11/25(木)判例11 介護型病院のリスト?

判例11 介護型病院のリスト?
(遷延性意識障害1級1号 2009年 宇都宮地裁 和解)

(1)概要
32歳、男性会社員が、自転車で道路を横断中、50kmの速度オーバーで走行してきた普通乗用車に跳ね飛ばされたもので、被害者には、脳挫傷による遷延性意識障害で1級1号が認定されています。

(2)損保の反論
1)横断歩道外横断の被害者側にも50%の過失がある。

2)首都圏近県にある30カ所の介護病院のリストを提示し、自宅介護は不可能で認められない。

(3)弁護士の立証
1)⇒弁護士は、事故現場を見分、刑事記録を分析し、加害者の供述の矛盾を見つけ出して、加害者に証人尋問を行い、大幅な速度違反が認められることを立証しています。

2)⇒弁護士は、損保が提出の30カ所すべての介護型病院を訪問して実地調査を行い、いずれの介護型病院も、遷延性意識障害者の介護には不適格であることを立証しています。
その上で、家族が自宅介護を前提に住宅の改造を進めていることについて、妻の陳述書と現入院先である療護センターの主治医の意見書を証拠として提出し、自宅介護が可能であることを立証しました。

3)将来介護料について、妻は専業主婦であったが、介護にも休み=レスパイトが必要であることを主張し、妻が67歳までは日額1万5000円、67歳以降は、職業介護人介護として、日額2万5000円の内容で、1億1000万円、介護諸費用2000万円を請求しています。

4)⇒弁護士は、在宅介護体制を確立する必要から、最初に取り組んだ住宅新築費用について、介護住宅に実績のある建築設計事務所の意見書と見積書を証拠として提出し、新築差額の改造費として、700万円を請求しています。

(4)裁判所の判断
1)⇒裁判所は、加害者に対する証人尋問から、被害者の過失割合を20%と認定しています。

2)⇒裁判所は、在宅介護の必要性と職業介護人の併用を認め、将来介護料について、妻が67歳までは日額1万5000円、67歳以降は、職業介護人介護として、日額2万5000円の内容で、1億1000万円、介護諸費用2000万円を認定しています。 事故後、住宅は新築されていますが、新築差額の改造費700万円を認められました。

3)調整金3700万円を含み、和解金は2億2500万円ですが、自賠責保険金4000万円を加え、2億6500万円の損害賠償が実現しています。その他として、逸失利益1億0900万円、後遺障害慰謝料は、家族分を含めて3200万円が認められています。

NPOジコイチのコメント
本判例のピンポイントは、在宅介護における主治医の承諾にあります。

遷延性意識障害では、大多数の損保は、自宅介護を全否定し、介護型病院での療養を押しつけます。 しかし、遷延性意識障害者に対して、手厚い介護のできる病院は、ほとんどありません。

①病床数と医師・看護師・介護職員数?
②夜間の配置は?
③決められた食事の時間が守られているか?
④食事のあとは、口腔ケアが実施されているか?
⑤おむつ交換は、1日、何回、実施されているのか?
⑥排便、摘便は週に、何回実施されているのか?
⑦2時間ごとに体位変換を行って、褥瘡防止をしているのか?
⑧入浴介護は、週に何回、何人で実施されているのか?
⑨1日2回の蒸しタオルによる清拭は守られているのか?

現状では、介護型病院に出向いて、上記のアンケート調査を実施し、チクチクつついてやれば、ほぼすべての介護型病院が患者の受け入れを拒否することになります。
出向いて立証すれば、損保の反論など木っ端微塵に粉砕することができるのです。


 
ジョーク 面接試験?

俺、3流大学で、資格も持っていないけれど、勝負をかけ、大手航空会社を受けた。
普通じゃ、合格しないと思ったから、ウケを狙って、手を広げて入室、「キ~ン、ちゃくりくー」 着席した。

面接官 「入室するところから、やり直していいですよ!」
恥ずかしくて、そのまま帰った。

 

11/20(金)判例12 在宅介護では、家族・主治医・弁護士の協力体制がポイント?

判例12 在宅介護では、家族・主治医・弁護士の協力体制がポイント?
(遷延性意識障害1級1号 2009年 さいたま地裁 和解)

(1)概要
14歳、中3の女子が、自転車で交差点横断歩道付近を斜めに横断中、加害自動車に跳ね飛ばされたもので、被害女子には、遷延性意識障害で別表Ⅰの1級1号が認定されています。

(2)損保の反論
1)自宅介護は不可能である。

2)将来介護料は低額でよい。

(3)弁護士の立証
1)弁護士は、独立行政法人自動車事故対策機構の療護センターに入院する被害者、両親と面談、両親は、療護センターを退院後は、自宅における介護を強く希望していました。 そこで、両親と協議しながら、被害者を自宅に受け入れるための条件を整備し、それらを主治医に説明して、自宅介護が可能であるとの意見書を獲得しています。

2)⇒弁護士は、主治医の意見書と母親の陳述書を証拠として提出し、自宅介護における3つのメリットを主張しています。
①事故前と同じく家族と共に過ごすことが、被害者にとって最も自然な姿であり、憲法上の住居の自由も守られること、また、遷延性意識障害者であっても、遠くて深いところに意識はあると考えられており、自宅に帰ることでさまざまな刺激が与えられ、症状が改善に向かうケースが多いこと、

②自宅は施設よりも、はるかに衛生的で、感染症の心配が少なく、余命を全うすることができること、

③行き届いたケアにより、褥瘡=床ずれ、肺炎など、余病の発生が防止できること、 母親の陳述書には、療護センターにおいて、自宅介護のための訓練を積むなど、大変な努力を重ねたことも記載し、職業介護人を含む将来介護料として1億2200万円、介護雑費1000万円、介護機器費用1000万円を請求しています。

2)⇒弁護士は、在宅介護体制を確立する必要から、最初に取り組んだ住宅改修費用については、介護住宅に実績のある建築設計事務所の意見書と見積書を証拠として提出し、被害者利用分として300万円を請求しています。

(4)裁判所の判断
1)⇒裁判所は、被害者は事故当時14歳の中学生で未就労でしたが、逸失利益の基礎収入については、男女平均賃金490万円で8800万円を認めました。


義務教育を終了するまでの女の子の基礎収入は、男女平均賃金ですよ!

2)⇒裁判所は、在宅介護の必要性を認め、損保の主張を排斥して、将来の介護料1億2200万円、介護機器1000万円、介護雑費1000万円、住宅改造費300万円を認定しています。

3)総額3億0500万円の損害額が認定されていますが、幹線道路の交差点付近を自転車で斜め横断したことで40%の過失相殺がなされ、損害賠償額は1億8300万円となりました。
調整金3600万円を含む和解金は1億5100万円ですが、自賠責保険金4000万円を加え、1億9100万円の損害賠償が実現しています。
その他に、後遺障害慰謝料2800万円、家族の慰謝料600万円が認められています。

NPOジコイチのコメント
本判例のピンポイントは、在宅介護における主治医の承諾にあります。

普通、被害者に40%の過失が認められるときは、損保側も強気です。
経験則に乏しい弁護士であれば、損害賠償交渉では、腰が引ける状況ですが、本件では、在宅介護を認めさせたことで、賠償額は跳ね上がったのです。

裁判では、自宅介護となると、住宅の改造費や高額な将来介護料が認められていますが、これらのメリットが明確であっても、在宅介護では、主治医の承諾がなければ実現不可能であることを知っておかなければなりません。


 
ジョーク  じゃあ、飛びます?

旅客機に乗客が乗り込んだが、一向に離陸しようとしない、
30分も経った頃、機内アナウンスが流れた。
「こちらは機長ですが、当機は、エンジンにトラブルが見つかったので、離陸は中止いたします。」

それを聞いた乗客は、散々待たされてイライラしており、口々に、「ふざけるな!」 と叫んだ。
やがて、再び、機内アナウンスがなされ、「じゃあ、飛びます!」
機内は、大パニックとなった。

 

11/19(木)判例13 非人道的な損保の主張は、弁護士として粉砕しなければならない?

判例13 非人道的な損保の主張は、弁護士として粉砕しなければならない?
(遷延性意識障害1級1号 2009年 東京地裁 和解)

(1)概要
自動車の助手席に同乗中の25歳、女性会社員に、前方不注視の大型貨物車が追突したもので、この女性は、路上に投げ出され、遷延性意識障害で別表Ⅰの1級1号が認定されています。

(2)損保の反論
1)自宅介護は不可能である。

2)寝たきり者の余命を10年に短縮すべきで、将来介護料も10年で足りる。

3)遷延性意識障害者は寝たきりで、健常者のように生活費を必要とせず、生活費は20%控除すべき、

(3)弁護士の立証
立証責任は、被害者側にあるので、損保は、いつでも、言いたい放題です。
本件でも、一方的に断定し、実に、非人道的な主張を繰り広げています。

1)⇒弁護士は、主治医の意見書、母親の陳述書を証拠として提出し、損保に否定された在宅介護について、両親と協議しながら、被害者を受け入れるための条件を整備してきた詳細を述べ、入院先の主治医から、在宅介護が可能という意見書を取りつけたこと、さらに、裁判では、在宅介護におけるメリットをしっかりと立証し、将来介護料として、職業介護料日額2万円の併用で、1億1700万円、介護機器費用900万円、介護雑費は日額1500円で61年間分として1000万円を請求しています。

2)⇒弁護士は、遷延性意識障害者の余命では、すでに、医学的にみて、確たる証明はなされていないとの判例が出ており、平均余命を認める傾向ですが、主治医の意見書で反論しています。

3)⇒弁護士は、遷延性意識障害者の生活費控除について、稀には、控除が認められているものの、障害者であっても、外出の際は、洋服も必要であり、情操教育のためには、音楽を流し、本を読んで聴かせ、テレビも見せており、実際に、このような刺激を与えることで感情表現が豊かになり、意思表示が可能になることも報告されていること、先に解説のノーマライゼーションの観点からも、控除すべきではないと主張しています。

4)⇒弁護士は、本件の被害者は、助手席に同乗中、不可抗力の事故で人生を奪われたのであり、介護にあたる両親の悲しみと苦しみは、計り知れないものがあることも、強調し、後遺障害慰謝料3500万円、家族の慰謝料として800万円を請求しています。

5)⇒弁護士は、在宅介護体制を確立する必要から、最初に取り組んだ住宅改修費用については、介護住宅に実績のある建築設計事務所の意見書と見積書を証拠として提出し、被害者利用分として1800万円を請求しています。

(4)裁判所の判断
1)⇒裁判所は、自宅介護のメリットと介護プランの緻密な立証を評価し、損保の主張を完全に排除し、在宅介護を前提として、住宅改造費1800万円、将来の介護費用1億1700万円、介護機器費用900万円、介護雑費は、自宅介護の実績から、日額1500円であることを認め、平均余命の61年間について積み上げ計算を行って1000万円を認定しています。

2)⇒裁判所は、本人慰謝料3500万円、両親の慰謝料800万円を認めています。

3)調整金2100万円を含み、和解金は2億5500万円ですが、自賠責保険金4000万円を加え、2億9500万円の損害賠償が実現しています。その他に、逸失利益5900万円が認定されています。

NPOジコイチのコメント
本判例のピンポイントは、非人道的な損保の反論を粉砕したところにあります。

被害者に重い障害を負わせたのは、加害者であるにもかかわらず、損保が裁判で、余命が短い、長生きしない、早く死ぬ、などの主張をすることは言語道断で、人道上も許すことはできません。

弁護士たるもの、これらの非人道的な反論は、徹底的に叩き潰し、粉砕しなければなりません。

 
 
ジョーク 方向音痴?

うちのかみさんは、超方向音痴、
立駐に停めたときは、1階から屋上まで探してまわる有様、
先週の日曜日、かみさんが、クリスマスプレゼントを買いにデパートへ行った。
嫁 3時間ほど経って、携帯があり、車、どこに停めたか分かんなくなっちゃった。
夫 隣に、どんな車があったとか覚えてない?
嫁 それが、今日は、全然覚えてないんだよぉ・・・・
夫 よし、オレがバスでそこまで行くから一緒に探そう。
嫁 ありがとう、早く来てよぉ・・・・

自宅を出るとマンションの駐車場に、うちの車があった。
夫 今日デパートまで、なんで行った?
嫁 えっ、バスだよ!

 

11/18(水)判例14 定期金賠償は、裁判では否定的?

判例14 定期金賠償は、裁判では否定的?
(遷延性意識障害1級1号 2010年 大分地裁・福岡高裁・最高裁 判決)

(1)概要
7歳、小2の男児が、道路を横断中に、左方からの加害乗用車に跳ね飛ばされたもので、男児には、遷延性意識障害で別表Ⅰの1級1号が認定されています。

(2)損保の反論
1)男児が飛び出したことが事故の原因として免責であるが、仮に免責でなくとも、90%以上の過失相殺が認められるべきである。

2)遷延性意識障害者の自宅介護は不可能であり、住宅改造費は必要ない。

3)男児の余命は40歳までと仮定して損害額を算出、賠償金の支払いは定期金払いが相当である。

(3)弁護士の立証
1)⇒弁護士は、過失割合について、事故現場を見分、刑事記録を分析して、当時、被害男児と一緒にいた9歳の姉の供述を証拠として提出し、男児は飛び出しておらず、過失相殺が30%を超えることはないと反論しています。

2)⇒弁護士は、主治医の意見書を証拠として提出し、在宅介護が可能であることを立証し、現状の在宅介護を通じて、自宅における介護のメリットについても、しっかりと立証しています。

3)⇒弁護士は、損保の余命を短く見積もるという非人道的な主張に対しては、主治医の意見書で、丁寧なケアを続ければ、遷延性意識障害者であっても、長く生きられるということを立証し、定期金賠償については、被害者の早期の死亡を前提としており、被害者感情からすれば、到底、受け容れ難いと反論し、自宅介護を前提として、これまでの実績から、将来介護費用として1億3200万円、介護機器費用1200万円、介護雑費900万円、介護車両180万円を請求しています。

4)⇒弁護士は、在宅介護体制を確立する必要から、最初に取り組んだ住宅改修費用については、介護住宅に実績のある建築設計事務所の意見書と見積書を証拠として提出し、被害者利用分として350万円を請求しています。

(4)裁判所の判断
1)⇒裁判所は、9歳の姉の供述を評価した上で、損保の免責主張を排斥し、男児の過失を30%と認定しています。

2)⇒遷延性意識障害事案の多くがそうであるように、本件も余命を短く見積もるという非人道的な主張が展開されたのですが、裁判所は、主治医の意見を尊重し、損保の反論を排斥し、在宅介護を前提として、将来介護費用は1億3200万円、介護機器費用1200万円、介護雑費900万円、介護車両180万円、住宅改修費350万円を認定しています。

3)確定遅延損害金590万円、遅延損害金2100万円を含み、判決額は1億7500万円ですが、訴外で獲得した自賠責保険金を加え、2億1500万円の損害賠償が実現しています。
その他に、逸失利益5800万円、後遺障害慰謝料2600万円、両親の慰謝料280万円が認められています。
損保の主張は、ことごとく却下され、諦めきれない損保は、高裁、最高裁と上訴したのですが、全て棄却され、第1審判決が確定しました。

NPOジコイチのコメント
本判例のピンポイントは、将来介護費用の定期金払いにあります。

現在の医学では、在宅介護で万全のケアを続ければ、遷延性意識障害の被害者であっても、余命を全うすることは十分に可能と判断されています。
定期金賠償は、被害者感情からすれば受け入れ難く、一括払いの判例が一般的となっています。 したがって、損保側の反論に屈することなく、判例に基づいた主張を行うことが大切です。

※最高裁 S62-2-6判決
請求者が、一時金賠償方式による賠償を求めているときに、裁判所が定期金賠償方式による賠償を命ずることができるかに関して判断したもので、「損害賠償請求権者が訴訟上一時金による賠償の支払を求める旨の申立をしている場合に、定期金による支払を命ずる判決をすることはできない。」

被害者側が、一時金賠償を求めているときは、定期金賠償を命ずる判決をすることはできないと判示しています。この最高裁判例は、現在に至るまで明確には変更されていません。

※自宅介護における3つのメリット

1)ノーマライゼーションの考え方で、事故前と同じように家族と共に暮らすことが、被害者にとって最も自然な姿であり、憲法上の住居の自由も守られること、 また、遷延性意識障害者であっても意識は遠く深いところにあると考えられており、自宅に帰ることで、さまざまな刺激が与えられ、症状が改善されることが予想されること、

2)自宅は施設よりも衛生的で、感染症のリスクが少ないこと、

3)マンツーマンの丁寧なケアにより、褥瘡=床ずれなど、余病の発生が防止できること、

※ノーマライゼーション

ノーマライゼーションは、どの人にとっても、「当たり前のことを当たり前に、」を実現するために、社会の環境を整備していこうという考えです。

障害者や高齢者が、他の人々と等しく生きる社会・福祉環境の整備、実現を目指す考え方であり、障害の有無にかかわらず平等に人権が保障され、自己のライフスタイルが主体的に選択でき、能力・経済効率主義にくみしない共生社会の模索です。

 
 
ジョーク もったいない?

デパートで買ってきた大判焼きを食べていて、1つ余ったので、
「お父さんにとっとく?」 と、母に言ったら、「もったいないから、食べる!」 と、母が口に押し込んだ。
次の日、賞味期限の切れたヨーグルトを見つけた母は、
「もったいないから、お父さんに、とっとくわ」 と、言った。

 

11/17(火)判例15 主治医の了解を得て、訴訟前に、在宅介護をスタートさせる?

判例15 主治医の了解を得て、訴訟前に、在宅介護をスタートさせる?
(遷延性意識障害1級1号 2010年 前橋地裁 和解)

主治医の了解が得られていることが重要です。

(1)概要
17歳、高2の女子が、自転車で自転車横断帯を横断中、左方狭路から飛び出した乗用車に跳ね飛ばされたもので、被害者には、遷延性意識障害で別表Ⅰの1級1号が認定されています。

(2)損保の反論
1)自宅介護は不可能なので、職業介護は必要ない。

2)住宅改造費の1600万円は、あまりに高過ぎる。

(3)弁護士の立証
自宅介護を否定しておいて、住宅改造費が高過ぎるとは、損保は論理矛盾をきたしています。
本件の被害者の症状は、非常に重く、24時間の介護には、2人を必要とする状況でした。

1)⇒弁護士は、主治医の意見書、家族と療護センター、ソーシャル・ワーカーの陳述書を証拠として提出し、主治医のが在宅介護を許可していること、前治療先の療護センターで、母親が実際に受けた介護訓練の内容を明らかにし、日々の介護の大変さを母親の陳述書で、療護センター退院後は、現実に、自宅で介護をしていることをビデオ映像なども添付して立証しています。
その上で、夫婦共稼ぎの実情から、将来介護料について、母親と父親が介護を行う年間85日については、家族介護日額1万円、残りの280日は、職業介護人の介護で日額2万5000円の内容で、1億4200万円を、介護機器費用は2100万円、介護雑費で1100万円を請求しています。

2)⇒弁護士は、在宅介護体制を確立する必要から、最初に取り組んだ住宅改修費用については、介護住宅に実績のある建築設計事務所の意見書と見積書を証拠として提出し、被害者利用分として1600万円を請求しています。

(4)裁判所の判断
1)⇒裁判所は、在宅介護の必要性を認め、将来介護料として、年間の85日を家族介護として日額1万円、残りの280日は、職業介護として、日額2万5000円、総額1億4000万円、介護機器費用で2100万円、介護雑費として1100万円を認定しています。

2)⇒裁判所は、住宅改修費について、請求額の10%をカットし、1400万円を認定しています。

3)調整金3200万円を含み、和解金は2億9100万円ですが、自賠責保険金4000万円を加え、3億3100万円の損害賠償が実現しています。その他に、逸失利益9000万円、後遺障害慰謝料2500万円、両親の慰謝料800万円などが認定されています。

NPOジコイチのコメント
本判例のピンポイントは、訴訟の提起前から、現実に在宅介護が実施されているところにあります。

介護施設に入所している状況で訴訟を提起し、自宅介護で将来の介護費用や自宅の改造費を請求したときは、「果たして、本当に、在宅介護が行われるのか?」 やはり、裁判所は、懸念を抱くのです。 それでも、主治医の了解が得られていれば、裁判所は、自宅介護を認める傾向です。

遷延性意識障害者のご家族は、自賠責保険金の4000万円を有効利用して、住環境、医療環境、介護環境を整備し、裁判が始まる前に自宅介護をスタートさせることを考えるべきです。

 
 
張り紙?

ビル清掃の派遣社員として行っている会社のエレベーターの扉には張り紙がしてある。 
「お客様専用につき、社員の使用禁止。ただし荷物ある場合は可」
ある日のこと、5階の掃除をしているとき、中年の男性社員が手ぶらでエレベーターに乗って言った。
「どうせ、おれは会社のお荷物だから・・・・・」

 

11/16(月)判例16 自宅介護、職業介護、住宅改造の一切を認めない?

判例16 自宅介護、職業介護、住宅改造の一切を認めない?
(遷延性意識障害1級1号 2010年 東京地裁 和解)

(1)概要
15歳、男子高校生が自転車に乗り、一時停止の標識のある交差点を横断中、右方から直進中の乗用車と出合い頭衝突し、被害者には、遷延性意識障害で1級1号の後遺障害が認定されています。

(2)損保の反論
1)自宅介護は認められない。

2)自宅介護を認めないのであるから、職業介護料も住宅改造も不要である。

(3)弁護士の立証
1)本件では、被害者側に、一時停止義務違反があり、40%の過失相殺を余儀なくされたのですが、父親の車に人身傷害保険が付保されており、過失相殺分は、ほぼ埋め合わせることができています。

2)⇒弁護士は、自宅介護については、家族が希望していること、住環境や介護環境が整っていることを家族の陳述書で、医療環境については、主治医の意見書の提出により、十分に整備されており、自宅介護が可能であることを立証し、これまでの在宅介護の実績を基礎として、将来介護料は、母親が就労しているため、職業介護日額2万4000円、家族介護日額1万2000円、母親が67歳以降は、職業介護日額2万4000円の内容で1億4500万円、介護器具費用として1100万円、介護車両費が340万円、介護雑費として1000万円、住宅の改修費については、建築設計事務所の意見書と見積書を提出、被害者の利用分として1700万円を請求しています。

(4)裁判所の判断
1)⇒裁判所は、損保の反論を却下し、在宅介護を前提に、住宅改造費1700万円、将来介護料は、母親が就労していることを考慮し、職業介護日額2万4000円、家族介護日額1万2000円、母親が67歳以降は、職業介護日額2万4000円の内容で1億4500万円、介護器具費用として1100万円、介護車両費が340万円、介護雑費として1000万円、住宅の改修費として1700万円を認定しています。

2)調整金1800万円を含み、和解金は1億6700万円ですが、自賠責保険金4000万円、人身傷害保険金1億3000万円を加え、3億3700万円の損害賠償が実現しています。
その他に、逸失利益9600万円、後遺障害慰謝料3500万円、家族の慰謝料600万円が認められています。

NPOジコイチのコメント
本判例のピンポイントは、在宅介護の要件を丁寧に立証したところにあります。

判例17でも、解説の通り、遷延性意識障害では、損保は、自宅介護を認めようとせず、住宅改造費も不要という主張を展開してくることが多いのですが、最近の判例では、医師の許可が得られ、かつ、自宅介護体制が完了していれば、自宅介護を認めることがスタンダードとなっています。

本件でも、主治医の意見書と家族の陳述書で、遷延性意識障害者を在宅介護するために必要な3つの要件、①住環境、②医療環境、③介護環境が、丁寧に立証されています。

 
 
ジョーク 散髪?

床屋嫌いの息子の、伸びた髪を見かねて女房が髪を切った。
鏡を見た息子が、「こんな頭じゃ学校へいけないよ」 と、嘆くと、
女房、すかさず、私の薄くなった頭を指さして息子をしかった。
「我慢しなさい、お父さんなんか、あの頭で、会社へ行っているのよ!」

 

11/11(水)判例17 寝たきり被害者の余命は短いという医師の意見書にどう対抗するか?

判例17 寝たきり被害者の余命は短いという医師の意見書にどう対抗するか?
(遷延性意識障害1級1号 2010年 東京地裁 和解)

(1)概要
27歳、男性会社員が、自動二輪車に乗り、青信号交差点を直進中、対向右折の2トンとラックと出合い頭衝突したもので、被害者には、遷延性意識障害で別表Ⅰの1級1号が認定されています。

(2)損保の反論
1)自宅介護は無理である。

2)寝たきり被害者の余命は短いという医師の意見書を提出、逸失利益は余命10年で計算すべき。

3)賠償金は、定期金賠償、つまり、被害者が生存しているかどうかを確認しつつ支払うのが相当。

4)自宅介護は不可能なので、職業介護は必要ない。

(3)弁護士の立証
⇒弁護士は、適切な在宅介護であれば、余命まで生存できるとする主治医の意見書、専門医の医学論文、自宅介護を強く希望する被害者家族と介護実態を明らかにした職業介護人の陳述書を証拠として提出し、27歳の若さで事故に遭った被害男性に対して、余命10年で逸失利益を計算してきた損保に対して、こうした非人道的な主張に対し徹底的に反論し、すでに実施されている在宅介護の実績を基礎として、母親が67歳までは、土日・祝日の家族介護日額1万2000円、平日は、職業介護日額2万円、67歳以降は、職業介護日額2万円として、1億1300万円の将来介護料、介護車両で400万円、介護機器の費用は1100万円、住宅改修費は、介護住宅に実績を有する建築設計事務所の意見書と見積書を提出して、1400万円を請求しています。

(4)裁判所の判断
1)⇒裁判所は、損保顧問医の意見書を排斥し、自宅介護を前提に、住宅改造費1400万円、将来介護料については、母親が67歳までの土・日・祝日は、家族介護1万2000円、平日は職業介護2万円、母親が67歳以降は、職業介護日額2万円の内容で、総額1億1300万円を、介護車両費は400万円、介護機器の費用については1100万円を認定しています。

2)調整金5600万円を含み、和解金は2億3000万円ですが、自賠責保険金4000万円を加え、2億7000万円の損害賠償が実現しています。その他に、逸失利益9400万円、後遺障害慰謝料2800万円、家族の慰謝料200万円などが認定されています。
損保提示の和解額は1億5000万円でしたが、1億2000万円の増額となっています。

NPOジコイチのコメント
本判例のピンポイントは、損保顧問医の意見書の駆除にあります。

損保側が提出の、余命10年を根拠とする非人道的な意見書は、吉本医師の作成したもので、高次脳機能障害、遷延意識障害では、この医師の意見書がちょくちょく登場し、これまで多くの被害者を苦しめてきました。

吉本 智信 医師
公立学校共済組合 関東中央病院
〒158-8531 東京都世田谷区上用賀6-25-1 03-3429-1171  
S53年生まれ、東大医学部卒、脳神経外科医、
東京警察病院などを経て現職、 著書に「高次脳機能障害と損害賠償」

被害者が遷延性意識障害では、相手損保は自宅介護を認めず、住宅改修費も不要という主張を展開してくることが珍しくありません。
しかし、最近の判例では、主治医の許可があり、かつ、自宅介護の準備が完了していれば、自宅介護を認めることがスタンダードとなっています。

 
 
ジョーク 老犬?

我が家の愛犬は14歳、名前は、マリリン、
最近耳が遠くなり、名前を呼んでも出てこない、散歩に行っても、歩きながら、ヨロケています。
知人の愛犬も、14歳過ぎたころから、やれ風邪ひいたで、
注射、3000円、しこりがあるで、手術、8万円、イロイロ掛かって、とボヤいていました。
それを聞いた主人、「マリリン、死ぬときは、根性出さずに、ぽっくりな!」
寝そべってるマリリンに、言い聞かせています。
それを聞いて、私は、心の中で、「あんたもネ!」

 

11/10(火)(14)医療機器費用

(14)医療機器費用  請求額の436万8757円が認定されました。
 

⇒弁護士は、被害者の在宅介護生活のためには医療器具が必要であり、その合計額は99万9327円となること、必要となる医療器具は、本来であれば、さらに多岐にわたるが、器具を限定して控えめに請求すると、症状固定時の各1台に加え、症状固定後はその耐用年数の5年ごとに買い替える必要があり、平均余命の58年間に買い替える回数は11回となるとして、436万8757円を請求しました。

⇒損保は、首尾一貫して40歳までの余命を限度に認めると主張したのですが、

⇒裁判所は、被害者の在宅介護生活のためには、医療器具が必要であること、その合計額は少なくとも99万9327円であること、在宅介護開始時の各1台に加え、その後はその耐用年数の5年ごとに買い替える必要があり、平均余命の57年間に買い替える回数は11回となることが認められるとして、医療機器費用分の損害は、
99万9327円×(1+0.7835+0.6139+0.4810+0.3768+0.2953+0.2313+0.1812+0.1420+0.1112 +0.0872+0.0683)=99万9327円×4.3717=436万8757円であると認定しました。

(15)将来雑費  請求額の2258万3400円が認定されました。

⇒弁護士は、被害者の在宅介護生活のためにはオムツなどの諸雑費が当然必要であり、その費用は月額にして23万7975円であり、本来であればこの全額が将来雑費として認められるべきものであるが、控えめに月額10万円を請求しています。

⇒損保は、全額を否認したのですが、

⇒裁判所は、被害者の在宅介護生活のためにはオムツなどの諸雑費が必要であること、その費用は月額にして23万7975円であることが認められる。
在宅介護開始時における平均余命は57年であるが、上記の諸雑費の月額からすれば、月額10万円を前提に58年間の額として被害者側が算定した10万円×12カ月×18.8195=2258万3400円の将来雑費分の損害を優に認定することができるとしました。

(16)慰謝料  3600万円の請求に対して3130万円が認定されました。

1)傷害慰謝料 400万円の請求に対して330万円が認定されました。 被害者の本件事故による受傷の程度の重篤さ、症状固定時までの入院期間などからすれば、傷害慰謝料として330万円を認めるのが相当である。

2)後遺障害慰謝料 3200万円の請求に対して2800万円が認定されました。 被害者の後遺障害の内容からすれば、後遺障害慰謝料として2800万円を認めるのが相当である。

(17)母親の損害 600万円⇒440万円

⇒裁判所は、被害者の後遺障害の重篤さ、母親が今後長きにわたり被害者の介護をしていかなければならないことなどからすれば、母親に近親者慰謝料として500万円を認めるのが相当であり、2割の過失相殺をして400万円を賠償額とする。そして、この認容額や本件訴訟の経緯などからすれば、弁護士費用分の損害として40万円を認めるのが相当であるとしました。

(18)争点 公的扶助等の控除について

⇒裁判所は、損保主張の公的扶助などについては、損益相殺の対象になるのは、既受領分の障害基礎年金148万5145円だけであり、その余の公的扶助および将来分の障害基礎年金は損益相殺の対象とならないものと解するのが相当である。
すなわち、自動車事故対策機構の介護料は、交通事故被害者に対する支援という社会福祉的な施策の一環として捉えられるべきものであり、損害の填補としての性質を有しないというべきであり、損害からの控除をすることは認められない。
その他の市区町村から支給される各種手当ても、社会福祉事業の一環として給付されるものであって、損害の填補としての性質を有しないから、損害から控除することは認められない。

また、障害基礎年金については制度や支給基準の存続が確実とはいえないから、控除の対象になるのは、既受領分のみであり、将来分についてはこれを認めることはできない。

将来分の給付は、その制度の存続や支給基準が確実とはいえないから、控除すべきではない。
したがって、損益相殺の対象になるのは既受領の障害基礎年金148万5145円のみであり、これは、過失相殺前の損害額から控除するのが相当である。

NPOジコイチのコメント
在宅介護で必要となる機材(車両改造費、介護ベッド、介護リフト、シャワーキャリー、車椅子、医療機器など)についての費用は、それぞれの耐用年数に応じて、買換の費用が認められています。
ここでは、控えめな請求を考慮する必要はありません。

しかし、将来の介護雑費では、これまでの介護実績に基づく実際の負担額を基礎としますが、公的な負担もあり、控えめな請求が裁判では評価されています。
入通院の慰謝料、後遺障害部分の慰謝料、近親者の慰謝料では、加害者の虚偽の供述で審理が遅れたなどの事情があるときは、制裁的な慰謝料が考慮されますが、それ以外では、赤本に記載されている通りの慰謝料が認定されている傾向です。

※損益相殺とは?

損益相殺の対象となるもの

損益相殺の対象とならないもの

1)受領済の自賠責保険金

1)自損事故保険金

2)受領済の政府保障事業による填補金

2)搭乗者傷害保険金※

3)労災保険法に基づく給付金

3)生命保険金※ 

4)厚生年金保険法に基づく給付金

4)傷害保険金

5)国民年金法に基づく給付金

5)労災保険上の特別支給金※

6)健康保険法に基づく給付金

6)社会儀礼上相当額の香典・見舞金 

7)地方公務員等共済組合法に基づく給付金

7)身体障害者福祉法に基づく給付

8)所得補償保険金

8)自動車事故対策機構法に基づく介護料※

9)人身傷害保険金

9)生活保護法による扶助費

 

10)雇用対策法に基づく職業転換給付金

 

11)特別児童福祉扶養手当

交通事故被害者にとって、過失相殺と損益相殺は、耳を塞ぎたくなる単語です。
なぜなら、いずれも、損害賠償額からカットされるものであり、被害者が受け取る損害賠償額に大きな影響を与えるからです。
損益相殺は、加害者の負担と被害者の利益が公平でバランスの取れたものとなるように、慣習的に守られている法律的な考え方ですが、ざっくばらんには、「焼け太りは、許しませんよ?」 つまり、被害者が損害分を超える、過剰な利益を得るのを防ぐことを目的としているのです。
損保は、重度後遺障害案件については、どうしてか、損益相殺の対象とならないものでも、拡大解釈を適用することで減額を主張してくる傾向が目立ちます。
本件の裁判でも、自動車事故対策機構の介護料、その他の市区町村から支給される各種手当について、損害から控除するように主張しています。
ここでは、損益相殺の対象にならないものについて、復習しておきます。

2)搭乗者傷害保険金
被害者が同乗中の自損事故などで、加害者が契約する搭乗者傷害保険についても、最判 H7-1-30判時1524号48頁は、損益相殺の対象とはならないとしていますが、下級審の裁判例においては、加害者が保険料を負担して賠償がなされたことなどを理由に、慰謝料を減額するものがあります。
(名古屋地判 H4-5-11判タ794号139頁など。)

3)生命保険金
 (最判昭和39年9月25日民集18・7・1528) 払込保険料の対価たる性質を有し、被保険者の死亡に基づいて支払われるので控除されません。

ところが、保険料を負担して加入していても、所得保障保険では、損益相殺の対象となっており、ここがなんとも理解できないところです。

5)労災保険上の特別支給金(最判平成8年2月23日判時1560・91)
休業特別支給金、障害特別支給金、障害特別年金、遺族特別年金などの特別支給金では、労働者福祉事業の一環として支払われるもので、損害額から控除されません。

8)独立行政法人自動車事故対策機構法に基づき支給される介護料
被害者の負担軽減を目的とするものであり、損益相殺の対象にはなりません。

本件事故において、裁判所は、交通事故被害者に対する支援という社会福祉的な施策の一環として捉えられるべきものであり、損害の填補としての性質を有しないというべきであり、損害からの控除をすることは認められないと判示しています。

9)その他の市区町村から支給される各種手当
本件では、社会福祉事業の一環として給付されるものであって、損害の填補としての性質を有しないから、損害から控除することは認められないと判示しています。
同じく、障害基礎年金については、損益相殺の対象とされていますが、相殺されるのは、判決確定までの既受領分であり、将来の支払いは、制度や支給基準の存続が確実とはいえないから、控除の対象とならないと判示しています。

※損益相殺と過失相殺の順序?
過失相殺と損益相殺の計算順序による賠償金の違い?
減額手続きが、どちらが先に行われるかで受け取る賠償の金額が変わってきます。 例えば、損害賠償額が1000万円、過失が30%、損益相殺される金額が300万円あったときの受取金額を、それぞれについて計算してみます。

①過失相殺を先に行ったとき、過失相殺後控除説
1000万円×(1-0.3)-300万円=400万円、受け取れる損害賠償金は400万円です。

②損益相殺を先に行ったとき、過失相殺前控除説
(1000万円-300万円)×(1-0.3)=490万円、受け取れる損害賠償金は490万円です。

計算例からも分かる通り、同じ過失割合、同じ損益相殺額であっても受取金額が変わります。
被害者としては、過失相殺前控除説の方が多くの金額をもらえるのです。

※過失相殺と損益相殺はどちらが先に行われるのか?
受取金額の計算は、過失相殺後控除説で行われるのが原則です。
その理由は、1000万円の損害賠償額に対して30%の過失があるのなら、1000万円の30%は被害者であっても負担すべきと考えられるからです。
もし逆に計算が行われると、1000万円から300万円の損益相殺が行われてから、過失相殺されるので、本来であれば1000万円の3割を被害者が負担しなければならないのに、700万円の3割しか負担しないで済むことになるからです。

自賠責保険金や政府保障事業填補金、年金給付金は過失相殺の後に、
健康保険給付金は過失相殺の前に損益相殺され、 労災保険給付金は判例でも決まっておらず、ケースバイケースで処理されています。
しかし、労災保険金のすべてが損益相殺の対象となるわけではありません。
例えば、労災保険には障害年金のように継続的な給付を内容とするものもあります。
損益相殺の対象となるのは、労災保険から現実に支給された額と、現実には支給されていないものの支給が確定した額だけであり、将来支払われる予定の未払い部分までが損益相殺されることはないというのが裁判例の考え方です。

NPOジコイチのコメント
なんでもない、若者のおふざけが、取り返しのつかない大事故となりました。
それにしても、80%過失、自宅介護は認められないなど、損保の反論も、暴論に等しいものです。
丁寧な立証で、反論のすべてをねじ伏せた弁護士の力量に敬意を表するものです。

「ベストケアを行えば、それがないよりもはるかに長生きできる蓋然性が高いことが明らかであるのに、費用が高過ぎるとして、ベストケアを受ける費用分の損害賠償を認めないということは、そのベストケアを受けたとしても一般人ほどには長生きできそうにない被害者に対して、余りにも酷な話であり、人道上許されないように思われる。」 
重度後遺障害を担当する弁護士であれば、記憶にとどめるべき判決文です。

すでに、項目ごとにコメントしていますが、被害者側弁護士は、模範となるべき立証を行っています。
弁護士は、過失相殺前の被害者の損害額を3億8632万7990円と積算し、請求しています。
そして、裁判所が認容した損害額は、3億7329万1792円となっています。
つまり、弁護士が積算した損害額の96.62%が裁判所で認容されているのです。
緻密な立証を積み上げていけば、積算額と認容額が大きく乖離することはありません。
本件の弁護士の最も評価できるところです。

他の弁護士の判例では、7億2500万円を請求し、認定されたのは4億3000万円で、実に41%もカットされ、過失相殺後の損害額は、1億0800万円になった? 笑えないものも紹介されています。
NPOジコイチは、根拠に乏しい損害を積み上げ、過大請求を行うことを、お祭り請求と呼んでいます。

お祭り請求では、被害者側が負担する訴訟の印紙代が増えるだけの効果です。
わっしょい、わっしょい、お祭り請求は、依頼人に損害をもたらすパフォーマンスなのです。
 
 
ジョーク 46歳の母?

9/6の日曜日、長女、中学生の運動会でした。
準備体操が終わり、「元の体型に戻れ」 号令で、一斉に元通りに整列した生徒たちを見ながら、
「私はモドレナーイ!」 と、つぶやいたお母さんがいました。
私と同じ、13号サイズの体形だったのです。
私も、元の9号の体形に戻りたーい!

 

11/9(月)(8)住宅改造費用 2182万3572円⇒1895万9680円

(8)住宅改造費用  2182万3572円⇒1895万9680円

介護住宅改造費用

損保

弁護士

裁判所

1301万0057円

2182万3572円

1895万9680円

⇒弁護士は、遷延性意識障害にある被害者の在宅介護に当たり、住環境を整える必要性があることは自明であり、被害者らは、本件事故当時、叔父がH17年に新築した戸建て住宅に居住していた。
叔父邸では、敷地面積が不足し、被害者の介護に適した環境を整える改造を行うことは不可能であったため、母親と叔父は、愛知県日進市の土地を購入した上で、被害者の在宅介護に適した家を新築することとし、介護住宅を設計した建築設計事務所の意見書を提出して、被害者の介護住宅新築費用は土地取得費3635万円込みで8475万5710円であり、他方、介護仕様ではない通常の住宅を建築するのにかかる費用は土地取得費3635万円込みで6293万2138円である。
そこで、本件事故により生じた住宅改造費用損害として、上記介護住宅新築費用と通常住宅新築費用の差額である2182万3572円を請求しています。

⇒損保は、被害者が、本件事故時も叔父と同居していたことを裏付ける客観的な証拠はないから、本件事故により、叔父が旧宅を処分して新居を購入する必要性が生じたと認めることはできない。
また、元の建物を介護仕様にリフォームできないか、これが検討された形跡が認められず、新居購入の必要性が認められず、仮に、その必要性が認められるとしても、被害者主張の建築費4725万3150円は過大である。1階にリハビリルームを設けることは可能であったはずであり、これを2階に設けることを前提にしたホームエレベーターの必要性は認められない。
また、追加工事として計上されているバルコニーの手摺り、物干し、スチール電動シャッター、キッチンの家電収納、カップボード、食洗機、リビング・ダイニングのチェスター、洗面脱衣室の物干、脱衣収納セット、洗濯機設備セット、和室の荒組障子、洋室A・B・C・Dホールのシェルフ扉、クローゼット用棚、ネットマルチメディアコンセント、インターホン用配管、屋根裏収納、床暖房設備、外構の手すり、ウッドデッキ、カーポートなどの設備は、いわゆる快適設備であり、本件事故との因果関係を認めることはできず、介護用住宅の建築費用としては3959万2195円を限度として認めれば足りる。
したがって、本件事故にかかる住宅改造費は1416万2617円となると反論しています。

⇒弁護士は、先の損保の反論に対し、リハビリ室を2階に設置する必要がないとするが、被害者の基本的な生活の場を1階とするのみでも、車椅子で生活できるだけの居室や浴室、リビング、廊下など多大なスペースが必要となり、被害者の祖母も70歳と高齢であるため、寝室を1階に確保する必要があること、そして、リハビリ室にはプラットホームと呼ばれるリハビリ台、横1.2m、縦2mの他、各種リハビリ機器も設置されることが予定されており、相当な広さを要するので、やむなく2階に設置することになったものであること、寝室も兼ねた24.84㎡の部屋では、上記のような物を設置した上で、車椅子で動けるスペースを確保することはできないこと、また、被害者の家への出入りを玄関ではなく、同室からの直接の出入りとしている点でも、ノーマライゼーションの観点から、損保の主張する住宅は相当ではないことを反論し、ホームエレベーターなどは必要であることを強調しました。

加えて、損保は、追加工事の一部を快適設備であり、本件事故と因果関係がないとするが、例えば、
床暖房については、被害者は体温調節ができず、気管切開もしているため、空気をクリーンに保ちつつ部屋を暖める空調設備が必要であるし、現在では床暖房は一般的に見られるものであり、特に珍しいとか、高価であるといったものではないこと、さらに、ウッドデッキについては、被害者に容易に日光浴をさせ、リフレッシュさせることができる非常に有用なものであり、これがなければ、日光浴させるために介護者が携帯吸引器などを用意し、外に連れ出す作業となり、非常な労力を要するため、ウッドデッキの必要性は認められるべきであり、その他の収納用設備なども、被害者の介護と直接的な関係は少ないとしても、介護用のスペースを広くとる必要性があり、これらの設備の必要性も本件事故によるものと認めるべきである。
最後に、上記金額は、カーポートにつき駐車スペースのみに屋根があるものを前提にしているが、大型の車椅子を押す介護者が、同時に傘を差し掛けるのは困難であり、駐車スペースから玄関の間にも屋根の付いたカーポートが必要である。
これに、178万5000円を要するのに、被害者側請求の住宅改造費用には、含まれていないというように、被害者側の請求は控えめであることからも、上記請求額は全額認容されるべきであると反論しています。

⇒裁判所は、弁護士の主張のほとんどを認め、被害者が在宅介護を受けるには、本件事故当時、居住していた旧宅を改造するのでは足りないというべきであり、新規に介護用住宅を建築することは本件事故により必要になったことであると認め、損保は、改造で足りる旨主張するが、損保の提出した辛田八郎作成の意見書でも、約29.88坪の敷地では収まりきらない建物になっており、旧宅の改造で在宅介護のできる住宅にすることはできないと、損保らの上記主張は採用できないと却下しました。
被害者の在宅介護を認めるのが相当であるから、在宅介護用の住宅を取得するのに必要な費用と、在宅介護用ではない通常の住宅を取得するのに必要な費用の差額は、本件事故により被害者に生じた損害であると判示しています。
結果、外構工事における手摺り工事と、その他の収納用設備を否定、値引きの按分比例などを行い1895万9680円の住宅建築費用分の損害を認定しています。

NPOジコイチのコメント
既に住宅は改造され、機器も備えられて在宅介護を行っている状況で請求されることがほとんどです。 改造前と改造後の比較、どうして、この改造を行ったのか、これらは、介護用住宅の設計を担当した建築士の意見書、ビデオ撮影などを駆使して立証していくことになります。
当然、損保も建築士の意見書を提出して反論してくるので、経験則を有する建築士に設計と意見書の作成をお願いしなければなりません。
施行した工務店の簡便な意見書で対応している例も見かけますが、やはり、説得力に欠けることが多く、これでは、損保の意見書に押し切られてしまいます。 設計と施工は別に考えるべきで、NPOジコイチも経験則を有する建築士を確保しており、設計と意見書の作成をお願いしています。

(9)車両改造費  286万2212円の請求額が認定されています。

⇒弁護士は、被害者の在宅介護生活における外出移動には、自動車の改造、車椅子ごと乗車可能な改造が必要であること、改造車両の費用が516万4144円、通常車両の費用が439万6589円でありその差額は76万7555円であることが認められるとして、初回購入の1台分に加え、将来にわたり耐用年数6年ごとに買い替える必要があり、自宅介護の開始時からの平均余命である57年後までに買い替える回数は9回となり、その合計費用は、
76万7555円×(1+0.7462+0.5568+0.4155+0.3100+0.2313+0.1726+0.1288+0.0961+0.0717 =76万7555円×3.729=286万2212円を請求しています。

⇒損保は、車両改造費286万2212円は否認した上で、仮に、車両改造の必要が認められるとしても、被害者が外出するのは病院への定期的な通院程度であり、その他にリハビリを兼ねた外出をするとしても、自動車の利用頻度はそれほど多くはないと考えられる。
したがって、6年ごとの買換えを前提とした車両改造費を損害として認めることはできないと主張しています。

⇒裁判所は、損保は、被害者が外出する機会は少ないなどとして、6年ごとに買い替える必要性はないと主張したのですが、証人叔父の供述によれば、叔父は被害者をできるだけ毎週外出させようと考え、そのように努めていることが認められるから、被害者の外出の機会が少ないとは認められない。
また、仮に、被害者の外出の機会が少なくなったとしても、上記改造車は、他の家族が日常的に使用する自動車と兼用であるから、6年ごとに買い替える必要性が認められる。
(被害者のためだけの改造車を購入すれば、1台で516万4144円を要するから、それだけで、家族との兼用を前提にして6年ごとの買替えとした場合の286万2212円を超えてしまう。)
したがって、損保らの主張は採用できないとして却下しました。

(10)介護ベッド費用  376万0171円⇒375万1673円 ⇒弁護士は、被害者の在宅介護生活のためには介護用ベッドが必要であり、関連器具を含めた1台分の費用は合計126万8400円で、症状固定時の1台に加え、症状固定後はその耐用年数の8年ごとに買い替える必要があり、平均余命の58年間に買い替える回数は7回になるとして、376万0171円を請求しています。

⇒損保は、40歳までの余命を限度に認めると主張しましたが、

⇒裁判所は、被害者の在宅介護生活のためには介護用ベッドが必要であること、関連器具を含めた1台分の費用は合計126万8400円となること、在宅介護開始時の1台に加え、その後はその耐用年数の8年ごとに買い替える必要があり、平均余命の57年間に買い替える回数は7回となることが認められるとして、介護ベッド費用分の損害を 126万8400円×(1+0.6768+0.4581+0.3100+0.2098+0.1420+0.0961+0.0650)=126万8400円×2.9578=375万1673円と認定しています。

(11)介護リフト費用   373万7493円⇒372万9406円

⇒弁護士は、被害者の在宅介護生活のためにはベッドリフト、浴室リフトが必要であり、関連器具を含めた各1台の費用は合計126万0750円、症状固定時の各1台に加え、症状固定後はその耐用年数の8年ごとに買い替える必要があり、平均余命の58年間に買い替える回数は7回になるとして、 378万7493円を請求しています。

⇒損保は、40歳までの余命を限度に認めると主張しましたが、

⇒裁判所は、被害者の在宅介護生活のためにはベッドリフト、浴室リフトが必要であること、関連器具を含めた各1台の費用は合計126万0750円となること、在宅介護開始時の各1台に加え、その後はその耐用年数の8年ごとに買い替える必要があり、平均余命の57年間に買い替える回数は7回となることが認められるとして、
126万0750円×(1+0.6768+0.4581+0.3100+0.2098+0.1420+0.0961+0.0650)=126万0750円×2.9578=372万9406円を認定しています。

(12)シャワーキャリー費用   541万6281円⇒329万8070円

⇒弁護士は、被害者の在宅介護生活のためにはシャワーキャリーが必要であり、1台分の費用は47万8800円、症状固定時の1台に加え、症状固定後はその耐用年数の3年ごとに買い替える必要があり、平均余命の58年間に買い替える回数は19回になるとして、541万6281円を請求しました。

⇒損保は、40歳までの余命を限度に認めると主張しましたが、

⇒裁判所は、被害者の在宅介護生活のためにはシャワーキャリー=入浴用の車椅子が必要であること、1台分の費用は47万8800円となること、在宅介護開始時の1台に加え、その後はその耐用年数の3年ごとに買い替える必要があり、平均余命の57年間に買い替える回数は18回となるとして、シャワーキャリー費用分の損害を、
47万8800円×(1+0.8638+0.7462+0.6446+0.5568+0.4810+0.4155+0.3589+0.3100+0.2678 +0.2313+0.1998+0.1726+0.1491+0.1288+0.1112+0.0961+0.0830+0.0717)=47万8800円× 6.8882=329万8070円を認定しました。

(13)車椅子費用  請求額の407万4336円が認定されました。

⇒弁護士は、被害者の在宅介護生活のためには車椅子が必要であり(室内用と外出用の2台)、1台分の費用は周辺器具を含めると46万5990円となる。症状固定時の各1台(計2台)に加え、症状固定後はその耐用年数の5年ごとに買い替える必要があり、平均余命の58年間に買い替える回数は11回になるとして、407万4336円を請求しました。

⇒損保は、40歳までの余命を限度に認めると主張しましたが、

⇒裁判所は、被害者の在宅介護生活のためには室内用と外出用の2台の車椅子が必要であること、1台分の費用は周辺器具を含めると46万5990円となること、在宅介護開始時の各1台(合計2台)に加え、その後はその耐用年数の5年ごとに買い替える必要があり、平均余命の57年間に買い替える回数は11回となるとして、車椅子費用分の損害を
46万5990円×2×(1+0.7835+0.6139+0.4810+0.3768+0.2953+0.2313+0.1812+0.1420+0.1112+0.0872+0.0683)=93万1980×4.317=407万4336円と認定しました。

 
 
ジョーク 少年・中年・老年?
「少年老いやすく学成り難し!」 
「中年老いやすく、ガクガクなりやすし!」

中年になると、若い時よりも、暑さ寒さに弱くなるものだ!
そこを通り過ぎると、次第に強くなり、
ついには、夏か冬かも分からなくなるまでに抵抗力がつき、
最後には、焼かれても、なにも感じなくなる!

 

11/5(木)(2)平均余命について、

(2)平均余命について

損保が、意見書で、療護センターの統計データなどを表示し、寝たきり者の余命年数が短く、長期生存の蓋然性が低いと主張しても、本件の被害者の余命を具体的な数値で示すことは、不可能です。
ところが、主治医の意見書では、被害者の症状を前提にしても、適切な環境整備と介護体制の下では長期生存が十分に可能であると認められているのです。

⇒裁判所は、このことを根拠として、本件で、被害者の将来介護の期間を平均余命である57年間よりも短い期間と認めるべき理由はないと判示しています。
平均余命についても、弁護士が、主治医の意見書で、先の5条件を立証すれば、クリアーできます。

(3)介護料、職業介護人、レスパイト、67歳以降の対応、
1)職業介護人は、近隣の複数の介護紹介事業者からパンフレットを取りつけ、概要を把握した後、介護人と面談して、経験があり、信頼の寄せられる介護人を選出します。
どうして、この介護人でなければならないのか、その理由も、弁護士は主張しなければなりません。

2)主たる家族介護人、多くは母親が介護を担当するときでも、1年間に60日、1カ月間に5日程度は、介護人にも休養=レスパイトが必要であり、この期間は、職業介護人を導入することになります。

3)ところが、母親が就労をしている、もしくは就労する予定があるときは、日常の介護に職業介護人を導入することになりますが、この場合であっても、仕事の休みである土日、祝日は、家族介護を行うことになり、それらを切り分けて、緻密に請求しなければなりません。
また、就労しながらも、土日、休日に家族介護を続ける家族介護人に対しても、休養=レスパイトは必要であり、年間60日程度は、請求しなければなりません。

4)そして、家族介護者が67歳になれば、年間365日について職業介護人に頼ることになります。

本件では、母親が就労しており、月~金、年間240日の夜間は、母親が介護をするが、日中は職業介護人を導入する必要がありました。
弁護士は、土日、祝日の母親の休業日、年間125日の内、60日間は、母親が就労と介護以外に休息をとるための時間=レスパイトのため、日中の職業介護人を依頼する必要があるとしました。

母親が67歳になるまでの20年間については、1年の内300日を日中の職業介護と夜間の近親者介護で、残りの65日間は、全日の家族介護が行われるものとして、これまでの実績に基づいて、職業介護人日額2万円、家族介護日額1万円、夜間のみの家族介護日額5000円を請求しています。

さらに、母親が67歳以降の37年間については、年間365日、職業人介護に頼ることになり、本来であれば、看護師資格を有する職業介護人を24時間必要とするものの、そうなれば費用が極めて高額になるので、控えめに、夜間に関しては年老いた母親らが介護に当たることを前提とし、日額2万5000円、職業介護料2万円と近親者介護料5000円を請求しています。

⇒裁判所は、弁護士の控えめな請求を評価して、全額を認定しています。

(4)控えめな請求について 本件の被害者は、遷延性意識障害であり、意思の疎通は困難で、四肢の随意運動もほとんどなく、気管カニューレの留置で呼吸管理が行われ、胃瘻から経管栄養が継続されています。 母親が67歳以降、被害者の介護を完璧に行うには、看護師資格を有する複数の職業介護人が24時間介護を担当しなければならないことになります。

※職業介護人ができないこと

2012年から、研修を受けた介護人は、吸痰機による排痰と胃瘻や経管による栄養摂取は、行えるようになりましたが、なお、褥瘡の消毒などの処置、水銀式血圧測定器を使用した血圧測定、吸入の処置、点滴の管理、摘便、個別のシートに入った薬を指定個数出して服用させること、注射、血糖値の測定などは医療行為であり、医師法17条により、看護師資格を有していないと行うことができません。

看護師を想定した職業介護人では、地域によってバラツキはあるものの、24時間介護となれば、介護日額は4~5万円を要することになり、日額4万円で積算しても、将来の介護費用だけで2億4976万3360円に積み上がります。

①母親が67歳になるまでの20年間に要する介護費用
(日額4万円×300日+日額1万円×65日)×12.8212=1億6218万8180円

②母親が67歳以降の37年間
日額4万円×365日×(18.8195-12.8212)=8757万5180円

果たして、このような高額介護費用を裁判所は認定するのでしょうか?
これまでの裁判判例では、日額4~5万円の高額介護料を認定したものはありません。
裁判所は、弁護士の主張・立証と損保の反論のみで費用の多少を判定しているのではなく、社会全体のバランスや公平性を加味して、損害賠償額を認定していると考えています。

遷延性意識障害は、交通事故に限ったことではなく、自動車保険や労災保険などでカバーすることができない、スキーやスノボ、登山の滑落や水難事故などでも発生しています。
このようなケースでは、将来の介護費用、介護住宅の改造などに潤沢な手当をすることはできません。 常識的には、公的給付を中心として、必要最低限の介護体制が維持されているに過ぎません。

それらと対比するのであれば、
本件事故においては、慰謝料などを除き、以下の4つで、2億2266万6505円を認定しています。
①将来の介護費用として、1億5903万8971円
②介護住宅の新築費用は、1895万9680円 
③車両改造費、介護ベッドなどの買換費用などで、2208万4454円
④将来の介護雑費については、2258万3400円
小計2億2266万6505円

加えて、被害者には、損益相殺の対象外で、月額11万5038円が定期的に支払われています。
①国民年金の障害基礎年金 月額8万2508円
②○○市の特別障害者手当 月額2万7530円
③○○市障害者扶助料 月額5000円

また、これまでに給付を受けたものの総計は、128万8911円となっています。
①○○県在宅重度障害者手当 18万2000円
②○市○区の重度障害者給付金 4万円
③NASVAの介護料 34万2200円
④介護ベッド費用 13万8600円
⑤移動用リフト 14万3100円
⑥吸引器 5万0760円
⑦車椅子 39万2251円

以上から、弁護士は、
母親が67歳になるまでの20年間の介護費用として、
日中の職業介護の費用を日額2万円、
夜間の母親による介護の費用を日額5000円、
全日の近親者による介護の費用として日額1万円を、

母親が67歳以降の37年間の介護費用は、年間365日の職業人介護を前提に、
日中の職業介護の費用を日額2万円、
母親が67歳以降でも、夜間介護は、母親を中心とする近親者が担当するとして日額5000円を請求しています。

⇒裁判所は、これらを控えめな請求であるとして、全額を認定しています。
なんでもかんでも、目一杯請求すれば、認められるのではありません。

 
 
ジョーク 母親の入院?

母親が入院し、家族が交代で病院に詰めて看病しているのだが、病状によっては、そのまま病室で一夜を明かすこともあった。
疲れで息子が眠り込んだとき、よく朝、
母に、「お母さん、気分はどう?」
母は、「お前のいびきが、うるさかった!」
それが、母親の最後の言葉となった。

 

11/4(水)本件の被害者では、

 

本件の被害者では、
①家族が在宅での介護を希望し、実際に在宅で介護をしていること、
②人的支援は、母親と叔父が被害者のDセンター入院中から看護師とともに熱心に介護にあたり、同センターでも、家族が被害者を介護する能力と熱意があり、在宅介護が適当であると考えて、

ⅰ介助による食事の方法、
ⅱ排泄のケア、
ⅲ褥瘡予防のための体位交換の方法、
ⅳベッドから車椅子への移乗方法、
ⅴ身体の清潔を保つための入浴、清拭のやり方、
ⅵリハビリ・マッサージの方法などの看護師による指導、
ⅶソーシャル・ワーカーによる在宅介護の際の人的・物的資源の導入のサポート)が行われ、 ⅷ訪問ヘルパー、訪問看護師、訪問リハビリなどが導入され、今後さらに人的支援の導入体勢についての改良の検討も行われており、在宅介護を想定した準備は完璧であること、

③物的設備に関しては、バリアフリーやリフター、リハビリルームなどを設置した介護用住宅を建築し、パルスオキシメーター、吸引器といった医療機器を設置していること、


痰の吸引器

④医療的環境整備に関しては、DセンターからJクリニックへの依頼により日常的な訪問診療を受けているほか、自宅から車で10分ほどの場所にB大学病院があり、緊急時に対応できており、必要な条件を満たしていること、

本件の被害者では、常時の医療的監視や治療までは必要なく、緊急時に対応できる病院などの環境整備がなされれば、在宅介護でも十分に対応可能である。 在宅介護でも、十分な環境整備・管理体制がなされていれば、一般的な療養型医療施設と比べて感染症に罹患するリスクが高いとはいえない。
被害者についてH21-10-1以降在宅介護にしているのは適切な措置であり、今後も在宅介護を認めるのが相当であると認められるとしました。

1)母親が67歳になるまでの21年間、 1億0449万2780円⇒1億0156万6930円
⇒弁護士は、母親が就労している平日、月~金の240日の夜間は、同人が介護をするが、日中は職業介護人を依頼する必要があり、母親の休業日、土日、祝日、年間125日のうち60日間は、母親が就労と介護以外に休息をとるための時間、レスパイトのため、日中の職業介護人を依頼する必要があり、したがって、この21年間については、1年のうち300日間については日中の職業介護と夜間の近親者介護が、残りの65日間については全日の近親者介護が行われるものとして介護料を算定するのが相当であり、上記21年間の介護費用は、
(日額2万5000円×300日+日額1万円×65日)×12.8212=1億0449万2780円である。

⇒裁判所は、母親が就業する平日(月~金、年間240日)の夜間は同人が介護をするが、日中は職業介護人を依頼する必要がある。母親の休業日(土日、祝日、年間125日)のうち60日間は、母親が就業と介護以外に休息をとるための時間=レスパイトのため日中の職業介護人を依頼する必要があり、

したがって、この20年間、1年のうち300日間については日中の職業介護と夜間の近親者介護が、残りの65日間については全日の近親者介護が行われるものとして介護料を算定するのが相当である。

被害者は、遷延性意識障害で、意思の疎通は困難で、四肢の随意運動もほとんどない状況であり、気管カニューレの留置で呼吸管理が行われ、胃瘻から経管栄養が継続されていること、被害者の介護には、胃瘻管理、気管カニューレの管理、痰の吸引など多くの医師法17条により医療行為が必要であり、業としてこれを行う者には看護師などの医療資格が必要となること、合併症を予防し生命を維持するために頻回の体位交換、吸引措置、排尿・排泄措置などが必要であることが認められる。

このような介護の内容に加え、介護費用の単価としては、被害者が主張する通り、日中の職業介護の費用を日額2万円、夜間の近親者(主として母親)による介護の費用を日額5000円、全日の近親者による介護の費用を日額1万円と認めるのが相当である。
したがって、上記20年間の介護費用は、
(日額2万5000円×300日+日額1万円×65日)×12.4622=1億0156万6930円である。

2)母親が67歳以降の37年間  5473万4487円⇒5741万1987円
⇒弁護士は、母親が67歳になれば、肉体的負担の大きい被害者の介護も不可能となる。
したがって、年間365日、職業人介護の必要性があり、その際、本来であれば、職業介護人を24時間必要とするが、そうなれば費用が極めて高額になるので、控えめに、夜間に関しては年老いた母親らが介護に当たることを前提とし、日額2万5000円、職業介護料2万円と近親者介護料5000円を請求すると主張しています。上記37年間の介護費用は、
日額2万5000円×365日×(18.8195-12.8212=5473万4487円である。

将来の介護費用の合計は、1億5922万7267円となり、なお、将来にわたる介護料を算定するにあたり、公的給付を考慮すべきではないと主張しています。

⇒裁判所は、母親が67歳になれば、肉体的負担の大きい被害者の介護も不可能となるから、年間365日職業人介護の必要性が認められ、その費用は、介護の内容からして、日額2万5000円を認めるのが相当である。
被害者側は、夜間は近親者が介護するものとして、職業介護料2万円と近親者介護料5000円の合計2万5000円としており、控えめな請求であると認められる。
37年間の介護費用は、日額2万5000円×365日×(18.7605-12.4622)=5741万1987円

損保らは、損益相殺の対象にならないと判断する給付の存在を考慮して将来介護費などの損害額そのものを低く認定するように主張しているが、それを認めれば、これらの給付を損益相殺の対象にするのと実質的に同じことであるから、認められない。
以上により、介護費用の合計は、1億5903万8971円となるとしました。
将来の介護料が、18万8296円少なくなったのは、弁護士が適用したライプニッツ係数に誤りがあったためで、請求額の全額が認められています。

 

NPOジコイチのコメント
将来の介護料などについて
(1)在宅介護の認定
⇒裁判所が、遷延性意識障害者の在宅介護を認定する上で、必要な条件は、
①本人ないし家族の強い希望があること、
②在宅介護において、人的支援が確保されていること、
③在宅介護を可能にさせる物的設備が確保されていること、
④医療的環境整備が整っていること、
⑤医学的に在宅介護が不相当でないこと

上記の5条件が、シッカリと立証されているとき、裁判所は、在宅介護を認定しています。

したがって、弁護士は、在宅介護が必要であること、そして、在宅介護による手厚いケアで、平均余命まで生存する可能性があることを、医師の意見書、家族と職業介護人のの陳述書で立証し、裁判所の認定を受けなければなりません。
これらが認定されて初めて、職業介護人を含めた将来の介護料、介護住宅の改造や介護設備の導入、介護雑費などの議論に入ることができるのです。
論点は、裁判所が在宅介護を認める要件を弁護士が、具体的に立証することから始まります。

本件では、弁護士が、主治医の意見書と家族の陳述書で、以下の5条件を完璧に立証しています。
1)家族が在宅での介護を希望し、実際に在宅で介護をしていること、

2)母親と叔父が、被害者が療護センターに入院中から、看護師とともに熱心に介護にあたり、同センターも、家族が被害者を介護する能力と熱意があり、在宅介護が適当であると考えて、介助による食事の方法、排泄のケア、褥瘡予防のための体位交換の方法、ベッドから車椅子への移乗方法、身体の清潔を保つための入浴、清拭のやり方、リハビリ・マッサージの方法などの看護師による指導、ソーシャル・ワーカーによる在宅介護の際の人的・物的資源の導入のサポートが行われ、訪問ヘルパー、訪問看護師、訪問リハビリなどが導入され、今後さらに人的支援の導入体勢についての改良の検討も行われており、在宅介護を想定した準備は完璧であること、

3)バリアフリーやリフター、リハビリルームなどを設置した介護用住宅を建築し、パルスオキシメーター、吸引器といった医療機器を設置していること、

※パルスオキシメーター 、

パルスオキシメーターは、動脈血酸素飽和度と脈拍数を採血することなく、指先に光をあてることによって測定する装置で、近年は、医療機関だけでなく、慢性呼吸器疾患患者の自己管理、高齢者の家庭での体調管理のための使用も加わり、幅広い用途で高い評価を得ています。
血液中の酸素の大半、健康体であれば99%は、赤血球の中にあるヘモグロビンによって運ばれます。
肺炎となり、肺がダメージを受けると、それだけ、肺から血液に酸素が移せなくなり、酸素飽和度が下がるのですが、パルスオキシメーターは、肺炎重症化の可能性を見つけるツールとなっています。

4)D療護センターからJクリニックへの依頼により、日常的な訪問診療を受けているほか、自宅から車で10分ほどにB大学病院があり、緊急時に対応できており、必要な条件を満たしていること、

5)被害者の症状は安定しており、常時の医療的監視や治療までは必要ないこと、

⇒裁判所は、被害者には、常時の医療的監視や治療までは必要なく、緊急時に対応できる病院などの環境整備がなされれば、在宅介護でも十分に対応可能であり、在宅介護でも、十分な環境整備・管理体制がなされていれば、一般的な療養型医療施設と比べて感染症に罹患するリスクが高いとは言えず、被害者について2009-10-1以降在宅介護にしているのは適切な措置であり、今後も在宅介護を認めるのが相当であると判示しています。

⇒さて、損保の反論は、
1)顧問医の意見書や論文などを提出し、在宅介護を否定し、施設介護を主張しています。

2)在宅介護を認めるときは、寝たきりの被害者の余命年数は短いとして、介護料を大幅に減額することを主張します。

3)弁護士の主張する介護料では、公的扶助などを持ちだし、高額に過ぎると反論します。

4)介護住宅の改造では、家族の利便性を主張し、あれも、これもカットする傾向です。

しかし、弁護士が家族の陳述書と主治医の意見書で先の5条件を緻密に立証すれば、これらの反論を封じ込めることができます。

本件を担当の名古屋地方裁判所民事第3部 寺西和史裁判官は、判決文で、 「ベストケアをしたら、それがないよりも、はるかに長生きできる蓋然性が高いことが明らかであるのに、費用が高過ぎるからといって、ベストケアを受ける費用分の損害賠償を認めないなどということは、そのベストケアを受けたとしても一般人ほどには長生きできそうにない被害者に対して余りにも酷な話であり、人道上許されないように思われる。」損保の姿勢を糾弾しています。
重度後遺障害を担当する弁護士にとって、メルクマールとなる判決文です。

滑稽なのは、裁判所は、損保の提出した論文について、ベストケアには、年間数千万円単位の費用を要するとされており、数千万円とは、少なくとも2000万円以上であると考えられるから、症状固定時である21歳から、損保らが主張する40歳までの19年間(ライプニッツ係数12.0853)を前提にすると、2000万円×12.0853=2億4170万6000円以上を要することになり、本件における被害者の将来介護料と生存に要する費用分の総額でも2億2785万3489円であり、上記の19年間のベストケアの最低限の金額を下回り、結果的にも、平均余命を短く見積もるよりも控えめな請求になっていると指摘しところです。杜撰な立証は、命取りで、裁判では、叩き潰される、なによりの証左です。

 
 
ジョーク 健康法?

吉田茂首相に向かって、ある人が、「あなたの健康法はなんですか?」  とたずねたら、
「食い物が違う!」
「ほほう、なにか特別の食事法があるのですか?」
すると、すました顔で、
「なぁに、人を食っとるのさ!」

 

11/2(月)(7)将来の介護料 1億5922万7267円⇒1億5903万8917円

(7)将来の介護料   1億5922万7267円⇒1億5903万8917円

逸失利益

損保

弁護士

裁判所

6616万7018円

1億5922万7267円

1億5903万8917円

⇒損保は、顧問医の意見書を提出し、被害者の症状から、同人が平均余命まで生存する蓋然性は極めて低く、将来の介護料は、40歳までの19年間に限定して認めれば足りると主張しました。

そして、NASVAの調査結果によれば、寝たきり者の推定余命年数は、簡易生命表による推定余命年数と比較して短く、寝たきり者が、様々な感染症に罹患する危険性が高い一方、快復力は低いこと、誤嚥による窒息や肺炎といった生命の危険にさらされることが健常者と比較して高いことなどから、同様の症状を有する患者を母集団とするNASVAの統計データから推定余命を導き出すのがより正確であり、簡易生命表の母集団の中では、寝たきり者は少数に過ぎず、多数は、健常者と予想されるから、これにより、被害者の余命を推定するのは、問題があると指摘し、被害者は、いつ感染症を発症しても不思議ではない状態であり、より安全、快適に過ごすには、在宅介護ではなく、専門の医療設備やスタッフの整った病院における、施設介護が利益に適うと主張、在宅介護を否定しています。

1)D療護センターにおいては、母親のみならず、叔父、祖母も介護のための訓練を受けており、祖母の年齢からすると、被害者の介護は、母親と叔父が中心となり、祖母が補助することが予定され、被害者の2人の妹についても、介護の補助を行うものと予想されること、

2)被害者は、介護関連費用として介護ベッド費用、介護リフト費用、シャワーキャリー費用などの諸費用も請求しているが、これらは、介護者の負担を軽減させるものであること、

3)今後、日本は高齢化が進み、寝たきり者の数も増大していくことが予想され、職業介護人の増加など介護ビジネスの成長も見込まれ、高齢化社会に移行することで、介護保険制度も充実し、廉価で広範な介護サービスを受けられる可能性が高いこと、

4)介護技術や介護用品の発達も見込まれ、将来的には、介護労働が現在よりもかなり逓減されることが予想され、職業介護料と近親者介護料を合わせたとしても日額1万5000円、近親者介護料は日額7000円で十分であり、叔父をはじめとする家族の協力が得られることなどを考慮すれば、レスパイトのための職業介護を認める必要はなく、公的扶助などが損益相殺の対象にならないときは、これらの給付があることを将来介護費の算定において考慮すべきである。

5)そして、被害者が在宅介護を受ける建物は、本件事故後に新たに購入された物件であり、被害者と家族にとって、住み慣れた家というわけでもなく、この点からも、被害者を在宅介護とする必要性を見出すことはできないなど、正に、言いたい放題の非人道的な主張を繰り返しました。

⇒弁護士は、主治医の意見書、家族の陳述書を提出し、被害者は、症状固定時21歳で、平均余命は58.53年であり、58年、ライプニッツ係数18.8195にわたり介護が必要であること、被害者が遷延性意識障害の状態にあることだけで、余命が平均余命よりも短くなるということはできないと主張しました。

仮に、余命が短くなるという状況があり得るとすれば、それは適切な住環境や介護環境など、本来あるべき諸条件を無視しているからであり、損保が、主張するような低額の介護料などでは、十分な住環境や介護環境を整えることができず、被害者の余命に影響を与える可能性があって採用できない。 在宅介護を受けるのは相当であり、病院での介護を受けるべきとの損保の主張についても、採用できないと主張しています。

1)自宅において十分な環境整備・管理体制がなされていれば、一般的な施設よりも在宅の方が感染症に罹患する危険性は、圧倒的に少ないと言えること、

2)また、自宅において家族と同居することの精神衛生上のメリット、家族と触れあうことでの意識レベル改善面でのメリットなどがあること、

3)そもそも、被害者は、事故当時、家族らと同居していたのであり、入院治療の必要性がなくなれば、自宅に戻って生活する権利を有していること、

4)在宅介護では、医療面で問題があるとか、在宅介護の準備が全く行われておらず、その現実性がないなどの特別の事情がない限り、自宅に帰って生活することが保障されるべきであること、


胃瘻

5)被害者の介護には、胃瘻の処置や痰の吸引という医師法17条の医療行為が必要であり、近親者はともかく、業としてこれを行う者には、看護師などの医療資格を必要とする。
午前8:00~午後18:00までの10時間にわたって職業介護人を依頼するための費用は、優に、日額3~4万円以上かかるが、公的扶助も考慮して、控えめに日額2万円で算定し、職業介護人を依頼する日の、その余の時間の家族介護費用は日額5000円を、家族のみで介護をする日の介護費用は日額1万円を下ることはないとして、損保らの主張に対しては、徹底的に反論しています。

⇒裁判所は、将来介護の期間について、被害者は、S62-2生まれであり、自宅療養を開始した時点での被害者の年齢は22歳と8カ月弱である。 また、S36-1生まれの母親は、この時点で47歳である。 H20年簡易生命表の男子の平均余命は22歳が57.82年、23歳が56.85年であるから、22歳8カ月弱の男子の平均余命は、おおむね57年であると、弁護士の主張を認めました。

損保の主張に対しては、顧問医の意見書においても、 個々のケースで余命を具体的数値で示すことは、個体差や介護環境などの違いもあり困難と言わざるを得ないとしているのであり、被害者では、平均余命を生きる蓋然性が認められないと言うことはできないし、どの程度短くなる蓋然性が高いかも明らかではなく、他方、主治医の意見書では、被害者の症状を前提にしても、適切な環境整備と看護体制の下では長期生存が、十分に可能であると認められており、被害者の将来介護の期間を平均余命である57年間よりも短い期間と認めるべき理由はなく、したがって、将来介護の期間は57年間と認めるのが相当である。

なお、仮に、平均余命よりも相当に短い余命となる蓋然性が高いという認定が可能であっても、庚山論文によれば、寝たきり者をベストケアしたときは、寝たきり者の年間死亡率よりはるかに低いということであり、将来介護の期間は平均余命よりも短い期間にするとしても、その短い期間の間は、ベストケアを受けられるように、その費用分の損害は、認めるべきと考えられる。
ベストケアをしたら、それがないよりもはるかに長生きできる蓋然性が高いことが明らかであるのに、費用が高すぎるからといって、ベストケアを受ける費用分の損害賠償を認めないなどということは、そのベストケアを受けたとしても一般人ほどには長生きできそうにない被害者に対して余りにも酷な話であり、人道上許されないように思われる。

そして、庚山論文によれば、そのベストケアには年間数千万円単位の費用を要しており、数千万円ということは、少なくとも2000万円以上であると考えられるから、症状固定時である21歳から、損保らが主張する40歳までの19年間(ライプニッツ係数12.0853)を前提にしても、2000万円×12.0853=2億4170万6000円以上を要するということになる。
そうであるとすれば、そこまでのベストケアをしなくても、被害者が平均余命まで生きられることを前提にしている、本件における被害者の将来の介護費用、将来の生存に要する費用分の総額でも2億2785万3489円であり、上記の19年間のベストケアの最低限の金額を下回り、結果的にも、平均余命を短く見積もるよりも控えめな請求になっているといえる。

⇒裁判所は、自宅介護の必要性、相当性について
被害者が在宅で介護を受けるために必要な条件は、
①本人ないし家族の希望、
②人的支援の確保、
③物的設備確保、
④医療的環境整備といったことがあり、

それらを満たすときは、医学的に在宅介護が不相当でない限り、在宅介護を認めるのが相当である。

 
 
ジョーク お寿司屋さん?

人間以外の動物は、すべて、猫舌です。

「外は、寒かったでしょう?」
店員さんが、気を利かして、すぐに熱いお茶を出してくれた。

猫舌の私は、すぐには飲めず、冷めるのを待っていた。
やっと飲めそうになった頃、先ほどの店員さんがニコニコしながら、そばにやってきて、
「熱いお茶に、かえますね!」 と、サッと下げていった。