失?
(遷延性意識障害・四肢体幹麻痺 2013年 東京地裁 和解)
 

 

(1)概要
会社員26歳の男性が、自動車で直進中、夜間点滅信号の交差点で、出合い頭衝突したもので、被害者には、遷延性意識障害と四肢体幹麻痺で別表Ⅰの1級1号が認定されています。

(2)損保の反論
1)被害者は意識障害の程度が強く、食事は胃瘻、排泄も紙オムツにより行われており、1日の内で、介護に要する時間は4、5時間程度であり、家族介護料は、日額8000円が相当である。

2)加害車両は黄色点滅、被害車両は赤色点滅信号であり、さらに、被害者はシートベルトを装着しておらず、90%の過失相殺をすべきである。

(3)弁護士の立証
1)⇒弁護士は、主治医の意見書、母親と職業介護人の陳述書を証拠として提出し、

①おむつ交換であっても、成人男性であり、日中でも5回の交換をしていること、
②排便では、下剤と摘便を併用し、3日に1回の頻度で、実施していること、
③排便後は、肛門周辺を清潔に保ち、肛門周囲炎を予防していること、
④複数回のたん吸引と口腔ケア、胃瘻に注入する食事の準備に相当の時間を要すること、
⑤また、胃瘻に、単純に流し込めば済むものではないこと、
⑥脱水症予防のため、食事とは別に、1日、1.5Lの水分補給の必要性があること、
⑦ 褥瘡防止のため、2時間ごとに寝返り介助をしていること、
⑧毎日2回の、蒸しタオルによる身体の清拭と、身体全体をさするマッサージを行っていること、
など、これまでの介護実績に基づき、日常の介護を詳細に立証しています。

また、被害者は26歳の成人男子で、四肢体幹麻痺もあり、主たる介護人の母親には、身体的に相当な負担がかかっていること、夜間は、複数回のたん吸引と、寝返りの介助のため、日々熟睡もできず、一日中介護から解放されない肉体的・精神的負担の大きさ、しかも、介護は、被害者が生存する限り、期限なく続いていくという現実的な問題なども指摘し、1日、4、5時間の介護で足りるとする損保の主張に対して、強く反論しています。
母親1人に全ての介護を負担させることは現実的にも不可能であり、介護からの解放の必要性もあり、職業介護人の併用を主張し、母親が67歳に達するまでは日額1万2000円、67歳以降は、日額2万2000円、総額9800万円の将来介護料、車両改造費として250万円、介護関係費として2950万円、住宅改修費として2000万円を請求しています。

2)⇒弁護士は、事故現場を見分、刑事記録を分析して、 刑事記録には、シートベルト不装着の記載はなされていないこと、仮に、不装着であったとしても、自車の損傷状況は見た目全損であり、着用の有無に関係なく、被害者に重度の後遺障害が発生した可能性が高いことを指摘し、被害発生と損害の拡大には因果関係はないと指摘しています。
他方、加害者には、時速50kmの制限速度を15kmも超過している事実があるとして、加害者に著しい過失が認められることを主張しています。

(4)裁判所の判断
1)⇒裁判所は、被害者の症状が重篤であること、介護者の肉体的・精神的な負担を評価し、母親が67歳に達するまでは日額1万2000円、67歳以降は日額2万2000円の内容で、総額9800万円の将来介護料、車両改造費として250万円、介護関係費として2950万円、住宅改修費として2000万円が認定されています。

2)⇒裁判所は、シートベルト不装着による減額は行わず、損保の90%相殺は排斥され、加害者側の著しい過失が認定されたことで、被害者過失は60%と認定されています。

3)裁判所が認定した総損害額は2億9500万円ですが、60%、△1億7700万円が過失相殺され、調整金1720万円を含めても、和解金は、9400万円となりました。しかし、自賠責保険金4120万円、人身傷害保険金5800万円を加え、1億9320万円の損害賠償が実現しています。

(5)NPOジコイチのコメント
本判例のピンポイントは、遷延性意識障害における介護の内容にあります。

1)遷延性意識障害では、損保は、実際上の介護は、ほぼ寝たきりであり、負担は少ないとの主張をしてくることがあります。
これに対して、弁護士は、主治医の意見書と、家族、職業介護人の陳述書で、現実の介護が如何に家族にとって、重たい負担となっているかを、具体的に立証しています。

2)シートベルト不装着は、道路交通法違反であり、被害者側の過失として評価されることもあります。
そうであっても、本当に被害発生と損害の拡大に影響をおよぼしたのかについては、刑事記録などから、十分に検証しなければなりません。
本件でも、弁護士の主張が通り、減額はなされていません。

3)本件は、事故類型に照らしても、被害者側の過失が大きいと見込まれる事案でした。
委任を受けたとき、すでに、9000万円以上の人身傷害保険金と自賠責保険金を受領しており、過失相殺が90%となれば、賠償されるべき部分は残らず、請求は棄却されることも予想できたのです。
しかし、被害者の過失を60%に下げたこと、介護の実態を立証することで、高額な介護関係費用が認められたことで、さらに、9400万円賠償金を獲得することができたのです。

 
 
ジョーク 母の日?

母に、「ありがとう!」 と言ったら、「なに、自殺でもするの?」 と、言われた。
感謝を伝えるのは、難しい?

 

10/20(火)判例25 共同不法行為で、8000万円?

判例25 共同不法行為で、8000万円?
(遷延性意識障害1級1号 2014年 東京地裁 和解)
 

 

(1)概要
16歳、高1の男子が、友人の運転するバイクに同乗中、信号機の設置されていない交差点で、加害自動車と出合い頭衝突したもので、被害者には、遷延性意識障害で1級1号が認定されています。

(2)損保の反論
1)介護住宅費用について、被害者は、病院近くに父母とともに新居を建てて在宅介護を受けているが、カルテに記載されている病院側との相談内容などから、病院の近くに新居を建てる必然性がなく、祖父所有の元の自宅を改造すれば十分であり、住宅改造費用の鑑定書などに基づき1200万円程度しか認められない。

2)被害者と家族が選択した介護体制は、利用料の単価が高く不合理であるとして、日額1万2000円~1万4000円程度しか認められない。

(3)弁護士の立証
1)⇒弁護士は、主治医の意見書と家族の陳述書を証拠として提出し、遷延性意識障害の被害者では、通常の介護体制よりも注意すべき点が多くあることを立証しています。
損保が提出の住宅費用の鑑定書は、カルテに記載されている、病院と家族の相談内容を意図的に膨らませた推論であり、被害者の実態が十分に考慮されていないことを指摘し、祖父所有の自宅についても、今後の祖父の状況変化により、被害者が居住できなくなるリスクが予想され、新居を建築した被害者と家族の意思決定は合理的であることを詳細に立証し、建築設計事務所の意見書と見積書を証拠として提出し、住宅新築の介護部分として、1700万円を請求しています。

2)⇒弁護士は、医療記録や家族の陳述書を証拠として提出し、被害者の障害実態、必要となる介護負担、あるべき介護体制を丁寧に立証し、主体的に介護する母親が67歳になるまでは、一部職業介護人の併用を認め、日額1万5000円、母親が67歳以降は、職業介護人の介護として日額2万円、総額で、1億1900万円の将来介護費用、介護機器費用として2400万円、介護雑費は、実績をベースに1400万円を請求しています。

(4)裁判所の判断
1)⇒裁判所は、カルテに記載されている病院と家族の相談は、事故受傷から早期の段階で行われたものであり、損保が、その内容のみで、介護住宅の費用に言及することは相当ではないと排斥し、新築住宅の介護住宅部分として、弁護士の請求通り、1700万円を認定しています。

2)⇒裁判所は、被害者の在宅介護を認め、その介護の状況から、母親が67歳までは日額1万5000円、67歳以降は日額2万円として、将来介護料1億1900万円を認定しています。

3)本件は、バイクと自動車の出合い頭衝突により、バイクに同乗中の被害者が受傷したもので、共同不法行為が成立、弁護士は、バイクと自動車の自賠責保険に被害者請求を行い、4000万円×2=8000万円を先行回収しています。
調整金3680万円を含み、和解金は、2億2000万円ですが、共同不法行為による自賠責保険金8000万円を加え、3億円の損害賠償が実現しています。
その他に、逸失利益9500万円、後遺障害慰謝料3000万円、成年後見人報酬600万円が認定されています。

(5)NPOジコイチのコメント
本判例のピンポイントは、介護住宅の新築にあります。

1)在宅介護を選択したとき、裁判所は、被害者の障害に応じて、リフォームやバリアフリー化などの介護住宅費用を損害として認定しています。
一般的には、新築となると、新築費用全額ではなく、特に介護のために必要となった通常の住宅費用からの増額部分が賠償の対象となるのですが、損保からは、本件のように、鑑定書が提出され、バリアフリー化と介護設備などに限定して費用を認めるなどの主張を展開し、費用を圧縮してくることがほとんどです。
しかし、実際には、介護をスムーズに行うために動線を確保すること、廊下の床板を強化し、広くすることなど、介護のための設備そのもの以外にも、建築設計全体にわたっての工夫による増額が発生してくるものです。
本件でも、弁護士が、建築設計事務所の意見書で、詳細な主張を行ったことで、損保の指摘は排斥され、高額な住宅費用が認定されています。

2)本件では、損保から、費用を抑制すべく、祖父所有の元の自宅を改造すれば十分であるなど、かなり踏み込んだ反論がなさたのですが、被害者にとって最も望ましい介護体制を選ぶことができる権利を有するのは、被害者とその家族であって、弁護士は、家族の実情、意思決定を尊重しつつ、賠償実務上の基準も視野に入れて、賠償額のその内容、介護実態が適正に反映されるように証拠を収集し、立証しなければなりません。

 
 
ジョーク  不要?

幼稚園に入ったばかりの娘が、はじめて1人でお留守番、
外出先から他人のふりをして家に電話してみた。
母 「もしもし、お母さんいる?」
子ども 「いらない!」

 

10/19(月)判例26 複数人による家族介護費用が認められる?

判例26 複数人による家族介護費用が認められる?
(遷延性意識障害1級1号 2014年 横浜地裁 和解)
 

 

(1)概要
11歳、小5の男児が、信号機の設置された交差点を自転車に乗り、青信号で横断中、左折の加害自動車に跳ね飛ばされたもので、被害者には、遷延性意識障害で1級1号が認定されています。

(2)損保の反論
1)入院中の付添費用は、病院からの指示もなく、その必要性が認められない。

2)症状固定までの在宅介護費用は、近親者2名で行ったとして、1名は日額8000円、もう1名は日額2000円、合計で日額1万円が相当である。

3)将来介護料については、月額50万円が相当である。

(3)弁護士の立証
1)⇒弁護士は、主治医の意見書、家族の陳述書を証拠として提出し、被害者は開眼しているものの意思疎通はできない状態であり、四肢麻痺に加えて外傷性てんかん発作を起こしているなど、重篤な症状であり、日常生活のすべてにおいて全面的な介助が必要であるとして、具体的な介助項目を例示し、2名以上の複数人での介助が、どうしても必要な状況と、複数人による介助が必要である場合が指摘されている専門医の文献を提出して、被害者に必要な介護をきめ細かく立証しています。

2)⇒弁護士は、家族が介護から解放されるのは、被害男児が、通学をしている昼間の数時間に限定されていることなど、介護負担の重さと、将来的には、職業介護人による介護を増やす必要があることを主張し、入院付添費用として600万円、症状固定までの在宅付添費600万円、将来介護料として、職業介護人介護を併用して1億2700万円、介護関係費として4200万円、住宅改修費300万円を請求しています。

(4)裁判所の判断
1)⇒裁判所は、主治医の意見書などを評価し、遷延性意識障害、四肢麻痺、てんかん発作の発症など、被害者の介護が相当に重いものであることを認め、入院付添費用の600万円、症状固定までの在宅付添費600万円、将来介護料として1億2700万円、介護関係費4200万円を認定しています。

2)⇒裁判所は、建築設計事務所の意見書と見積書を評価し、住宅改修費用の被害者分として300万円を認定しています。

3)調整金3950万円を含み、和解金は3億0500万円ですが、自賠責保険金4000万円を加え、3億4500万円の損害賠償が実現しています。
その他に、逸失利益7500万円、後遺障害慰謝料3500万円、家族の慰謝料として1100万円が認められています。

(5)NPOジコイチのコメント
本判例のピンポイントは、遷延性意識障害における個別の症状の立証にあります。

1)自力移動が不可能であること、
2)たとえ声を出しても、意味のある発語は不可能であること、
3)眼を開け、手を握れなどの簡単な命令にはかろうじて応じることはあるが、それ以上の意思疎通は全く不可能であること、
4)眼でかろうじて物を追うことがあっても、それを認識することは不可能であること、
5)自力摂食が不可能であること、
6)糞尿失禁状態であること、 以上の6項目が、治療にもかかわらず3カ月続いたときは、植物状態、遷延性意識障害とみなします。
自律神経は、僅かに機能しているのに、体性神経の完全、もしくはほとんど欠如した状態ですが、植物状態は、明らかに脳死とは異なります。

遷延性意識障害の定義は上記の通りですが、具体的な障害の内容と程度は異なり、さらに生活環境の要素を加えると、被害者にとって必要な介護の内容や、家族の負担の重さは、千差万別です。
また、若年の被害者では、今後の身体的成長により、将来、介護負担が増大することが予想され、これらの1つ1つを丁寧に掘り起こして立証していくことで、高額な介護料は認定されているのです。

本件では、開眼しているものの、意思疎通はできない状態で、四肢麻痺に加えて、外傷性てんかん発作を発症するなど、介護人は、片時も目を離すことができない状況であり、このことを医師の意見書や家族と職業介護人の陳述書で、細かく立証したことにより、高額賠償が実現したものです。

 
 
ジョーク 本日の予定?

我が家の本日の予定だ。
母⇒パート
姉⇒デート
俺⇒ニート

 

10/19(月)判例26 複数人による家族介護費用が認められる?

判例27 ローカルでも、職業介護人日額3万円が認められる?
(遷延性意識障害1級1号 2014年 盛岡地裁 和解)
 

(1)概要
56歳、男性会社員が道路を横断歩行中に、加害自動車に跳ね飛ばされたもので、被害者には、遷延性意識障害で別表Ⅰの1級1号が認定されています。

(2)損保の反論

被害者は、生命維持のため、たんの吸引や気管切開部の消毒、経管栄養、排尿排便のチェックなどの医療行為の実施を欠かすことはできない。それらの医療行為を自宅で行うことは不可能でないにしても、医療機関で行う場合と比較すれば、その質が低下することは否めず、自宅介護が適切であるとは認められないので、施設介護を前提とした費用が認められるべきである。

(3)弁護士の立証
1)⇒弁護士は、主治医の意見書、家族の陳述書を証拠として提出、
①家族が、被害者の在宅介護を強く希望していたこと、
②介護保険などの福祉サービスを利用し、適切な介護体制が確立されていること、
③住宅改修により、バリアフリーなどの住環境が整備されていること、
④医師の往診など、医療環境が整備されていること、、
⑤現実に在宅介護が実施されており、被害者の症状も安定していること、
①~⑤により、在宅介護の優位性を立証し、損保の反論を抑え込んでいます。

主たる介護人である妻が67歳に到達するまでは、妻と職業介護人による介護が併用される期間として日額2万円、妻が67歳以降では、全面的に職業介護人による介護が行われるとして日額3万円、 総額9950万円の将来介護料を請求しています。
同時に、介護機器費用として1500万円、介護雑費は1350万円、住宅改修費として1000万円、成年後見人報酬360万円を請求しています。、

(4)裁判所の判断
1)⇒裁判所は、損保の施設介護を排斥し、在宅介護が行われることを前提に、被害者の介護内容は、おむつ交換、摘便、体位変換、体温調整、食事、口腔ケア、痰の吸引、入浴、着替え、移乗など多岐にわたり、その負担は極めて重いとして、主たる介護人の妻が67歳に到達するまでは、妻と職業介護人による介護が併用される期間として、日額2万円、妻が67歳以降では、全面的に職業介護人による介護が行われるとして日額3万円、総額9950万円の将来介護料を認定しています。

2)⇒裁判所は、介護住宅への改修費用について、建築設計事務所の意見書と見積書を評価し、被害者の利用分として1000万円を認定しています。
介護機器費用の1500万円、介護雑費の1350万円も認められています。 成年後見人報酬360万円については、双方に争いがなく、請求額が認定されています。、

3)調整金2500万円を含め、和解金は1億2390万円ですが、自賠責保険金4000万円、人身傷害保険金7190万円を加え、2億3580万円の損害賠償が実現しています。

その他に、休業損害285万円、逸失利益2620万円、後遺障害慰謝料2800万円、家族慰謝料890万円が認められています。 過失相殺は10%で、-2110万円でしたが、人身傷害保険金から回収しています。

(5)NPOジコイチのコメント
本判例のピンポイントは、介護体制の確立にあります。

本件は岩手県で発生した交通事故ですが、盛岡地裁は、看護師とヘルパーで構成される職業介護人と家族介護が併用される期間について、日額2万円、妻が67歳以降の職業介護人による介護期間について日額3万円の高額な将来介護料を認定しています。

在宅介護か、それとも施設介護にすべきかは、議論の分かれるところですが、裁判所は、以下の5つの要件を満たしていれば、自宅介護を認めています。弁護士は、主治医の意見書、家族と職業介護人の陳述書で、認定の要件を緻密に立証しなければなりません。

①家族が、被害者の在宅介護を強く希望していたこと、
②介護保険などの福祉サービスを利用し、適切な介護体制が確立されていること、
③住宅改修により、バリアフリーなどの住環境が整備されていること、
④医師の往診など、医療環境が整備されていること、、
⑤現実に在宅介護が実施されており、被害者の症状も安定していること、

先に支払われる自賠責保険金や人身傷害保険金を有効活用し、訴訟前に自宅介護を開始しておくのも有効な手立てです。

 
 
ジョーク お主、やるな?

「はじめまして!」 と名刺を出したつもりが、どうしてか、手にあったのは診察券?
しかも肛門科、恥ずかしさのあまり固まっていると、目の前の営業マンは、「はじめまして!」 と、泌尿器科の診察券をさっと出した。こいつとはいい仕事ができる、そう確信した。

 

10/15(木)判例28 職業介護人で日額3万円が認められた?

判例28 職業介護人で日額3万円が認められた?
(遷延性意識障害1級1号 2015年 東京地裁 和解)
 

(1)概要
16歳の男子高校生が原付を運転し、交差点を赤信号で直進中、黄色信号で直進した加害自動車と出合い頭衝突し、路上に投げ出されたもので、被害者には、遷延性意識障害で別表Ⅰの1級1号が認定されています。

(2)損保の反論
1)事故時の信号は、目撃者の証言もあり、被害者が赤信号、加害者が黄色信号であり、赤信号で交差点に進入した被害者に70%の過失が認められる。

2)交通賠償実務における将来介護料は、日額8000円として定額化が図られており、本件においても、その範囲内で認定されなければならない。

(3)弁護士の立証
1)⇒弁護士は、事故現場を見分、刑事記録を分析、目撃者証言により、信号は、被害者が赤で加害者は黄色であり、赤信号を無視した被害者の過失は大きいと認めていますが、加害者においても、赤信号に変わる直前の黄色信号で進入していること、20km以上の速度超過など重大な過失が認められていることから、それらの事情を総合的に判断するのであれば、被害者の過失は40%が相当であると主張しています。

2)⇒弁護士は、主治医の意見書、家族と職業介護人の陳述書を証拠として提出し、被害者は、寝たきりの状態であって、意思の疎通も不可能で、あらゆる日常生活に全面的な介助が必要であることを立証し、家族と職業介護人を併用する期間については、日額2万5000円、職業介護人の利用期間については日額3万円、総額1億8430万円の将来介護料、介護機器と雑費で3450万円、住宅改造費として1050万円、成年後見人報酬として410万円を請求しています。

(4)裁判所の判断
1)⇒裁判所は、弁護士の主張を認め、被害者の過失を40%と認定しました。

2)⇒裁判所は、損保の主張について、十分な立証がなされていないと排斥し、主治医の意見書などにより、被害者には全面的な介助が必要であることを認め、弁護士の請求通り、1億8430万円の将来介護料、介護機器と雑費で3450万円、住宅改造費として1050万円、成年後見人報酬として410万円を認めています。

3)裁判所が認定した損害総額は、3億8630万円でしたが、被害者過失が40%相殺され、2億3180万円に目減りしたのですが、調整金4610万円を含む和解金は2億3000万円に、自賠責保険金4000万円、人身傷害保険金6120万円を加え、3億3120万円の損害賠償が実現しています。その他に、逸失利益9620万円、後遺障害慰謝料3000万円、家族の慰謝料600万円が認定されています。

(5)NPOジコイチのコメント
本判例のピンポイントは、過失割合の立証にあります。

1)本件事故の主因は、被害者の赤信号無視でしたが、そうであっても、粘り強く立証し、加害者の速度超過などを指摘し、損保の主張する70%過失を40%に抑え込んだ点はお見事です。

2)本来であれば、被害者の過失が40%もあり、腰の引けるところですが、弁護士は、緻密な立証で3億8630万円の損害を積み上げ、裁判所は、これを認めています。
過失相殺額は1億5450万円、和解で獲得した損害賠償額は2億3000万円ですが、自賠責保険金4000万円、人身傷害保険から6120万円を先行回収しており、総額3億3120万円を実現しています。

3)被害者の住まいが東京都内であることを考慮しても、将来介護料で、職業介護人の利用期間につき日額3万円という非常に高額な賠償金が認められたことは、評価できるところです。
弁護士たるもの、裁判では安易な妥協を拒み、緻密な立証を積み上げなければなりません。

 
 
ジョーク 先生からの問題?

先生 「毎月定額料を支払えば、使い放題となるものは?」
生徒  「正社員!」

 

10/13(火)判例29 損保が在宅介護を否定し、施設介護を主張?

判例29 損保が在宅介護を否定し、施設介護を主張?
(遷延性意識障害1級1号 2015年 東京地裁 和解)
 

(1)概要
68歳のパート主婦が、青色点滅信号で横断を開始し、 青信号で発進した加害自動車に、交差点出口付近で跳ね飛ばされたもので、被害者には、遷延性意識障害で1級1号が認定されています。

(2)損保の反論
1)被害者には、まず、青点滅信号で横断歩道を歩行開始した過失があり、さらに、信号が赤に変わったとき、中央分離帯で立ち止まるべきであったのに、横断を続けた過失も認められ、被害者は、赤信号で横断を開始したものと同視できるところから、50%の過失相殺をすべきである。

2)被害者は、遷延性意識障害の重篤な状態であること、主として介護を行う同居の子息は、日中、就労していて、自宅介護は困難であり、施設での介護を前提に将来介護費を算定すべきである。

3)被害者は、事故当時高齢で、うつ病に罹患しており、家事従事者としての能力はなかったので、主婦としての休業損害や逸失利益は発生しない。

(3)弁護士の立証
1)⇒弁護士は、事故現場を見分、刑事記録を分析して、被害者が青信号点滅で横断を開始したことを認めたものの、事故現場交差点の中央分離帯部分には、安全地帯が設置されておらず、被害者には、中央分離帯部分で、立ち止まる義務までは認められないとして、被害者の過失割合は、認めるにしても30%を超えないと主張しています。

2)⇒弁護士は、将来の介護について、主治医の自宅介護を認める意見書、子息の介護資格の取得と実際の介護における陳述書などで立証し、以下を主張しました。
①被害者は、現に退院後、自宅介護に移行していること、
②自宅介護に必要な住宅改修を実施ししていること、
③同居の子息は、ホームヘルパーの資格を取得するなど、万全な準備を進めたこと、

以上の事実により、自宅介護が順調に継続されていることから、将来介護については、自宅介護を前提として、家族介護料日額8000円、職業介護人を依頼する日については日額2万円、総額7880万円の将来介護費用、症状固定までの付添看護料として230万円、成年後見人報酬500万円、介護機器費用470万円、介護雑費490万円、住宅改造費用470万円、を請求しています。

3)⇒弁護士は、被害者が高齢で、うつ病に罹患しており、家事従事者の能力がなかったとの損保の主張に対して、通院していた心療内科の主治医の意見書を証拠として提出し、事故当時、すでに順調に回復しており、家事従事者としての能力に問題が生じていないことを立証しています。

(4)裁判所の判断
1)⇒裁判所は、損保の主張する過失割合50%を排斥し、過失相殺を30%と認定しました。

2)⇒裁判所は、損保の主張する施設介護を排斥し、在宅介護を前提として、弁護士の請求通り、家族介護料日額8000円、職業介護人を依頼する日については日額2万円の内容で、総額7880万円の将来介護費用、症状固定までの付添看護料として230万円、成年後見人報酬500万円、介護機器費用470万円、介護雑費490万円を認定しています。 住宅改造費用について、建築設計事務所の意見書と見積書を評価し、470万円を認定しました。

3)⇒裁判所は、通院していた心療内科の主治医の意見書を評価し、うつ病を患っていたとしても、家事従事能力が一切なかったとは言えないとして、女子年齢別平均賃金に基づき、360万円の休業損害と1070万円の逸失利益を認定しました。

4)30%の過失相殺額は5840万円となりましたが、調整金2670万円を含み、和解金は8950万円、自賠責保険金3743万円を加え、1億2690万円の損害賠償が実現しています。 その他として、後遺障害慰謝料が2800万円、息子の慰謝料として350万円、成年後見人報酬で320万円が認定されています。

(5)NPOジコイチのコメント
本判例のピンポイントは、訴訟提起前に、自宅介護を開始し実績を積み上げておくことにあります。

1)損保が自宅介護を否定し、施設介護による賠償を主張することは、常套手段の1つです。
この主張に対して、弁護士は、①~③を立証、自宅介護の必要性と相当性を強く主張しています。
①自宅の改修など十分な準備をした上で、実際に被害者が自宅介護に移行していること、
②同居の子息も、ホームヘルパーの資格を取得して介護に参加している実績があること、
③自宅介護が順調に継続されていること、

2)過失相殺では、損保の50%相殺に対し、事故現場を見分し、現場に安全地帯が設置されていない事実などを適切に指摘し、最終的な過失相殺率を30%まで下げさせています。

3)さらに被害者がうつ病の既往歴がある点を指摘する相手側主張に対しては、事故当時、順調に回復していた点を心療内科主治医の意見書で反論し、休業損害と逸失利益も認定させています。

 
 
雑学 人生、意気に感ず?

人間は、相手の心意気に感銘を受けて仕事をし、交際するものであって、必ずしも、欲得ずくではないことをいいます。

 

10/12(月)判例30 損保の50%過失相殺を30%に?

判例30 損保の50%過失相殺を30%に?
(遷延性意識障害1級1号 2015年 東京地裁 和解)
 

(1)概要
16歳の女子、高校1年生が、自転車に乗り、交差点の自転車横断帯を横断中、脇見運転の加害自動車に跳ね飛ばされたもので、被害者には、遷延性意識障害で別表Ⅰの1級1号が認定されています。

(2)損保の反論
1)事故当時、被害自転車の速度は時速20km位で、高速で自転車を運転した被害者の過失は重く、他方、加害者が車内の時計に目を取られたと言っても短時間のことで、加害者の過失は重くはなく、被害者には、50%の過失相殺をすべきである。

2)被害者は、遷延性意識障害であり、自発的な動作をすることがなく、必要な介護作業も、そこまで重いものではなく、将来介護費用は日額8000~1万2000円で十分である。

(3)弁護士の立証
1)⇒弁護士は、事故現場を見分、刑事記録を分析して、被害自転車の速度が、仮に、時速20kmに達していたとしても、異常な高速ではなく、著しい過失には該当しないこと、一方、刑事記録によれば、加害者は、車内の時計に気を取られ、2秒以上も前方不注視が続いており、その脇見運転は著しい過失に該当するとして、被害者の過失は、認めるとしても、30%が相当であると主張しています。

2)⇒弁護士は、主治医の意見書、家族と職業介護人の陳述書を証拠として提出し、現状の介護体制と職業介護人導入の理由、介護に必要な自宅改修費や設備・器具などの費用についても詳細に立証し、これまでの在宅介護実績に基づき、症状固定までの付添看護料400万円、将来介護料は、職業介護人の併用を含み1億0870万円、住宅改修費540万円、介護車両400万円、介護用機器として1480万円を請求しています。
損保の、遷延性意識障害患者は自発的に動かないため介護負担・時間的拘束は過大なものにはならないとの主張に対しては、被害者に対する介護は職業介護を依頼せざるを得ない状況であり、その支出が、多額となっている事実を立証して、厳しく反論しています。

(4)裁判所の判断
1)⇒裁判所は、損保の主張する50%過失を排斥し、被害者過失を30%と認定しています。

2)⇒裁判所は、被害者の介護は職業介護を利用せざるを得ず、その介護負担は大きく、金銭支出は重いことを認め、将来介護費用については日額1万8000円、総額1億0870万円が相当であり、その他として、症状固定までの付添看護料400万円、介護車両400万円、介護用機器1480万円を認定しています。
住宅の改修費についても、建築設計事務所の意見書と見積書を評価し、被害者分として540万円が認定されています。

3)調整金4500万円を含む和解金は1億7000万円ですが、自賠責保険金4000万円、人身傷害保険金5000万円を加え、2億6000万円の損害賠償が実現しています。
その他、逸失利益7470万円、後遺障害慰謝料は家族慰謝料を含み3100万円が認定されています。

(5)NPOジコイチのコメント
本判例のピンポイントは、主治医の意見書、家族や職業介護人の陳述書の重要性にあります。

1)遷延性意識障害者は、寝たきりで動くこともないので、介護人のペースで介護ができる?
損保の非人道的な主張ですが、弁護士が、現実の介護体制を具体的に明らかにして立証しない限り、「なるほど、その通りかも知れないな?」 そのような心証が形成されてしまうのです。
立証では、主治医の意見書が重視されるのですが、原案は、事実に基づき、弁護士が作成することになります。家族や職業介護人の陳述書についても、主治医の意見書に沿うものでなければなりませんが、原案は、事実に基づき、弁護士が作成することになります。

被害者宅に赴き、実際の介護状況をジックリと見分・聴取した上で作成することになりますが、これらは、ビデオ撮影で補足することもできます。意見書や陳述書は、被害者側でしか把握できない証拠を述べたものであり、裁判官が読んで、被害者の現状が手に取るように分かるものとしなければなりません。

2)損保は、加害者から聞き取った事故発生状況を、別冊判例タイムズ38に掲載の基本過失割合で判断することが一般的、つまり、加害者に不利となる修正割合は、無視していることがほとんどです。
高次脳機能障害、遷延性意識障害では、刑事記録は、加害者の供述のみで作成されています。
弁護士は、同時刻に事故現場に立ち、交通動態、見通しなどを把握した上で、刑事記録の実況見分記録、加害者の供述内容、交通事故現場見取図から矛盾や不審を探し出し、加害者の証人尋問で、それらを突き崩していくのですが、経験則はもちろんのこと、優れた感性(センス)が求められます。

本件では、30%分の過失相殺額は8220万円となりました。
家族が加入の人身傷害保険に先行請求し、満額の5000万円を回収しており、実質上の相殺額は3220万円となっています。

 
 
雑学 愛想も、小想も、尽き果てる?

関係のある人の行いに落胆し、親愛の情が全く無くなってしまうことです。

 

10/9(金)判例31 被害者過失が70%で損保は免責を主張?

判例31 被害者過失が70%で損保は免責を主張?
(遷延性意識障害 1級1号 2015年 東京地裁 和解)
 

(1)概要
29歳の男性会社員が、道路を横断中、加害自動車に跳ね飛ばされたもので、被害者には、遷延性意識障害で別表Ⅰの1級1号が認定されています。

(2)損保の反論
1)被害者は、歩行者信号の赤信号を無視して横断をしたもので、加害自動車は、法定速度で第3車線を走行していたところであり、加害者に回避可能性はなかったとして、無過失を主張しています。

2)被害者は、完全な遷延性意識障害からは脱していると考えられるカルテ上の記載を指摘し、将来の介護体制は、施設介護が基本的に想定されており、家族の介護は必要なく、四肢麻痺で全部介助が必要であることを考慮しても、日額1万~1万2000円程度が相当である。

(3)弁護士の立証
1)⇒弁護士は、損保の免責主張に対して、自賠法上、加害者には被害者の飛び出しの立証責任があるところ、そのことが立証されていないこと、また刑事記録からは、加害者の前方不注視により、衝突直前まで被害者の存在に気づいていなかったと読み取れることを指摘し、反論しています。

2)⇒弁護士は、本件では、施設介護であるが、家族も施設に赴いて施設職員だけでは不十分な点について、家族による補助的介助を行っており、今後も、それを継続していくことを施設長の意見書と家族の陳述書で具体的に立証し、家族介護料として交通費を含み、日額1万9000円、総額1億1850万円、介護雑費として500万円を請求しています。

(4)裁判所の判断
1)⇒裁判所は、和解案で、被害者の赤信号横断を認めるも、損保の免責主張は排斥し、過失相殺率を70%と認定しました。

2)⇒裁判所は、介護施設長の意見書を評価し、施設における家族介護費用を肯定し、日額1万9000円、総額1億1850万円の高額介護料を認定しています。

3)本件では、人身傷害保険から1億円を先行取得しています。 被害者過失70%、2億1600万円、調整金1140万円を含め、和解金は1億0100万円ですが、人身傷害保険金1億円を加え、2億0100万円の損害賠償が実現しています。

その他に、逸失利益1億3350万円、成年後見人報酬400万円、後遺障害慰謝料2800万円、近親者慰謝料400万円が認定されています。
被害者は、労災保険・通勤災害の適用を受けており、今後も一生涯、障害年金が支給されます。

(5)NPOジコイチのコメント
本判例のピンポイントは、施設でも、家族介護を求める施設があることに着目した点にあります。

1)自賠法は、交通事故被害者の救済の必要から、加害者の有利、被害者に不利な事情については加害者側に立証責任を課しています。
本件では、目撃証言もあり、被害者の赤信号横断自体を覆すのは、困難な状況でした。
しかし、加害者の供述は、あくまでも加害者の主観的な情報で、刑事事件では、加害者自身が刑罰を受けるリスクもあり、すべてを正確に供述しているのかは、厳しく検討しなければなりません。

本件では、加害者は、被害者の飛び出しを主張しましたが、弁護士は、被害者の飛び出しを立証するだけの資料がなく、加害者は立証できていないこと、また加害者の前方不注視により、衝突直前まで被害者の存在に気がついていなかったことを指摘しています。
その結果、加害者の免責主張は排斥されました。
目撃者証言により、一見相当不利な状況でしたが、弁護士は、資料を精査し、的確な主張立証を行うことで、免責主張を排斥することができたのです。
自賠法を絡めたところが、弁護士の凄いところです。

3)施設における介護では、介護の大半は施設が主体となります。
しかし、施設職員が被害者に必要なすべての介護を行える状況にはなく、、家族による補助的な介護が必要とされることが多数あります。
そのことの見極めと立証が必要となります。

 
 
ジョーク 爺さんの葬儀?

よく知らない親戚のガキどもが葬儀中に騒いでいた。
見かねた親戚のおっちゃんが、「うるせーぞ、このクソ坊主!」 と怒鳴りつけた瞬間、お坊さんの読経がピタっと止んだ。
10秒ほど経って、子どものことだと気付いたお坊さんは、読経再開したが、その席にいたほとんど全員の肩が震えていた。

 

10/8(木)判例32 50%過失でも、2億0500万円の賠償金を実現?

判例32 50%過失でも、2億0500万円の賠償金を実現?
(遷延性意識障害1級1号 2016年 千葉地裁 和解)
 

(1)概要
28歳、男性会社員が、自転車で直進中、車線増加により、車線を変更中、側道から合流の加害自動車が追突したもので、被害者には、遷延性意識障害で別表Ⅰの1級1号が認定されています。

(2)損保の反論
1)症状固定日は、受傷から1年を経過した時点であるとし、その後に、被害者が負担した治療費や入院費の賠償を否認しています。

2)被害者に必要な介護については、法的評価としては近親者のみの介護で十分であるとして職業介護人に対する介護料を否認し、将来介護料としては、将来的にどのような介護体制が維持され、被害者がどの程度の期間存命かも不明であるとし、定期金の方法による賠償とすべきである。

(3)弁護士の立証
1)⇒弁護士は、本件では、受傷から症状固定まで2年と少しでしたが、治療先のカルテと看護記録を分析し、損保の主張に対して、リハビリを療養として評価していないことを指摘しています。
主治医の意見書と家族の陳述書を証拠として提出し、主治医が症状固定と判断するに至るまでの詳細な経過につき、緻密に立証しています。

2)⇒弁護士は、損保の、介護人は1名で十分との主張に対して、主治医の意見書、家族と職業介護人の陳述書により、被害者の個別、具体的な介護状況を明らかにし、どのような介護が被害者のために必要であって、それを実現するため、何人のマンパワーが必要であるかを立証し、母親が68歳になるまでは、日額1万2000円、以降は、職業介護人の介護に頼るとして、日額2万2000円、総額1億2500万円の将来介護料を請求しています。

3)⇒弁護士は、将来介護料の定期金払いについて、被害者側が求めていないこと、被害者の状態も安定していること、将来において、損保が破綻するリスクも強調することで、あくまでも一括払いであるべきと主張しています。

(4)裁判所の判断
1)⇒裁判所は、損保の、受傷から1年で症状固定すべきとの主張を排斥し、主治医が認定した全治療期間を、治療に必要なものとして認定しています。

2)⇒裁判所は、将来の介護料について、損保が主張する定期金による支払を排斥、一括払いとして、弁護士の請求通りの将来介護料、1億2500万円を認定しました。

3)過失は50%、1億5000万円が相殺されたのですが、調整金4500万円を含み、和解金は1億5000万円ですが、自賠責保険金4000万円、人身傷害保険金1500万円を加え、2億0500万円の損害賠償が実現しています。他に、休業損害1100万円、逸失利益1億0800万円、症状固定までの付添看護料680万円、後遺障害慰謝料2800万円が認定されています。、

(5)NPOジコイチのコメント
本判例のピンポイントは、症状固定の時期にあります。

1)遷延性意識障害では、損保は、寝たきりの植物状態であれば、事故から1年も経過すれば症状固定とすべきとして、早期の症状固定を打診してくる傾向です。
NPOジコイチも、損保の考えに賛成で、受傷から1年の経過で症状固定を推進しています。

さて、本件では、症状固定まで2年と少しを経過していたのですが、損保は、1年を経過した時点で症状固定とすべしと反論してきたのです。 となると、弁護士としては、損保の反論に、対抗しなければなりません。

⇒弁護士は、①~④で、被害者に必要な治療が行われていたことを立証しています。

①治療先は、入院下で体調管理のみを行っていたのではないこと、
②積極的な声掛け、日光浴、好きな音楽を聴かせ、刺激を与えるリハビリ治療を実施していること、
③そして、ほとんどで、家族も回復を促進させる必要から、懸命な付添介護を行っていたこと、
④これらの刺激で、被害者が回復傾向を見せることが、少ないながらも報告されていること、

判例5で解説している新しい治療方法、脊髄後索電気刺激療法=DCS装置植込術では、若年の被害者に目覚ましい効果が報告されています。 これらを踏まえて、主治医は、症状固定の判断を行っているのです。 損保からの治療期間の足切りなどが主張されたときは、主治医の意見書で、的確な反論を行わなければなりません。

2)必要な介護体制については、当然のことながら、ご家族や被害者の状況により千差万別です。
これを賠償額に反映するには、弁護士は、詳細な事情を聴き取り、実情を裏付ける資料を確保、立証して、訴訟に踏み込んでいきます。

3)本件では、被害者に50%の過失相殺が予想されたのですが、相殺前の損害総額について、裁判所に3億円以上を認めさせたことで、過失相殺後の実際に受け取る賠償金も1億円を上回る金額が確保できました。加えて、人身傷害保険金や、自賠責保険金を合わせて2億0500万円以上の賠償を実現しています。

NPOジコイチには、多くの重度障害被害者のサポートをしてきた実績があり、過失割合で不利な面があっても、豊富な経験則でカバーすることができます。

 
 
ジョーク 三題噺?

○○大学の授業で、こんな課題が出されました。
文中に以下の3つの要素を盛り込み、ショートストーリーを作りなさい。
①.Religion(宗教)
②.Sexuality(性)
③.Mystery(ミステリー)

クラスでただ一人、優の成績をもらった学生の回答は、
「 オーマイゴッド、妊娠しちゃったわ、父親は誰?」

 

10/7(水)判例33 将来の介護料について、定期金賠償方式が提案された?

判例33 将来の介護料について、定期金賠償方式が提案された?
(遷延性意識障害1級1号 2016年 横浜地裁 和解)
 

(1)概要
21歳、男性アルバイトが自転車を運転し、青色信号で交差点を直進中、対向右折の加害自動車に跳ね飛ばされ、遷延性意識障害で別表Ⅰの1級1号が認定されています。

(2)損保の反論
1)本件事故は、青信号直進の自転車と、対向車線から右折しようとした加害自動車の事故であり、基本過失割合通り、被害者に15%の過失相殺をすべきである。

2)被害者の収入額は同年代の平均賃金より低く、将来、収入が上がるかどうかは不明であることから、アルバイトとしての実収入額を基礎に逸失利益を算定すべきである。

3)被害者の将来介護費については、今後の余命について確実な予測ができず、一括して賠償することは不相当であり、将来、被害者が存命中にわたり定期的に一定額ずつ支払うという定期金方式による賠償とすべきである。

(3)弁護士の立証
1)⇒弁護士は、事故現場を見分、刑事記録を分析して、事故当時、加害車は、過度なものではないが、交差点の直近内側を通らずに早回り右折をしていた事実を指摘し、加害者の過失は、単なる通常の右折車以上に重く、基本過失割合について、加算修正すべきと主張しています。

2)⇒弁護士はアルバイト先に赴き、被害者が事故後に正社員に登用される予定であったことを聴取し、その内容を、雇用契約書にまとめ、証拠として裁判所に提出しています。
そして、被害者は、事故当時21歳の若年で、将来の増収の蓋然性は認められるとして、逸失利益は統計上の全年齢平均賃金を基礎に算定すべきと主張しています。

3)⇒弁護士は、将来の介護費用の定期払いについて、被害者は、定期金方式による賠償を求めておらず、定期金賠償を求める加害者の主張は認められない。
仮に、被害者の意に沿わず定期金方式による賠償を認めたときは、将来、損保の経営が悪化したとき、被害者がそのリスクを負担せざるを得なくなり、被害者の意に反して裁判所が定期金賠償を命ずることはできないと言うべきであると強く反論しています。

4)⇒弁護士は、主治医の意見書、家族と職業介護人の陳述書を証拠として提出し、現状の介護体制から、職業介護人を導入する平日は日額2万円、土日・祝日の家族介護は日額1万円として、1億1780万円の将来介護料、介護機器費用1150万円を請求しています。

5)⇒弁護士は、介護住宅に実績のある建築設計事務所の意見書と見積書を証拠として提出し、住宅改修費の被害者本人分として、900万円、他に成年後見人報酬として450万円を請求しています。

(4)裁判所の判断
1)⇒裁判所は、加害者に5%の加算修正を行い、被害者の過失を10%と認定しています。

2)⇒裁判所は、雇用契約書から、正社員に登用する予定であった事実を認め、男子全年齢平均賃金を基礎として、逸失利益9360万円を認定しています。

3)⇒裁判所は、損保が主張する将来介護料の定期払いを排斥し、弁護士の請求通り、1億1780万円、介護機器費用として1150万円、住宅改修費として900万円、他に成年後見人報酬として450万円を認定しています。

4)調整金5520万円を含み、和解金は2億5350万円ですが、自賠責保険金4000万円を加え、2億9350万円の損害賠償が実現しています。
他に、後遺障害慰謝料について、近親者を含み3400万円が認定されています。

(5)NPOジコイチのコメント
本判例のピンポイントは、損保の破綻を主張したところにあります。

遷延性意識障害の被害者の将来介護費について、損保は定期金賠償による支払い、つまり被害者の生存を確認しながら支払うという主張ですが、これに対し、弁護士は、定期金賠償によって被害者が負担することになるリスクに着眼し、将来、損保の経営が悪化したときは、賠償を受けられなくなるリスクを被害者が負担しなければならないことの不当性を主張しています。

冒頭部分の、「被害者は、定期金方式による賠償を求めておらず、定期金賠償を求める加害者の主張は認められない。」 は一般的で、やや説得力に欠ける主張ですが、損保の破綻の可能性に言及したところが秀逸です。公的給付制度であっても、国や地方自治体の財政状況により予算、保障内容が大きく変動しており、最終的には、制度自体が消滅する懸念も囁かれているのです。

損保の破綻は、現に大成火災海上、第一火災海上保険が破綻していることもあり、大きな説得力を有するもので、裁判所も、弁護士の主張を支持し、損保の定期金賠償を排斥しています。

 
 
ジョーク トイレの会話?

高速道路を北に向かって走っていた私は、トイレに行きたくなり、サービスエリアに立ち寄った。
手前の個室はふさがっていたので、その隣に入った。
便器に腰を下ろそうとしたそのとき、隣から、「やあ、元気?」 と声がかかった。
男は皆そうだが、トイレで見知らぬ人と会話することはない。
どうしていいか分からなかったが、ためらいがちに、「まあまあだよ、」 と答えた。
すると隣人は、「そうか・・・・・それで、今、何しているの?」 と質問してきた。
妙だなと思ったが、私はバカみたいではあったが、こう回答した。
「君と同じで、ウンコしようとしているんだ。」
やがて隣の男は、声をひそめて、「おい、後でかけ直すよ、隣の個室に、俺の話にいちいち反応するアホがいるんだ!」

 

10/6(火)判例35 44歳主婦で2億7600万円の高額賠償?

判例34 あくまでも控えめな請求とは?
(遷延性意識障害1級1号 2017年 仙台地裁 和解)
 

(1)概要
33歳、男性会社員が、自動車に同乗中、道路脇の電柱に激突する自損事故が発生し、被害者は、遷延性意識障害で別表Ⅰの1級1号が認定されています。

(2)損保の反論
将来介護費用について、例え、障害が重度であっても、裁判では、あくまで、控えめな費用算定があって然るべきで、最大でも日額1万5000円とすべきである。

(3)弁護士の立証
1)⇒弁護士は、本件被害者の在宅介護について、主治医の意見書、家族と職業介護人の陳述書を証拠として提出し、現実の介護負担の大きさ、介護に必要な自宅改修費や設備・器具などの費用について詳細な立証を行っています。
損保が主張する控え目な請求については、病状が重篤な被害者に対する介護負担の大きさを主治医の意見書、家族と職業介護人の陳述書で詳細に立証し、損保の反論が被害者にとってきわめて過酷で、非現実的であることを強く反論し、将来介護料について、職業介護人の導入を含め、日額2万円として1億2190万円、介護用品費用として1000万円、介護雑費として500万円、合計1億3690万円を請求しています。

⇒弁護士は、介護住宅で実績を誇る建築設計事務所の意見書と見積書を提出し、介護住宅への改造費として830万円、成年後見報酬として710万円を請求しています。

(4)裁判所の判断
1)⇒裁判所は、在宅介護の必要性を認め、将来介護費用について、職業介護人併用で日額2万円とし、1億2190万円を、他の介護用品費用1000万円、介護雑費500万円についても認定しています。

2)⇒裁判所は、建築設計事務所の意見書を評価し、住宅改造の被害者利用分として830万円、成年後見報酬710万円を認定しています。

3)調整金5790万円を含み、和解金は2億7700万円ですが、自賠責保険金4000万円、人身傷害保険金1550万円を加え、3億3250万円の損害賠償が実現しています。

その他に、付添看護料460万円、休業損害1100万円、逸失利益6820万円、後遺障害慰謝料3000万円、近親者慰謝料700万円が認められています。 過失は、5%が相殺され、1550万円が差し引かれましたが、訴訟終結後に、人身傷害保険に対して請求を行い、同額を回収しています。

(5)NPOジコイチのコメント
本判例のピンポイントは、控え目な請求にあります。

被害者にとって理想的で完璧な自宅介護を求めるのであれば、看護師などの医療資格を有する職業介護人を配置することになり、午前8:00~午後18:00までの10時間にわたって、医療資格を有する職業介護人に依頼するのであれば、費用は日額3~4万円以上を要することになります。

本件の弁護士は、現状は、公的給付も考慮して、控えめに日額2万円で算定し、職業介護人を依頼する日のその余の時間の家族介護費用は日額5000円を、家族のみで介護をする日の介護費用は日額1万円を下ることはないとして、損保の主張に対しては、徹底的に反論しています。

他方で、判例18で紹介していますが、名古屋地方裁判所民事第3部 寺西和史裁判官は、被害者の在宅介護を認定するに際して「ベストケアをしたら、それがないよりもはるかに長生きできる蓋然性が高いことが明らかであるのに、費用が高すぎるからといって、ベストケアを受ける費用分の損害賠償を認めないなどということは、そのベストケアを受けたとしても、一般人ほどには長生きできそうにない被害者に対して、余りにも酷な話であり、人道上許されないように思われる。」 

なんでもかんでも、目一杯で請求する向きもありますが、やはりバランスを考えた請求でないと、裁判所の了解を得ることはできないようです。

 
 
ジョーク 企業の紹介文?

①軽作業です。⇒重量物でも、機械を使わず手作業です。
②活気のある職場です。⇒怒号が飛び交っています。
③雰囲気の良い職場です。⇒自由に煙草を吸っています。
④単純な接客だから心配なし。⇒客はDQN(ドキュン非常識な人)ばかりです。
⑤初心者でも大歓迎⇒離職率が高いので、初心者しかいません。

⑥女性も活躍する職場です。⇒男性はいりません。
⑦みんなすぐに仲良くなれます。⇒輪に入れなかったら地獄です。
⑧簡単なお仕事です。⇒誰でもできるのに、離職者が多いのです。
⑨社員が優しくお教えします。⇒1回で覚えないと、態度は激変します。
⑩従業員はみんな仲良し。⇒ただの体育会系です。
⑪アットホームな職場です。⇒上司が過剰に干渉、ナアナア残業も多いのです。
⑫ノルマは、ありません。⇒ノルマ以上の目標を自主目標として設定されています。
⑬頑張った分だけ報われます⇒前述の無茶な目標をクリアしないと減給されます。
⑭仕事帰りには仲間で飲み会へ⇒仕事のあとも束縛されます。
⑮休日にはボーリングや野球大会も⇒休日も束縛されます。
⑯社員旅行もあります。⇒長期休暇も束縛されます。
⑰最後に笑顔の集合写真⇒ほーら、DQNばっかりでしょう。

 

10/5(月)判例35 44歳主婦で2億7600万円の高額賠償?

判例35 44歳主婦で2億7600万円の高額賠償?
(遷延性意識障害1級1号 2017年 札幌地裁 和解)
 

(1)概要
原付を運転して交差点を直進中の44歳主婦が、対向右折車と出合い頭衝突したもので、被害者には、遷延性意識障害で別表Ⅰの1級1号が認定されています。

(2)損保の反論
1)将来介護費用について、公的給付制度の利用により月額2万円で済むのに、家族介護料を含めるとしても、請求が余りにも過大である。

2)在宅介護のための新築費用については、必要性・相当性がないとして、賠償するとしても、800万円が限度である。

(3)弁護士の立証
1)⇒弁護士は、主治医の意見書、家族の陳述書を証拠として提出し、被害者の現状から、どのような介護が必要で、現実に、どのように介護がなされているかについて、具体的に立証しています。
そして、常時介護を実施するには、家族の負担があまりに大きく、介護人の休養=レスパイトの必要からも、職業介護人の利用は必須であることを明らかにし、職業介護と家族介護の合計で日額2万5000円、総額1億2400万円の介護料を請求しています。

2)⇒弁護士は、公的給付について、
①公的給付は、被害者に対する福祉を目的とするもので損益相殺の対象ではないこと、
②国の財政状況により、予算や保障内容も大きく変動、あるいは制度そのものが、なくなることが十分に予想されることなどから、訴訟において単純に控除を認めてしまうと、将来的に、介護費用に充当される賠償金が底を尽く深刻な事態が予想され、直近の裁判例でも、控除されないことが常識となっていることなどを主張しています。

3)⇒弁護士は、介護住宅費用について、介護住宅を手掛ける建築設計事務所の意見書と工務店の見積書を証拠として提出し、新築であっても、相当程度が介護のための費用投下であり、必要性と相当性が認められる設計であることを立証しています。

(4)裁判所の判断
1)⇒裁判所は、主治医の意見書と家族の陳述書を評価し、施設介護料を含め、将来介護料として、1億2400万円を認めています。

2)⇒裁判所は、損保の主張する公的給付を充当する主張を排斥し、公的給付を含む全額について、加害者が負担すべきとしました。

3)⇒裁判所は、新築費用の内、介護住宅費用として1300万円を認定しています。

4)調整金3250万円を含む和解金は2億600万円ですが、自賠責保険金4000万円、人身傷害保険金3000万円を加え、2億7600万円の損害賠償が実現しています。
その他に、休業損害260万円、逸失利益4680万円、介護機器と雑費1480万円、成年後見報酬600万円、後遺障害慰謝料3000万円、家族慰謝料600万円が認定されています。

本件では、被害者にも5%の過失相殺が予想されたところから、加入の人身傷害保険に先行請求して3000万円を獲得し、その直後に、訴訟の提起をしています。
訴訟で認定された被害者の過失分1300万円は優先的に充当され、重複する1700万円は、既払い金として処理されています。

(5)NPOジコイチのコメント
本判例のピンポイントは、障害者総合支援法、介護保険など公的給付のハンドリングにあります。

将来介護費用の請求では、どちらの損保も、公的給付でカバーできると主張してきます。
本件の弁護士は、公的給付制度は、国や地方自治体の財政状況により予算、保障内容が大きく変動し、制度自体がなくなってしまう可能性が十分に考えられ、賠償額を最終的決定する訴訟において単純に控除をすることになれば、将来的に介護費用に充てられる賠償金が尽きてしまうという事態を招きかねないと、公的給付の継続性の不安を強調しています。
弁護士は、損保の反論に、同調することなく、公的給付部分についても、加害者に賠償をさせることで、被害者とご家族の将来の資金をしっかりと確保しなければなりません。

 
 
ジョーク ゴルフ場でトイレをする男性へのアドバイス

1) 背筋を伸ばし、膝を軽く曲げて、肩幅ぐらいに足を広げる。
2) 力を抜いて握る。 3) あごを引く。
4) 振りまわし過ぎないようにする。
5) 飛ぶコースをあらかじめ予測する。
6) 年のせいで、飛ばないこともあるので、気にしない。
7) 静かにしていないと気が散る人も多い。
8) 人をめがけて、なんてことは、してはいけない。
9) 自分だけがあまりにも長くなるようなら、他の人にお先にどうぞと言う。
10)タマに話しかけている人がいても、知らん顔をする。

 

10/2(金)判例36 寝たきりの在宅介護は不適切?

判例36 寝たきりの在宅介護は不適切?
(遷延性意識障害 1級1号 2017年 宇都宮地裁 和解)
 

(1)概要
16歳、高2男子が、自転車で歩道を走行中、歩道に乗り上げた加害自動車に跳ね飛ばされたもので、被害者には、遷延性意識障害で1級1号が認定されています。

(2)損保の反論
被害者が最重篤の後遺障害を負ったことは否定しないが、そうであればこそ、在宅介護は不適切というべきで、医療的にも介護環境的にもより充実した看護を受けられる医療機関で介護を行っていくべきであり、在宅介護を前提とした被害者側の主張は是認することができない。

(3)弁護士の立証
1)⇒弁護士は、重度後遺障害被害者の在宅介護は、現実的ではなく、医療機関での介護を前提とすべきで、在宅介護は是認することができないとの損保の主張に対して、
①本件の被害者は、遷延性意識障害1級1号であり、寝たきり状態であること、
②家族の強い希望により、施設ではなく、在宅での介護が選択され、すでに実施されていること、


訪問看護

訪問入浴                      訪問リハビリ

③母親が中心的な介護の担い手となりながら、訪問看護、訪問入浴、訪問リハビリなど、職業介護人も利用し、ご家族が近くで見守りながら、安心した生活=介護環境を確保していること、
④主治医の意見書で、被害者には、在宅介護が適切であること、
⑤そのための介護体制が十分に整備されていることを具体的に立証しています。 そして、在宅介護を前提に、母親が67歳までは日額1万5000円、母親が67歳以降は職業介護費用が増えることを考慮し、日額2万円として、総額1億0300万円の将来介護費用、症状固定までの付添看護料として290万円、住宅改修費用として1000万円を請求しています。

(4)裁判所の判断
1)⇒裁判所は、家族の希望により、現実に、在宅介護が続けられており、今後も、在宅で介護を継続していくものと見るのが相当であるとして、将来介護料は、在宅介護を前提に、母親が67歳までは、日額1万5000円、母親が67歳以降は、職業介護費用が増えることを考慮し、日額2万円、総額1億0300万円を認定しています。

2)住宅の改造費については、建築設計事務所の意見書を評価し、被害者の利用分として1000万円を 介護機器についても、その必要性を認め、1000万円を認定しています。

3)調整金4700万円を含み、和解額は2億7500万円ですが、自賠責保険金4000万円を加え、3億1500万円の損害賠償が実現しています。
その他として、逸失利益9520万円、後遺障害慰謝料3000万円、家族の慰謝料800万円が認定されています。

(5)NPOジコイチのコメント
本判例のピンポイントは、実績に基づいて、在宅介護を押し切ったところにあります。

将来介護料を節約したい損保の気持ちは分かりますが、訴訟提起の以前から、介護体制を整えて、現実に、在宅介護を継続しているのですから、四の五の言っても、始まりませんよ!
このような立証を行って、損保の反論を封じ込めたのです。

遷延性意識障害者にとって、在宅介護のメリットとは、
1)家族が頻繁に接触することで、継続的な覚醒刺激を与えることができ、これによって意識状態の改善が期待できることです。
反対に、施設や病院介護では、多くの患者を抱えており、食事や入浴などを除けば、放置されていることがほとんどで、廃用が加速的に進む傾向にあります。

2)感染症のリスクが、施設や病院に比べ、圧倒的に低いことです。
施設や病院には、不特定多数の出入りが頻繁であり、肺炎、MRSA、VREなど院内感染のリスクが高く、免疫力が低い遷延性意識障害の患者にとっては、エアコン、加湿器、空気清浄機、24時間換気システムで管理されている在宅介護の方が安全なのです。
また、医師・看護師の医療的ケアでは、訪問診療のサポートを受けることができるため、医療環境の面からみても、在宅介護が劣るということは決してありません。

裁判で在宅介護費用が認められる5つの要件とは、
①在宅介護を希望する家族の強い意思、
②介護保険などの福祉サービスを利用した適切な介護体制の確立、
③住宅改修など、バリアフリーな住環境の整備、
④訪問医の確保など、医療環境の整備、

⑤①~④の条件を満たして、現実に在宅介護を実施していること、

 
 
ジョーク  テイクアウト

今、マックにいるんだけど、前の客が真剣な顔で、「テイクオフで?」 って何回も言っているのよ?
店員、必死で笑いこらえているし、お前、離陸して、空飛ぶのかよ?

 

10/1(木)※損益相殺とは

4.弁護士の立証

ここからは、遷延性意識障害者の民事裁判において、損保の反論と弁護士の立証にスポットライトをあてて、実際の裁判例から37の判例を学習していきます。

遷延性意識障害では、そのほとんどが裁判による解決となります。
ここで理解すべきは、裁判における立証責任は、すべて被害者側の弁護士ににあることです。
損保は、言いたい放題ですが、被害者側は、そんな、バカな? で片付けることはできないのです。

どのように理不尽で、非人道的な損保の主張であっても、弁護士は、1つ1つ、緻密で詳細な立証を積み上げて反論しなければなりません。
遷延性意識障害者のご家族は、これらの弁護士の立証活動を正しく理解し、完全勝訴に向けて、あなたが依頼した弁護士をフルサポートしなければなりません。
逆に、これらの立証方法を説明できない弁護士であれば、委任をする値打ちがありません。

 
判例37 介護人が高齢では、施設介護が強制されるのか?
(遷延性意識障害 1級1号 2017年 名古屋地裁)

(1)概要
16歳高2の男子が、自転車で丁字型交差点を進行中、加害自動車と出合い頭衝突したもので、被害者には、遷延性意識障害で1級1号が認定されています。 

(2)損保の反論
1)日額3万円を超える職業介護を利用することに対して、損保は、本人の状態からすれば、将来的には施設介護になる可能性があること、また、在宅介護を続けるにしても、習熟度が増せば、家族らの介護負担は軽減する。

2)障害者総合支援法により、既に、給付が行われた介護関係費について、賠償額より、既払い金・損害填補として控除すべきである。

(3)弁護士の立証
本件では、被害男子の側に、一時停止の規制がなされており、相当程度の過失相殺が予想されたところから、被害者側が加入の人身傷害保険に対して先行請求を行い、1億4000万円を取得したのちに、訴訟を提起しています。

1)⇒弁護士は、被害男子の障害の内容と現在の介護状況について、主治医の意見書と家族の陳述書を証拠として提出し、具体的に立証を行っています。
在宅介護の継続性を否定するかの損保の主張に対しては、被害者の両親および兄弟の陳述書により、
①事故前、被害者が、将来も、地元で就職し、この地域を離れない意向であったこと、
②現在も、両親と兄弟が、分担して介護に参加していること、
③今後も、在宅介護を維持できるように、家族で協力していくことなどを立証し、母親が67歳以降でも、在宅介護を行うことを前提に、職業介護人の併用を含め、将来介護料として1億2800万円、介護雑費、介護車両などの介護関係費として2500万円、住宅改造費用として2000万円を請求しています。

2)⇒弁護士は、損保が主張の公的給付の賠償金からの控除について、以下の反論を行っています。 ①公的給付は、被害者に対する福祉を目的とするもので損益相殺の対象ではないこと、
②国の財政事情が不安定であり、将来にわたり、現在水準の公的給付の受給は不確定であること、
③過去の裁判例でも、控除されないことが常識となっていること、

(4)裁判所の判断
1)⇒裁判所は、家族介護の中心である母親が67歳以降も、在宅介護が継続されることを認め、総額1億2800万円の将来介護料、介護関係費として2500万円、介護関係費2000万円、住宅改造費用2000万円を認定しています。

2)⇒裁判所は、損保の主張を排斥し、障害者総合支援法により、既に、給付が行われた介護関係費については、控除しないとしました。

3)調整金3400万円を含め、和解額は1億4300万円ですが、人身傷害保険金1億4000万円を加え、2億8400万円の損害賠償が実現しています。
なお、裁判所が認定した総損害額は、3億円ですが、50%が過失相殺され1億5000万円となりました。
他に、後遺障害慰謝料として2800万円、家族の慰謝料として300万円が認定されています。

(5)NPOジコイチのコメント
本判例のピンポイントは、家族介護の継続性にあります。

遷延性意識障害、高次脳機能障害1、2級では、両親や妻が、中心的な家族介護者ですが、被害者が若年で、中心的な介護者がやや高齢であるとき、損保は、家族が67歳以上の高齢となっても、在宅介護を継続することができるのか、施設介護が相当ではないか、などの反論を仕掛けてくるのです。
介護料の支払いを抑えるには、なんとしてでも、施設介護に持っていきたいのです。

そんなとき、弁護士は、家族だけではなく、職業介護人を適正に導入することで、在宅介護を安定して継続することができることを正面から議論し、将来介護費用を十分に確保しなければなりません。
事故前と同じように、家族が自宅で一緒に生活を続けることは、当たり前のことであり、それを実現できるように損害賠償というものが存在しているのです。

 
 
ジョーク むしゃくしゃしたとき?
むしゃくしゃした日は、ブックオフに行く!

そして本棚の影に隠れて、でっかい声で、「いらっしゃいませー!!」 と叫ぶ。
すると、フロアにいる店員が一斉に、「いらっしゃいませー!!」 つられて言う。
これを2、3回繰り返し、気が腫れたところで、店を出る。